59:194:2023/11/12(日) 19:35:30 HOST:KD106154149046.au-net.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その32


大歓声が響き渡るロンシャン競馬場・UMA専用コース。
一頭のUMAが、息も絶え絶えな老齢UMA目掛けて必死の追い上げを見せている。
在りし日の、カナリハヤイネンとブリッツカイザーだった。


「ブリッツカイザーとレインボーロードが迫る!!リードは僅かにハナ差!!漢の夢は、ここで終わってしまうのか!!」

ブリッツ(カナリハヤイネン・・・)

ブリッツ(貴様は・・・本当に強かった。時代を築く英雄・・・それに相応しい漢だった・・・)

ブリッツ(だが・・・それもここまでだ。新しい時代を作るのは、老いた者では無い。ここで・・・貴様に引導を渡す!!)


追い抜けるのを確信し、最後のスパートをかけるブリッツカイザー。
だが・・・カナリハヤイネンがこの土壇場で、更なる加速。ブリッツ達を追い抜かせない。


「・・・いや、終わらない!!夢は終わらない!!カナリハヤイネン粘る!!」

ブリッツ(なん・・・だと・・・・・!?)

「夢を終わらせる事が出来るのは自分ただ一人!!そう叫ばんばかりの信じられない粘りを見せている!!」

ブリッツ(馬鹿な・・・!?どこに・・・どこにそんな力が・・・残っていたというのだ・・・・・!?)

「あと100!!」

「カナリハヤイネンが征く!!ハナも!!夢も!!絶対に譲らない!!」

ブリッツ(クッ・・・!!動け・・・!!動いてくれ!!・・・・・余の脚よ!!奴は・・・・すぐそこ、ハナ差の所に居るんだ・・・・・・・!!)


必死に力を入れようとするブリッツだったが・・・・・・・・・・
全てのスタミナと脚の筋肉を消耗し尽くしていた今のブリッツカイザーに、最早カナリハヤイネンを追い抜く力は残されていなかった。


「ブリッツカイザー等が懸命に追う!!ブリッツカイザーとレインボーロードが追う!!しかし!!」

ブリッツ(・・・・・負け・・・・・る?・・・・・余が、・・・・・・・ドイツの誇り、常勝不敗の英雄と称されてきた余が・・・・・ここで・・・・・負けると・・・・・いうのか・・・・・・・!?)

「これが!!漢の!!大逃げだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

「カナリハヤイネェェェェェェェェェェェェェェェェン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

60:194:2023/11/12(日) 19:36:01 HOST:KD106154149046.au-net.ne.jp
ブリッツ「・・・・・ハッ!!」


息を荒げながら飛び起きるブリッツ。場所はトレセン学園の寮の自室。ロンシャン競馬場ではなかった。


ブリッツ「・・・・・また、あの時の夢・・・・・か」


あの日以来、何度も見て来た夢。
二度とリベンジが果たせないという事も有って、前世のブリッツをずっと苛んでいたその夢を見て、全身が汗でぐっしょりとなっている状態だ。
と、横から呻き声と共にレインボーが起き上がる。彼女もまた、同じ様な夢を見ていた様だった。


レインボー「・・・・ハァ、・・・ハァ。・・・ブリッツ?」

ブリッツ「・・・すまぬ、起こしてしまったか?」

レインボー「・・・いえ」

ブリッツ「・・・そうか。レインボー・・・・・貴様も、あの夢・・・・・凱旋門賞・UMA部門の夢を見ていたのか?」


ブリッツの問いに無言で頷くレインボー。
宝塚記念での出走が決まり、念願のリベンジマッチが現実となってからは、毎日の様にその夢にうなされている。
かなりのトラウマになっている様だった。


