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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその一〇〇


戦闘の終了後に電達は神崎島の政府中央艦常世に戻っていた。
電が倒れていた時に見たものを提督である神崎に伝えるためだ。
マシュやトウカイテイオーを引き連れ艦橋を目指す電、その腕にはこの艦にいる筈のない人物の姿もあった。
そして艦橋に着くとその扉が開く、そこには愛する夫とまだ何も知らないゲート日本の総理の姿があった。
これから話すことの内容を思うと彼のお腹が心配になる電なのであった。



…気づけば暗い劇場の中に電は観客席に座っていた。
何処からか映写機のカラカラと回る音がすると急に眼前が明るくなり、銀幕に自分に似た一人の少女が映し出される。


『全自動人形の信号途絶…前線の陸戦自動人形部隊の壊滅を確認……これで地球に残った自動人形は電だけですか…。』


そう言いながら銀幕の『電』は手元の情報端末から目を離し机に置くとと部屋を出ると早足で歩き出す。
背部に背負った艤装には至る所に破損箇所がありそれらを応急的に塞ぎ腰部魚雷発射管は片方が失われもう片方も三門全て存在しない。
『電』が歩く通路には傷付いた軍人達で溢れ返り、痛みに呻く声が溢れる。
『電』は歩き続けると管制室の様な場所へと入っていくとそこでは多くの人間たちが行き交う。
その管制室のガラスの向こうには幾つもの大型ロケットが発射台に備え付けられている。
その場の長と思われる人物に話しかける。


『電かどうした?』

『出発を早めて下さい。可及的速やかに。』

『安全確認がまだだこれでは安全に『そんなこと言ってる暇はないのです!』…電。』


電は長の服を力の限り掴むと叫ぶ。


『前線部隊は全て玉砕したのです…残る自動人形は電のみなのです…。』


その言葉に息を呑むスタッフ達、電は長の服から力無く手を離すとその場にしゃがみ込む。


『貴方達で最後の船なのです。どうか…どうか生き延びて下さい…電に今度こそ守らせて下さい。』


電はこれは何処かの『電』の記憶だろうと当たりをつける。
それ以外にも『大和』の記憶であったり、『鳳翔』の記憶であったり、『秋津洲』の記憶であったり映し出される。皆最後には果てているが…。
そうして唯一生き残ったのが…。

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「戦後も生き残った『響』ちゃんでなく『電』…史実で姉妹を一人ぼっちに残して逝ってしまった『電』が生き残るとは皮肉も効きすぎなのです。」


溜息を吐く、それも生き残ったのは自分らの戦後と違い唯一人…それに地球上には国土も国民も残らなかった。


「ヂラールとの戦争による末期戦の何処かの『地球』、
人類が滅びる直前でのゼスタール合議体との邂逅…そして生き残った人類の宇宙への脱出……。
並行宇宙の地球もハードもハードな難易度な上にゼスタールとの邂逅も大海の中から砂粒一つ見つける様な奇跡なのです。」


世界を侵食する母神や地球をも飲み込む荒ぶる呪いの神。
そしてドイツに在ったそれぞれが一つの世界そのものと言える様な存在と戦った自分らとどちらがマシか…。
だが、世界の危機の優劣考える方が愚かとの思いに至る。


「しかし科学技術や人類そのものの高潔さは史実や司令官さんが最初に転生されたあの世界より上なのに実に惜しいのです…。
転生者による努力の結果、貧困を無くし食料危機等も回避…戦争も管理することで人類間の全面戦争という人類自身による自殺の根絶を"ほぼ"成し遂げた…、
それはいいのです。
人類という種のみの平和を維持する為に制限された軍備と軍事技術…核などの大量破壊兵器や相応の兵器や軍備が開戦当初からあればもう少し粘れたでしょう…。」


画面の中の『電』始め艦娘らしき者達は学校の様な所に居る。
その教壇に立つ老齢な教師…いや教官らしき男性が口を開く。


『…人類は敵性体BETAの堅固さに苦戦し続けたがその原因とやつらに対抗する存在を発見した。
それが生体波動と呼称される人間始め生物や時代を経た、或いは強い想念が込められたものが発するある種のエネルギー波動だ。
それまでに多くの人命を使い潰したが…。』


教官はページを捲る。


『発見されたのは特攻兵器及び肉弾戦がBETAに効果的であったが故に研究されたからだ。
人間の発する生体波動はBETAを覆う防護膜と言うべきものを破ることが可能だったが有効距離が短い或いは命が燃え尽きる直前に最大限の効果を発揮。
結果肉弾戦や命を犠牲にすることを強いられることとなり兵士の消耗が更に増えることとなった。
生体改造、遺伝子強化、身体の機械化をしてもなお止まらぬ犠牲。それ故に生まれたのが貴様ら自動人形…人間をベースに量産可能とした生体兵器…。
そして貴様ら艦艇型自動人形は転生者達の世界で強い想いが込められこの世界にも存在した世界大戦の艦艇の一部を組み込み生まれたという訳だ。』

