134:陣龍:2023/11/16(木) 21:21:00 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
ゲート先列島日本世界 北海道地方
「なぁマック号ちゃん……流石に、どうしようもないぜ」
何時もの両手を後頭部にやるポーズでマックイーン号を諭すゴールドシップ号
「そうですわね……」
不肖の孫の言葉を、何も言わず受け入れるメジロマックイーン号。
「ワケワカンナイヨー」
奇声とも何とも言えない例の声で例のセリフを言うトウカイテイオー号。
「タスケテー」
「ワォン?」
「ヘルプミー」
「ワフン!」
「ニョワー……」
三者のおウマさん達の視線の先には、モフモフふわふわな幼犬なのに中学生程に大きいシベリアンハスキーが、
ゴーストウィニング号をベロベロ舐め回して甘えて遊んでいた。
「――――ッ!?」(キュピーン)
「……ふわぁ……どうしたんですかぁ、アヤベさん…こんな夜中に……」
「今、何処かで最高級のふわふわがモフられた気配が……」
「えぇ……なんですかぁ、それ……」
「いやぁー傍から見れたらおもしれー絵面だったなーマックイーン号お爺ちゃん」
「全く、この孫は……」
「あのハスキー、検査したけどただ単に大きくなっただけの犬だったからカルデアに置いて来たよ。
ゴースト号は今お風呂に入ってる」
「ありがとうございます、テイオー号。あの謎の犬は、ロシアの実験の結果でしょうか…」
「アタシはソ連時代に伝わる地雷犬の派生で、戦える巨大な軍用犬を幼犬の頃から刷り込み教育しようとしたら
突然の動員命令で教育未了のまま連れて来られて戦場で行方不明になった説を推すぜ!」
「しょーもな……でも、それが一番有り得る話だよねー…」
某トレセン学園もふもふ布団乾燥機マスターが謎に特定項目限定ニュータイプ化し掛けて同室ウマ娘に呆れられている頃。
ゲート先日本列島のおウマさん達は、落伍や撤退する部隊に置き去りにされたロシア兵(純粋な人間)の回収であったり、
同じく戦闘の混乱で落伍や行方不明となった自衛隊員、巻き込まれた一般市民の保護、その落伍や行方不明になった
ロシア兵や自衛隊員等に襲い掛かっていた様々な【怪異】を封印する作業を終了させ、一端引き上げていた。
道中保護した謎の巨大幼犬のシベリアンハスキーは大きさ以外に害は無いのでアニマルセラピー名目にカルデアに仮置きで譲渡していた。
押し付けたとも言う。
135:陣龍:2023/11/16(木) 21:24:15 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
「そう言えば聞きまして奥様?ロシアさんって未だに再侵攻諦めずにヨーロッパ・ロシアから
極東に向けて兵力集めているそうですわよ~?」
「なんですの、その言い方…。まぁ、【本来の自国領土】に踏み入ったのに全て撃退されるのみならず、
序での駄賃とばかりに北方四島も自衛隊に奪還されましたもの。大国ロシアのメンツとしては退く訳にはいきませんものね」
「今の所、コッチの世界のティ連が日本を制圧統治して幕府樹立してから直接的侵攻は一端停止してるけど、
憲法で【自国領土は何が有っても割譲しない】って明記改正しちゃったからね、こっちのロシア……」
顔から腕からベロベロ舐め尽くされてベットリなゴースト号が風呂場で全身を石鹸で洗っている中、
先輩おウマさん達はこの世界の情勢を話し合っていた。
「ゴースト号の出身世界も大概だったけどよぉ~……コッチはアタシらの世界とも別方向にファンキーと言うか何と言うかだぜ」
「色々と事情が積み重なっていて、コッチの世界のティ連も全然余裕が無いしねぇ~」
「その一方で、日本は相変わらずの様子なのは、何と言えば良いのやら……」
「……笑えば、良いと思うぜ。マックイーン号爺ちゃん」
「その無駄に精悍なキメ顔は止めて下さいまし……」
中国やロシアと武力衝突の挙句本土侵攻すら発生していると言うのに、全てを横紙破りした暗殺未遂事件と
それを無邪気に賞賛賛同した結果、ティ連を激怒させ太平洋戦争後の米軍から次いで二度目の非自国勢力による