ブリッツ「・・・レインボーよ」

レインボー「・・・何?」

ブリッツ「今日の宝塚記念・・・絶対にカナに勝つぞ」

レインボー「・・・ええ」


互いの顔を見ながら、そう誓う二人。
決戦の時は、間もなく訪れようとしていた。

61:194:2023/11/12(日) 19:36:34 HOST:KD106154149046.au-net.ne.jp
六月下旬

その日の天気は、生憎の小雨模様。バ場は勿論重バ場な状態。
今回の出走ウマ娘達だが、以下の様になっている。

1枠①オオアリアルファ
  ②ダンゴムシガンマ
2枠③カナリハヤイネン
  ④オオグモベータ
3枠⑤コスモノーツグレイ
  ⑥カエルナコロニスト
4枠⑦ブリッツカイザー
  ⑧タッドポウル
5枠⑨レインボーロード
  ⑩テレポーションエス
6枠⑪テレポアンカー
  ⑫オオハチ
7枠⑬プライマルアルファ
  ⑭プライマルベータ
8枠⑮アオイサイレン
  ⑯アカイグラウコス
9枠⑰タコナクルール
  ⑱イカナクラーケン

18人フルゲートでの出走である。悪天候ながら、阪神競バ場は熱気に包まれており、出走を今か今かと待ち侘びていた。


赤坂「小雨降りしきる、ここ阪神競バ場。しかし、会場はその天気に負けない熱気に包まれております」

赤坂「今回の宝塚記念ですが、何時もとは違うレースと言った状態です」

赤坂「何故か?それは、20XX年に開催された『凱旋門賞・UMA部門』にて、前世のカナリハヤイネンと死闘を繰り広げた『欧州の二大巨頭』」

赤坂「ドイツ・ブリッツカイザーとイギリス・レインボーロードが、トリプルターボやカナリハヤイネンと同様に、前世の記憶を持ったままウマ娘に転生」

赤坂「かつての戦いのリベンジマッチを挑むべく、日本へと移籍してきたのは皆さんもご存じの事と思いますが、今日この日、遂にそのリベンジマッチが行われようとしているからです」

赤坂「因縁の対決を見届けようと、日本各地は元よりティ連の競馬及びウマ娘ファン達がこの阪神競バ場へと訪れ、満員御礼の状態です」

赤坂「しかもそれだけではございません。ドイツのエルンスト・シュタイナー騎手とイギリスのジョージ・バーグ騎手も、かつての愛馬(UMA)のリベンジマッチを聞きつけて、応援に駆けつけております」

赤坂「果たして今回の宝塚記念、一体どのようなレースとなるのか。ここに居る全員が、レースが始まるのを今か今かと待ち侘びている状態です」

赤坂「実況は私、赤坂。解説は細井 澄子さんです。よろしくお願いします」

細井「よろしくお願いします」

赤坂「細井さん、今回のレースですが、どうご覧になられますか?」

細井「そうですね。やはり何といっても、カナリハヤイネンとブリッツカイザー・レインボーロードのリベンジマッチでしょう」

細井「前世で遂に返せなかった借りを、この戦いで、返せるのかもしれないのです。気合の入り様が違います」

細井「恐らく終盤辺りで、意地と意地をぶつけあう死闘が展開されると思います」

細井「勿論他のウマ娘達も、その間隙を突く事が出来れば勝算はあるかと思います。どちらにせよ、中盤から終盤にかけてがレースの見所になると思います」

赤坂「ありがとうございます」

62:194:2023/11/12(日) 19:37:05 HOST:KD106154149046.au-net.ne.jp
各ウマ娘達がゲートインを待つ中、ブリッツとレインボーがカナに言葉を掛ける。


