97:194:2023/11/15(水) 23:25:31 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その34


ブリッツ「・・・・・・・・・・」


宝塚記念の翌日、朝からブリッツの様子がおかしくなっていた。
何時もの自信満々且つ不敵な雰囲気はどこにも無く、唯々ポーっとしている状態。
今はカノープスの部室に居るが、朝から全く様子が変わっていない。


レインボー「・・・ブリッツ」


レインボーがブリッツに話しかけるが、全く反応が無い。心ここに有らずな有様だ。


レインボー「ブリッツ!!」

ブリッツ「・・・・・?・・・・・一体どうした?レインボー・・・」

レインボー「それはこっちのセリフよ。朝からどうしたの?そんな気の抜けた状態は?」

ブリッツ「・・・・・何でも無い。余は何時も通りだ・・・」

レインボー「・・・どこが何時も通りだというのよ!?」

98:194:2023/11/15(水) 23:26:04 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
理由を探ろうにもこんな調子であり、全く要領を得ない。レインボーもだんだんとイライラを募らせている。
そこに、他のメンバー達が部室に入ってきた。


カナ「おう、お疲れさん。・・・・・何やどないしたんや?怒鳴り声が外にも聞こえてきたで?」

レインボー「ああ、カナ。今朝からブリッツの様子が・・・」


レインボーの言葉を聞き、ブリッツに目を向けるメンバー達。
まるで別人な有様に、一同が驚きの声を上げる。


トリー「・・・え、えーと・・・一体どうしちゃったの?ブリッツは?」

レインボー「・・・今朝からずっと、この調子なのよ。朝食時にコーヒーを零すし、授業中もぼーっとしっぱなし。出席簿の背表紙で叩かれても、まるで反応なし」

レインボー「何が原因なのか聞こうとしているけど、『何でも無い』『何時も通り』の1点張りで、まるで要領を得ないのよ・・・」

カナ「成程のぉ。おい、ブリッツ。一体どないしたんや?」

ブリッツ「・・・カナか。いや、何でも無いんだ・・・」

カナ「そんな訳ないやろ。どう考えてもおかしいで、今のブリッツは」

ブリッツ「・・・・・」

カナ「おのれがそんな有様やと、負けたウチまで情けなくなってしまうやろ。一体何が有ったんや?怒らんから言ってみ?」

99:194:2023/11/15(水) 23:26:34 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
カナの言葉に、漸くその重い口を開くブリッツ。


ブリッツ「カナ・・・。あの日、貴様に負けて以来・・・その事が、ずっと・・・ずっと、心のしこりとして残っていた・・・・・」

ブリッツ「あの戦いを最後に、貴様は引退した・・・・・。二度とリベンジは果たせない、その事が・・・悔しくて仕方がなかった・・・」

ブリッツ「だから、前世の今際の際・・・・・余は・・・存在するかどうかも分からない、『競馬の神』とやらに祈った・・・」

ブリッツ「『もう一度、奴と再会したい。そして・・・同じ条件で、今度は打ち勝ちたい』とな・・・。些か斜め上な形だが・・・貴様との再会は叶える事が出来た・・・」

カナ「・・・・・」

ブリッツ「そして・・・先日の宝塚記念・・・。全ての力を使って戦い、そして・・・貴様に勝った。・・・・・『勝ってしまった』んだ・・・・・」

カナ「ブリッツ・・・・・」

ブリッツ「・・・ずっとずっと、叶えたかった夢・・・・・。それが叶ってしまったんだと・・・・・はっきりと自覚してしまって・・・・・」

ブリッツ「・・・・・気が・・・・・・・・・・抜けてしまったのだ・・・・・・・・・・」


寂しそうな表情で、そう語るブリッツ。
今の彼女の偽りの無い心境の吐露に、メンバー達もかなり戸惑っている。


ネイチャ「あー、これって・・・」

イクノ「・・・典型的な燃え尽き症候群、という奴ですね」

マチタン「で、でもどうするの?流石に放置はマズいんじゃ?」

ニンスナ『・・・そうは言っても、これはかなり難しい問題でござるよ』

スラテン「・・・叱咤激励は、却って逆効果になり兼ねないですよね」

ターボ「うーーーーーん。・・・・・そうだ!」

ビーフ「何かいいアイデアでも思い付いたっすか?」

ターボ「カナに変わる新たなライバルを用意するとかは?」

100:194:2023/11/15(水) 23:27:05 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
余りにも短絡的な意見に、メンバー達もズッコケる。


