63 名前:ホワイトベアー[sage] 投稿日:2023/08/17(木) 23:31:24 ID:157-14-230-150.tokyo.fdn.vectant.ne.jp [2/22]
日米枢軸ルート ゲートネタ①
それがおきたのはハワイ条約機構と欧州連合、イギリス連邦の3大陣営による冷戦が激しさを増していた1970年8月5日の太陽がぎんぎんと輝く真夏の朝であった。
突如として、相模湾内に日本本土からも確認できる程の巨大な光の壁が出現し、そこから国籍不明機が現れたのだ。
この国籍不明機の出現はレーダーで直ちに日本空軍の知る所になり日本本土防空司令部を大いに慌てさせた。
いくらレーダー波解析では自国の旅客機に酷似しているとはいっても、政治の中枢である首都 東京から目と鼻の先に戦略爆撃機クラスの国籍不明大型機が突然出現したのだ。
その慌てぶりは想像に難くないだろう。
この非常事態を受けた本土防空司令部はマニュアルに従い直ちに官邸への報告と第一級空襲警戒警報を発令。
東京都を含めた関東各自治体はシェルターの解放と住民の避難命令を下す。
同時に日本本土防空を担う帝国空軍と各都道府県航空戦闘警備隊は戦闘機からなる空中警戒部隊や戦略爆撃機部隊を空に上げた。
相模湾の近郊にある中瀬空軍基地からは即応体制にあった2機のF-65戦闘機が緊急出撃を実施、国籍不明機に警告(最悪の場合は撃墜)を行うべく黙視で確認できる位置まで接近した。
総理官邸でも同様の混乱がおきており、会議の名目で《灰被り姫の名を関する少女達がアイドルの道を歩いていく》アニメを観賞していた総理大臣や安全保障問題担当補佐官、国防大臣などの政府高官達は直ちに警護隊による護衛の下、総理官邸の地下にある核シェルター機能を備えた総理官邸危機管理センターへの退避と第3種防衛基準体制を発令するなどの大騒ぎがおきた。
幸い中瀬空軍基地からスクランブルした戦闘機が黙視で旅客機である事を確認し、同基地に緊急着陸をさせるとこれ等の騒ぎは一応は沈静化する。
それでも光の壁などが報告され、総理大臣は総理官邸危機管理センターに缶詰されてしまうなど、混乱からの完全な回復はまだしていなかった。
西暦1970年8月5日 大日本帝国 東京 総理大臣官邸危機管理センター
危機管理センター、それは大日本帝国の政治の中枢である総理官邸の地下深くに作られた内閣総理大臣の高度退避拠点である。
世界で最も厳重な対NBC防護が施され、いざとなれば年単位で生活できるほどの膨大な物資を貯蔵し、国内全ての行政機関や世界各地に散らばる帝国軍や情報機関の指揮管理を維持するための通信設備と必要なセキュリティ機能が整備されているこの拠点は、いざと言う時には日本の最高司令部となる極めて重要な施設であった。
「それで、何か分かった事はあるのか?」
謎の航空機が出現し八時間が経過した頃、危機管理センター内に設置されている完全防音の会議室に官房長官や安全保障問題担当補佐官、国防大臣、統合参謀本部議長、国家情報大臣、国土交通大臣、内務大臣など
夢幻会会合メンバーであり、かつ安全保障や国内の治安維持を担当する省庁などのトップ達とその補佐官が集まっていた。
その中心に座る日本で2番目に偉い人物が少しだけ苛立たしげに会議室にいるメンバーに尋ねる。
「現状までに判明した事をあげますと、国籍不明機は私たちが転生前に生きていた世界に近い世界線の全日空の旅客機だそうです。
機体はボーイング製767-300、区間は成田発の関空行きと言う事で、乗員乗客は220名、国籍はまだ詳細はわかりませんが、国内線と言うこともあって日本人が多数であるとの事です。
ちなみに向こう側の年月日は西暦2017年の8月1日だそうです。」
強制着陸時から不明機や光の壁の調査を行っていた軍が集めた情報を国防大臣は会議室内のメンバー全員に報告し続ける。
64 名前:ホワイトベアー[sage] 投稿日:2023/08/17(木) 23:31:56 ID:157-14-230-150.tokyo.fdn.vectant.ne.jp [3/22]
