514 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/02/05(月) 19:23:08 ID:softbank126036058190.bbtec.net [22/138]
憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「Zone Of Twilight」第2章1節「信仰と紅い射手」4
- C.E.世界 融合惑星 β世界北米大陸 アラスカ州 国連軍ユーコン基地 ソ連側基地
サンダークはユーラシアのオープンネットワークに接続し、多くを知ってしまった。
オープンソースの時点で明らかになる、明確なまでの差。あるいはソ連程度と地球連合との違い。
それは祖国の意を酌んで行動している組織や個人が如何に無謀なことをしているかを示し、また祖国そのものを論うかのような事実ばかりだ。
(……何が諜報だ!)
ソ連は裏から手を回しての工作ばかり達者になり、こういった情報を表から得るということを忘れている。
地球連合からのこの情報開示は言外にそう告げていたのだ。
正直、そのドグマに陥っていたのは自分もそうなので、他の人間を責めることは難しい。
それでも、地球連合及びユーラシアは尋ねれば答えてくれるという状況だったというのは変わらない事実なのである。
国家間での腹の探り合いや国家内部でも諜報合戦をしているような状況と言えるので、いきなり相手を信用しろという方がむしろ難しいくらい。
とはいえ、それがいつまでも通用するわけではないのだから、こうして回りくどい方法で手段を届けに来たのだろう。
「とはいえ、だ」
これを馬鹿正直に上層部に上げたところで、今度は奪い合いになるのが目に見えているのが問題だ。
とりあえずこちらでやっている諜報活動に意味はないと報告したうえで、真正面からの外交を推奨するしかない。
こればかりは一介の軍人が関与できる範囲を超えているから、より上の人間を、そして政治の人間を説得して協力してもらうしかない。
(協力、協力か)
自分で考えておいてなんであるが、その言葉の意味合いが互いの間で違っていたのかもしれない。
地球連合は、ある程度警戒していたにせよ、こちらに歩み寄ろうとしていたのだろう。
他方でこちらは警戒を通り越して疑っており、裏や側面から情報を集めようともがいていた。
その結果がすれ違いであり、地球連合が強引にこちらに情報網を開示したということ。
(……)
疑ってかかるのは当然だ、鵜呑みは危険すぎる。
その一方で、何時までも警戒し続けていては協力すらできない。
地球連合はこの惑星が外敵に支配されることを恐れて介入しているというのはつい先ほど知ったことである。
安全保障という考えだ。自分の勢力圏を守るのは予防的に行うことも含まれている。
これをこの世界に当てはめれば、BETAがこの星を支配して次の標的に地球連合の本土が狙われることを嫌ったということ。
ただ純粋にそれだけであり、BETAとの戦いで苦しむ人々を見捨てられなかったのだ。
「都合の良い夢を見ていると吐き捨てられそうだが……」
それが事実の一面でもある。
ただ安全保障を確保するだけならば、それこそ現地の国家を乗っ取るなどしてもおかしくはない。
だが、それを選ばずに共同歩調を選んで時間をかけてでも行っているのは、そういうことに他ならない
(とにかくやることは決まった)
自分はユーラシア連邦との技術交流などを推進することに集中する。
そして、地球連合の意志を政治のところまで届けることだ。
その後のことだが---ユーラシアに対するソ連のハラスメント的な諜報活動は大きく減ったことだけを述べておこう。
その対価として一人の軍人の胃壁が大いに削られてしまったのは言うまでもないことだったが。
515 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/02/05(月) 19:24:04 ID:softbank126036058190.bbtec.net [23/138]
以上、wiki転載はご自由に。
短いですが、ZoTの続きです。
これでソ連サイドは終わり、続いてユウヤ達に焦点を当てた話に参ります。
まあ、他の世界の観測もあるのですぐにとはいかないかもですが、ご承知くださいませ。
最終更新:2024年05月03日 17:32