822 名前:ホワイトベアー[] 投稿日:2023/09/18(月) 20:06:01 ID:om126208191080.22.openmobile.ne.jp [7/13]
ドッチェランド級航空母艦
基準排水量:51,000t
満水排水量:68,000t
全長 :305.1m
全幅 :78.8m
最大速力:30ノット
航続距離:9,300海里 (18kt巡航時)
武装
ゴールキーパー×3基
アーチャー8連装発射機×4基
グレイル6連装発射機×2基
航空艤装
HC-3蒸気式カタパルト×3基
航空機用エレベーター ×3基
艦載機
固定翼機×60~40機
回転翼機×6~2機
同型艦
1番艦:ドッチェランド
2番艦:プロイセン
3番艦:ザールラント
4番艦:アドミラル・シェーア
5番艦:アドミラル・ヒッパー
6番艦:アドミラル・グラーフ・シュペー
ドッチェランド級航空母艦はドイツ帝国海軍が西欧戦争後に建造した初の大型航空母艦である。
日米の空母がカタパルト4基、エレベータ4基、艦載機約80機を搭載するの大型空母であるのに対し、本級をはじめとした欧州連合各国の空母はその2/3程度の能力であるため日本では中型正規空母として認識されている。
概要
日米との対立が決定的になった西欧戦争後に提唱された欧州連合内では加盟国各国の軍事力を統合運用する《欧州防衛軍構想》の一環として1940年代初頭からドイツやソ連、フランス、イタリアなど欧州連合主要国で共通した空母を建造する《欧州統合空母計画》で他国の空母の設計の大本となった。
前級である『ザイドリッツ』は『グラーフ・ツェッペリン』級よりかは高い能力を有していた。
それでも空母でありながら単艦での高い戦闘能力と防御性能を持たされた結果、ジェット艦載機を搭載すると『ザイドリッツ』の航空機搭載可能数は正規空母でありながら軽空母並みにまで落ちてしまっていた。
日米海軍は勿論、イギリス海軍ですらも47,000トンクラスのジブラルタル級航空母艦を運用している状況では『ザイドリッツ』では些か航空機運用能力で目劣りしてしまう。
その反省から本級の武装は2基の対空機関砲と計8基の艦対空ミサイル発射機のみという、それまでのドイツ海軍の空母比べると格段に軽装備となった。
ドイツ帝国海軍が設計方針を大きく転換できた背景は英独海軍協定に縛られることなく艦艇を整備できるようになったことがあった。
従来のドイツ帝国海軍は英独海軍協定の縛りにより艦艇保有規模を制限されており、単艦に多くの機能を求めていた。
しかし、『ドッチェランド』級航空母艦の設計が開始された1940年代には西欧戦争での勝利で英独海軍協定は有名無実化していた。
十分な数の護衛艦を整備できるようになったドイツ帝国海軍は要約航空機の運用に重点を置いた『正規空母』を運用する余裕ができたのだ。
一方、日米海軍のように超大型空母を大量建造・大量配備できない事から個艦規模での生存性が重視され、『ザイドリッツ』の特徴である高い防御力は維持されている。
来歴
本級の建造の経緯は1930年代後半にまで遡る。
1935年6月に英独海軍協定を締結したドイツ帝国は27,000 t級のザイドリッツ級装甲空母1隻、24,000トン級のグラーフ・ツェッペリン級航空母艦を3隻の計4隻を整備していた。
当時の欧州最大の海軍国であったイギリスの空母保有数が『ジブラルタル』級航空母艦4隻、『アーク・ロイヤル』級航空母艦8隻の計12隻で、この計画が達成されればドイツ海軍はイギリス海軍の1/3に匹敵する欧州有数の空母保有国となる。
しかし、『グラーフ・ツェッペリン』級航空母艦は世界大戦前のドクトリンに基づいて設計された空母と言う事もあって性能的には成功したとは言えなかった。
『ザイドリッツ』級装甲空母もその実態は『グラーフ・ツェッペリン』級の発展改良型と言える艦艇で、レシプロ機の運用は問題なく行えるが冬戦争で日米が運用している様なジェット機の運用は困難であった。
823 名前:ホワイトベアー[] 投稿日:2023/09/18(月) 20:06:40 ID:om126208191080.22.openmobile.ne.jp [8/13]
