284 名前:トゥ!ヘァ![sage] 投稿日:2023/11/06(月) 18:07:00 ID:FL1-133-209-109-210.kng.mesh.ad.jp [91/187]
日本連合日本 第六話

アフリカの情勢についての解説

欧州革命、第二次日中戦争、アメリカ崩壊、第五次中東戦争と立て続けに既存秩序が崩壊していく中でアフリカ大陸が否が応でも巻き込まれたのは必然であった。

元々台湾紛争における日米中激突の際から既に経済面で不安定していたアフリカであったが、その中での既存大国の連続崩壊。
それは経済、食料、工業などを強く外国に依存している国が多いアフリカ諸国への止めとなったのは想像に難くないことである。

それこそ欧米の国々が崩れるようにもいっそあっけなく容易に崩壊していった。

アフリカは列強が切り分ける以前の国家同士ではなく各部族が争いを続ける古い姿へと回帰していくこととなる。


そんな暗黒大陸へ返り咲いたアフリカにおいて個々の地域ごとに起こったことを説明していこうと思う。


まずは北アフリカ。
この地域は比較的遅くまで秩序が残っていた地域と言えた。

欧州革命発生時には大勢の人々が地中海を超え、北アフリカ諸国へと殺到。
欧州難民として各地に逃げ込む事例が多発した。
皮肉にも今までの欧州・アフリカ情勢と真逆の状況になったわけである。

そんな皮肉げな一幕はあったが結果的にどの国も崩壊した。
欧州が革命で燃え、アメリカが崩壊し、中国が消え、ロシアが周辺で手一杯となった状態では経済活動などろくに安定させられず、更に今が好機と言わんばかりに積年の恨みを抱いた各勢力が武装蜂起。

ここで蜂起した勢力が勝利すればよかったのだが、彼らとして国際ネットワークまたは欧米や近隣諸国から支援を受けていた身であるため、それらがなくなった状態では現地の正規軍と五十歩百歩な戦闘にしかならず、しかしそれぞれがそこそこの規模はある勢力であったため永遠と決着のつかない戦闘となり仲良く疲弊していき、そして既存勢力たちは現地の国々と共に姿を消していった。

北アフリカ一帯は旧国軍、自衛のための民兵、蜂起した各種武装勢力、安住の地を求め暴れだした欧州難民と様々な勢力が乱れる紛争地帯と化した。

そんな中で唯一国家機能を維持していたのがエジプトであったが、こちらはイスラエルの核パルスの一件で混乱が頂点に達し崩壊。
自国民と周辺難民と武装勢力が入り乱れる地獄と化した。
その後スエズを渡ったイスラエル軍によりカイロやアレキサンドリアが確保された際に秩序がもたらされたというのが皮肉であろう。


西部、中部、東部のアフリカ。
こちらも北アフリカ同様である。むしろ北アフリカよりも治安崩壊するのが早かった。
違う点と言えば欧州難民が辿り着いていない点。逆に言えば違う点はそれくらいで旧政府軍、自衛民兵、宗教民兵、武装勢力、近隣諸国から発生した戦争難民や正規軍崩れの野盗などが跋扈する世紀末と化していた。

人権は地に落ち、血で血を洗う日々が日常茶飯事と化した。
暴れる勢力の中には中国が送られてきた大量の労働移民とそれらが結成したチャイニーズストライダー(モータリングモヒカン)も存在していたことは特筆すべきだろうか。


既存秩序が崩壊した大多数のアフリカの中で唯一崩壊を免れたのが南アフリカであろう。
元々ある程度国力があった彼らは南アフリカ共和国を中心に周辺戦力をまとめ上げ、襲来する現代モヒカンたち相手に徹底抗戦を行った。

幸いインド洋経由で日本が立て直したインド洋経済や東南アジア経済に接続できたため経済においてもある程度の安定を得ることに成功。

アフリカ唯一の人類文明圏死守に成功した。

その中で各地から逃げ込んできた欧米人を始めとする在アフリカ外国人を保護するための特区を設立。
24時間軍隊で守られこれら避難特区を人々は皮肉を込めてアパルトヘイト(白人隔離区域)と呼んだ。