占領と独立喪失をする事になった日本であったが、ティ連が一番警戒していた日本国民による反占領運動は、
物の数の内にも入らない左派の有象無象以外では全くと言う程に起きなかった。寧ろ直接ロシアから侵犯を受けている北の大地では、
ロシア軍に積極的に接触し殺される様な本州等から来た活動家は兎も角、北海道の住民は右派も左派も無くティ連を受け入れていたし、
尖閣諸島での衝突以後も全く言説を変えない沖縄本島の県庁等を除いた西南諸島全域は自衛隊と共に
【侵略者中国軍】を追っ払ったティ連を熱烈に歓迎していた。その他の地域に関しても、住民の多くが積極的排除に出る地域は一つも無く、
SNSやブログ上での左派知識人や著名人等はこの現状を『人の心を喪った家畜の国』等と揶揄や嘲笑、
或いは激怒し叱責する発信をして顰蹙(村八分と回状)を買った程度。つまり、ティ連による日本幕府樹立に対して、
日本国民は実質的消極的賛成か熱烈な賛同のどちらかしか返さなかった。
「でもよ~、マックイーン号爺ちゃん~。こんな戦時下で、しかも隣国から侵略を受けて、止めに宇宙の銀河文明国家に支配下に置かれたってのにさ~。
官僚とか団体とか活動家は【旧に復す】のに全力なんだぜ~。もうゴルシ号ちゃんやんなっちゃう」
「はいはい、貴方は頑張っています」
「ゴルシ号、奈良の土蜘蛛事件から北海道に沖縄まで全国飛んで走り回ってたもんねー」
「新米のゴースト号送ったら何起こるか分かんねぇんだよ~も~……アイツ自身に全く非が無くても、掃除機見たいに変な連中引っ張って来るしさ~……」
マックイーン号の膝に甘え倒してMP(メンタルポイント)を回復させるゴルシ号。日本列島の南北を文字通り飛んで回って怪異を封殺したり
余計な事を誘発させる厄介者を頭陀袋に纏めて警察署等に放り込んだりしていたおウマさん達の中でも、
一頭地を抜く東奔西走をしていたゴルシ号は、必然日本の各大都市圏や地方で理解を拒絶させる戯言を叫びながら、
日本が戦争で追い詰められている事態にある種の狂喜乱舞している【主義者】のみならず、日本政府が倒壊しティ連の支配下に入れられた事を
都合よく解釈や想像を重ね、我田引水の更なる利権構築の拡大と永久要塞化を嬉々として求めるもティ連の法制度に移管した事で
完膚なきまでに粉砕された事に怒り狂った旧来の【寄生虫】が表沙汰に引きずり出されて行ったのを目撃、確認していた。
136:陣龍:2023/11/16(木) 21:25:37 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
ティ連の経済体制が共産主義に近いと言う事や、一般的常識に則れば一国を統治するならば既存の組織を使うのが当然であり、
そして資本主義経済に【無知】であれば幾らでも増税も規制も何でもティ連の権威と共に永久化出来ると言う皮算用は、
【聖地日本】が侵犯され滅亡の危機に有ると確信していたティ連側の幕府化からのティ連法発動、並びに熱狂的で既存官僚に優越する程
優秀な【宇宙人】が圧倒的科学技術と共に雪崩れ込んで来た事で、初手すら打てずに霧散した。全ての権勢の基盤にして根拠である法律は、
即日ティ連式に全とっかえされ、連動して省庁の規制等も廃止された事に抗議の集団辞職や抗議を行えば、
辞職は一切引き止め無く即日受理され抗議もマトモに聞き入れられず【新しい上司の宇宙人】の矢継ぎ早な指示で叩き潰され、
非成文・非明文条項のこれまでの慣習や言外の規制、所謂【霞が関言葉】や【官僚言語】によるミスリードの誘発誘導、
果てはストライキもサボタージュにも成らない範疇と自認の御役所仕事による時間稼ぎすらも、文字通り桁違いの技術力を持ち、
決定的な情熱を滾らせていたティ連人には通用する筈も無く、必然税金や規制等の利権を差配する【上流】が壊滅すれば
【下流】の各種団体も芋蔓式に引き摺り倒された。それでも尚、過去の栄光と【甘い汁】を奪還しようと水面下等で
抵抗を続けるその根性は、別の意味で素晴らしい事だ。
「それで……先が見えた彼らの他に、一体何を見たのですか?」
「……【ティ連帰属・国権放棄主義】」
「……何それ?」
「SNSとかネット掲示板が震源地っぽい、若ぇ連中中核に吹き上がって野火見たいに広がってる政治主義的なヤツ。
