223:194:2023/11/19(日) 10:50:31 HOST:KD106155012162.au-net.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その39
え・・・・・?
何で・・・・・・・・・・?
どうして・・・・・・・・・・・・・・・?
目の前で起きた出来事を、どこか夢の世界での出来事の様に感じるターボ。
だが・・・刺された箇所が急速に熱を帯び、同時に激痛がターボを襲う。
崩れ落ちるターボが最後に見た光景は・・・
今にも消えてしまいそうな泣き顔で
ラファール「・・・・・ゴメンナサイ!!」
と呟いて、その場から離れるラファールルージュの姿だった。
彼女の姿が見えなくなった直後、買ってきたスポドリを手にした南坂が戻って来た。
南坂「ターボさん、買ってきましたy・・・」
南坂が見たのは、ベンチにぐったりと斃れ、脇腹から血を流し始めるターボの姿だった。
手からスポドリが落ちた。
南坂「ターボさん!!」
224:194:2023/11/19(日) 10:51:01 HOST:KD106155012162.au-net.ne.jp
~数時間後~
痛みと共に、ターボが目を覚ます。
知らない天上だ。
トリー「お姉ちゃん!!」
顔を向けると、トリーやカナ・南坂・沖野・竹内トレーナーにルドルフ会長の姿が有った。
ルドルフ「・・・よかった。目を覚ました様だな」
ターボ「・・・会長?ここは・・・?」
ルドルフ「ロンシャン競馬場すぐ近くの病院だ。君は何者かに刺されて、病院に緊急搬送。手術が無事終わった所だ」
ターボ「・・・そうだったんだ」
痛みと残っている麻酔で少々頭がぼんやりしているターボだったが、取り敢えず現状は理解した様だった。
南坂「本当に・・・本当に申し訳有りません。私が目を離さなければ・・・」
ルドルフ「いや、そもそも今回の話を断らなかった私の責任だ。・・・しかし」
ターボが襲撃された事に強い憤りを感じるルドルフ会長。今回の件を断らなかった事を後悔している。
だが、解せない。彼女が襲撃される理由が、全く分からないからだ。なので、何か心当たりはないか、ターボに問いかける。
ルドルフ「何故ツインターボが襲撃されたのか、それが分からない。ツインターボ、目を覚ました所で悪いが、何か心当たりはないか?」
ターボ「・・・分かんない。けど・・・」
ルドルフ「何だ?」
ターボ「あの娘・・・ラファールルージュって名乗ってた・・・」
一同「「「「「!?」」」」」
225:194:2023/11/19(日) 10:51:33 HOST:KD106155012162.au-net.ne.jp
ターボの証言に驚愕する一同。まさかフランスのウマ娘が、直々に襲撃をしてきたというのか。
その一言を聞いて、怒り心頭のカナが病室から飛び出そうとして、慌ててトリーが羽交い絞めして止める。
トリー「ちょっとカナ!?どこに行こうというの?」
カナ「放せやトリー!!ウチの親友にかましてきた以上、黙っておられるか!!ボコボコにして報いを受けさせたるわ!!」
ターボ「待ってカナ!ラファールルージュは・・・ラファールルージュは、何も悪くない!!」
カナ「なっ!?何を言うとるんやターボ!!おのれを襲ったやっちゃで!!悪くない訳無いやろ!!」
ターボ「分かるもん!!あの娘は何も悪く無いって!!」
カナ「何でや!?何でそこまで言い切れるんや!!」
ターボ「だって・・・・・だって、あの娘・・・泣いていたんだもん・・・・」
ルドルフ「・・・どういう事だ?」
ターボ「・・・あの娘、ターボの事を刺す前も・・・刺した後も・・・今にも消えそうな泣き顔をしながら、『ゴメンナサイ・・・』って言ってたんだもん・・・」
ターボ「ターボには分かる・・・。あの娘は・・・断じて本心でやったんじゃない・・・。悪い奴に、無理矢理やらされているんだって・・・」
一同「「「「「・・・」」」」」
図らずも、今回の襲撃の真実の一端を言い当てるターボ。
襲撃された本人の言葉に、さしもの一同もこれ以上強く言う事は出来なかった。
ルドルフ「・・・カナリハヤイネン。悔しいだろうが、今は堪えろ。お前が襲撃したら、寧ろ其方を問題視されるのがオチだ。此方の件に、物的証拠も無いしな」