ネイチャ「・・・もう、そんなので治るとでも思ってんの?」

ターボ「えー!?いいアイデアだと思うんだけど?」

マチタン「そんなウマ娘が、そうホイホイ出てくる訳無いじゃん」

ターボ「むーーーー・・・、ねぇ、トレーナー」

南坂「え!?な、何ですか?」


いきなり話を振られて、驚くトレーナー。
それに構う事無く、ターボは南坂に問いかける。


ターボ「ねぇねぇ、何処かにトリーやゴースト以外に強いウマ娘って居ないの?居たら教えてよ!」

南坂「居ないのって言われても・・・・・」


居ないと答えようとした南坂だったが・・・ふと、トレーナー達の間で話題に上っていたウマ娘の事を思い出す。


南坂「・・・ターボさんのいう様なウマ娘かどうかは、分かりませんが」

ターボ「え!?もしかして、本当に凄いウマ娘が居るの!?」

南坂「『ここ最近、急激に力を伸ばしているウマ娘が居るという話が、トレーナー達の間で上がっている』というお話ですが・・・」

ビーフ「へぇー、そんなウマ娘が居るんすか?で、一体誰っすか?」

南坂「・・・『ナンガデッキョンナ』さんですね」

カナ「は!?あいつがか!?」



101:194:2023/11/15(水) 23:27:38 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
予想もしていなかった名前に、カナが驚きの声を上げる。


ターボ「ナンガデッキョンナ・・・・・って、誰?」

カナ「ホラ、アイツや。去年のウチのメイクデビュー戦で、ウチとやりおうたウマ娘や」

ターボ「・・・・・あー、思い出した!カナの高速大逃げに、一歩も引く事無く喰らい付いてた!」

スラテン「でも、その後のカナちゃんの再加速に付いて行けずに、二位に終わってましたよね?」

カナ「ああ。せやが、あの時一緒に走った奴の中では、一番見所と才覚の有る奴やったな」


      • ピクッ?


カナをして見所と才覚の有るウマ娘という単語に、ブリッツがほんの少し反応を見せるが、他のメンバー達は会話に集中していて気付いていない。


イクノ「そのウマ娘のレースの資料とかは、無いのですか?」

南坂「えーと、確か・・・今年の京都新聞杯に出走している映像が有りますが」

ターボ「それってGⅠ?」

ネイチャ「・・・GⅡ」

カナ「・・・取り敢えず見て見よか。どれ程成長したのかを」

102:194:2023/11/15(水) 23:28:08 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
そんな訳で、ノートパソコンでその映像を再生。ブリッツもぼんやりとした状態ながら、レースの映像を見ている。


赤坂『さぁ最終コーナーを抜け最後の直線へ!と、後方から!後方からナンガデッキョンナが上がって来る!物凄いスピードだ!!』


映像の中の彼女の、最後の直線での追い上げに息を呑むメンバー達。
濃緑色の、毒々しいオーラを身に纏ったナンガデッキョンナが、次々と他のウマ娘達をゴボウ抜きしていく。
かつてライスシャワーに『鬼が宿る』と称された事が有ったが、そんなレベルではない鬼気迫る様子だった。


トリー「・・・カナ。これは・・・」

カナ「完全に別人、やな・・・・・」


トリーとカナがそう言い合ったその時。異変が起こった。
それまでぼーっとしていたブリッツが、突然ノートパソコンを鷲掴みにしながら、映像を食い入るように見ているではないか。
いきなりの事に声も出ないメンバー達。映像の中でナンガデッキョンナが逆転勝利を果たすと同時に・・・彼女は肩を震わせ出した。


ブリッツ「・・・・・クックックックック、ハァ――――――ッハッハッハ!!!」

レインボー「・・・ぶ、ブリッツ?」


親友の突然の奇行に驚くレインボー。だが、そんな彼女のセリフはブリッツに届いていない。


ブリッツ「・・・やはりこの国に来て大正解であった。カナやトリー、ゴーストにキタサトコンビ以外にも、こんな所に掘り出し物が存在していたとはな!!トレーナー!!」

南坂「な、何でしょう?」

ブリッツ「奴が次に出走するレース、それもGⅠレースは有るか?」


先程までの様子が嘘の様に、鬼気迫る様子で問い質すブリッツ。
それに押されながらも、彼女の出走するGⅠレースを応える。


南坂「え、えーーっと・・・十月の天皇賞秋に出走を表明していますが・・・」

ブリッツ「・・・決めたぞ。天皇賞秋で、奴と戦い・・・そして打ち勝って見せる!!」


そう言って、再びいつも通りに高笑いをするブリッツ。
余りの変わり様に、チームメンバー達も呆然としていた。


カナ「・・・・・何や、再び元気出たみたいやな」

レインボー「・・・全く、本当に単純なんだから」※頭を抱えている

トリー「・・・何はともあれ、元気とやる気を取り戻したんだし、良かったんじゃないかな?」

ターボ「おう!これも、ターボのお陰だな!」

ネイチャ「何でアンタが偉そうに・・・って、確かに言い出しっぺはアンタだったわ・・・」


そんなこんなで、再びやる気を取り戻したブリッツなのであった。

103:194:2023/11/15(水) 23:28:46 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
オマケ うまよん又はうまゆるとかで書かれてそうなネタ

ある日の事、その日は南坂トレーナー・ヤスさん共に外せない用事があり、珍しくトレーニングがお休みとなった。
降って湧いた久々のオフに、カナは用事が有って席を外しているトリーを待ちながら、何をしようかとのんびり考え中。
と、カナに声を掛ける人影が。ブリッツだった。