要は【今の日本では生き残れないから国権放棄して全てティ連に支配して貰おう】って言うの」
「……はい?」
「……何それ?」
ゴルシ号が持ってきた情報に、揃って疑問符を頭上に乱立させる名優と帝王。極普通の軍務教育等を受けている、
一般的にはエリート級の知識層であるおウマさん達にとっては、軽々しい国権放棄と言う単語は理解し難いものだった。
「ゴルシ号ぉぉぉおーーー!?」
「あ、見つかったか」
「……また何かやったの?」
「いやー、ゴースト号ってば何時も服とか【着れればそれで良い】感全開の普段着なもんだからさー」
「この服なにぃぃいいーーー!?」
「あら、可愛い」
「ふっ……このゴルシ号様の目に狂いは無いぜ!」(キラーン)
「漫画的な輝き描写演出してまでサムズアップスマイルとか手が込んでるね、ホント」
何とも言えない雰囲気を切り裂いた一声の直後に転がり込んで来たのは、常に普段着は柄も何も無い無地単色のズボンと
トレーナー(服)かTシャツ、または上下スウェトと言う地味の極であったのが、ゴルシ号にコッソリすり替えられていた
ファッション誌の表紙を飾れるであろう装いになったゴースト号であった。具体的にはスカートやフリル袖等。
「何時もの服何処やったのぉぉぉおーーー!?」
「はっはっはっはっは、似合ってるから良いじゃねーか」
「良くなーーーい!」
「因みにしっかり洗いで洗濯機回してるから干す時間と併せて服が戻るのは明日以降だな!」
「ちょっとぉおーー!?」
両肩を掴んで相手をぶん回すゴースト号の追及を、どこかの優しい王様を目指す魔界の子供とそのパートナーが
主人公の漫画のに出て来るギャグモードの絵柄で躱すゴルシ号。どうにも手持ちのPVMCGで新規に作れば良いと言う発想は
浮かんでいない様子。
「ゴースト号さん。確かに普段着に関しては個人の自由では有りますが、幾ら何でも普段着が全て単色服の色違いと言うのは
流石にどうかと思いますわよ」
「いや動き易さ最重点だとアレが一番着易くて楽だし、でもこう言うスカートとかって」
「たくし上げるのは止めなさい、はしたないですわよ」
「あぅ」
マックイーン号に水を向けられてゴルシ号を放ったゴースト号が、如何にもスカートを初めて履いた人の様に
スカートを持ち上げて軽く右手を叩かれる。公式式典等では(主にゴルシ号の陰謀()により)必要に応じて軍服以外のスカートであったり
着物であったりと彩色豊かな衣装を着て出席しているが、それ以外では常々野暮ったい服装の為に、落ち着きなくせわしない。
137:陣龍:2023/11/16(木) 21:26:50 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
「……ま、コッチの事は上役になげときゃ良いか」
「それでゴルシ号、今何の話?」
「クックック……聞いて驚け見て笑え!」
「まさかさっきの犬に舐め回されていたのを写真集にしてやるぜ、とか言うんじゃ無いよね?」
「……(無言の座布団収納)」
「テイオー号君、ゴルシ号の座布団全部持って行ってー」
「ハイヨー」
「オォイ!?」
「……平和ですわ」
何処ぞの日曜夕方長寿番組の如きコントを繰り広げるおウマさん達を眺めつつ優雅に紅茶を嗜む名優は、
この後追加で巨大化モフモフ幼柴犬も発見されて抱き着かれる事を、未だ知らなかった。
神代列島日本世界 【社】
「…まぁ、そうなってもおかしくないのです」
「達観してるね、電」
「暴動や襲撃、集団暴行等が起きていないだけマシだと思うのです、響お姉ちゃん」
「違いないね」
僅かな怒気の混じった神気に吹き飛ばされてから一時間。通信先で巨大モフ幼犬に抱き着かれて舐められ
回されているマックイーン号からの連絡と報告を受けた電達は、特に大きく驚く様子も無く、
ゲート先日本に置ける新たな政治主張の存在を受け入れていた。
「国権放棄と言う、本来の常識であれば論外でしか無い事も、半世紀を超えて【日本の愛国は存在して成らない】と言う
徹底した【平和教育】で国家その物への理解を放棄させ続けた成果にしか過ぎないのです」
「『日本と言うモノが何なのか分からない』と公言した首相も居た程だしね」
