343:194:2023/11/22(水) 21:30:31 HOST:KD106155008228.au-net.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その43


予想もしていなかった展開に観客達がざわめく中、人垣を掻き分けてトリーがターボの下へと駆け寄る。


トリー「お姉ちゃん!!お姉ちゃぁぁん!!」

スぺ「と、トリーちゃん!?まさか、ターボちゃん・・・」

トリー「治っていないんです!病院を抜け出して・・・・!!」


トリーの言葉に、更に青くなるスぺ。
トリーがターボに必死に呼びかける。


トリー「お姉ちゃん!!お願い、目を開けて!!返事をして!!」


だが、返事はおろか目すら開かない。完全に意識を失っている状態だ。
しかも心なしか、体温も徐々に冷たくなっている様にすら感じる。


トリー「・・・誰かぁぁぁぁぁ!!お姉ちゃんを助けてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


トリーの悲痛な叫びが、ロンシャン競馬場に木霊する。
遅れて駆け付けたルドルフ会長達も、目の前の光景に青褪めている。


カナ「ターボ!!」

ルドルフ「・・・最悪の展開だ!!」

344:194:2023/11/22(水) 21:31:01 HOST:KD106155008228.au-net.ne.jp
彼女達も、急いでターボの下へと向かう。
このままでは最悪の結末も。誰もがそう思ったその時。皆さんお待ちかね、あの親子が動いた。
緊急事態だと察し、フェルがキグルミシステムを解除する。


フェル「マサトサン!姫チャン!あの娘達ノ元ヘト向かうデスヨ!!」

柏木「え!?ちょ!?!?」

姫迦「うん!!」


柏木を抱え込み、姫迦が抱き着いたのを確認したフェルは、重力制御装置を作動させてコース内へと一気に跳躍する。


フェル「とぉぉ↑オウ↓」

柏木「お、おわぁぁぁぁぁぁぁ!???!?!」

姫迦「きゃーーーー!!!」※喜んでいる


華麗に着地するフェル。急ぎトリー達の下へと向かう。


トリー「・・ふぇ、フェルフェリア大臣に柏木長官・・・」

フェル「一体どういう状況なのデスカ!?」

トリー「お、お姉ちゃん・・・・左脇腹を刺された重症の状態で・・・病院を抜け出して、レースに・・・・・」

柏木「・・・・・オイオイ、何考えているんだ!?シャレになってないぞ」

フェル「そういうお叱りノ言葉は後デスヨ、マサトサン!ココデ処置を行うデスヨ!」

345:194:2023/11/22(水) 21:31:32 HOST:KD106155008228.au-net.ne.jp
丁度その時、競馬場の医療チームが到着。
すかさずフェルがサポートを申し出る。


フェル「病院に運ぶノハ間に合わないデス!ティ連製医療装置を使用シテ、ここで処置を行うデスヨ!」

医療スタッフA「え、ええ・・・!?」

フェル「一人だと処置に時間が掛かるデス!だから、皆さんにサポートをお願いするデスヨ!」

柏木「・・・医療チームの皆さん。どうか、フェルのサポートをしてあげて下さい。お願いします」


そう言って、柏木が頭を下げる。
一刻を争う緊急事態という事も有り、フェルの指示に従う事にした。


フェル「ゴ協力、感謝するデス!マサトサンと姫チャンは、彼女達に付いていてクダサイ!」

柏木「分かった!」

姫迦「うん!」

トリー「あ、あの・・・」

柏木「トリプルターボちゃん、必ずツインターボちゃんを助けるから。フェルを信じてくれ」


優しく、しかししっかりとした柏木の言葉に、トリーも覚悟を決める。


トリー「・・・どうか、どうかお姉ちゃんの事を、よろしくお願いします!」

フェル「任せるデスヨ!」

346:194:2023/11/22(水) 21:32:03 HOST:KD106155008228.au-net.ne.jp
そう言って、ターフの上に野戦用簡易治療室を造成するフェル。魔法の様に造成されるそれに、観客達も驚きの声を上げている。
まぁ知識で知っているのと、実際に見るのとでは、やはりインパクトが違うという事だろう。
こうして、緊急治療が始まった。


赤坂「・・・ふぇ、フェルフェリア大臣と柏木長官が現れ、ツインターボの治療に当たるようです」

細井「・・・そもそも、どこで彼女は怪我を!?血を流すなんて、レース中の怪我では有りえませんよ・・・!?」


中継を見ている人々も、固唾を飲んで見守っている。
野戦用簡易治療室を造成し終えたフェルは、医療スタッフを伴ってツインターボを治療台の上へと運び込む。
計四人の医療スタッフのサイズ別の手術着を造成して、手早く着替えさせる。
滅菌ルームで滅菌処理を行い、治療を開始した。
勝負服を脱がせて、傷口を露わにする。傷口からは今も出血しており、一刻も早く止血処置を施さねばならない。
まず麻酔の代わりとして痛覚遮断のナノマシンを針無し注射器で投与。次いで、傷口の消毒に掛かる。


