859:リラックス:2023/12/24(日) 13:44:59 HOST:softbank060103073056.bbtec.net
ちょっとリハビリがてら、
厄いものが湧いたみたいです~α/乙世界にインタビュー~
戦争は変わった。
外交や威信のためではない。思想や国家のためでもない。
餌を求める魔物と、文明を維持したい人類が、果てしない生存闘争を繰り返す。
国家間で節度を持って行われるべきとされた戦争は、死を現実的な恐怖と認識させる生物災害へと変貌した。
統治は変わった。
ID登録された国民たちは、国家でなく人類という枠組に所属し、供与された社会と文明の恩恵を受けて生活する。
社会という体制を守るため、彼らは戦い、インフラを提供される代価に彼らは管理される。
エネルギーの制御、情報の制御、ミームの制御、遺伝子の制御、ヒューマンパワーの制御。
全ては監視され、統治されている。
『人権』は変わった。
人権とは生まれ付き持ったモノでなく統治者により保証されるモノとなり、テロリストや思想犯による扇動は過去の物となった。
そしてミームの制御は、歴史のコントロールをも可能にした。
戦争は変わった。
戦場が人類の制御管理の手を離れた時、戦争は国家の取り得る『手段』の一つでなく、向き合い対応し続けねばならない『社会問題』へと変化した。
これはほんの少し前、その頃生まれた世代の子を相手に恋愛したら君たちの社会じゃ問題扱いになる程度には新しい話さ。
非対称戦争だったはずの、低脅威戦争だったはずの魔物との戦いが、人類文明の存続をかけて行われる、この惑星の覇権を求めて行う総力戦だと認識が一変した事件。
電子音声合成ソフトを用いた動画なんかでは今でも人気なジャンルだね。
時に西暦20XX年。
魔物がβ/甲世界から流入して大騒ぎになって、被災地と言って良いのか、兎に角魔物被害が激しくて5000年だか10000年だか、兎に角いっぱい歴史があることを自慢してる大陸国家やホワイトなせいか黒歴史を誤魔化す為に極端から極端に突っ走った西洋国家が崩壊した直後のことだ。
あの後は一旦は小康状態になったし、露米もあちこちにあった亡命政府もまだまだ元気いっぱいで『一時的な緊急状態』って認識していたね。
今思えば、まだまだ頭の中がお花畑だったと言う他ないが、対処を間違えなければ有り得たかもしれない未来だった。
そうかい、君達もそう思うか。『むしろ、何故そうならなかったのか分からない?』ふーん、そうか、そうか…
ああ、気にしないでくれ。こっちの話だ。
まあ、結論から言ってしまえば、そう、『かもしれない』未来だった。そうはならなかった、そうならなかったんだよ。
その話は少し置いといて、兎に角保護した難民とか魔物の生息域と隣接することになってしまった住人向けに、コロニーって呼ばれる要塞都市が築れた。
前線拠点を兼ねたコロニーは地下に核融合炉だか反応炉だか、兎に角そういうエネルギー供給施設と、生活排水やゴミを処理して燃料や食料に日常生活に必要な自給自足を実現した…長期間、孤立して引き篭もることになっても年単位で籠城可能な施設だった。
β/甲世界の支援を受けた日米の支援によって建築されて、魔物退治の為の軍隊の前線拠点にもなるよう、武器弾薬もある程度の物が製作できるようになっていた。
まずは魔物の生息域がそれ以上広がらないように、封じ込めを狙う意図もあったね。
そんな都市があったのに、何故、崩壊して大西洋圏が人類の手から離れたのかって?
良い質問だ。確かに、一度根付いた魔物を駆除するのは困難、というより手間だけど単純な脅威という意味ではそこまでではないのは間違いないさ。
じゃあ、どうしてかって?
バイオトロフィーとハニートラップって知ってるかい?
β/甲世界では人型の魔物は最警戒対象になってて、魔物との性的な交わりをした時点で人間から魔物に扱いが変更されて殺処分されるくらいの重罪な訳だけど。
ホワイト以外の血が少しでも入ったらソイツはもうホワイトじゃない(一滴の血の掟)だのホワイト以外は人間じゃない認定だのといった解釈を出して奴隷商売の利権問題と教義との矛盾の整合性をつけていたのを黒歴史扱いしたい連中とか、それを御題目に自分の性癖を正当化する根拠にしようとした奴とか、それに煽られる連中を利用して利権で美味しい思いをしたい奴とか、煽られた連中とか、煽られたってことにして暴れればセーフって考えた馬鹿とか… まあ、色々といたんだよ。
ちなみに、何故にβ/甲世界でそこまで病的に取り締まってんのかって言うとさ、粘膜接触した相手に細胞を植え付けて自我を操るって生態を持つ魔物が存在するんだよね。
まあ、それに操られた連中に『地球は人類だけのものじゃない』とか『魔物は可哀想な被害者』だとか… 難民相手に言っていた内容の主語を魔物に直したロジックで煽らせることを思いついて実行するくらいの知恵のある魔物もいたんだな、コレが。
860:リラックス:2023/12/24(日) 13:46:01 HOST:softbank060103073056.bbtec.net
後はもう、話は簡単だ。強固な要塞ってのは外敵に対する備えはしてあっても、内部の敵に対して想定は… いや、実のところ、β/甲世界オリジナルの設計だとセキュリティと治安維持システムというカタチで想定していたんだけどさ?