「あれは……うん……なのです」
戦後教育として戦争を反省し平和主義を第一とする考えその物は良いとしても、平和を第一とする余りに思考停止・
思考拒絶で戦争に関係する全てに関わる事その物を重罪であるとする。その姿勢を教育界から知識層から、
そして報道界から徹底的に固定化し続け、元号が変わる程に時が経とうとも『戦争をする位なら滅べばいい』
『過去戦争を起こした日本人は何が有ろうと、侵略されようとも戦争をしてはならない』と日本全てへ刷り込み行動を続けていた。
当然、『愛国と言う概念も戦争に関わる』として愛国をする行為は須らく罪人、護国等もっての外、
国家国防・愛国の事を考える日本人は異常者狂人の思考であると徹底していた。その結果が、この有様な主張である。
138:陣龍:2023/11/16(木) 21:29:09 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
「ま、でも【戦前・戦中・戦後日本の亡霊】も、それに乗っかって利益や虚栄心を満たしていたのも、
『日本を亡ぼす』流れの筈が自分達ごと塵も残さずに抹消されるなんて夢にも思っていなかっただろうけどね」
「当然の帰結なのです。と言うよりも、報告を聞く限り、根本的に自らが排撃される対象になっていると
全く考えも認識もしていないのです」
「怒り狂って喚き散らしているからね。『どうしてロシアや中国では無く宇宙人共に隷属するのだ
この【地球市民の売国奴】が、戦う気概も失った【家畜の奴隷】が』、だったかな」
「仮に同じ【売国奴】だったとしても、【ティ連帰属・国権放棄主義】の方がよっぽどマシなのです……
そもそもの主張自体が誤っているとしても」
「違いないね」
響は妹の溜息を吐かんばかりの言葉に頷く。【亡霊】とその眷属の誤算は、ある種望んでいた筈の
【対外戦争による日本崩壊】と言う事態に、宇宙の彼方、そして世界の壁の先から多数の支援・増援が日本に届き、
各方面からの侵攻を完全に叩き出す事に【成功してしまっていた】。剰え、極左による現政権へのテロ攻撃による
政府機能不全に陥ると言う【望外の幸運】にも、即応した宇宙からの援軍であるティ連が
日本の幕府化統治を実行すると言う驚天動地の事態に発展。挙句の果てには、
自らが長年仕込み続けていた平和教育を【カビ所か腐敗した過去の遺物】と断じた現代を生きる若者達が、
【亡霊】とその眷属を完全に抹殺に追いやる【ティ連への完全帰属】を主張し支持がSNSを飛び出して
野火の如く少しずつ広がっていると言う、旧時代の人間にとって理解不能な状況下へ転がり続けていた。
今更中途半端に状況を認識して半狂乱になっているが、何もかも遅すぎる。
「【過去の亡霊】は兎も角、こんな無茶苦茶な主張が少しずつでも表に出て来る程なのです。
コレで【向こうの日本政治】も襟を正さないと行けないのですが」
「ゴルシ号曰く『あいつ等過去に戻る事しか頭に無いからもーやんなるぜー』…だそうだから、
望み薄だろうね」
「なのです……頭が痛くなるのです。本来電達は第三者の筈なのです…」
「今度、司令官と一日過ごそう」
「そうするのです。……こうなったら全力で参るのです……」
後に干物の如く絞りとられる()未来が確定した某提督が盛大なクシャミをした姿を頭に思い浮かべながらも、
何だか情念と熱情を滾らせ立ち昇らせている妹の姿を眺めながらに、煽って焚きつけた響は恐らく
想定の斜め上になったゲート先日本の姿に頭を悩ませる、向こうの世界のティ連に思いを馳せる。
事実上独立と言う立場を奪うも同義な幕府化と言う事態に対して、日本国民の過半が反抗や抗議、
抵抗では無く無反応や傍観するのみならず、積極的に日本国の主権をティ連に完全譲渡すると言う
意見すら飛び出て来た事に、当の【占領】したティ連の関係者は揃って驚天動地の面持ちを
隠そうともしていない状態であったが、一方その様な国民の状態を見ても、何一つ変わっていなかった、
或いは変えられようが無かったのが当の日本国の背骨と脳髄足る、官僚組織と国会議員…政治家達であった。
前者は言うに及ばず、サラリーマン官僚は兎も角、組織的には幕府化で奪われた権限の奪還が最優先で、
