83:194:2023/11/15(水) 18:30:33 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その33
赤坂「まず先頭に飛び出したのは、やはりカナリハヤイネン。後続を大きく引き離すべく、グイグイ加速していきます」
赤坂「その差は早くも六バ身程。心臓破りの坂を超えて第1コーナーへと向かいます」
赤坂「二番手以降ですが、先頭集団はオオハチ・タッドポウル・テレポーションエス・ダンゴムシガンマ」
赤坂「二バ身離れてアオイサイレン・アカイグラウコス・イカナクラーケン・オオアリアルファ、やや離れてコスモノーツグレイ・カエルナコロニスト・ブリッツカイザーとレインボーロードはここ」
赤坂「更に一バ身離れてオオグモベータ・タコナクルール・プライマルアルファ・プライマルベータ・テレポアンカーの順となっています」
観客達の予想通り、カナリハヤイネンが先頭・大逃げで飛び出し、他のウマ娘達がそれを追跡する形となった。
注目株のブリッツカイザーとレインボーロードは、中段の集団後方の位置に遷移し、機を伺う。
順位が変わる事無く第1コーナーを抜けて第2コーナー、そして向こう正面の直線へと移行していく。
みなみ「カナちゃんは予定通りに大逃げに移行。ここまでは理想通りの展開だな」
ますお「どうした急に?」
みなみ「阪神競バ場のジンクスは知っているか?」
ますお「・・・えーと、確か『先行ウマ娘が勝つ』だっけ?」
みなみ「ああ。そのジンクスが正しいなら、カナちゃんが勝つ。だが・・・」
ますお「何だ?」
みなみ「悪天候続きでバ場は重バ場。それが予想以上にスタミナを削り取る。対して、欧州出身のブリッツカイザーとレインボーロードは、こういう重バ場に強い」
みなみ「GⅡやGⅢでの、あの二人の凄まじい追い込みは見た事有るだろ?展開次第では万が一も有り得るぞ」
キタサン「カナちゃんが勝ちます!」
ダイヤ「そうです!きっと逃げ切ります!」
みなみ&ますお「「ご、ごめん!!」」
何時も通りの光景である(ヲイ)
84:194:2023/11/15(水) 18:31:04 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
さて、カナとブリッツ・そしてレインボーは何を考えていたのか。
カナ(・・・グズグズな天気のせいで、踏み込みがし辛いのぉ。まぁ、予想はしとったが。そして何より・・・)
後ろから虎視眈々とチャンスを伺うブリッツとレインボー。二人のオーラを背中ではっきりと感じ取る。
カナ(あの二人・・・あの時よりも、更に強おなっとる。最後まで気ぃ抜けへんで!)
あの時の借りを返す、その一念で挑みかかる二人のオーラも有って、予想以上にスタミナを消耗するカナ。
一方のブリッツとレインボーは・・・
ブリッツ(流石はカナだ。同じ年齢だと、その強さをよりはっきりと感じ取れる・・・)
ブリッツ(だが・・・余もあの時とは違う!最初から貴様を倒すべきライバルと認識し、この日の為に自らを鍛え続けてきた!)
レインボー(カナもブリッツも、あの時より更に進歩している。流石といった所ね)
レインボー(でも・・・それは私も同じ!この日の為に、自らを鍛え続けてきた!)
ブリッツ&レインボー
中間地点1200mの地点で、南坂がタイマーを止める。タイムは・・・
南坂「・・・1分5秒21。ややハイペース、といった所でしょうか」
トリー「今の所は、カナがレースを引っ張っている展開だけど・・・」
マチタン「問題は、最終コーナーから最後の直線辺り、だね」
スラテン「ブリッツちゃんやレインボーちゃんも、その辺りで仕掛けて来るだろうから・・・」
ニンスナ『鍵は・・・心臓破りの坂、でござろうな』
85:194:2023/11/15(水) 18:31:34 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
チームメンバー達が見守る中、レースは最終コーナーを抜けて最後の直線へ。最終局面へと移行する。
ラストスパートのタイミングを見計らっていたブリッツとレインボーが、このタイミングで仕掛けた。
強く深くターフを踏み込み、全ての力を解放する。
赤坂「ブリッツカイザーとレインボーロードがここで仕掛けて来た!物凄いスピードで追い上げて来る!」
赤坂「カナリハヤイネンも呼応して、最後のスパート!追撃を振り切ろうと懸命の逃げを見せる!」
赤坂「差がジリジリと縮まって来る!心臓破りの坂で三者が並んだ!」
最後の攻防に観客達もヒートアップ。大きな歓声が競バ場に響き渡る。かつての相棒だった騎手二人も、懸命に声を上げる。
エルンスト&ジョージ「「勝て!!ブリッツカイザー(レインボーロード)!!」」
三者共に一歩も引かない戦い。そんな中で、ブリッツとレインボーは勝利への執念を更に燃やしていた。
ブリッツ(今際の際・・・余は、居るかどうかも分からない競馬の神とやらに願った・・・)