まだ、国家としてβ/甲世界と対等以上という意識の強かった各国がβ/甲世界の価値観を基にした取り締まりを受け入れたり、要塞都市の運営をβ/甲世界に預けたりする訳ないよね?つまり、その辺りが機能不全を起こした結果、魔物の生息域拡大阻止の第二段階でも大失敗したんだ。
え?そこまでアホな訳ない?緊急事態の時にもアホなことやる訳ない?
アッハッハッハッハはははははははははゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラガハッゴホッごほ、ゲホ(過呼吸
~しばらくお待ちください~
はー、はー、いやー、笑った。
え?何がそんなにおかしいって?
いや、反応が予想通り過ぎてさぁ?
良いか?現状をアホやってる場合じゃない緊急事態って判断ついて、緊急事態だからアホやってる場合じゃないからアホやるの辞めとこうって、いざという時に出来る奴は普段からアホな真似晒さないからね?
そんな訳ない?緊急事態の判断くらいつく?馬鹿にし過ぎ?
例の
パンデミックの時のこと思い出してみなよ?早期治療の方法が無い内から単純に検査をした人の数を増やしても意味がないというのを理解せずに無駄に人を集めて返ってクラスターの原因作ったり、
目的でなく副作用伴う荒療治という手段のロックダウンを『やらない政府の対応はクソ!危機意識が足りない!』とボロカスに言ったり、『マスクで感染予防とか笑わせる』と草生やしたり、口マスクを『どれだけ叩いても良い』という認識止まりで何が問題なのか考えずに騒いでいただけの連中が鼻専用マスクを開発したり、それを見て画期的と盛り上がったり、
かと思えばワクチンに対して全力のネガキャンやったり反ワクチン派が正義を基にワクチン接種を妨害したり…
アッハッハッハッハはははははははははゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラガハッゴホッごほ、ゲホ(過呼吸
~しばらくお待ちください~
いやいや、繰り返しはギャグの基本というけど実際にやるのは反則でしょ?
さっき言ったよね?『むしろ、何故そうならなかったのか分からない』って。
うん。
魔物の脅威を「ちょっと時間はかかるけどその内解決する」って程度の認識で、『何故そうならなかったのか分からない』という風に判断をしていたのを『本当の緊急事態だ』って危機意識を持っていたとは言えないなぁ~、って、話ですよ。
ネタとして、というけど、ネタになるほど言われてるってのは、ある程度は本気にしててワンチャンある?って質問してるのと、ガチに本気にしてる奴が一定以上混じってるってことなんだよね。
「ちょっと火遊びしたくらいで大事にならないだろうし」みたいな若気の至りで刺激を~って遊ぶついでに美味しい思いを、って連中とか、ネット上で扇動すれば一定数は釣れちゃうもんよ。
そうはならんやろ?でも、そうなったんだ。そうなったんだよ、君ぃ。
悪夢よりクソな現実、そこからこの話は始まるんだ。
そして、各要塞都市が連携して対応するようにした方が効率的とやっていたこともあり、一ヶ所二ヶ所なら兎も角、複数ヶ所で実際に問題が起きた時には既に対処出来る段階は通り過ぎていた。
出来るのは大西洋圏が魔物の生息域に落ちるだけで済むよう、事態を一旦ソフトランディングさせることだけだった。
で、β/甲世界は危惧した訳。
α/乙世界側で人類という天敵を駆逐して伸び伸びと数を増やした魔物が文明を築いたり進化して手に負えなくなる可能性を。
で、行われたのがα/乙世界におけるテコ入れね。
現代国家が国家として魔物という社会問題に超長期的に取り掛かれるよう、悪い言い方をするならα/乙世界における魔物退治に取り組む代理人として手綱を握るってこと。
で、意識改革を兼ねて行われたのが利権屋とか活動屋の処分。
背後には結構込み入った事情の元、呉越同舟同床異夢な連中の思惑に加えて魔物に魅入られた連中の意志も複雑に絡み合って、結果的に協力関係が成立したことにより組織的な抵抗が発生していて、かなりの大事になった。
861:リラックス:2023/12/24(日) 13:48:23 HOST:softbank060103073056.bbtec.net
グローバリゼーションの浸透とソーシャルネットワークの普及によって不特定多数との存在とリアルタイムでやり取り出来てしまったこと、仮に外部協力者によって必要な業務を委託…こんな風にホントの意味での協力体制が成立していたらヤバかったろうな。
この結果、そうしたシステムを逆用した統治と取り締まりが考案された。
