50 名前:モントゴメリー[] 投稿日:2023/08/16(水) 23:42:22 ID:116-64-135-196.rev.home.ne.jp [14/107]
MAS50 mode Citoyen
テキサス共和国のM36A1狙撃銃の成功を後ろから眺めていたフランス連邦共和国(FFR)が試作した小銃。
MAS50bis小銃のボルトを“ストレート・プル”方式に変更したものである。
まず、ストレート・プル方式とはボルトハンドルをそのまま後方に引き、また前方に戻すことで開放・排莢・装填・閉鎖の全ての動作が成立するボルト・アクション方式である。
従来の回転式ボルト・アクションと比較して動作時間が短くなり、発射速度が向上する利点がある。
そのような利点があるのに、何故発射速度にあれほどこだわるFFRがこれまで採用してこなかったのか?
それは、ストレート・プル方式の欠点に由来する。
まず一つ目に「信頼性が低い」というのがある。
従来のボルトは人間の手で直接回転運動を与えていたが、ストレート・プル方式は直線運動を機械的構造で回転運動に変換しなければならない。
当然、部品点数は増え機構は複雑になる。
訓練場でならばともかく、劣悪な環境の戦場でかつ連続で射撃すると破損や動作不良の発生確率が無視できない高さとなってしまう。
いくら早く装填できても、撃てなければ意味はない。
二つ目は「整備性が悪い」という点だ。
これも一つ目と関連するが、部品点数が増えれば分解清掃の手間が増えてしまう。
三つ目は「高コスト」である。
やっぱり一つ目が原因であるが、機構が複雑となれば製造単価が上がるのは必然である。
これではボルト・アクション式小銃を採用した意味がなくなってしまう。
上記の如き欠点を考慮した結果、FFRは開闢以来ボルト・アクション小銃でかつ発射速度を重視しつつもストレート・プル方式を採用してこなかったのである。
しかし、テキサス共和国がM36A1狙撃銃でストレート・プル方式を採用したことでその歩みを再考しようとする流れが生まれた。
狙撃銃という発射回数が少ない銃器とは言え、実戦での使用に耐え得る信頼性を証明したストレート・プル方式ライフルが誕生したのである。
もしかしたら、我々の要求に応えられる小銃も開発できるかもしれない。
そう考えたFFR陸軍では、M36A1狙撃銃の設計に協力したサン=テティエンヌ造兵廠に対し、MAS50bisを基にした試作銃の製造を指示したのである。
51 名前:モントゴメリー[] 投稿日:2023/08/16(水) 23:43:26 ID:116-64-135-196.rev.home.ne.jp [15/107]
試作銃は程なく完成し、試験に供された。
結果………「採用するに及ばず」という評価が下されたであった。
確かに発射速度は向上した。
されど、それも1割前後と期待したほどではなく、上記の欠点2、3を鑑みれば採用するほどのメリットとはならないのだ。
そもそも、MAS50系列の小銃はMAS40の頃よりボルト閉鎖機構はロッキングラグをボルトフェイス側ではなくボルト本体の後方に配置する方式を採用している。
これは薬室側にラグの噛合部を切るモーゼル系と比較して薬室内にボルトが入り込む設計ではないためボルトの移動距離も短く、さらに回転角も少ないためより速射性がある構造となっている。
つまり、元々MAS50系列のボルトは速射を考慮した設計なのでストレート・プル方式との差異があまりないのである。
その上で、信頼性や各種コスト面でも上であるならば、変更する意味はなかった。
しかし、開発してしまったからには投資を回収したいと考えたサン=テティエンヌ造兵廠は、これを民間市場へと持ち出した。
FFRの国民は、その全員が生まれ出た瞬間から霧の向こうへ転属するまで「我らが指揮官」隷下の兵士にして戦争資源である。
なので、正規軍であらずとも最低限(FFR基準)の軍事教練は義務教育で履修しているし、社会人となっても継続している。
とは言え、時間的・物理的制約から当然ながらその練度は正規軍所属の者から見ると低い。
そんな彼らから見たら、この機構は十分に魅力的であった。
ボルト部分だけ購入すれば既存のMAS50系列の小銃に適合できる設計なので、発売以降順調に売り上げを伸ばしている。
この様な経緯により、このストレート・プル方式のMAS50系列のことを
“MAS50 mode C(Citoyen=市民)”
と呼称するようになった。
52 名前:モントゴメリー[sage] 投稿日:2023/08/16(水) 23:43:58 ID:116-64-135-196.rev.home.ne.jp [16/107]
以上です。
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彼らと色々話しましたが、やっぱりストレート・プル方式は不採用ってことで。
ですが民間分野では需要がありました。
最終更新:2023年09月24日 19:19