国民の異常な政治的主張が出て来た事等些事以下でしか無く、それ所か自己の権限奪還の為の理由付けに
利用してティ連側へ説得と言う名の脅しを真顔で掛けて怒りを買った程である。議員達についても大同小異で、
首相や大臣達を暗殺未遂事件で一時的に失った与党は幕府化と言う異常事態に
どう対応するべきか分からず混乱するばかりであり、野党側も暗殺を賞賛したり一方的に政権交代宣言した者らが
ティ連により捕殺された事も有って、正常バイアスに基づく従来的な虚無の非難の連呼か、
逃亡を図って牢獄送りにされるか、さもなくば与党議員と同じく右往左往するだけであった。
139:陣龍:2023/11/16(木) 21:31:51 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
ヂラールと言う対話不能の宇宙侵略生命体の存在、別世界で起こった核兵器と呪詛兵器を用いた第三次世界大戦、
沖縄のテロ攻撃並の暴動から万単位でティ連側に脱出した県民、全国へ生放送された怪物(土蜘蛛)による
人間の殺戮と捕食映像、そして一方的な言い掛かりで突如南北から侵略戦争を仕掛けて来られた現実と、
それを全く受け入れずに常と変わらぬ空虚な理想論の皮を被った反政府言説と根拠も証拠も無い
デマゴーグを声を大にして公言し続ける野党議員や自称知識人層派閥と、
それらが日本全ての意思だと支配的に報道を継続するメディア系に、それらの制御も掣肘も出来ずに
日本人極左のテロ攻撃で機能不全にすら陥った日本政府と与党。『熱しやすく冷めやすい』と称される日本人気質では、
否日本人でなくとも、この亡国の危機であっても全く変わろうとしない状況に失望や絶望してしまうのも、無理は無いだろう。
なんとなれば、極めて【異常】な事に、既に日本国民が自発的に行った、防衛戦争を妨害や詐称報道に徹底する
野党や左派団体、報道界への大規模抗議デモも、報道界は揃って反政府・反自衛隊・反ティ連・侵略国賛美主張のデモへと
全面すり替えで英語媒体で海外へ流した以外は国内へは完全黙殺しでデモその物を【存在しない物】とし、
野党議員はこの後に及んで反与党しか頭に無い岩盤支持層の事が第一で、左派知識人層は既存の主張に対するメンツと
日本人を見下しているプライドからこのデモ等自らに利用する材料としか見ておらず、
官僚組織に至っては【自らの職責に無関係】として眼中以前の問題で認識すらしていなかった。
寧ろ火炎瓶や手製銃、手製爆弾による21世紀の日比谷公園事件が大規模に起きていないだけ、
日本人の民度がある種高いのかも知れない。或いは、家族を失ったティ連人による野党議員への
殺害事件に対して犯人のティ連人に対して大量の減刑・無罪嘆願書名の送付や、
事件を非難する知識人へ無数の罵倒や非難が叩きつけられている事から察するに、
最早期待も希望も何もかもを完全に諦められると言う、意識の断絶寸前に陥っているのかも知れないが。
「……しかし電。ティアマト様の没入、少し時間が掛かっていると思わないかい?」
「……うーん……確かに人一人相手なのですが、ティアマト様に少し話を伺ったら【心を傷付けない為】に
時間掛かってしまうとの事なのです」
「『飯崎鈴夏』さんは特異例の素養が有る人だから、かな?」
「……素養とか才能とか魂の輝きとか、そっち方面の【力】に関しては何の問題も無いのです」
「……結構、警戒していなかったかい?核兵器に準えられた噂話も聞いた記憶が有るよ」
「大前提なのですが、向こうの世界なら兎も角、神気に満ち満ちて、尚且つ神代の武人が多数存在している此方側に
来ているのならば問題無いのです。結局は、何処まで行っても一般の方なので、ティアマト様の心情や電達の存在理由を無視すれば、
仮に全ての前提条件を無視して【爆発】したとしても掠り傷以上に成らない上に、ほぼ被害無しで【処理】出来るのです」
「理屈上は出来る事だとしても、やる気は無いけどね」
「なのです」
暗殺未遂事件での昏睡から回復して意識を取り戻した途端、ティ連による日本国の幕府化と言う爆弾情報に加えて、
政界、官界、そして左派主体の知識人層と日本全体の国民意識や信頼関係が断絶寸前にまで陥っていると言う事態に