医療スタッフA「今のは?」

フェル「痛覚遮断用ナノマシンを投与したデスヨ。治療が終わレバ、自然に体外へと排出されマス」


手を止める事無く、フェルが簡単に説明する。針無し注射器共々、今の地球には無い物に、内心で驚嘆する。


フェル「傷口に溜まってイル血を、吸引機デ吸い出してクダサイ」

医療スタッフB「了解」


医療スタッフでも扱える様に、一部の機器は地球の一般的な物にしてある。
吸引機で、傷口の中に溜まった血を吸いだしていく。


フェル「バイタルは?」

医療スタッフC「91ー71。少しずつ低下しつつあります」

フェル「ティ連製結束バンドで、血流ヲ一時的に止めるデスヨ」

347:194:2023/11/22(水) 21:32:33 HOST:KD106155008228.au-net.ne.jp
ティ連製結束バンドをターボの身体に回し、締め付ける事で一時的に血流を止める。
その上で、医療用高性能ゴーグルを装着し、血管の状況を確認する。
地球製の双眼ルーペ等を遥かに凌ぐ解像度に、医療スタッフも驚きの声を上げている。
見ると・・・静脈の太い血管が切れているのが見えた。


フェル「静脈の血管ガ、切れてマスネ」

医療スタッフD「一刻も早く繋げなければ」

フェル「再生用ナノマシン照射機で、血管繋げるデスヨ」


そういって、ペンライト型の装置を造成する。
これは、銀連日本本編で下半身不随の人を完全に治療した、あの光を照射する装置の携帯版だ。
もっとも、手持ちサイズという制限があるのであっと言う間に治すという芸当は出来ない。数分間は照射し続けないといけない。
医療スタッフに鉗子で切れた静脈を引っ張らせて、血管同士を近付かせた状態で照射開始。
すると、何も無い空間に血管らしき物が造成されて血管同士がくっついていくではないか。
その光景を見た医療スタッフ達が、


「この装置が有れば、どれだけの人命を救えるのだろうか」


と言う感想を抱いたのは、言うまでもない。
血管の再生が終わると共に、再び溜まっていた血を吸いだし、今度は傷口その物を再生。これも短い時間で、後も残さずに再生が完了する。
その後すぐに結束バンドを解放。血流を回復させると、また新たな針なし注射を取り出す。


フェル「増血用ナノマシンを投与するデスヨ」

医療スタッフA「増血用ナノマシン?」

フェル「生理食塩水に似た溶液に、増血作用のあるナノマシンヲ配合した物デス。これも自身の血が増えタラ、自動でナノマシンが排出されるデス」

348:194:2023/11/22(水) 21:33:04 HOST:KD106155008228.au-net.ne.jp
そのナノマシンをまずは一本。バイタルを見ながら、更にもう一本投与する。
すると、かなり低かった血圧が安定し始めた。


医療スタッフC「110-77。正常値に近付きつつあります」


更に五分程で、バイタルが正常値に。
如何にか治療が終わった。


フェル「無事治療ガ終わりマシタ。ゴ協力、本当に感謝するデスヨ」


医療スタッフに礼を告げて、野戦用簡易治療室の外へ出るフェル。
祈る様な顔で待機していたトリー達だったが、フェル達が姿を現すとすぐにどうなったのかを聞きに来た。


トリー「・・・ふぇ、フェルフェリア大臣!お姉ちゃんは!?」

フェル「フェルさんでいいデスヨ。大丈夫、彼女は無事助かったデスヨ」

トリー「・・・・・ッ!!良かった・・・・・!!本当に・・・・・、・・・本当に、有難うございます・・・!!」

姫迦「良かったね、お姉ちゃん」


嬉し涙を流しながら、フェルに礼を言うトリー。
フェルは続ける。


フェル「もう間も無く、彼女モ目を覚ますデスy」


と言いかけたその時だった。


ターボ「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!!??!?!!!?!」

一同「「「「「!?」」」」」


ターボの奇声に、その場にいたメンバー達は驚愕した。
一体何が有ったのか?

349:194:2023/11/22(水) 21:33:34 HOST:KD106155008228.au-net.ne.jp
ここは天国なのか?それとも・・・?
そう思いながらキョロキョロすると、すぐそこに薄着な格好をしたゴルシらしきウマ娘の姿が。


??「オウオウオウ、そこのウマ娘。確か、ツヴァイラケータだっけか?」

ターボ「ツインターボ!!というか、何やってんだゴルシ!!」

??「オウ、アタシはゴルシとかいう奴じゃねー!競馬の神様d」

ターボ「いや、ゴルシじゃん!」

競馬の神?「いやだから、ゴルシじゃねーよ!競馬n」

ターボ「ゴルシじゃん!」

競馬の神?「・・・・・あー、もう何でもいいや。オメーさんは、ここでくたばる運命じゃねー。今すぐ戻ってもらうぞ」

ターボ「え?どうやって?」

競馬の神?「こうすんのさ!」


そう言って力を籠めると・・・何と馬の姿に変わったではないか。


競馬の神?「今からアタシの華麗なる後ろ蹴りで、元居た世界に帰すからな!気合入れろよ!」

ターボ「ちょ!?まっ!?」

競馬の神?「待てと言われて待つ奴なんて居ねーよ!そぉい!!」


ドガッ!!


ターボ「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!!??!?!!!?!」


何とも言えない叫び声と共に、ターボは飛び起きたのだった。

350:194:2023/11/22(水) 21:34:04 HOST:KD106155008228.au-net.ne.jp
以上です。大変お待たせしました、フェルさん無双のお時間でs←殴
いやー、医療シーンを書くのは初めてなので本当に四苦八苦しました。血圧の値とかも結構適当ですし(汗)
そしてティ連製の医療グッズの数々ですが、下半身不随の人をあっという間に完治したあの光以外、自分の想像力ではこの辺りが限界でしたorz
そんな訳で、どうにか助かったターボ師匠ですが、自称競馬の神?に蹴られて飛び起きる事に。
自分で書いておいて、何とも酷いオチだ(汗)。では、また次回。
wiki掲載は、自由です。

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最終更新:2023年11月26日 14:16