ブリッツ「おーーい!カナーーー!」

カナ「ん?ブリッツかいな、どないしたんや?」

ブリッツ「ああ、今日は久々のオフであろう?」

カナ「せやな」

ブリッツ「そこでだ、余とレインボーと共に優雅にティータイムとしゃれこもうではないか。少し前にトリーと出会って、参加するとの事となったから、貴様を探していた所だ」

カナ「ほー、トリーも参加するんか。それじゃあ」


と、そこまで言った所でもう一人カナに声を掛ける人物が。カントウキゾクだった。


カン「やあやあ関西くん、聞いたよ聞いたよ!今日は珍しくオフなんだって?」

カナ「げ!?お前かい!!」

カン「そんな人を化け物みたいに言わないでくれ。こうして無事に再会出来たのだから、友情を育む為にも、二人で何処かに遊びに行こうじゃないか」

104:194:2023/11/15(水) 23:29:17 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
と言って、カナを連れ出そうとする。
だが・・・目の前でそんな事をされて黙っているブリッツではない。


ブリッツ「・・・おい、貴様。余がカナにお誘いをしている最中に横から掻っ攫おうとは、良い度胸をしておるな?」

カン「そちらこそ、十年来の親友である関西くんとの友情を邪魔しようとは、無粋にも程が有るんじゃないですか?」

カナ「え!?お、お前等・・・!?」


不穏な空気に思わずカナが問いかけるが、二人からの返事がない。
そんな二人の脳裏には、期せずして全く同じ思いが浮かんでいた。


*1


と。
互いの本能に突き動かされた二人は、早速行動を開始した。


ブリッツ「カナよ、こんな無礼極まりないなんちゃって貴族なぞ放って置いて、余達と優雅なティータイムとしゃれこもうではないか!」※左腕を掴んでいる

カン「関西くん、こんな傲慢極まりない自称皇帝()なんか放置して、ボクとどこかに遊びに行こう!」※右腕を掴んでいる

カナ「ちょ!?!?お、おのれ等!??!?」

105:194:2023/11/15(水) 23:29:47 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
左右の腕を掴まれて身動きが取れなくなるカナ。
その間にも、二人はヒートアップしていく。


ブリッツ「誰が自称皇帝()だ!余はカナと同じチームメイトなのだ!余の方が優先なのは当然であろう!」

カン「そちらこそ、ボクになんちゃって貴族とか言っておいて何を言っているんです?前世で十年来の付き合いだったボクの方が優先されるべきでしょう!」

カナ「お・・お前等!?腕引っ張んなや!??!」

ブリッツ「カナ!」

カン「関西くん!」

ブリッツ「余だー!余と一緒に行くのだー!!」

カン「ボクと一緒に行こう!関西くん!!」

カナ「アダダダダダダダダ!??!?!モゲルモゲルモーーーゲーーール―――――!????!?!?!」


ウマ娘の全力でリアル大岡裁きを受けて、堪らず悲鳴を上げるカナ。
そこに漸く助け舟がやってきた。二人の事を探しに来たレインボーとトク、そしてトリーだった。


レインボー&トク「「何やってるの二人共!!」」


ゴチーン×2※SE・クレ〇ン〇んちゃんの拳骨シーン


トリー「・・・カナ、大丈夫?」

カナ「・・・・・痛ぅぅぅぅぅ、あのアホ共・・・加減無しで引っ張りよって・・・」※涙目で痛がっている

トリー「・・・本当、モテモテだね。カナ」

カナ「・・・・・同性にモテても、全く嬉しゅうないんやが・・・・・」


そんな事を話す二人。その後ろでは・・・
頭にたんこぶタワー(三段)を作り、正座させられた状態でレインボーとトクから説教を受ける涙目状態なブリッツとカンの二人が居たのだった。

106:194:2023/11/15(水) 23:30:21 HOST:KD106154150009.au-net.ne.jp
以上です。宝塚記念翌日の様子でした。
ずっと強大な存在にして目標だったカナを打ち破った結果、その反動でブリッツが燃え尽き症候群に(汗)
前世からの悲願でしたからね、仕方ないね(ヲイ)
なおレインボーがそうなっていないのは、レースそのものには負けたのもそうですが、やはりカナ以外にも手強い存在・・・具体的にはトリーやゴースト・キタサトコンビといった
手強い存在を意識していましたので、燃え尽きる要素が無かった訳ですが。
そんなブリッツでしたが、急速に力を付けて話題になっているナンガデッキョンナを見て、再び闘志を燃やす事に。良くも悪くも、単純さ故といった所でしょうか(ヲイ)
そしてオマケで、ブリッツとカンの二人の、カナを巡っての大喧嘩の様子をうまよん若しくはうまゆる風なネタとしてお送りしました(ヲイ)
リアル大岡裁きの憂き目に遭ったカナは、本当に災難だったとしか(コラ)。ではまた次回。
wiki掲載は、自由です。

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最終更新:2023年11月21日 07:38

*1 こいつは敵だ!