202:リラックス:2024/01/20(土) 16:26:25 HOST:softbank060106198046.bbtec.net
厄いものが湧いたみたいです~振るう剣に平和の誇り~

Fー4ファントムと言えば長年、各国で幅広く活躍した往年の名マルチロールファイターである。

日本においてもFー4EJという仕様で運用され、近年惜しまれつつも抜かずの剣としての誉れと共に退役した…というのが史実の流れだが、α/乙世界においては少々事情が異なる。

ファーストインパクトの過程において生じた混乱と無数のゴタゴタの中で、日本は主に周辺国家との小競り合いで済し崩しに戦闘処女を捨てていたが、問題はそこではない。

問題は、その『小競り合い』がファーストインパクト発生からセカンドインパクト発生、環太平洋条約機構成立まで断続的に続いたという事実である。

その間、当然ながら主力戦闘機であったFー15JやFー2は大活躍…基、酷使された。

自衛隊を語る上で稼働率の高さが良く挙げられるが、これは数の余裕の無さに起因するもので、むしろ問題でしかない。

況してや、生産や流通の崩壊によって海外から入って来なくなった部品が多数存在するとなれば尚更である。

幸いなのは日本の周辺国も日本に軍事的リソースを集中させられるような状況ではなく、セカンドインパクト後の再編が始まった頃には仮想敵らしい仮想敵は事実上消滅していたことだが、この時には自衛隊は保有機のかなりの数をすり減らしていた。

勿論、保守部品の備蓄は行われていたものの、一部では共喰い整備すら行われていたのだから事態は深刻であった。

そうした状況だったから、Fー4EJの引退にも待ったがかけられた。

勿論、単純に現役延長するだけでは多少最新鋭機の任務を肩代わりするなどして寿命を先延ばしするだけだったろうが、彼の機体に求められたのは『β/甲世界と協力して改造し、現在生産・入手可能な部品により稼働を維持、必要に応じて新造可能な機体とする』ことであった。

どうにも、その時点で保有している既存機の改装で稼働を維持できる機体をどうにか確保したいというのが現場から上層部に至る自衛隊の本音であり、更に改造の為に研究に回しても影響が少ない機体として退役直前で待ったがかかっていたこの機体に白羽の矢が立ったということらしい。

(勿論、別プランとしてβ/甲世界製の機体の購入・ライセンス生産も検討されていたが、この時点では交渉中であり、どう転ぶか分かったものではなかった)

そして、β/甲世界側にコレを好機と見る一団が存在した。

『折角だ。コッチだと実用化と同時に旧式化した技術で色々と出来ないかやってみよう』

これにβ/甲世界の上層部や良識派も、『イマイチ頼りにならんというか信用し切れないから最新最先端の技術を簡単に渡したくないし、旧式化した技術ならそこまで惜しくないし、これを用いて貸しにするのも有りか』と乗っかったことで、Fー4EJの魔改造が行われることになる。

こうして誕生したのがFー4EJー2 ストライクファントムである。

同機の改造は環太平洋条約機構とβ/甲世界側の研究・開発の協力体制樹立に大きく貢献したとされ、そうした意味でもこの改造には意味があったとされる。

なお、改造自体はβ/甲世界側から持ち込まれた高性能コンピューター支援設計(要するにCADの一種)やVRシミュレータ等の助けもあって順調に進み、更に環太平洋条約機構側も『取り敢えず戦闘機として直ぐに実戦投入可能な機体に仕上げられることが最優先』とβ/甲世界側の言い分を基本的に素直に受け入れたことから現代兵器としては異様な速度で完了した模様。

203:リラックス:2024/01/20(土) 16:26:56 HOST:softbank060106198046.bbtec.net
特色
ストライクファントムには後にMVー90やメタルギアシリーズでお馴染みになった重力偏向システムを導入されており、β/甲世界側の持ち込んだ魔導技術を本格的に導入した初の兵器と言えるかもしれない。

技術体系が異なり過ぎることから、電装系はβ/甲世界製の物に総置き換えされており(α/乙世界側で入手困難になっている部品が多々あったのもコレを後押しした)、メインコンピュータとして学習型のバイオニューラルデバイスが導入されている。

ナノマシンを注射したパイロットと機体制御を行うバイオニューラルデバイスを同期させるブレインシェイクハンドシステムの導入により、パイロットの思考高速化に加え、搭乗機からの情報を直接脳内で処理できるようになり、まさしく 「人機一体」と化す。

次いでに、というか同時に空間認識を司る機能も内包したバイオニューラルデバイスが追加の神経系として外付けされることでパイロットの能力を大幅に向上させる。

この仕組みに環太平洋条約機構側はいきなり導入して大丈夫なのか、と懸念を示しはしたのだが、『ウチだとこの手の人機一体のシステムが導入されて久しい』『というか急に慣れない方法に戻る方が時間かかる』『色々な安全機構をバイオニューラルデバイスに組み込んでヒューマンエラーを潰せるコイツを使うのは返って安全』としてβ/甲世界側に説得されている。

武装面に関してはβ/甲世界製の対地攻撃兵装の搭載可能にし、運用能力を強化されている他、同じくβ/甲世界製の空対空ミサイルを運用可能なようウエポンベイを改修する程度に留まっているが、後にマイクロミサイルポッドが開発されるなど何度かアップデートされている。

同機はβ/甲世界側が『環太平洋条約機構側にライセンス生産させて問題ない』とGoサインが出ていたラインの技術で改設計されており、同機の実戦配備により国境警備軍航空自衛隊と再編された航空自衛隊は実戦投入可能な機体が無くなるという絶望的な状況からは3歩程マシな状況にまで持ち直すことになり、一息つくことになる。

幸いにして、セカンドインパクト後の混乱は世界規模であり、日本以外の各国の最新鋭兵器の稼働状況は日本以上に絶望的であったことから、戦前から見れば旧式兵器であっても性能的には不足はなかった。

この時の経験を下敷きにFー15JやFー2の改修、再生差、この世界では未成機となっていたFー35をベースにした新型機の共同開発と事態は徐々に改善していくが、一線を引いた後も高等練習機等に改装されて更に長くα/乙世界の空を飛ぶことになる。



余談
国境警備軍に所属する組織として再編された陸空海の自衛隊は、国境警備軍の通常部隊が対魔物との戦闘を想定した部隊であるのに対して、対人類との戦闘を想定した部隊として独自色を維持していくことになる。

アウトサイダーズの自治政府の中には環太平洋条約機構内での自らの扱いに不満を持って離反したり、市民からの不人気によりクーデターを誘発するといったケースが頻発、とまではいかないにしろ定期的に発生しており、自衛隊はそのような相手に実戦投入されることになった。

Fー4EJー2 ストライクファントムの対地攻撃能力が強化されているのは、β/甲世界側が自衛隊という組織の今後について既にそのような青写真を描いていたことと無関係でなく、陸海空の自衛隊と共に同機もまた、少なくない実戦を経験することになる。

異世界の技術により史実以上に長く活躍の場を得ることは出来たが、抜かずの剣こそ平和の誇り、というもう一つの称号は失われることになってしまった。

しかし、同機の復活は『人類文明は未だ負けていない』と人々に勇気を与えたことも事実であり、後の世にこの機体は『不滅の剣』あるいは『不滅の翼』として長く親しまれることになる。

204:リラックス:2024/01/20(土) 16:27:35 HOST:softbank060106198046.bbtec.net
以上、ふと電波を受信したので

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最終更新:2024年01月23日 19:32