284:194:2023/11/20(月) 20:45:31 HOST:KD106154150031.au-net.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その41
止めるのが間に合わず、レースがスタートした事に青くなるルドルフ会長達。
だが、いつまでもここで成り行きを見守る訳にもいかない。
トリーを追って、彼女達も病院を後にしたのだった。
赤坂「さぁ各ウマ娘が、凱旋門賞の栄冠を掛けてロンシャン競馬場を駆け抜けて行きます」
赤坂「まず飛び出したのは、やはりツインターボ。ターボエンジンを全開にして大逃げへと移行していきます」
赤坂「その差は早くも7~8バ身と広がります。大きく離れて、先行集団はラファールルージュ・アマゾナス・ヴァレンシアガール・フィレンツェ・ゴーストウィニングはここ」
赤坂「少し離れてナースホルン・フェルディナント・ヴェニュスパーク・グレートリーフ・ドバイアフター・モンジューとスペシャルウィークはここ」
赤坂「半バ身離れてリガントーナ・ブリティッシュモア・スターゲイザー・マリオーネの後方集団」
赤坂「最後尾はスコットレディとシチリアカンパニー・チャタムとなります」
各ウマ娘達の初期の位置が定まり、各々が機を伺う展開に。
戦闘をひた走るツインターボだが、脇腹からの激痛を懸命に堪えながら、日本で特訓を受けていた時の事を思い出していく。
285:194:2023/11/20(月) 20:46:01 HOST:KD106154150031.au-net.ne.jp
~回想中~
ブリッツ(よいか、ターボ先輩。そもそも欧州の競バ場だが、日本の競バ場とは事情が大きく異なっている)
ターボ(何がどう違うの?)
ブリッツ(日本の場合は、競バ場建設の為だけに一から整備するが、欧州の場合は自然のまま、例えば牧場の様な原っぱに柵を設けて、「はい、ここがコースだ!」という感じの場所が多い)
ブリッツ(その結果として、芝が日本のそれより硬く、目では分かり辛い凹凸も多く、水捌けも悪いのだ。その分、より足に負担が掛かり易いのだ)
ターボ(つまり、いつも以上にスタミナ配分に気を付ける必要がある、と?)
ブリッツ(その通りだ)
レインボー(次は前半の勾配部分ね。最初の400m位までは平坦だけど、そこから300mかけて7mの上り坂、更にそこから300mで3mの上り坂となっているの)
ターボ(つまり、合計10mもの高低差が有るのか・・・)
レインボー(そうね。これは中山競馬場の急坂の凡そ2倍。急勾配をしっかり突破するパワーが求められるわね)
カナ(そしてそこから第三コーナーにかけての箇所が、かなりの下り坂となっとる。坂は上りより下りがキツイ。体重が全部かかるからの)
カナ(スピードもかなり出るから、外に膨れん様に注意やな)
ターボ(成程)
トリー(最後に注意すべきは、フォルスストレートと呼ばれる地点)
ターボ(フォルスストレート?)
トリー(日本語で『偽りの直線』。普通の競馬場だと、第四コーナーを回ったら最後の直線と言うのが相場だけど・・・)
トリー(この競バ場は、一旦直線になった後、もう一度曲がってから漸く本当の直線に入る訳なの)
ターボ(えー?何かややこしくない?)
トリー(そうでもないよ。キチンと意識さえしていれば、引っ掛かる事は無いから・・・)
~回想終わり~
286:194:2023/11/20(月) 20:46:31 HOST:KD106154150031.au-net.ne.jp
学んだ注意点を意識しながら、ターフを駆けるターボ。
早くも第三コーナーへと到達しつつあった。
白熱したレースが行われている最中のロンシャン競馬場に向かう、一台の黒塗りの車が。
今回の諸悪の根源であるフランスギャロ・ウマ娘部門会長とその側近・そして何やらゴツイ体の男がニ人。ガードマンだろうか?
それはさて置き、ターゲットが平然とレースに出ているのを見て、激昂していた。
会長「・・・ラファールめ、しくじりおったか!!」
側近「会長、如何なさるおつもりで?」
会長「決まっている!今このレース中に、あのウマ娘を消させる!」
そう言って、インカムを付ける会長。
ラファールルージュの耳にこっそり設置されているマイクを経由して、彼女に指示を出す。
会長『・・・ラファール、あの小娘を消せ!これは命令だ!』
聞こえてきた指示に、ラファールは動揺する。
確かに、万が一に備えてコンバットナイフは忍ばせてある。しかし・・・このレースの真っ最中に!?