608:635:2023/12/07(木) 07:23:28 HOST:119-171-251-211.rev.home.ne.jp


その言葉に高潔だった人々が進んで獣以下に堕ち、倫理を捨てる…余りの遣る瀬無さに電は首を横に振る。
そして人類が脱出した後の時系列だろうか。
銀幕の内では『電』が壊れた艤装を背負い涙と鼻水で泥と埃で汚れた顔をぐちゃぐちゃにしながら自動人形や人間達…姉妹や戦友達の遺体を引きずり、
一人、一人の為に作った墓の中へと丁寧に埋葬していった。
膨大な戦友達を弔いその墓守をする日々が始まった。その時間大凡百年、その間ずっと『電』は一人ぼっちだった。
そして百年の長き後に『電』は【彼女】と出会った。人類の途絶えた地球(ほし)に現れた【彼女】。


「女性の藤丸立香…あの子のもう一人の先輩さん…。」


倒れている彼女を、立香を発見した時に『電』は声にならぬ声を上げ歓喜に泣いた。
まだ人類はこの星で生きていたのかと『電』が守るべき存在はまだいたのかと、まあ『電』の勘違いだったが。
それでも『電』は己の存在意義故に並行宇宙のとはいえ此の地球(ほし)で最後の人間を守るために戦い続けた。
その戦いの最中に宇宙に脱出した人類や女性の立香の仲間達と再会したり、立香の仲間全員の命が奪われスール化したりしたがずっと『電』は立香の側に居続けた。
あの『先輩』と旅を続け戦いの電の妹の如く、そして…。


「彼女を、藤丸立香を守るために命を落としたと…そんなとこまであの子をなぞらなくなくても…。」


銀幕には艤装の機関を暴走させ大型ヂラールに特攻する『電』の姿を見送ると電は溜息を漏らす。


「それで…コレを見せたのは自分の代わりに彼女を守って欲しいと…そういうことですか『電』?」


座ったまま視線を向けると血塗れで身体を欠損した青白い肌の『電』がそこに居た。


「彼女のことが心配でそんなになってまでも側にいましたか…。」


よっと呟き客席から立ち上がる。


「何もかも守りたいと望みましたが遠い何処かの自分の大切な存在までとは…。
いいでしょう…電は艦娘…死を背負う者、貴女の死と願いくらいはへっちゃらのです………え”っ”!?」


銀幕に映る映写機の灯りに浮かぶ『電』の周囲を見渡せば見知った艦達が並ぶ。
皆顔に血の気はなく、血を流したり身体の一部がないなど死の相が強く出ているが。
それ以外にもエラい数が………。


「………(汗)。『電』一人くらいは平気へっちゃらなのですが…流石にこの人数は……ちょ!ちょ!?待って下さい!?ふ、ふにゃあああああああああ!?」

609:635:2023/12/07(木) 07:24:09 HOST:119-171-251-211.rev.home.ne.jp






「………というワケで改修に近い状態で一度に自動人形の皆さんが多量に流れ込み電は飽和してしまってあのザマだったのです、司令官さん。」


倒れた時の状態を神崎に語る電。
例えるならばドカ食い気絶部(強制)とは電の談、そんな彼女が現在いるのは政府中央艦常世の艦橋。
頭を抱える旦那(提督)の反応見ながら話す電、その腕には藤丸立香(女)が縋り付いて涙目だ。
隣ではマシュが電お姉さんは私のお姉さんです!と騒いでいる。

立香がココに何故いるのかと言えば戦闘終了後にまで話は遡る。
女の立香はマシュに知人を紹介され、まず一番近くにいたトウカイテイオーが友人として紹介された。
立香から見れば見たこともない種族(周囲には似た姿の人物がたくさんいる)であるがドン・キホーテの従者サンチョに似ていると立香は感じた。
馬耳に馬の尾…確かに通じるものがある。

更に自らの実姉と電と雷として紹介された。
マシュの実姉というのも衝撃的なのだが、その片方が自分の為に命を落とした自動人形のあの子生き写しな上に同じ名前…。
無事なその姿に目から溢れるものがあったが世界が違う。
全くの別人と思いを涙を堪えどの様に自己紹介を考えていたら。