ブリッツ「・・・遂にこの日が来たな、カナよ」

カナ「・・・せやな。まさか前世の因縁が、こんな形で実現するとはのぉ」

ブリッツ「クックック、違いないな。・・・あの日、貴様に負けたあの日から・・・ずっと、ずっとこの日を待ち望んでいた」

ブリッツ「あの日の屈辱、今回の戦いで必ず返して見せる。見ていろ」

レインボー「ちょっと、私の事も忘れないで。借りが有るのは私も同じ、二人には絶対に負けないから」

カナ「・・・言うとれ。ウチも老いた状態や無い。対等な条件(年齢的な意味で)で誰が強いか、白黒つけようやないか」


そう言葉を交わし、それぞれのゲートへと向かう三人。最早言葉は不要だった。
一方で・・・観客席のカノープスメンバー達は、何とも複雑そうな顔をしていた。


ビーフ「・・・むー、三人の内の誰を応援すればいいか迷うっすよ」

ニンスナ『同じチームメイト同士でござるからな』

トリー「・・・まぁその辺りは、本人達も納得の上なんだから、私達がとやかく言えないよ」

イクノ「ですね。ブリッツとレインボーの二人にとって、今後を考えると越えなければいけない壁の一つです。遅かれ早かれ、対決は避けられないかと」

南坂「いずれにせよ、三人が無事に戻ってくる事とGⅠ制覇を成し遂げる事が肝要です。精一杯応援しましょう」


南坂の言葉に、チームメンバー達も頷く。
そうこうしている内に、間もなくゲートインが完了しようとしていた。


赤坂「最後に残っていたアカイグラウコスがゲートイン。各ウマ娘、態勢が整いました」


ガッチャン


赤坂「スタートしました。出遅れは無し、快調な滑り出しとなりました」


三人の転生者達による因縁の戦いが、遂に始まった。

63:194:2023/11/12(日) 19:37:36 HOST:KD106154149046.au-net.ne.jp
オマケ・『凱旋門賞・UMA部門』における雑学なアレコレ

カナリハヤイネンの馬主さんの様子

レース前
送り出してくれたファン達や遠征に関する様々な諸手続きを手伝ってくれたヒノデハヤマガタの馬主さんに感謝しつつ、とにかくカナリハヤイネンが無事に走り抜けてくれる事だけを祈っていた。
勝てるかどうかに関しては、流石に苦し過ぎると認識はしていたらしい。

レース後
愛馬(UMA)の無事と奇跡の勝利に、拳を握りしめたまま唯々静かに男泣き。
そんな彼を、同じく涙を浮かべたヒノデハヤマガタの馬主が

「よかったな」

と、肩を叩きながら祝福していた。

地元・大阪と新大阪競馬場(超大陸化で生えてきた競馬場)の様子

レース前
この日はレースは無く、各種催し物が行われており、そのイベントの一つとして「カナリハヤイネンのラストランを見届けよう」というイベントが有り、
レースの中継映像(アオヤマバクシンオーバージョン)が、ティ連製超大型モニターに流される事に。
馬券の販売も行われていたが、世間一般では一種の思い出出走と捉えられており、思い出馬券こそ買いはしても、流石にカナリハヤイネンが勝利するとは誰も考えておらず、
本気で賭ける人は皆無。因みに日本での馬券の売り上げだが、同じ日本のヒノデハヤマガタや欧州の二大巨頭の馬券が数多く買われたらしい。

レース後
祝福の紙吹雪()が舞う中、カナリハヤイネン奇跡の勝利に全ての観客達が涙を流しながら大きな拍手と歓声を送り、鞍上の高橋 壮太騎手のインタビューが始まるまでの間、
オグリコールならぬカナリコールが何度も何度も響き渡っていた。
もう一つ言うと、大阪の各駅前で号外が配られ、その日の酒の売り上げが通常時の33.4倍という高い数字を叩き出している。
なお払戻金は、単勝で330400円だった。

64:194:2023/11/12(日) 19:38:32 HOST:KD106154149046.au-net.ne.jp
以上です。因縁の宝塚記念、その前日譚と相成りました。レースの結果は次回に持ち越しですorz
果たしてブリッツ達がリベンジを果たすのか、それともカナが再び返り討ちにするのか。その辺も含めて、次回を楽しみにしていただけたらと。
そしてオマケで、馬主さんと地元・大阪における凱旋門賞・UMA部門のレース前とレース後の様子をお送りする事に。蛇足になって無ければいいけど(ヲイ)
でもまぁ、実際に目の前でこの勝利の様子を見せられたら、誰だって脳を焼かれてしまうかと(マテ)
そんなですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。それでは、また次回。
wiki掲載は、自由です。

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最終更新:2023年12月06日 20:00