313 名前:冷石[sage] 投稿日:2023/08/27(日) 07:54:40 ID:p339059-ipngn200307gifu.gifu.ocn.ne.jp [2/10]
「ずいぶん丁重な扱いになりましたね」
前を歩く木下に向かい伊丹は話しかける。
「軍が炎竜退治を終えて帰ってきたんじゃろ、じゃから扱いが丁重になった。それだけじゃろ」
「あー、もう終わったんですか」
ニヤリと笑い木下は呵々と笑う
「さて、スイートから地下牢に部屋替えしてくれた差額を受け取りに行くとするきゃ」
(ご愁傷様です)
その表情を見て伊丹は交渉にあたる人に心の中で合唱したのだった。
~~~~~~~謁見室~~~~~~~
「ほー、炎竜の討伐が終わったんか」
「は、はい。先ほど国境よりその知らせが届きました。そ、それでなんですが…」
牢に入れられた昭和、平成、令和各国のメンバーに冷ややかな目で見つめられながら宰相は言葉を紡ごうとする
「あー、その前に。諸王国連合の参加国と交渉したいから仲介を頼めんかのう」
「こ、交渉でございますか?」
「うん、アルヌスの丘で捕虜にした連中の返還やら、我が国との友好条約とかいろいろと交渉したいから仲介を頼めんかと思ってのう」
その場にいた日本側以外の面々は顔を青くしつつ脂汗をだらだらと流している
当然だ、仲介するという事は「帝国」から後で「敵対する気か?」と問われるような行動だからだ
軍を通過させたことでももう十分に「帝国」から目を付けられていることがわかるだけに王国側は簡単に受けるわけにいかなかった。
「そ、それ「ああ、それからいうの忘れとったけど今度今回炎竜退治に派遣した軍の倍くらいの援軍がアルヌスに来る予定じゃから」
にこにこと笑いながら木下は言葉をかぶせる、更に言葉を続ける
「ああ、援軍派遣の際にうちの行政のトップが『首都に攻め入られたからではない外国で一人だけでも名誉を奪うようなことをされたら軍を派遣しただろう』といったそうじゃ」
もはや血の気が引くどころではないといった顔を浮かべる王国の面々
それを見て伊丹は(それって脅してるよね)と思っていた
「で?仲介の労受けてくれるんやろ」
この言葉に王国サイドは陥落した
314 名前:冷石[sage] 投稿日:2023/08/27(日) 07:55:14 ID:p339059-ipngn200307gifu.gifu.ocn.ne.jp [3/10]
~~~~~~~昭和日本
夢幻会会合にて~~~~~~~
「諸王国連合がこちらについた」
「冗談抜きに早期終結もあり得る」
「王国側には外交官を牢に入れたというチョンボがあった上に炎竜と幼生竜二匹の死体つき」
「相手の失策に漬け込み、彼我の圧倒的な力量差を見せつけて優位に立って一気に持っていく、お見事というかなんというか」
「戦争は早期に終わりそうですね、諸王国連合がこちらについてその領土をある程度自由に軍を動かせるのは大きなアドバンテージですよ」
「落としどころを早めに考えておけ、か。この言葉が現実味を帯びてきたな」
「どうする?最低でもアルヌスの割譲、イタリカ量をこちら陣営につける。これくらいは要求するとして。どこまでを「帝国」に要求するかだぞ」
「うちも令和日本くらいの要求に収めるのがいいのかもしれん」
「なら、
1.帝国の謝罪と賠償
2.アルヌスの割譲
3.イタリカ地方の中立化
4.条約の締結
といったところがだとうか?」
「そうですね。ゲートが閉じる前に、条約締結してゲートが閉じた後相手に付け入らせない。これを基本方針にしましょう」
「平成、令和側と協議して調整しておかなければなりませんね」
「じゃあ、さっきの4案をゲートが閉じる前に済ませる方向で進めていこう。
条約案は蒼梧の不可侵、交易レートの締結。大枠はこうで細かいところは外務省に任せよう」
「とりあえず重光に平成令和両日本に戦争終結のための協議を持ちかけるよう指示しておこう」
「問題はゾルザルの動きと、平成日本の決断の遅さですよね」
「平成日本は吉田に頑張ってもらうしかないだろう」
「ゾルザルら強硬派だなとなると」
「うーん、クーデター起こす前に彼我の戦力差を見せつけて早期和平を狙うしかないかな」
「その辺を含めて平成令和と足並みをそろえたいから、両日本にトップ会談の場を設けるように要請してみるか」
「それがいいでしょう、ねえ嶋田さん」
「ああ、その方向でいいとは思うんだが…なんで同人誌の原稿書きながらこんな大事な話をするんです!」
「そりゃ今から準備しとかないと日本博覧会(仮)に間に合わないじゃないか」
嶋田さんのもっともな怒号にコノミンこと近衛文麿が涼しい顔で答える
「まだ日本博覧会(仮)の日程も決まってないのに間に合わないもくそもないでしょうが!!」
もうやだこいつらと思い怒りの声を上げる嶋田さん
「落ちつけ嶋田」
最近とみに
夢幻会のオの字の人々に染められてきた山本五十六海相が嶋田をなだめる
「帝国に対してはさっきの4案で、そしてこちら陣営の足並みをそろえるために両日本に会談を申し出る。これでいいんだな」
「ええ、そのために帝国の元老院への工作、平成日本への世論工作を進めることにしましょう」
「基本方針が決まったところで近衛さん」
「何かな山本海相」
「この同人誌は誰名義で出すんですか?閣僚が主体となって書いてるから内閣名義か政府名義か」
「うむ、それは考えてなかった」
(山本お前遠い所に行っちまったんだな)と思い嶋田はペンを走らせるのだった。
315 名前:冷石[sage] 投稿日:2023/08/27(日) 07:56:48 ID:p339059-ipngn200307gifu.gifu.ocn.ne.jp [4/10]
とりあえず以上ですwiki掲載はご自由に
リハビリ兼ねてますんで短めです。感想待ってます。
最終更新:2023年09月27日 19:45