528:陣龍:2024/02/16(金) 17:20:58 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
『ゴーストウィニングの異世界旅行記 ~異世界情報はデータと共に【赤く】染め上がり~』
「……ねぇスカイ。気付いてる?」
「……ゴーストの送って来るメールの日付、ですよね」
「そう」
ゴーストが転移して四日目のウマ娘トレセン学園は視聴覚室。
「こっちでは四日目ですけど、送られている日付は三日目の夜でしたね」
「世界を越えてるんだから、送信遅れや時差見たいに時間くらいちょっとはズレてもおかしくはないってのは
分かるんだけどね……」
相変わらずウマ娘達を異世界拉致してきた『神』とやらからの続報も朗報も聞かれずに気をやきもちさせるしかない
セイウンスカイとナイスネイチャ。過去ゴースト号の馬主にして現母親立ち位置である飯崎鈴夏からの伝達からも、
芳しくない以前に全く動きを見せない状況。
「マヤちゃんカッコイイーー!!」
「カレンチャンもカッコよくてカワイイよー!!」
「おぉー、向こうのマーチャンはイケメンさんなのですー」
「……ウオッカ、大丈夫?はい、ポケットティッシュ」
「……わりぃ、スカーレット」
そんな中、余り細かい事情を知らされていない同級生等のウマ娘らは、ゴーストから次々送られて来る
ウマ息子トレセン学園内での写真や映像等の新鮮な衝撃を受けて楽しく姦しいトレセン学園の休日がお昼時を迎えようとしていた。
「わぁあぁあ!ブリッジちゃん凄く精悍な顔立ちしてる!カワイイとカッコいいが絶妙に混在両立してるスーパーアイドル!!」
「そう言うクラリネットちゃんも何!?この黄金比率なほっそりマッスル!笑顔のサムズアップとかもう完全にハリウッドスター!!」
「わぁお、向こうのマルシュアス君が如何にも妖精雰囲気漂うカッコよさが……」
「フルール君……なんだろう、この近所の幼馴染お兄ちゃん的親近感を齎すイケメンさは……」
「……この方が、ウマ息子のスぺちゃん、もといスぺ君ですか」
「グラスちゃん……じゃ無くて、グラス君も雰囲気そっくりな顔立ちだべぇ~……」
「なんで私の写真が、お料理失敗して真っ黒になったりパラシュートで風に流されるのしかないのよゴーストさん!へっぽこ!」
「あ、キング!此処に応援団長のグラス君が居るデース!」
「……ヘッポコォ……」
「キ、キングちゃ、ゴホッげほっ……」
529:陣龍:2024/02/16(金) 17:23:10 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
「……なーにやってんだか、スぺちゃん達は」
「ただ従容と待ち続けるのも疲れるからね。それに何だかんだでゴーストの近況は欠かさず来てるし、
こんな風に余裕持つのも大事でしょ?」
相応に事情を知っている筈の黄金世代もそれに混じってるのを、若干呆れながら見遣る二人。
実際、異世界にも存在する自分の事は多かれ少なかれ気になるし、その同位体が異性且つ
約束された美少年やイケメンの【ウマ息子】ともなれば、猶更気になるのも当然であった。
「でもネイチャさん。凄い質と量が【御出し】されて来るせいで、収拾が付かなくなりかねませんよ?」
「そうなったら……うん、ほっとこうか。今日は休日だし、その内再起動して来るでしょ」
その異世界のウマ息子とトレセン学園の写真や映像を遠慮仮借なく近況報告と共に送り付けて来る件の下手人()が為に、
日本ダービーの女帝が突っ伏しながら机の上に(鼻)血の海を生成させてライバルにして相方の女王に介抱されていたり、
別世界でゴーストと行動を共にする同位体の写真と映像を見てキャーキャー言い合う自在の天才と先行乙女が居たり、
見た目の写真と共に付属されていた同位体ウマ息子の謎の熱狂的人気で【ハコ】が爆発したとか言う
意味不明な情報を見て目を点にさせる某高松宮記念勝利金髪ロングウマ娘とその友人。
年頃の少女達が集合している事も有って、かなり広い視聴覚室の教室に姦しい声は響き続けていた。
「そう言えばスカイさー、別世界のウマ息子の自分見ても有んな感じにならなかったね?」