何せ警備の南ア軍が最も警戒していたのは外からのテロリストではなく自国民からの攻撃であったのだから。

285 名前:トゥ!ヘァ![sage] 投稿日:2023/11/06(月) 18:07:39 ID:FL1-133-209-109-210.kng.mesh.ad.jp [92/187]
今度は崩壊後の暗黒大陸へと話題を移す。
既存秩序崩壊後のアフリカは正に暗黒大陸と呼べたが、それはある意味旧時代の価値観から見た場合であった。

元々治安が左程良い地域でなかったことも相まって世紀末が訪れたからこそ新しい秩序が生まれるのも早かった。

有力部族、強大な武装勢力、死守に成功し都市国家となった地域。
未だ革命勢力跋扈する欧州や残党が軍閥かする中国の大地と比べればそれはある種秩序と言えるだけの均衡をもたらした。

労働力または娯楽用として復活した奴隷市場に並ぶ人々。
それらを売り買いし、原始的な荘園を復活させた有力者へと駆け上がった武装地主たち。

武力をもって奴隷や農作物を狩りだすストライダー(モヒカン)たちに、それらや民兵に武器を売りさばく武器商人。
武器商人たちが扱う兵器を製造する都市国家や独立工業勢力。

無論依然と比べれば供給量も質も下がっており、武力衝突も頻発するようになったが、しかしそれこそが暗黒大陸となったアフリカにおける日常と化した。

お手製AKを抱えて仕事に励む農民たちや旧国家群の軍事工場を占領し武器商人へ転職した元テクノクラート。
最大武装勢力として好き勝手暴れる旧国軍にそれに対抗する宗教民兵や民族民兵。
それらと別に騎馬民族じみた回遊生活を送るチャイニーズストライダー。

国際社会によって半端に文明化され残った工業が軽工業じみたものとなり受け継がれ、歩兵火器の類や古い時代の戦車や車の製造能力が確立された結果と言えよう。
何より欧米と違い地元で資源が潤沢に取れる故にある程度の量の兵器製造が生き残ることとなったのだ。

無論その工業的な精度は何段階も下がっており、半世紀近く退化した地域も珍しくないが、旧時代からして治安の悪い地域、技術力の低い地域では元からそんなものである。

ある種過去と現在が混ざり合った奇妙な生態系が新たに誕生していたのが、現在の暗黒大陸(世紀末アフリカ)と言えよう。


そしてそんな情勢であるゆえに未だ逞しく生きていた各種商人たちは必然欧州の革命勢力とエジプトのイスラエルへとも接触していった。

まあ一番物が良く売れそうという単純な理由からであったが、人、物、兵器、資源。
その全てが足りずに悩み、何より他の国々とほぼ交流が断絶していた両勢力にとっては数少ない交易できる相手だったのが大きかった。

そしてジブラルタル海峡経由の欧州・新モロッコを経由し、地中海または北アフリカを通ってイスラエルが占領するエジプトまでの道を人々はブラックロード(暗黒大陸の道)と呼び始めたのだ。

それは治安に比例して安定していない、旧時代と比べれば笑えるほど不安定で流通量もか細い道であったが、しかし確かに交易路と呼べるだけの繋がりが生まれていた。

イスラエルの支援を得られた資源商人は重武装化し、かの国が求める資源の安定供給を始め、欧州から大量の奴隷を買い付けた奴隷商人はそれを人員を求める勢力に手広く売りさばき北アフリカにて一躍有名となった。

最もイスラエル(近代国家)が求めるだけの資源量なんて得られもしなかったため、後にイスラエルはアフリカにおける資源回収用組織を立ち上げる羽目となり、欧州革命政府群からしても消費する武器弾薬と食料を完全に賄えるだけの量を手に入れられていたわけでもなかったが…


この他にもチャイニーズストライダーは一か所に留まらないその性質からある種の略奪者兼武装キャラバンとなり、血風響くアフリカ大陸各地の物資を生き巡らせる一助となり、ある程度治安維持に成功した都市は都市国家となり、あるところは周辺を武力制圧して新たな国を興し、あるところは工業を活かし武器工場として力を獲得していった。