「相模原湾に突如として現れた光の壁ですが、この壁は全長は不明ですが、全幅は90mちょっとと空母が入ることが可能で、ダイバーが確認したところ海中にも続いているようです。
こちらへの対応としましては国内外全ての部隊に第2種防衛基準体制を維持させております。
また、光の壁ですが現在は神奈川県航空戦闘警備隊と緊急出動した横須賀の第1警備艦隊、沿岸警備隊第3管区隊が共同で監視しています。最も現在までに追加での変化は確認されていません。
しかし、旅客機がレーダーで捕捉された地点と光の壁の位置が合致している事から光の壁は彼らのいた世界と繋がっている可能性が高く、早急に調査を行う必要はあるとおもいます。」
「私から捕捉しますと、沿岸警備隊が採用している無線式のUAVによる光の壁内部の調査はUAVが突入後に電波が届かなくなったため失敗、UAVを喪失しており、無線式のUAVでの調査は不可能と言う結果が出ております。」
国土交通大臣が国防大臣の報告内容を捕捉する為に続いて報告を行う。
「なるほど・・・。ん、ちょっと待ってくれ。沿岸警備隊がUAVを使って調査をしてUAVを喪失しただって?」
「はい」
「喪失したのってあれだよね。沿岸警備隊が試験運用しているRQ-69(和製V-247)だよね」
「第1管区隊は艦載型無人哨戒機は運用していませんし、そもそも関東で即応体制にある無人機ですよ? RQ-57CG(和製ガーディアン)しかないじゃないですか」
笑顔でそう言う国交相に対して内閣総理大臣は(こいつはそう言うやつだったなぁ)と言うある種の達観した表情で、八二式無人哨戒機の補充機調達の為の予算に関わる面倒事はこの場にいない大蔵大臣と元凶である沿岸警備隊の責任者である国交大臣本人にぶん投げる事を決めた。
彼は余計な苦労は背負わない人間なのだ。
この場にいた国交相以外の参加者達は総理大臣の思惑を理解していた。
そのためこの場にいない大蔵大臣に同情はしたが、それを口には出さないし、反対する事もない。
彼らもまた必要のない苦労は背負わない事に重きをおいている人間なのだ。
「総理、その話はひとまず置いておきましょう。大事なのは、我々が今後どのようにあの光の壁に対処し、壁の向こうの世界と付き合っていくかです」
話が主題から反れ始めようとしている事を感じ、流れを修正するためにいままで黙って会議を聞いていた外務大臣がこの会議で初めて口を開いた。
「向こうの世界とどう付き合うかを考えるって?
それを考えるのはまだ早急過ぎやしないか。それよりあの壁への対処法と今後相模湾をどうするかを決めるのが先だろう。
これが決まらないと相模湾を通る航空路全面使用禁止を解除できないままだぞ!」
外務大臣の意見に対して国交大臣は反対を表明する。
「そうも言ってはいられないでしょう国交大臣。
たしかあの旅客機は全日空の羽田発ー関空行きでしたよね。
ならば通った空路は当然Y58でしょうし、最悪の場合は向こう側の日本の相模湾に通じている可能性が高いです。
いきなり海上自衛隊が動く可能性は低いですが、我々が何もしなくても向こう側の海保がこちらに来るまで時間の問題でしょうな」
「しかしだな・・・」
国交大臣が更なる反論をしようとしたが、それは総理大臣の言葉によって遮られる。
「……確かに、向こう側も旅客機が突然焼失したのはレーダーで確認しているだろう。当然、光の壁の存在がその原因と言う推測もたっているだろうな。
壁の調査には年単位の時間が必要だろうし、この場で決める必要は……無いな。
よし、とりあえず壁の向こう側の勢力との外交方針だけは決めておくか。なにか意見はあるかな?」
65 名前:ホワイトベアー[sage] 投稿日:2023/08/17(木) 23:32:40 ID:157-14-230-150.tokyo.fdn.vectant.ne.jp [4/22]
総理は国交大臣と外務大臣の話を聞き、ひとまずこの場では外交方針のみを定める事を決め、この場にいる参加各位の意見を求める。