また卒倒から意識不明になりかけた、ゲート先日本の首相とその側近の悲鳴を他所に、
電と響は長時間【社】から出て来ない神様と別世界の日本人に意識を戻す。
「だとすると、あの人には一体何が憑りついて居るんだろうね。電が以前言っていた、相当危険な【怪異】も、
迷いなくポテトチップスの袋と中身で殴り倒して除霊する様な【一般人】なのと何か関係が有ったりするのかな?」
「それは…多分関係無いのです。殴り倒して除霊したのは色々とおかしな所テンコ盛りですが、
それとは別件だと思うのです」
「じゃあ……あの人の奥底に、【何】が居るんだろう」
「……」
会話が途切れ、【社】を見つめる駆逐艦娘姉妹。直接殴打と言う吹き出た力を一身に受けたシンザン号と
セントライト号でも疑念混じりの感触しか得られず、神格に坐するティアマトですらも、
直接【内側の奥底】にまで入り込んでようやく完全な確信を得た【何か】。
「取り合えず、碌なモノじゃ無いと思うのです」
「Я согласен(そうだね)、ティアマト様が怒気を発するなんて相当だから」
後に真相を知って『何時までひと様に迷惑掛け通すんですかアレはぁぁーー!?』と咆哮する姉妹であった。
140:陣龍:2023/11/16(木) 21:35:53 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
―――― 深層世界 【心核】
透き通るような、そして全てを吸い寄せるが如き色彩の【黒】の中。宇宙の様に瞬く星は無く、
だが不思議と恐怖を感じさせない、清水の様に澄み切った【黒】。
「……何時までも、変わらぬ有様と」
その矛盾した清純な世界の中から、全く不釣り合いな異物。神代列島日本世界が、
神代に強制回帰させられる原因となった幾多の異形と怪物を【模した粗製な偽物】が次々湧き出で、
一点に向けて歩みを続けるティアマトへ襲い掛かるも、一顧だにもせぬ彼女に触れる事すら
許されずたちどころに霧散し続けていた。
「……全ての【元凶】では無い、その焼き付いた凶行の残滓、そのまた剥離した欠片。
【アヤツ】が遠因であっても原因では無いとは言え、世界を越えてまで、
無関係な他者に負の道へまたもや引き摺り込むか」
僅かに灯となった怒気を、言葉にして現状を認識する事で抑えるティアマト。彼女の中に、
彼女が全く認識していない形で潜り込み、そして初代と二代目三冠馬にその尻尾を掴まれるまで
誰にも悟られて居なかった【何か】。
「……これもまた、行き着いた人の業の果てと言うのなら……何故、この者に取り付く【偶然】となったのか」
宇宙がもう一つ、この場で誕生する方が未だ高そうな確率の偶然で『飯崎鈴夏』の精神の核に
【這入り込んだ何か】の正体。それは、神代列島日本世界の洋の東西の大国を異形、怪物、怪異の巣窟へ変貌させ、
周辺国も巻き込む壊滅的被害を齎し呵々大笑の大笑いをしていた主犯の【アヤツ】……その者が扇動し、
【チカラ】も多少なりとも譲り用いた事で、自ら嬉々として人外に堕ちて拡大した【元人類達】無数の凶行。
その悲劇と凶行にて強烈に焼き付いた大地の、空間の、人の記憶の、それら悪夢の【チカラの記憶】。
通常は抜け落ちた髪の毛の如く再生も復帰も不可能な程度の残骸で、尚且つ徹底して跡形すら残さずに
一掃していた筈の残滓。それが何の因果か、世界の壁を越えて紛れ込み、【彼女】の奥底に這入り込んだ。
目を皿の如くにして探し尽くしても見つからぬ、そして通常であればまかり間違って人の中に這入り込んだとしても、
余りにも微弱にして脆弱過ぎる為にすぐさま立ちどころに跡形も無く消え去ってしまう様な、その程度の欠片。
「コレに、最早意思等と言う上等な物は無し。ともなれば、彼の者と無意識に引き寄せ合ったのか、それともどちらかが引き摺り込んだのか」
炉端の石より尚危険性の無い筈のその【欠片】は、一体何の因果か、紛れ込んだ世界の先で、
数年足らずで立て続けに母と父を理不尽に失い、ひび割れ砕け散る寸前だった『飯崎鈴夏』の心の奥底にスルリと潜り込み、
深層心理の更なる奥底の核…【心核】と言える様な領域に落ち這入り、溶け込んだ。