世界大戦後から欧州でも目まぐるしい発展を遂げるジェット技術による自国の空母の急速な陳腐化と、各国で進む超大型空母の整備を背景にドイツでもジェット機の運用を前提とした空母の整備の必要性が唱えられていく。しかし、この頃のドイツの最大の仮想敵国は国境を接するフランスだった。
軍備整備計画でも重視されていたのは陸軍と空軍で、予算の割当でも陸空軍に重点が置かれてしまう。
少ない予算での活動を余儀なくされたドイツ海軍にできることは、せいぜい『グラーフ・ツェッペリン』級2番艦『ペーター・シュトラッサー』を実験艦として改装し、日米英の警戒心を呼び起こさないようにひっそりと各種ノウハウを蓄積させることぐらいであった。
1930年代末に予想よりも早く英仏と開戦し僅かなうちにフランスを屈服させ、イギリスに有利な条件でベルサイユ講和条約が締結すると言う歴史的な大勝利を納めるとドイツを取り巻く情勢は大きく変わる。
事実上、欧州での覇権を確立したドイツ帝国の存在は世界の海洋覇権を握る大日本帝国にとっては極めて目障りなもので、彼らはイギリスに代わりドイツ帝国及びその同盟諸国を最大の仮想敵国に定めた。
そして、大日本帝国は欧州連合に同盟諸国対抗するため同盟諸国を巻き込んでハワイ条約機構を設立、相次ぐブロック圏の確立を受けてイギリスは自治領と共にイギリス連邦を設立する。
三大陣営の誕生と後に冷戦と呼ばれる対立構造の鮮明化に伴い日米同盟というシーパワー連合と対峙することとなったドイツ帝国は、フランスやソ連と共に日米に匹敵する軍事力を整備する必要に迫られた。
ただ、欧州連合の結成日に合わせる形で『公式記録上は初の』核実験を実施したことから、世界大戦のトラウマが未だ色濃く残るドイツがもっとも警戒した対象はアイスランドに駐留する日米の戦略爆撃機部隊であった。
核兵器を抱える日米同盟に対抗するため、欧州連合は協力して核戦力の研究及び整備と一大防空網、通称《大西洋の壁》の建設を決定。オーストリア・ハンガリー帝国がハワイ条約機構に加盟し日米地上軍の駐留を受け入れたことから同国との国境線上の防衛線の増強も余儀なくされた。
ただでさえ莫大な予算を必要とする巨大プロジェクトをいくつも同時並行で進めざるを得ない以上、海軍予算の大幅な増大は難しい。
低予算で早期に新型空母を実戦配備する必要に迫られたドイツ帝国は、少しでもコストを削減するために欧州第二の海軍大国であったフランスや海軍拡大を計画していたソ連との共同での空母開発を模索しはじめる。
ドイツ帝国海軍の考えは入念な根回しもあって最終的に欧州連合理事会にて決議された欧州防衛軍構想の一環としての合同空母研究計画という形で実現した。
同計画によってドイツ帝国海軍はアングルドデッキや、理論上ではジェット戦闘機の運用も可能な新型のカタパルトを単独で行うより遥かに軽い負担で実用化させることに成功する(ジェットエンジンの技術を対価として水面下でイギリスからの支援を受けていたとの噂もある)。
1940年代ばになるとドイツ帝国海軍のグラーフ・ツェッペリン』級航空母艦やフランス海軍の『ジョフル』級航空母艦の後継艦の必要性が本格化し始めた。
これにより合同空母研究計画は独ソ仏伊の欧州連合主要国の主力空母整備計画である《欧州統合空母計画》へと発展、1947年には『グラーフ・ツェッペリン』級航空母艦の代艦として建造が内閣から承認され、1949年より1番艦である《ドッチェランド》の建造が開始された。
824 名前:ホワイトベアー[] 投稿日:2023/09/18(月) 20:07:11 ID:om126208191080.22.openmobile.ne.jp [9/13]
設計
上甲板はそのほぼ全域が飛行甲板で、『ザイドリッツ』の特徴が引き継がれ重装甲が施されている。
飛行甲板下の主船体は9層の甲板から構成されており、ギャラリデッキとされる第1甲板の下に格納庫が置かれている。
格納庫下には居住区画や機関区画、応急区画などが設けられている
機関にはワーグナー式のボイラーを8缶搭載し、蒸気タービンによって4軸の推進器を駆動している。
速力は最大で30ノットとされているが、実際の最大速力は33ノットであると分析する識者も少なくない。