それは既存秩序から見れば秩序などと呼べない代物であったが、しかし確実に既存のものとは別の何かが生まれ、現地の人々はそれに順応していっていたのも確かである。

286 名前:トゥ!ヘァ![sage] 投稿日:2023/11/06(月) 18:08:24 ID:FL1-133-209-109-210.kng.mesh.ad.jp [93/187]
〇説明

  • アパルトヘイト(白人隔離地区)
正式名称が外国人保護区。
唯一文明の死守に成功した南アフリカ政府が保護した外国人を生活させる場として作り上げた保護区のこと。
南アフリカ各地に存在しており、凡そは南ア軍が直々に警護している。

表向きは反外国思想テロリストからの保護であるが、実際には南アフリカ人口の過半を占める黒人層から主に保護した欧米人を守るための政策である。

祖国と連絡のついた人物から順次送還されていったが、元の国が滅亡または全く別のものと化した人々も少なくなく、そういった人々の多くは保護区内で新たな仕事に就くか、南アフリカ軍や同国が経営する国営PMCに就職している。



  • ブラックロード
暗黒大陸交易路網。血と硝煙に濡れたアフリカ版シルクロードである。

主に取引されているのは武器弾薬、各種資源、奴隷、飲食料など。

この中で最も価値があるのが飲食料で次に資源と武器弾薬。最も安いのが奴隷である。
旧時代の時期は人口飽和時代であったため各種混乱と現在進行形で起こっている武力衝突を加味してもアフリカ人口は非常に余りまくっていた。

凡そ安い労働奴隷は半ば使い捨てとして対立勢力同士の戦いで肉壁にされたり、死ぬまで農場また鉱山などで使い潰されている。


ブラックロードと大層な名前がついているがその実態はか細い交易網が複数寄り集まったものであり、主にジブラルタル海峡からエジプトまでを結ぶ地中海に面した北アフリカ一帯と、そこに繋がる内陸部や西部の交易路をまとめた大交易網のことを指す。

旧時代のインフラ網が壊滅していることも相まって一度に取引されている量は左程ではなく、量を確保したい場合は取引数で補う必要がある。
このため近代国家であるイスラエルや大人口地帯である革命欧州地域などは必要とされているだけの品物を満足に確保できていない。

因みに流通量が多いのは1奴隷、2弾薬、3酒である。
価値に関しては逆で1酒、2弾薬、3奴隷となっている。



  • チャイニーズストライダー
通称武装回遊民。

アフリカに飛ばされていた中国人労働者を中心に立ち上げられた新たな部族?である。

時に略奪し、時に売買しながらアフリカ各地を移動しており、アフリカの流通網活性化に一役買っている。
彼らが販売しているものが略奪品なのか、どこからか買い取ったものなのかは誰も気にしない。

地味に技術力がある集団であり、自前で自動車の整備や組み上げ、パーツの加工などを行える。
このため高い機動力を保有しており、各地の武装勢力に傭兵として雇われることも珍しくない。




  • 資源回収組織
イスラエルや革命欧州勢などが独自に組織し、アフリカに派遣している勢力のこと。

アフリカの武装商人からもたらされる半端な量の資源や物資だけでは国家が欲する量に遠く及ばないため、度々自ら送り出している専門の回収部隊である。

イスラエルは引率役に自国正規軍を採用し市民権を餌に元奴隷や有望な現地民、または欧州難民などから人員を募集した専門部隊を形成している。
こちらはそれなりに上手く成果を出しているが、満足な余裕ができるだけの量には未だ届いていない。

革命欧州勢は有力な現地武装勢力や正規軍崩れなどを雇い入れ、彼らに任せて資源回収(略奪)させている。
勿論現地組による横領も頻発しているため、こちらは思ったよりも成果が出てないのが実態である。

287 名前:トゥ!ヘァ![sage] 投稿日:2023/11/06(月) 18:10:12 ID:FL1-133-209-109-210.kng.mesh.ad.jp [94/187]
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暗黒大陸アフリカ爆誕!
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最終更新:2023年12月09日 17:09