310 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/11/12(日) 22:48:50 ID:softbank126036058190.bbtec.net [83/179]

憂鬱SRW ファンタジールートSS 「指と目」5



  • F世界 ストパン世界 主観1944年10月下旬 オラーシャ帝国 ペテルブルグ 502JFW基地 格納庫



 翌日、ネウロイのデータを頭に叩き込み終えたウィッチとウォーザード達は格納庫に集まっていた。
 すでに囮となる輸送艦の各所調整や改造も完了しており、あとは出発を待つだけであった。

「なあ、これ重たいんだけど……」

 しかし、出撃体制の管野は文句を言う。
 当然だ、彼女は背中に通常の携行品に加え、改良された個人携行用のエーテルレーダーを背負っているのだから。
ウィッチたちの役目は、通常のネウロイに対するインターセプトのほか、エーテルレーダーを背負うことによる「アウガ」の位置の精確な測定にある。
その為、通常ウィッチが携行するものより大型化したため、重量がかさんでいるのであった。

「確かに、追跡になると重たい装備は困るね……」
「必要性は説明しました。今作戦においては我慢してください」

 クルピンスキーも管野の発言を擁護するが、サーシャはきっぱりと言い切った。

「それに、皆さんの腕ならそのくらいの重量は問題にならないと思っていますよ」
「お、言うね、サーシャちゃん」
「実際倒した私が言うのですから間違いありません。
 では、作戦をもう一度振り返ります」

 どことなくサーシャには余裕がある。その様にクルピンスキーは感じ取っていた。
 502JFWの戦闘隊長として、自分たちをいつも厳しく管理監督をする彼女は、ともすれば危うさを感じるところがあった。
必死になりすぎて、どうにもならない問題にも真面目にぶつかりに行ってしまって、そこで挫けてしまいそうなくらいには。
 けれど、今日は普段はあるそれが抜けている。一時的なものかもしれないが、この作戦においてはプラスに働くだろう。

「今作戦はポート級陸上輸送艦を囮とし、『アウガ』『フィガー』を誘引し、撃破することで兵站路攻撃を行うネウロイの殲滅を目標とします。
 作戦に参加する人員及び艦艇には『アウガ』のステルスを見破れる新型のエーテルレーダーを搭載、これによって観測手を発見次第、撃破します」
「ブリーフィングで伝えた通り、相手には擬態能力があるわ。
 おおよその位置は把握できるけど、現地で撃破するのは現場にいる人員の観察力にかかっている。集中してね。
 それと、『アウガ』は諸元を伝達する際には電波を発することが分かっているわ、居場所の特定に役立てて頂戴」
「了解」
「相手は撃破される直前でも砲撃指示を出す可能性もあります。
 倒したからと言って油断しないでください、その場に迂闊にとどまると、砲撃に巻き込まれます」

 では、砲撃がされた場合どうするのか?

311 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/11/12(日) 22:49:50 ID:softbank126036058190.bbtec.net [84/179]

「ウォーザードの子猫ちゃん達が『フィガー』に対処する、だよね?」
「はい。AWACSのトゥクタムイシェヴァ大尉と同道するタマロ曹長がカウンタースナイプを仕掛けます。
 加えて、輸送艦の方にもカウンター攻撃を可能とする実弾砲を搭載しています。これにより、輸送艦だけでも最大2体への反撃が可能です。
 また、万が一発射された場合に備えたマギリングキャノンも搭載済みです……まあ、過信は禁物ですが」
「輸送艦は攻撃に耐えられるんだろ?」

 管野の問いかけに、しかしサーシャは首を横に振る。

「あくまで理論上は、です。
 迎撃砲もあるとはいえ、連続して攻撃を受ければ防ぎきれないかもしれません。
 輸送艦には軍属とはいえ、40名が乗っていることを忘れないように」
「ともあれ、『アウガ』も『フィガー』も倒す。そして輸送艦の人員も生きて返す、それが仕事ね」
「ったりめーだ」

 実質40名という決死隊だ。自分たちは逃げることは可能かもしれないが、輸送艦のクルーはそうもいかない。
 あるいは輸送艦の周囲を地上からも守るウォーザード達も、砲撃に巻き込まれると危険が伴う。

「それと、隠れている『フィガー』をつり出す必要があるので、ある程度手加減もしてくださいね」
「了解です」
「後の問題は、他のネウロイだね」

 当然だろう、輸送艦という大きなものを動かせばネウロイにも察知される。
 他のネウロイも寄り集まってきて、攻撃を仕掛けてくることは確実であろう。

「そこについては適宜対応をお願いします。
 対処しきれない場合には、オーカ・ニエーバからの援護も向かいますので」
「まあ、何とかなるだろ」

 そして最後に、とサーシャは言う。

「繰り返しになりますが、これは一過性の作戦ではありません。
 厄介な種を倒し、尚且つ、対抗手段の確立を急ぐための調査も兼ねた長期作戦です。
 短期的だけでなく、長期的な戦いになる。そのことを忘れずに」
「了解!」

 出場するウィッチ---管野、クルピンスキー、定子、ジョゼ---が返答し、ウォーザードの二人も応じた。

「では、行きましょう」

 作戦名「釣り人(フィッシャーズ)」、ネウロイと人類の、根競べが始まりを告げたのだった。

312 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/11/12(日) 22:54:55 ID:softbank126036058190.bbtec.net [85/179]

以上、wiki転載はご自由に。
今回は短いけど許してちょんまげ。
出撃する面子とか状況を説明するだけでも長文になっちゃうんですよね…
次回、戦闘となります。まあ、さらっとになると思います、多分ですけど。
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最終更新:2023年11月23日 12:49