「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。まぁ確かに、向こうの自分の写真見て結構驚きはしましたけど、
予想の範疇では有りましたし」
「あっちでもフラワー君に世話焼かれてたしね」
「……その件については黙秘します」
周囲が喧騒を他所に、他人事のようにノンビリと言い合うゴースト号にただ二人のみ先着したウマ娘達。
夏衣装の風紀委員長を見て仰け反り鼻血と共に物理的に吹き飛んだ同位体ウマ息子の映像に茫然とするバンブーメモリーと
爆笑するゴールドシチー等の友人ら、そして向こうの世界の【伝説の天皇賞秋】のレコード記録映像を見て
同位体ウマ息子の姿に魂消るトーセンジョーダン。別世界でも【同じ存在】と居る摩天楼ウマ息子を見て
僅かに微笑むマンハッタンカフェと、ウマ息子世界でも同室のウマ息子と仲の良い盛岡の美少年ウマ息子に
微笑ましさを感じてはにかむユキノビジン。その他にも、数多のウマ娘がやいのやいのと騒ぎながら、
別世界情報を面白がっていた。
「ゴーストの方でも、私らウマ娘の写真や映像を見せてるってメール来てましたし、
向こうでもこんな感じに鑑賞会見たいな事やってるんでしょうねぇ」
「そしてゴーストの色々と適当な言動に振り回されるまでがセットだろうねぇ」
そんな平和なウマ娘トレセン学園。暫くしてチームファーストに囲まれて樫本理事長代理もこの鑑賞会に巻き込まれたり、
別世界のウマ息子ハッピーミークがほわほわ感満載マッスルマンで宇宙トレーナー化した桐生院トレーナーと
いつもと変わらぬウマ娘ハッピーミーク等、特定人物が異世界の同位体のナイスバルクで限界超越に達した事以外は
何とも楽し気な声が響き続ける視聴覚室。
「タァァキオォォオオオンンンーーー!?お前なんとかしろよー!?」
「無茶言わないで欲しいねぇ!?私の専門は薬学と身体学で異世界転移と言う物理工学分野は専門外だねぇ!?」
「ぶちまけるだけでアイツラ眠らせる薬とか持ってねぇのかよ使えねぇな!!」
「心外だねぇ!そんな危険な薬とか作って常備してる訳がないねぇ!!」
『『『『ゴォルシィー!タァァキオォォン!!異世界転移するワープ装置作れやゴラァァアーー!!』』』』
ウマ息子トレセン学園では、黄金の不沈艦と超高速の素粒子が血気盛んに鬼気迫るウマ息子の集団に追い回される
不幸に見舞われる混沌に包まれていた。
「……( ゚д゚)」
「……あっはははー」
「……( ゚д゚ )」
「……うん。なんか、ごめんね?」
ある意味このカオスの発生要因だが原因ではない異世界産ウマ娘が、その半ば暴徒染みたウマ息子共の殺到模様を、
教室の窓から茫然と見送り、諦観たっぷりに投げやりマヤ君と誤魔化しのアルカイックスマイルするカレン君が何時もの様に傍にいた。
530:陣龍:2024/02/16(金) 17:25:26 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
「ウマ娘トレセン学園の写真とか映像?」
「うん、テイオー君とかが皆に話しちゃった見たいで」
「カレン達が先に見ちゃった事を知られて、ちょっと見せる様に説得してくれーって、迫られちゃってね」
「あー成程、そりゃそうなるよね」
昨夜の白熱した臨時カーレースゲーム大会から一夜明けた朝方。一同はウマ息子のトレセン学園カフェテリアにて
朝食を取っていた。本日は日曜日、学校は休日である。
「……マヤ、何度見ても思うけど」
「モゴ?」
「ウマ息子と普通に似た様な量を食べるウマ娘の存在って、直接見ないと信じられない光景だなーって」
「……まぁ性別差は有るにしても、身体能力とかは余り大きく差異は無い見たいだし、
必然動く為の摂取カロリーに関してもそんなに変わらないって考えられるかなって」
「オグリさん見たいな人がもう一人居るのは想像したくないかなって……」
某アイドルや日本総大将等よりは未だ常識的だが、それでも『女の子』が食べるには少々過分に見える量の
チャーハンとラーメンを食べるウマ娘、ゴーストウィニングの食事を見ながら、そんな事を呟くウマ息子コンビ。
そんな事を言ってる二人も小柄な方の体躯に見合わぬ量のスパゲッティやエビ天ぷら蕎麦を食べて居たりするのだが。