カナ「・・・・・クッ」
沖野「・・・そうなると、警察への届け出も難しいかもな。下手すりゃ国ぐるみって線も有るぞ・・・」
226:194:2023/11/19(日) 10:52:05 HOST:KD106155012162.au-net.ne.jp
その可能性を察し、ここに居る全員が押し黙る。
今回の件、最低でもフランスギャロが関わっているのは間違い無いが・・・他にどれだけの組織が関わっているのか、現時点では見当がつかない。
最悪もみ消される可能性も有った。
ルドルフ「・・・いずれにせよ、この落とし前は必ずつけさせる。問題は、凱旋門賞だが・・・」
ルドルフ会長がここまで言った時、ターボが信じられない事を口走る。
ターボ「・・・会長。ターボは・・・ターボは、凱旋門賞に出る!・・・そして、優勝して見せる!」
トリー「なっ!?何を言っているの!?お姉ちゃん!!」
カナ「無茶言うなや!絶対安静な状況やぞ!」
ルドルフ「我儘を言うな、ツインターボ。そんな状態では、とても走らせる事は出来ない」
ターボ「我儘なんかじゃない!!」
必死に止めようとする一同に、ターボは我儘では無いと言い切る。
トリー「お姉ちゃん、どうして・・・」
ターボ「・・・もし・・・もしここで、ターボが棄権したら・・・『勝てない相手は、ヒキョーな手段でやっつければいい』って、そんな間違った考えが広がっちゃう・・・。そんなの・・・そんなの、絶対に嫌だもん!!」
カナ「ターボ・・・」
ターボ「だからターボは・・・レースに出て勝たないといけないんだ!・・・ヒキョーな事をしても無駄だって、ターボが証明しなきゃいけないんだ!!」
南坂「ターボさん・・・・・」
227:194:2023/11/19(日) 10:52:36 HOST:KD106155012162.au-net.ne.jp
ターボの確固たる思いに、二の句が繋げない一同。
どれ位時が経っただろう。ルドルフ会長が徐に口を開く。
ルドルフ「・・・走るか否かは、当日の君の状況次第だ。それまで安静にする様に。いいな?」
トリー「会長!?」
ターボ「・・・・・分かった。ターボ、大人しくする・・・・・」
ルドルフ「・・・いい返事だ。ではみんな、一旦ホテルへと戻ろう」
ルドルフ会長の思いもよらない言葉に驚き、抗議の声を上げようとするトリー達だったが、声を上げる前に制して強引にターボとの会話を打ち切るルドルフ会長。
そしてそのまま病室から出ていく。残りの一同も慌ててルドルフ会長の後を追う。
南坂「会長、正気なんですか?ターボさんに含みを持たせる様な事を言って」
沖野「そうだぞ、幾ら何でも無茶だ」
ルドルフ「分かっている。だが、ああでも言わないとツインターボは聞こうとしない。そうだろう?」
カナ「それは・・・そうかも知れんが・・・・・」
ルドルフ「勿論、実際に走らせる事は無い。彼女の気持ちも、痛い程よく分かるが・・・だからと言って、命を落としかねない危険を、彼女に冒させる真似は出来ない」
ルドルフ「彼女は私を恨むだろうな。だが・・・これも彼女の為だ」
ルドルフ「トリプルターボ、君は彼女の着替え等を持って、ツインターボについてやっててくれ」
トリー「・・・分かりました」
そう返事して、一足早くホテルへと戻るトリー。
一方、病室では・・・・・
ターボ「・・・・・・・・・・」
ターボが何かを思い詰めた様な顔で、考え事をしている。
一体何を考えているのだろうか。
228:194:2023/11/19(日) 10:53:08 HOST:KD106155012162.au-net.ne.jp
さて、この世界の凱旋門賞だが全部で三種類(馬・UMA・ウマ娘)もある関係で、当たり前ながら開始時間が異なっている。
具体的には、ウマ娘部門が午前10時頃・UMA部門が午後2時頃・そして馬部門、つまり元祖凱旋門賞が午後4時頃に始まる。
その日の明け方、5時頃。目を覚ましたツインターボが、椅子で寝ているトリーを呼ぶ。
ターボ「トリー、トリー」
トリー「・・・・んあ・・・。あ、おはよう。お姉ちゃん。どうしたの・・・?」
ターボ「・・・すまないけど、勝負服を蹄鉄付きのフルセットで持って来て貰えないか?」
トリー「勝負服一式を?」
ターボ「ああ。出走出来なくても、せめて二人の応援をしたい。お願い!」