ブリッツ(『もう一度、奴と再会したい。そして・・・同じ条件で、今度は打ち勝ちたい』と・・・)
レインボー(あの日・・・私は願った。『もう一度、カナリハヤイネンに再会したい。そして、あの日の屈辱を返したい』と・・・)
ブリッツ&レインボー
ブリッツ(だから・・・)
レインボー(だから・・・)
ブリッツ&レインボー
赤坂「三者一歩も譲らない!完全に横並び状態!そのまま三者揃ってゴー―――ル!!」
赤坂「ほぼほぼ差が無い状態でのゴール!写真判定となります!」
ターボ「よっしゃー!1位から3位を独占!3人ともよく頑張ったぞ!」
86:194:2023/11/15(水) 18:32:04 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
三者揃って速度を落とし、やがて立ち止まる。
息を整えながら、互いに声を掛ける三人。
カナ「・・・フゥ・・・ハァ・・・・・ったく、相変わらずの化け物ぶりやな」
ブリッツ「・・・フゥ・・・ハァ・・・・・当然だ。今日という今日こそ、貴様を倒すと誓ったのだからな・・・」
レインボー「・・・ハァ・・・フゥ・・・・・何れにせよ、誰が勝っても恨みっこ無しよ・・・」
カナ「おう・・・。さて、結果は・・・・・?」
掲示板を見るが、中々着順が発表されない。かなりの接戦故に、確定に時間が掛かっている。
もしかして3人同着なのか?そう思われたその時、遂に着順が表示された。
Ⅰ ⑦
>2㎜
Ⅱ ⑨
>1㎜
Ⅲ ③
勝ったのは、ブリッツカイザーだった。1位から3位までの差がミリ単位しかなかったが為に、ここまで時間が掛かった様だった。
掲示板の結果に、三者がそれぞれの反応を示す。
ブリッツ「・・・・・!!・・・・・・・・・・!!・・・・・・・おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
ブリッツが咆哮を上げる。前世から願ってやまなかったリベンジ、それを遂に果たしたのだ。
前世で自身の背中を預けたただ一人の相棒・エルンスト騎手も、かつての相棒の勝利にただただ無言で涙を流している。
87:194:2023/11/15(水) 18:32:34 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
レインボーは、やや複雑な表情をしていた。確かにカナにリベンジを果たした。だが・・・レースそのものには勝つ事が出来なかった。
自身の相棒であったジョージの下へと向かうレインボー。すまなそうな表情で語りかける。
レインボー「・・・ゴメンナサイ。カナには勝利出来たけど・・・レースには勝てなかったわ」
そう語るレインボー。そんな彼女の肩に手を置き、彼女を労うジョージ騎手。
ジョージ「いや、君はよく頑張った。二度とリベンジを果たせないと、以前は諦めていた」
ジョージ「だが・・・今日、君は見事にリベンジを果たしてくれた。君と同様、心のしこりが取れた気分だ。有難う、相棒」
涙を浮かべながらそう語る嘗ての相棒に、レインボーはただ微笑みを浮かべるだけだった。
そしてカナはというと・・・有馬記念でグラスに判定負けしたスぺ同様に、開いた口が塞がらない状態だった。
決して手は抜いていなかった。死力を絞り尽くした。だが、僅差で負けてしまった。
一度は勝利した相手という慢心も有ったのかもしれない。日本ダービーの敗北が未だに尾を引いていたのかもしれない。
だが、何をどう言おうと負けた事には変わりはない。なので、今回は素直に二人を称賛する。
カナ「・・・かぁーーーー!まさか僅差で負けるとはのぉ。今回は素直に称賛するわ。ええ追い込みやった」
ブリッツ「・・・カナ」
カナ「・・・せやが、今回だけや。次は絶対に負かしたるからの!」
レインボー「・・・こっちも負けないわ。今度は1位を取って見せる!」
こうして、因縁の宝塚記念は幕を閉じた・・・・・のだが。
ブリッツにある異変がこの後起きる事に、誰も気付いてはいなかったのだった。
88:194:2023/11/15(水) 18:33:04 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
以上です。宝塚記念の対決は、僅差でブリッツに軍配が上がりました。
かつて敗北し、二度と果たせないと諦めていたリベンジ。それがこの日、遂に果たされました。
両者の前世の相棒でもある騎手の二人も、かつての相棒の勝利に涙を流しています。
そしてカナは、残念ながら3着。スぺと同じ変顔を晒しております(ヲイ)
さて次回ですが、ブリッツにある異変が起こります。
先に言っておきますと、怪我とか病気とかでは有りません。もっと別の物です。その辺については、次回描写いたしますので、お楽しみに。
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最終更新:2023年11月18日 18:36