「外務省としましては向こう側の日米とは友好関係を築く事は難しくないと考えています。
個人的には少なくともマスコミ全盛期で宇宙人が総理大臣の頃ではなく、また民主党が与党でもないので問題なくいけると言うのが考えです」
「国防総省としては光の壁の向こう側に問題なく移動できるとしても、いつ消失するかわからないものを使用しての大規模な軍事行動には断固として反対します。なので友好的な関係の構築を重視するべきです」
「統合参謀本部としましても命令なら出兵計画を立案しますが、できれば軍事的オプション以外での平和的な状況の安定化を求めます」
「国交省としては近隣の空路の安定の為にも友好的な関係を築くか光の壁の向こう側への軍の出兵のどちらかを望みますな」
「内務省もひとまず友好的な関係を構築すると言う方針に反対はありません」
安全保障に関する各機関も理由はそれぞれ微妙に違うものの基本的に穏健に事を進めたいと言う見解で統一していた。
「では、我々のho「失礼します」……」
総理大臣が方針を宣言しようとしたとき、会議室の扉が急に開かれ、軍の士官と沿岸警備隊の士官が入ってきた。彼等はそれぞれ国防大臣と国土交通大臣のそばまで駆け寄り、大臣に耳打ちによる報告といくつかの書類を渡す。
当然ながらこの二人の士官もまた転生者であるので彼らが大臣らの会話を聞いたとしても何の反応を示さない。
「……国防相、国交相、報告があるなようだな」
方針の宣言を邪魔された総理大臣はいじけた様にお茶を飲みながら緊急の報告を受けた二人の大臣に報告を求める。
「警戒に当たっていた部隊からの報告でどうやら壁の向こう側から偵察用の無人機と思われるモノが飛来してきたらしいです」
「思ってたよりも向こう側の対応が早いな……
それで、無人機の所属は何処だ?」
「添付された画像を見る限り陸自のFFRSのようです」
「なるほど。まあ、当時の海保や海自には偵察用のドローンが存在しない以上、日本独自の力かつ無人で偵察するためにはそれしかないわなぁ。
しかし、これで光の壁の向こう側が何処かの世界線の日本に繋がっている可能性が高い事が改めて判った訳だ。さて、諸君。我々の方針としては壁の向こう側の勢力とは友好的な関係を築いていくと言う方針に異議はないかな」
「「「「異議なし!!」」」」
「よし。そうと決まれば外務省と国防総省は協議をおこない壁の向こう側に派遣する人員の編成を急いでくれ」
「・・・こちらから接触するのですか?」
「ああ、向こう側の出方を待っていてもしょうがないだろうし、動くならこちらから動いた方が早いだろう?」
総理は外務大臣の言葉にニヤリとイタズラを思いついた子供の様な微笑みを浮かべながらそう言う。
「確かにそうですが・・・」
「それに、国籍不明の武装勢力を本土近海に入れるわけにもいけないしな」
確かに総理の言う通り、いくら史実日本思われる国家であろうとも、本土に近い相模湾に国籍不明の艦を入れるのは避けなければならなかった。
こうした理由もあって大日本帝国は平成世界とコンタクトをとることを決定し、壁内調査の名目でフリゲート3隻からなる小規模な艦隊をを光の壁に突入させる。突入後は当初予想されていたようにこの艦隊との通信は断絶する事となり、日本帝国は彼らの帰還を待つ事になる。
ゲートに突入した艦隊は、
夢幻会官邸組の予想通りに史実に類する世界の相模湾上に転移した。
この艦隊の出現は史実世界側で光の壁を監視していた海上保安庁がすぐに把握し、パラレルワールド存在の証明とそこに超大国の一国として大日本帝国が君臨していると言う情報などが史実世界側に大きな混乱をもたらす事になっていく。
66 名前:ホワイトベアー[sage] 投稿日:2023/08/17(木) 23:33:17 ID:157-14-230-150.tokyo.fdn.vectant.ne.jp [5/22]
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最終更新:2023年10月11日 20:20