5 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/10/21(土) 22:05:02 ID:softbank126036058190.bbtec.net [4/308]
憂鬱SRW ファンタジールートSS「文学少女かく語りき」
- F世界 ストパン世界 主観1944年10月 オラーシャ帝国 ペテルブルグ 502JFW基地 娯楽室
哨戒から帰投し、戦闘後のケアなどを受け、さらにデブリーフィングを終えた管野は娯楽室に引っ込むことにした。
あの後の哨戒を引き継いでバルバラとともに飛行を続けたが、結局のところネウロイは姿を見せることはなかった。
骨折り損のくたびれ儲けというところか。撃墜数稼ぎは一時的に中断しているとはいえ、ネウロイを一匹でも多く減らせないのはそれなりのフラストレーションだ。
とはいえ、流石に今日の内にまた新人に当たり散らした場合、サーシャあたりに叱責される可能性が高い。
哨戒任務中のことは自分でも八つ当たりだったというのは自覚があるので、流石に繰り返すつもりは毛頭なかった。
だからこそ、管野は読書に励むことにしたのだ。
ストリボーグ艦隊が撤収してしまい、補給線が細くなった関係上、望んだ書籍を手に入れる機会が大きく減ったのは管野にとっては痛手だった。
その点、今回の新人の着任に合わせて大量の物資と共に娯楽品が届けられたのは、僥倖というほかなかった。
(いや、まあ、あいつが来てよかったというわけじゃないんだけどよ……)
ペラリと捲るのはガリア語で書かれた小説だ。
訓練生時代からガリア語を学んでいたし、このオラーシャ方面で扶桑皇国の渡欧軍の一員として活動した関係上、語学には明るかった。
それこそ、こういう文学を嗜んで、ゆっくりと休養を取ることができるくらいに。
(しかし……)
自分は娯楽室に引っ込むことができたものの、何やら他の面々は忙しげだ。
特にラルやサーシャ、ロスマンといった首脳部は、何やら難しい顔をしたまま基地内を歩き回っていた。
ただ歩くだけでなく、何やらオーカ・ニエーバの面々と話していたり、クルピンスキーとも話し込んでいるのが分かった。
盗み聞きする趣味はなかったので特に首を突っ込むことはしなかった。大方、ひかりの事であろうとは察していた。
「あれで新人、ねぇ……」
デブリーフィングでひかりの戦闘については映像などを見ることができた。
ベテランの管野から見れば大分粗削りな飛び方という印象を抱いた。
それでいて、筋が通っている。出鱈目に飛んでいるのではなく、何か手本がありそれに倣うような、そんな飛び方だった。
基本的に航空戦における動きというのは教官や教本に基礎を学び、実地で多くを学んでいくのが常套手段だ。
以前目を通したひかりの経歴によれば、佐世保航空予備学校で訓練を受けていたという。
だが、自分とて同じく訓練校を通過して実戦を重ねたウィッチだ、あの動きについてわかることはある。
(どこで学んできたんだか……)
まだ未熟で動きに荒さはあるが、それでも完成形に近づこうという意志が伝わる飛び方。
孝美のように優雅というわけではなく、自分のように獰猛とも言い難い。
まるで別の何かの動きを取り入れてアレンジしたような---
(そういや、ティル・ナ・ノーグとかいうところで訓練してきたんだよな)
そこで学んだということか?と推測する。
ウィッチの育成やらウォーザードの育成も行っているというそこなら、そういう動きも教えているのかもしれない。
6 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/10/21(土) 22:06:37 ID:softbank126036058190.bbtec.net [5/308]
ただ、付け焼刃とも思えない練度だったのが驚きだ。
繰り上げ卒業のペーペーという認識は、悔しいながらも間違っていたとしか言えない。
何しろ、瑞鶴を守るために出撃したという初陣の動きから一気に成長していたのは火を見るより明らかであるから。
(……まあ、孝美が復帰すれば元の配属先に戻るだろ)
あるいはラルをはじめとした首脳部がその実力を惜しんで引き留めるかもしれないが、オラーシャでどこまで通用するかは未知数だ、と判断した。
長らく待ち望んだ孝美とともに戦える機会は遠くないと考えれば、その間を埋める程度はできるだろうという余裕は生まれる。
だが、そんなことを考えつつも、書籍をめくっていたのだが、やはり気になる。
なんだか妙に忙しい空気が漂っていないか、と。
確かに今日は新人の着任があり、必要な物資が届いたり、あるいは戦闘があったりと多くのことが起きたのは事実。
普段からそれなりに騒がしい502JFWだが、それを差し引いても特段今日は騒がしさが上乗せされているような気がしてならない。
それなりの防音対策などをして過ごしやすくしているこの娯楽室にも伝わってくるほどだ。
「あー……今日は色々あったなあ」
そんな声とともに入室してきたのは、やや疲れた顔をしたニパだ。
「ずいぶん遅かったな」
「デブリーフィングの後にラル隊長にねー」
そういいながら、ニパは娯楽室に常備されている茶菓に手を伸ばした。
輸送が細くなった影響で、サルミアッキよりはましだが保存を優先して味が落ちた茶菓がメインだったが、今は違っていた。
何やら疲れている様子のニパには夕食前のありがたい補給となるだろう。
「何を聞かれたんだ?」
「ん?えーとね、戦闘での雁淵軍曹のことを色々と。ログを見ればわかるのに、根掘り葉掘り聞かれたよ」
おかげで疲れた、ともごもごと口の中でチョコレート菓子を咀嚼しながらぼやいた。
「なんだか書類とか記録映像とか見たりして、いろいろと話し合っていたよ」
「……あいつのことをか」
「気になる?」
その問いに、しばし迷って、管野は断言した。
「別にいいさ。孝美が復帰するまで問題なく働いてくれりゃ、それでいい」
だが、少なからず興味がわいたのも事実だった。
それほどまでに影響を及ぼすとはどういうことかと。
そして、502JFWの動きに管野もまた否応なく巻き込まれてしまうことを、未だ知らなかった。
7 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2023/10/21(土) 22:08:00 ID:softbank126036058190.bbtec.net [6/308]
以上、wiki転載はご自由に。
今はまだ遠巻きな彼女も、巻き込まれることは確定なんだよなぁ…
とりあえず、ひかりちゃんの着任とその直後はこれで一区切りとします。
ある程度原作イベントはスキップできるので、サクサクと進めたいところですね。
暫く充電したら、次のストーリーに入る予定です。
最終更新:2023年11月12日 14:24