「初めまして…いえ…あの子の記憶がある以上お久しぶりと言うべきなのでしょうか?”司令官さん”。
あの人がいる以上私の司令官さんではないのでぬふぅっ!?」


言葉を続けようとした電の言葉が止まる。
突如として立香が電の腹に突撃、倒れ込んだからだ。
それを見て何かすごい顔をするマシュ。

『司令官さん』、それはあの子…自動人形の『電』の立香への呼び名であった。
電の胸に顔を埋めながらあの子なのかと問う藤丸立香。
対し当人ではないが記憶と魂を受け継いだと答える電の言葉に更に腕に力を込め引っ付き虫の様に離れなくなった。
なので常世まで引っ付けたままやってきたのである。
ちなみに男の方の藤丸立香はカドックやキリ様、異聞帯の皆とストームボーダーの方に行って事情説明中、後、マシュの一人にも行って貰ってる。
駆逐艦霓としてのマシュは数百人以上の平行世界マシュが乗員代わりなのでそんなことが出来る。
シレイラ号艦内でその事決定した時にその場で後処理とストームボーダーに着いていく為に乗員マシュを沢山出した際にはそれは大騒ぎになった。

で、ストームボーダー乗艦しゴッフとかに男立香が何をしていたかと問われば秋刀魚漁をした後、
テーマパークチェイテピラミッド姫路城ランドに行っていたと答えて宇宙猫な顔をされていた。
なおそのストームボーダーは常世と接続作業中である。


「それにしても『転生者』か…。」

「なのです。『電』の記憶鑑みるに転生者を纏める団体もあるようなのです。」

「それこそ夢幻会の…ようなか…。」


そんな話をする二人を他所に側で話を聞いていたゲート日本の総理は疑問を感じる。
『転生者』とは何か…いや所謂閣下から創作とか説明する時に説明を受けた気もする、やろうだかなろうだかとか。
転生という言葉だけ聞けば仏教の用語が思い浮かぶがアレは仏教の死生観というか思想を示したものであって現象や存在を示すものでは無い筈…。
まあ、神仏が実際に存在する銀河連合日本では死後そのものが存在するようであるが。


「すみません神崎提督。転生者とは何でしょうか。」

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ゲート日本の総理のその言葉に神崎と電は互いの目を合わせるとああという顔をする。
座礁やら召喚やらで異界からなんか来るのが当たり前な銀河連合日本では転生も当たり前だがこの世界ではまだ創作上のことでしかないのだ。


「分かりやすく言うならば生前の記憶、人格をもったまま別の世界やパラレルワールドの現在や過去、未来に別人として生まれ変わった人のことなのです。」


電が説明に驚く総理、普通のゲート日本人の死生観からすればそれも仕方ないだろう。
死ねばどこに行くと聞けば普通の人間は天国や死後の世界、悪人は地獄に落ちるというのがゲート日本人の死生観だろう。
それが別世界に人格や記憶持ったまま転生とは…。


「ああ…思い出しました。所謂なろう作品と呼ばれるアニメなどの凄い力を得て知識と人格そのままに異世界に生まれ変わりその力を振るうという。」

「はい、でもあの大日本帝国のあった世界はそういったチートはなく生前の知識や経験のみしか引き継げなかったみたいなのです。
それでも転生者が中心となり各国が協力し数千年の時間を掛けて永続的な人類の発展、
戦争の抑止や核兵器の廃絶などは成し遂げ完全な平和に至りかけたのです。」

「夢みたいな話ですね…転生者の、人の知恵とはそこまで行けるのですか…。」


ゲート日本の総理はその世界を羨むがそうは簡単なことではないのだろうと神崎は言う。


「はい、戦争が多くあった世界の転生者の警告もあったそうですが戦争をほぼ根絶した彼らはヂラール来襲に際してまともな軍事力がないために防衛戦すら満足に行えなかったのです。
来襲初期には戦線は崩壊の一途を辿り各国は陥落、中期は唯一効果のあった肉弾戦や特攻頼み。
末期は戦前より存在するアンドロイド技術より派生し戦中に急速発展したサイボーグ技術、
そして遺伝子改造クローン技術などを用い生み出した自動人形と呼ばれる人間ベースの兵器が主力を担ったのです。」

「そして最後は地球を捨て脱出、ホモサピエンスであることもやめることになったと…。」

「………。」


平和を成し遂げかけた世界の未来というには余りにも悲惨な末路に声を失う総理。


「総理さん、ペンは銃より強しと言いますがそれは平時で平和な国での話。
殺意ある暴力の前にはペンは余りにも無力なのです。力なき正義は無力なのです。」


電の言葉が総理の耳にやけに響いた。

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以上になります。転載はご自由にどうぞ。
ゲート日本は平和憲法なぞ暴力の前にはゴミでしかないこと、タヒんでなろう転生しても先が安全とは限らないことを突きつけられるのでゴザル。

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最終更新:2023年12月28日 19:08