そして本来人が持つ【抗体】にて排除される筈のソレは、【心核】の内側に滑り込んだ事と、
『飯崎鈴夏』個人が一種の上級霊魂とも言えるかも知れない、突然変異体的な各種の素養を持っており、
その素養を【栄養】として取り入れだした事で、年単位の時間を掛けて【欠片】は意識等無き厄災のまま不幸・負債を引き起こし、
厄災を引き摺り起こす原核に成長を始めた。ティアマトに迫っては消え去る【影】は、
焼き付けられた【悪夢の記憶】を機械的に欠片が再生しているのである。
「……いざや、いざ」
唐突に足を止めたティアマト。その視線の先には、【津波で全てが消え去ったあの日の大地】の上に、
無数の墓標の如く林立する【燃え盛る家屋】と【破壊された戦車や航空機の残骸】。
そして【声なき狂声を上げるヒトガタ】が蠢いていた。全てが強制的に塗り替えられた二つの悪夢の、
本来全く無関係な存在同士が折り重う、最低最悪な嫌味ったらしいデコレーションケーキである。
141:陣龍:2023/11/16(木) 21:37:10 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
「……見えました」
既に先程の純粋な黒は消え失せ、深い極まりない泥濘の雰囲気にすり替わり、そして水も漏らさぬ包囲で
無数の兵器や兵士、そして怪異と化して襲ってくる【欠片】の使徒も、根本的に存在位階その物が桁違いの
ティアマトに通ずる筈も無く、次々と触れる以前に近寄る段階で消え失せ続けていた。
寄生している形の『飯崎鈴夏』のチカラでもそもそもティアマトどころか艦娘相手でも抵抗以前の問題であると言うのに、
そのチカラを無断で使用し生き長らえ、そして過去の力を少しずつ復帰させようとし始めるか否かの【欠片】では
話にも成らないのだが、その様な理屈や理性等無い一種の獣か機械的原理でしか動けない【欠片】は、
全く無意味な抵抗を繰り返すだけであった。
「……この哀れな、汚らわしき不幸の源よ」
様々な妨害も全く無意味に【欠片】に辿り着いたティアマト。『飯崎鈴夏』の根源を人知れず吸い取り成長し、
ほんの僅かな鼓動すら見せ始めた【異物】を見据えた視線は、以前暴言を羅列した
何処ぞの野党議員達等に対する物よりも、ましてや先の子守唄を歌った時等とは比べ物にならない程に冷たく、
そして決して逃さぬ決意と共に。
「……去ね、この世の全てから」
一切の躊躇も、一瞬の躊躇いも無く、完全に存在していた痕跡全てを【今度こそ】抹消した。
「……ん……」
「気づきましたか、『鈴夏』」
「……ティア……マト……様」
【欠片】の完全排除から暫く経ち。深い眠りから微睡の海に戻った『飯崎鈴夏』は、慈愛の女神そのままの慈しむ
微笑みのティアマトを、ぼやけた視界に捉えていた。
「大丈夫です……【終わりました】……何もかも」
「……はい」
理解しているのか、それとも反射的に答えているだけなのか。膝枕されたまま見上げる『飯崎鈴夏』の眼は、
未だに開く気配は無い。
「おやすみなさい、『鈴夏』。……もう一度、【本当の夢】を」
女神の一撫でと共に再び寝息を始めた【子供】に向けて、もう一つの子守歌を始めるティアマト。幾年も心の牢獄に捕らわれ、
無実の囚人として自らにも分からず藻掻き、足掻き、苦しみ続けていた【悪夢の日々】は、ようやく終わりの日を迎えた。
142:陣龍:2023/11/16(木) 21:42:19 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) 以上、『飯崎鈴夏』に巣食った【アレ】の排除模様とその他関連のゲート先日本の日本人でした()
|д゚) 一応、【ティ連帰属・国権放棄主義】なる過激な政治主張は余りにも人心不安を暴発させる無数の事象に対する防御反応でもあるので、
諸々安定すれば自然と冷静になって鎮火する程度の存在では有りますが、逆に言えば駄目クソ模様が無変化だったら……
|д゚) まぁ頑張るのだ向こうの某首相の同位体先生、ある意味これまでの負債がマイナスエネルギーとして爆発しただけだから
後か今かの違いなだけさね(適当)
最終更新:2023年11月18日 18:20