もしカメラに映ったら、それこそ一巻の終わりだ。だが、再び入ってきた指令は先程と変わらない物だった。
会長『早くしろ、ラファール。家族達がどうなってもいいのか?』
ラファール「・・・・・ッ!!」
287:194:2023/11/20(月) 20:47:02 HOST:KD106154150031.au-net.ne.jp
悩んだ末に、苦渋の決断を下すラファール。
スパートをかけて、ツインターボに急接近する。
赤坂「おっと、ここでラファールルージュがスパートをかける!ツインターボにドンドンと迫っていく!」
モンジュー「ラファール!?」
ヴェニュスパーク(以下ヴェニュ)「・・・何でここからスパートを!?」
リガントーナ(以下リガン)「・・・何があったの!?」
フランスの仲間達も動揺する中、ターボとの差を急速に詰めるラファール。
第三コーナーでターボに追いついた。
彼女は、カメラから死角になる様に、ターボのすぐ横に遷移する。
そして、ナイフを取り出そうとした所で・・・・・
ターボから声を掛けられた。
ターボ「・・・またターボの事を刺すつもりか?」
ラファール「・・・!?」
ターボ「・・・何故だ?こう言う事を心底嫌がっているお前が、何故そこまでして、そういうヒキョーな事を繰り返すんだ?」
ターボ「こんなヒキョーな事をしなくても、お前は十分に強いじゃないか!何で実力で勝負しない?」
ラファール「・・・貴女に、・・・貴女に何が分かるの!!」
ターボ「!?」
ラファール「家族や牧場の皆を人質にされて・・・皆を守る為に・・・・・どうしようも、無いのよ・・・!!」
ターボ「・・・それが理由か。・・・だけど、それでも実力で黙らせる事が」
ラファール「出来る訳無いでしょ!絶対的な権力を持つあの男を相手に・・・無理に、決まってるじゃない!!」
ターボ「諦めるな!!」
ラファール「!?」
ターボ「強いからと言って諦めたら、何時まで経っても何も変わらない!!」
ターボ「ターボはテイオーに教えて貰った!『諦めない』という事を!だから、ターボは今、ここに居る!!」
ラファール「・・・・・」
ターボ「・・・ターボは負けない!お前にも・・・こんなにも強いお前に、ヒキョーな事をさせる悪い奴にも・・・ターボは・・・・・」
ターボ「絶対に・・・・・絶対に負けない!!」
288:194:2023/11/20(月) 20:47:34 HOST:KD106154150031.au-net.ne.jp
そう叫び、更に加速するターボ。
そんな彼女を、ラファールは呆然と見ている状態。スピードも落ち始めている。
ラファール(・・・・・何て・・・・・何て、凄い娘なんだろう)
ラファール(どんな困難も、諦めなければ克服出来る。・・・そう、心から信じている・・・・・)
ラファール(なのに私は・・・あの男の権力の前に、抗う事を諦めていた・・・・・)
ラファール(私は・・・・・)
全てを諦めかけ、行き脚が止まろうとするラファール。
だが・・・
モンジュー「ラファール!!」
ラファール「・・・!!」
ヴェニュ「このままあの娘に勝たせるつもり!?気合を見せなさい!!」
リガン「そうよ!このままで終わるな!」
モンジュー「貴女は、未来のフランスを背負って立つ者の一人なのよ!悔いの無い様に、駆け抜きなさい!!」
仲間達の声援に、胸に熱い思いがこみ上げて来るラファール。
知らず知らずのうちに、涙が出ていた。
ラファール(・・・師匠・・・皆・・・・・)
ラファール(皆は・・・こんな私を・・・信じてくれている・・・・・)
ラファール(私は・・・・・私は・・・・・)
会長『どうしたラファール!命令を聞かんか!』
ラファール「私は・・・・・私は、負けない!!」
自身に残っているウマ娘としてのプライド。
熱く燃えるそれを胸に、深く、強く、ターフを踏み締める。会長の怒号も、もう彼女には届いていない。
そして・・・ペースメークも何も無い、己の全てを注ぎ込んでの猛追が始まる。
ラファール「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
赤坂「ら、ラファールルージュ再加速!物凄いスピードだ!開き始めていたツインターボとの差を急速に埋めていく!」
ターボ「・・・やっと、やっと自分の本当の心に素直になったか!負けないぞ!」
289:194:2023/11/20(月) 20:48:05 HOST:KD106154150031.au-net.ne.jp
ターボもそれに呼応して更なる加速を開始。
そのまま一進一退となる・・・かと思われたが・・・・・
ターボ「・・・・・ッ!?」
第四コーナーに侵入した所でターボの顔が歪み、速度が落ち始める。
日本よりも悪い馬場の状況、無理をしての全速。それ等が重なって、傷口が再び開いてしまったのだ。
赤坂「おっとどうした!?ツインターボが急減速!!何かトラブルか!?」
ターボ(・・・・・ッ!!・・・ここまで来て・・・・・!!)
