164 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/12/01(金) 19:05:12 ID:softbank126036058190.bbtec.net [44/215]


憂鬱SRW ファンタジールートSS 「ラッキー・ホワイト」



  • F世界 ストパン世界 主観1944年12月 オラーシャ帝国 ペテルブルグ 502JFW基地 フリースペース



 502JFW麾下の部隊として活動するのが、101独立飛行小隊「オーカ・ニエーバ」である。
 主体である502の支援を行い、作戦においては協力することで任務遂行を手助けするというのが彼女たちの役割である。
 とはいえ、名前にもある通り、502JFWからはある程度独立した部隊としての要素を持っている。
ウィッチとウォーザードが戦場において発揮できるパフォーマンスは差があるし、ユニットとしての運用にも違いがあるためだ。
一歩間違えば502JFW内での意見対立につながるかもしれないが、どちらかに基準を合わせることが土台無理なのでしょうがないという面もあった。

 さて、その日、「オーカ・ニエーバ」の面々は久方ぶりに4名が揃ってフリースペースに集合していた。
夜間哨戒や遠隔地への偵察、AWACSとしての戦闘支援などがあるために誰かが出撃していることが多い中で、非常に珍しいことだった。
それもそのはず、今日は直近に迫った「オーカ・ニエーバ」への増員について話をする場であったためだ。
 全員が資料を手に取って目を通したタイミングを見計らい、カーチャは話し始めた。

「エマ・ホワイト少尉。今度『オーカ・ニエーバ』への増員として派遣されるウォーザードよ。
 経歴については……まあ、レジュメとそこにある記述の通りよ」

 元々はブリタニア空軍所属のウィッチ。
 オーバーロード作戦に従軍し、生還。
 そこからウォーザード養成課程に志願。ティル・ナ・ノーグでの教育を受け、正式にウォーザードに任官。
その後、幾度かの実戦を経て、反攻作戦に向けて戦力を整えつつある502JFW、ひいては「オーカ・ニエーバ」の増強のため派遣された。

「と、まあ、そういうことなんだけど……」

 資料の要所を読み上げ、一つため息をついたカーチャは、少し憂鬱気に言う。

「端的に言って優秀だけど問題児ってのがネックなのよね」

 それこそが、目下の問題点であった。

「彼女の渾名はラッキー・ホワイト。
 ウィッチの頃から実戦において、激戦においても被弾や負傷などをせず、危機においても生き残れううんの良さと実力があることに由来するわ。
 あのオーバーロード作戦においても、前線の救援に向かい、それでも無事に生きて帰ってこれたくらい」
「それって優秀って言わないの?」

 バルバラの疑問は尤もだ。
 あの作戦において多くの犠牲があり、そうでなくとも心身に傷を負った者は多い。
 それでもなお、軍に身を置き、自己を研鑽し続けているというのは評価に値するはずだ。
 まして、ウォーザードになってから、重要作戦の前に増員として派遣されることになるのだから、それは猶更のはず。

「問題なのはなまじ優秀なことなのよね、それに起因している」
「天狗になっている、ということかな?」
「心が折れなかったのは美点。けれど、折れなさすぎるのも問題ということですか?」

 みちると鏡子はそう推測した。
 多かれ少なかれ、軍人とは洗脳じみた教育を受ける。
 多感な年ごろの少女に限定されるウィッチも、手心は加えられてはいるが、苛烈な教育課程で軍人たる精神性を学ぶものだ。
 だが、例外は少なからず発生する。なまじ重要性を理解しているだけに、教育する側もウィッチに対して強く出れない面が存在するのだ。

165 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/12/01(金) 19:06:30 ID:softbank126036058190.bbtec.net [45/215]


「半分は当たりね。二人が言うように、ホワイト少尉は優秀過ぎた。
 ウォーザードに転科する志願が認められるまで渋られた経緯がある程度には、ウィッチとして優秀。
 そして、養成課程に入った後も、そして配属になった後も成果を出し続けた」

 それこそが、彼女なのだとカーチャは断言した。
 実力があり、同時に戦場での運の良さもある。
 だが、なまじ優秀であったことで、修正しきれなかったモノが出来上がってしまったのである。

「その結果……まあ、彼女の内面が厄介なことになってね」
「プライドが高い、ということですか?」

 違うわね、とカーチャは断言した。

「彼女の本質的なところは---」

 カーチャが口にした内容は、彼女の本質。
 永い時を生きた魔女たるリーゼロッテの見抜いた、成功し続けた少女の内面。
 その内容は「オーカ・ニエーバ」の面々を驚かせた。

「---ということで、私たちはそれを修正する、そしてアフターケアもすることになったというわけ」
「無茶ぶりって言わない?
 でも、大佐が言うんだからなー……」

 教官として、最高顧問として自分たちの指導にあたった魔女のことはバルバラも覚えている。
 かかわった期間は1年に満たないが、それでも鮮烈であったからこそ、印象深い。
 同時に、そういうことをするだろうという確信も。

「主体的にかかわるのは、私とカルガモちゃんの二人になるわ。
 勿論502JFWのウィッチともかかわることになるけど、根治と調きょ……躾けはこっちでやる。
 本隊に影響が出ても困るから」
「また調教っていったー、カーチャってば怖い言い方やめてよー」
「ちょっとした荒療治なんだから、そう言ってもいいでしょ?」
「まあ、小隊長がそうおっしゃるなら、お任せします」

 その決定事項に、文句こそ言うが、バルバラとしては諦め顔である。
 そして、厄介な役割が回ってこなかった鏡子はほっとした表情だ。
 ともあれ、とカーチャは「オーカ・ニエーバ」のウォーザード達に告げた。

「厄介ごとは早くに片づけて、サトゥルヌス祭を迎えたいものだわ。
 みんな、頼んだわよ」

 女帝の言葉に、肯定の言葉が返ったのであった。

166 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/12/01(金) 19:07:55 ID:softbank126036058190.bbtec.net [46/215]

以上、wiki転載はご自由に。
次回、エマ・ホワイトちゃんが着任します。

ヴァナディース作戦までにこなしておくタスクが、実のところめっちゃ多いのでサクサクこなしたいところです。


ちょっとだけエマちゃんのパーソナルを


エマ・ホワイト
年齢:17歳
性別:女性
階級:少尉
固有魔法:なし
使い魔:ブランフォードギツネ
通称:ホワイト、ラッキー・ホワイト
使用機材:ウルトラマリン スピットファイア → ナハト・リッター/Bst、ブライト・リッター、翡翠椿
使用武器:ブレン機関銃L4
所属:ブリタニア空軍 → ティル・ナ・ノーグ → 502JFW 101「オーカ・ニエーバ」
概要:
 ブリタニアに出自を持つ、オーカ・ニエーバへ増員として派遣されたウォーザード。
 ラッキー・ホワイトの名の通り、激戦を潜り抜けても生き残れる実力と運の良さを持つ。
オーバーロード作戦を潜り抜けたウィッチとしての実力は本物であり、転科訓練を順調にこなせているので腕はいい。
 しかし、その優秀さは仇となっている。具体的には---
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最終更新:2024年01月13日 16:01