「……まぁ、コッチのウマ息子達の事を割と【向こう】に流してるし、あっちのウマ娘達の事は見せません、とかは不公平だもんね」
「ただ、まぁ、出来れば手加減してくれると嬉しいかなって……」
「大丈夫大丈夫、少なくとも私らの世界で問題無い映像と写真だから」
「アレで問題無い判定なの……」
ウェディング衣装やら神楽舞的舞衣装やらハロウィン衣装やらの様な特殊な勝負服のみならず、
通常の勝負服でも要所の肌色成分が溢れ盛り()して居たり色々なモノが『バルンバルン』して居たり
見えそうで見えない〇ラリズムスタイルが居たり等、軽く見ただけでも純情()なウマ息子への破壊力は
核兵器よりも強力そうだと感じるカレン君とマヤ君なのであった。
「お前らゴルシ様ワープをそんな事に使えるとか馬鹿考えてんじゃねぇぇーー!!」
「薬を飲んで異世界転移なんて論理の筋が全く無い事を要求されても困るねぇ!!」
『『『『うるせぇぇぇ!!異世界転移させろぉぉおおーー!!』』』』
「……馬鹿ばっか、って言えば良いんだろうか」
「……うん、マヤ、それで良いと思うよ」
「あっはははー……」
そして当のウマ娘を置き去りに、ウマ息子コンビの想像や想定の斜め上を行く簡易暴走特急化ウマ息子集団の醜態に、
置き去りにされた三人はそんなボヤキをするのであった。
531:陣龍:2024/02/16(金) 17:26:06 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
「ひぃー、へぇー……ま、マジ疲れ……」
「ヘリオス……大丈夫?」
「あ、アイツら……もう止められんって、パマやん……」
「アハハ……ジョーダンも大丈夫?足とか踏まれて無い?」
「あー、うん。大丈夫……アイツら頭に血が上り過ぎてガチで回り見えてえんなー」
「まぁ、頭冷えるまで放って置くしか無いっしょ。あーいう馬鹿相手だと」
「……おぅ?」
「あ、通称パリピブラザーズのヘリオスさん達だ」
「止めようとしたけど熱狂に跳ね飛ばされちゃったから戻って来た、って感じですね」
一応、マトモな冷静さを保っていた一部ウマ息子も居たが、熱狂大行進を止めるには至らずに弾き出され、
各々が各教室等に退避したりウマ娘世界情報のお披露目会をしていた視聴覚室に戻る等していた。
「どぅうえぇぇええーー!?あっちのダイタクヘリオスちゃんマジ可愛すぎっしょ!?リアル太陽が地球に降臨!?」
「尾花栗毛のウマ娘の自分……うん、良い走りしてるじゃんか。一度並走して見たいね」
「いや、あの、こっちもパーマーさんなんだけどさ、ハロウィンでテンション上がったにしてもその恰好はちょっと攻め込み過ぎじゃないですかね……」
「……向こうのトーセンジョーダンも、爪に悩まされても良い走りしてる。うん、良いじゃん……!」
「……やっぱり、本来はこう言う感じになるのが普通だよね?」
「いやぁ……それは……」
「ノリと勢いに思考暴走が重なった男衆だから……」
尚、そのパリピブラザーズの方が騒がしくも常識的に映像や写真を見てワイワイしているのを見て、
再発した疑問を提示して来たウマ娘の声に、何度目かも忘れたアルカイックスマイルで答えるウマ息子コンビであった。
「……ゴルシ君」
「どうした、タキオン」
「……ここは、一体何処なんだね」
「……ゴルシ様にも、分からない事だって、有るさ……」
「ゴールーシーくーーーん!?」
一方、馬鹿集団を振り切ろうと走り回っていたウマ息子のタキオンとゴルシは、何時しか目印も何も無い山中に居た。
そしてその後、その場所も定かではない筈の山中に何故かポツンと存在していた【無人管轄ゴルシ旅館】にて
タキオンが天然温泉入浴後ひと眠りして起きた頃にウマ息子のトレセン学園に帰還しているのだが、その点は割愛。
532:陣龍:2024/02/16(金) 17:29:24 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) 初手うま〇ょい伝説出演メンバーを第二・第三衣装(水着・ウェディング・舞衣装)に統一した映像をつかみに出したら
モノの見事に多数のウマ息子共が暴発しました。なんでやろなぁ()
最終更新:2024年03月17日 18:53