トリー「・・・・・分かった。直ぐ戻るから待ってて」
そう言って、ホテルへと向かうトリー。
ここまで大人しくしているし、出れないという事を自覚しているんだろう。
だから、この程度の我儘は聞いてあげたい。そう思って勝負服を取りに行くトリー。
だが・・・
勝負服一式を持って、病室へと戻って来たトリー。
だが、そこで両眼を見開く。ベットの上にターボの姿が無い。
トリー「お姉ちゃん!?・・・え!?」
驚いた直後、横から人の気配が。
次の瞬間、彼女の鳩尾に強烈な一撃が叩き込まれる。
突然の事になすすべ無く崩れ落ちるトリー。辛うじて向ける事の出来た視線の先に居たのは・・・ツインターボだった。
トリー「お姉・・・・・ちゃん・・・・・!?・・・どう・・・して・・・・・!?」
そう呟いて、気絶するトリー。
そんな彼女を抱きとめて、椅子に座らせるターボ。
ターボ「ごめんな、トリー・・・・・。けど・・・今回ばかりは、退く訳にはいかないんだ・・・・・」
そう言って両腕の点滴の管を抜き取り、勝負服に着替えるターボ。
そして病室のカーテンを結んでロープ代わりにし、病室から抜け出したのだった。
229:194:2023/11/19(日) 10:53:38 HOST:KD106155012162.au-net.ne.jp
~数時間後~
ゴーストとスぺ・付き添いの竹内トレーナーを送り出したルドルフ会長達は病院へ。
一応念の為、医者に現在のターボの容態を確認する。
ルドルフ「・・・先生、彼女の・・・ツインターボの現在の容態は?」
医者「変わらずです。暫くの間は絶対安静ですね」
ルドルフ「・・・そうですか」
分かってはいた事だった。どう考えてもあの怪我では無理だ。
ツインターボは落ち込むだろうし、自分の事を恨むだろう。だが、命の危険を冒させる訳には・・・
そこまで考えていたその時、血相を変えた看護師が駆け込んで来た。
看護師「せ、先生!!患者さんが!!」
その少し前、ツインターボの病室に、様子を見に来ていた看護師。
だが、部屋の扉を開けて中に入ると・・・
気を失って椅子に座らされているトリーの姿と・・・
どこから持ってきたのか、身代わりと思われる『安全太郎』が、ペンライト型のランプを振っているという光景だった。
予想外にも程が有るカオスな光景に、一瞬呆気に取られる看護師。と、トリーが漸く目を覚ます。
トリー「・・・・・ハッ!!お姉ちゃん!?お姉ちゃん!?」
ターボの姿が無い事にパニックを起こすトリー。
と同時に、再起動した看護師が慌てて医者に知らせに走ったのだった。
ツインターボの脱走の知らせに、顔を青くするルドルフ達。
あの怪我で外に出るのは危険だ。最悪命の危険すらある。
看護師と医者が病院内を必死に捜索する中、トリーに何が有ったのかを問いただす。
ルドルフ「トリプルターボ、一体何が有ったんだ!?」
パニックから未だ回復していない状態ながら、何とか言葉を搾りだすトリー。
トリー「お、お姉ちゃんに・・・ゴースト達を応援したいから、勝負服一式を持って来て欲しいって言われて・・・。持ってきたら、お姉ちゃんに鳩尾を殴られて・・・」
病室内のテレビを付けて、チャンネルを切り替える。そして、凱旋門賞(ウマ娘部門)の中継の映像を見て、全員の顔が強張る。
出走ウマ娘が続々とゲートインしている状況だったが・・・ツインターボがゲートインする所がはっきりと映っていたからだ。
230:194:2023/11/19(日) 10:54:09 HOST:KD106155012162.au-net.ne.jp
以上です。ターボの絶対に譲れない気持ちと、その後の行動のお話でした。
ラファールルージュの涙と言葉で、ある程度の事情を察して彼女の事を庇った上で、勝負から降りないと言い切るターボ師匠。
ですが、当然出走させるなんて以ての外な状態。そういう訳で・・・ターボ師匠は強硬手段に出る事に。
はい。かなりの無茶が有る展開ですねorz。自分の力量では、これ以上の納得のいく展開が思い付きませんでしたorz
次回は、ゴースト達側の視点が中心のお話となります。お楽しみに。
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最終更新:2023年11月21日 20:42