無理を重ねたせいか、徐々に意識が遠のいていく。
このまま終わってしまうのか・・・・・?
ゴースト「ターボ!!」
スぺ「ターボちゃん!!」
ターボ「・・・!!」
フランス勢と共に徐々に上がって来ていたゴーストとスぺの二人が、ターボにエールを送る。
ゴースト「こんな所で諦めるな!!勝つって誓ったんでしょ!!」
スぺ「負けないでターボちゃん!!レースにも・・・卑怯な手を使う奴にも!!」
ターボ(・・・ありがとう、二人共。・・・そうだ、ターボの真髄は・・・・・決して諦めない事・・・・・)
ターボ(テイオーが教えてくれた、大切な宝物・・・。それが何よりも凄い物だと・・・・・証明したい・・・・・!!)
ターボ「・・・ターボは・・・・・絶対に・・・・・絶対に・・・・・諦めるもんかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
飛びかけていた意識が再び戻るターボ。
全ての力と思いを燃やし、駆け抜けるターボ。
ゴースト「・・・今回は、ターボに譲る形になっちゃったね」
スぺ「・・・・・ですね。だけど、上を目指すのは、諦めませんから!」
ゴースト「・・・そう来なくっちゃ!」
290:194:2023/11/20(月) 20:48:37 HOST:KD106154150031.au-net.ne.jp
互いに苦笑しながら、最後のスパートをかけるゴーストとスぺ。
一方のターボは、フォルスストレートを抜けて最終コーナーへ。ラファールルージュがここで並びかけようとするが、ターボも抜かせない。
勝負は、最後の500m余りの直線での攻防戦へと移行する。
赤坂「ラファールルージュが必死に喰らい付く!ツインターボに必死に喰らい付く!」
赤坂「対するツインターボも体勢を立て直し、懸命に振り切ろうとしている!!」
赤坂「最早意地と意地のぶつかり合い!!他のウマ娘達も懸命に追い縋る!!果たして勝利するのは誰なのか!!」
栄冠を掛けた最後の攻防。白熱の展開に、観客達もあらん限りの大歓声を送る。
そこに・・・トリーが漸く観客席に到着。必死に声を上げる。
トリー「お姉ちゃん!!今すぐ走るのをやめてぇ!!」
その叫び声だが・・・観客達の大歓声も有ってターフに届かない。
だが・・・やはり同じウマソウルを持っているからか、ターボはトリーの存在に気付く。
ニコッ
ほんの一瞬、トリーに向けて小さな微笑みを浮かべるターボ。そして・・・
正面を向き、最後の力を振り絞ってラストスパートへ。ゾーンに突入したのか、体が眩いばかりに光り輝いている。
トリー「駄目ぇぇぇ!!それ以上走ったら、傷口がぁぁぁぁぁ!!!!!」
泣きながら叫ぶトリーの言葉も、大歓声に掻き消されていく。
一人の男の逆恨みから始まった今回の戦いは、いよいよ最終局面へと突入していった。
291:194:2023/11/20(月) 20:49:08 HOST:KD106154150031.au-net.ne.jp
以上です。今回は少々(大本営発表)長くなってしまいました。
会長からの卑劣な指示と、それに負けるなと叱咤するターボ師匠の言葉に、ラファールはレースを放棄しかけますが、
仲間達の激励で、胸の中で燻ぶっていた熱い思いを燃やし、ターボ師匠を猛追。
一方のターボ師匠も、傷口が開いて脱落しかけますが、ゴーストとスぺの応援で体勢を立て直し、ラファールとの一騎打ちに。
トリーの悲痛な叫びと共に、レースは最後の攻防に。栄冠を勝ち取るのはターボ師匠か、それともラファールか。
次回、遂に決着となります。お楽しみに。それでは。
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最終更新:2023年12月06日 07:22