発電機には単機出力1,500キロワットのMAN AG社製のタービン発電機を10基、単機出力1,000キロワットのASEA社製ディーゼル発電機3基搭載している。
航空艤装としては当初から8.5度のアングルドデッキを持つ。
飛行甲板のスペースを狭めないために右舷側のアイランド、左舷側のアングルド・デッキや舷側エレベーターなどは左右にオーバーハングさせた設計で、航空甲板のスペースを確保している。
カタパルトは75メートルのドイツ製C-11蒸気式カタパルトを艦首側の2基とアングルド・デッキに1基の計3基が設置されている。また、アングルド・デッキ上には艦載機着艦用のアレスティング・ワイヤー3本が設置されている。
飛行甲板と格納庫を連絡するエレベーターは艦首甲板上に2基、後部甲板に1基の計3基が設置されている。
各エレベーターはそれぞれ艦載機を2機ずつ昇降することができる。
個艦防御兵装としては計画時は艦砲の搭載を予定していた。
しかし、仮想敵国であるハワイ条約機構軍の装備に対して砲装では能力が不足しているとしてアーチャー個艦防空システムやグレイル短距離艦対空ミサイル6連装発射機といったミサイル兵装に変更された。
ミサイルによる迎撃が突破された場合に備えてゴールキーパーCIWSも3基搭載された。
三次元及び二次元対空レーダ、対水上レーダ、航海用レーダ、高角測定レーダーを搭載している。また、ミサイル誘導用の二次元低空警戒レーダーも多数装備する。
能力
『ドッチェランド』級航空母艦は艦隊での運用を前提とした大型空母であり、艦隊旗艦として運用されることが想定されていたため強力な指揮統制通信システムが搭載されている。
艦隊司令官の指揮所となるのが第1甲板にあるギャラリデッキに設けられた旗艦用司令部作戦室である。
また、『ドッチェランド』級は陸海空軍の部隊から編成される統合任務部隊の洋上ターミナルとしての機能も想定されていたため、ギャラリデッキには統合任務部隊司令部としても活用できる大型の多目的室と強力な通信設備も用意されていた。
船体は日米のスーパーキャリアと比べるとやや小さいが、それでも従来の空母とは比べ物にならないほど巨大な船体を有している。
初期の搭載機としては欧州連合諸国が合同出資して設立されたユーロアエロプラーヌム社製のEF-130の艦載機仕様であるEF-130M戦闘機とミステールM戦闘攻撃機を戦闘・攻撃戦力として、ソ連のA・S・ヤコヴレフ記念試作設計局製のYak-44AとYak-44Eを早期警戒機及び電子戦機として選定していた。
艦載ヘリコプターとしてはフォッケ・アハゲリス社のFI 481を主力としており、救難仕様のFI 481Hと対潜哨戒仕様のFI481Sを搭載する。
1950年代の搭載機の標準的な編成は下記の通りである。
- EF-130M戦闘機×18機
- ミステールM 戦闘攻撃機×36機
- Yak-44A×4機
- Yak-44E×4機
- FI 481H×4機
- FI481S × 4機
編成には含まれていないが艦上輸送機であるYak-16も搭載可能とし、必要に応じて編入される。
同型艦
1950年に1番艦である『ドッチェランド』の就役した事を契機として2年毎に1隻ずつが就役していった。
『ドッチェランド』及び『プロイセン』はドイツ帝国海軍本国艦隊配備された。
『ザールラント』、『アドミラル・シェーア』、『アドミラル・ヒッパー』、『アドミラル・グラーフ・シュペー』の4隻は新設されたばかりの欧州統合海軍大西洋艦隊に配属され、1970年代初頭より就役した『フリードリヒ・エーベルト』級原子力空母と入れ代わるまで準姉妹艦達と共に欧州連合海軍における航空戦力の主力を担っていた。
凖同型艦としてフランスの『ガリエニ』級航空母艦4隻、ソ連の『モスクワ』級航空母艦4隻、『イタリア』のアクイラ級航空母艦2隻が存在している。
825 名前:ホワイトベアー[sage] 投稿日:2023/09/18(月) 20:08:20 ID:om126208191080.22.openmobile.ne.jp [10/13]
以上、改訂版世界線での冷戦初期から中期にかけての欧州連合主力空母であるドッチェランド級航空母艦でした。
wikiへの転載はOKです
最終更新:2023年10月11日 20:44