どんな無敵に近いような奴でも、活動に興味を持って社会に物申そうと考える奴は何かしら社会からのサービスは受けている。
ある程度の情報隠匿技術が発注する側にあったとしても、サービスを提供するシステムの管理側が監視を目的にしてシステムそのものを制作していたら大して意味がない。
金融、情報、通信、エネルギー…、如何に無敵の人と言っても、鄙びた漁村でひっそりと自給自足乃至原子時代みたいな生活を営めるような奴は承認欲求とかで活動屋の真似事に手を出さないからな。
自分が安全圏にいないことを嗅ぎ取るのだけは上手い奴の中には、少し前までのお仲間を取り締まることで自分の安全の代価にしようって連中もいた程だ。
そういう連中の互助組織と偽って情報を提供し、仕事と報酬を与える。
互いに素性など明かさずに速やかに取引を終えてしまう。
これを重ねて行けば壮絶な内ゲバというカタチで利権屋だの活動屋だの国内の怪しい団体の掃除を、『俺はやるぜ、何かを!』って暇とやる気だけ持て余してる連中の潰し合いってカタチで自動的に進められるって訳だ。
どちらも殺処分の対象として、しっかりとマークされて、両方とも記憶や人格の問題のあった部分のみ編纂した後、資格や知識をナノチップエキスパンションシステムでインストールして、政府の紹介する仕事に就いて社会に貢献することで健全に承認欲求を満たしているよ。
この過程で魔物が入り込みかけていたことから遺伝子情報と国民IDと戸籍とを紐付けた管理体制も導入された。IDを凍結されたり、ブラックリストがつくとあらゆる社会サービスに制限がつくから、それを解除する為にも社会奉仕活動を頑張るって訳だ。
問題にならないのか?そりゃ、意識改革の前ならいくらでも問題になった、いや、問題に出来ただろうよ?
でも、政府や国家が倒れた後、個人として魔物に向き合った際に人権は果たして保証されるのか?という問題を考えた時、どうなるかは明らかだった。
自由を縛るはずの檻が、身を守る為の要塞だったことを理解らせられちまったって訳さ。
少し話は変わるが、それと並行して政治側の占領作戦も行われていた。とは言っても、実の所そこまで大したものじゃない。
同じ日本人である為に潜伏が極めて容易な上に、魔導技術を導入した特殊部隊の動員に加えて、魔導技術への対策やスパイ防止法などそもそも存在しない相手では、ね?
これらにより、α/乙日本の政治中枢部とマスゴミはあっという間に制圧されてしまったという訳だ。
で、強固な中央集権体制と長期間の国家プロジェクトを実行可能な体制の構築。
その一環として日本国憲法の発布満了…え、発布満了って何だって?改憲だと色々と煩い奴がいるし、著作権法ガ~とか色々と騒ぐし、日本国憲法は大日本帝国から日本国へ生まれ変わる為の物として役割を果たしたことで『改憲』でもなく『廃止』でもなく、役割を果たしたということで『発布満了』ということになったの。
ま、魔物と人類の区分とか魔物という存在への対応とか全く記述もない故に既存憲法で対応するのは無理があるってのは正論っちゃ正論な訳だけど。
そうして発布された新憲法が後に環太平洋条約機構加入者全員の規範となって、通称太平洋憲章と呼ばれるようになった訳だけど。
後、自衛隊は組織名変えると刻印や書類の名称変更の為に膨大な手間がかかるってことで、捻り出されたのが国境警備軍という組織を作って、自衛隊という組織はその中の一組織、『日本国国境警備軍○上自衛隊』、公式の略称『日本国○上自衛隊』とすることで誤魔化したの。
ちなみに国境警備軍は主に魔物との生息域との境界線を押し上げていく、主に魔物を相手にする国防組織で、自衛隊はその中で対人類との戦いを想定した部隊として棲み分けすることになった。
ここから主に魔物と魔物認定された旧α/乙世界の住人とか相手にすることになったり、メタルギアみたいなガラパゴス兵器を実用化して実戦配備した訳だけど。
これがα/乙日本国を中心とした環太平洋条約機構が魔物種の天敵としての存在が築き上げられ、α/乙世界が再編された経緯さ。
分かっちまったら大して面白い話でもないだろう、残念だったな。
わざわざこんな長話を、最後まで聞いてくれてありがとうよ。
それじゃあな。 チャオ~
862:リラックス:2023/12/24(日) 13:49:57 HOST:softbank060103073056.bbtec.net
以上、【終わり、或いは新たな夜明けの話】と 厄いものが湧いたみたいです~新しい惑星が現れました~ の間の空白期の話
最終更新:2023年12月28日 19:32