812 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2024/02/16(金) 00:59:14 ID:softbank126036058190.bbtec.net [105/137]

憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「オペレーション・トライデント」4


  • C.E.世界 融合惑星 β世界 β世界主観1999年9月14日 6時21分 セイロン島 ベラビル



 UNカラーに塗装された戦術機F-4EおよびF-15E、そして自走砲や戦車といった機甲戦力が並ぶ沿岸部の防衛線は非常に奇妙な緊張感の中にあった。
 弛緩しているわけではなく、かといって張り詰めているわけでもない。
 現状況---つまり今の戦闘における区分としては立派に戦闘態勢にあり、誰もが上陸してくるであろうBETAに備えている状況だ。
BETAがどこから上陸をしてくるかはおおよその予測しかできないために、各地に防衛地点を設置しつつ、遊撃戦力が情報に基づいて駆けつけるという形となった。
然るに、ここにいる面々はいざとなれば救援が駆けつけるまで死守しなくてはならないのだ。

(なんだかなぁ……)

 コロンボ国連軍基地第23戦術機中隊「オルフェウス」に所属するオランダ人衛士のアルヴィン・デ・ベールはその奇妙な感覚に体をもぞもぞさせた。
戦術機のコクピット内は狭いのでそこまで自由に動けるわけではないのだが、腰の座りが悪いというか、居心地の悪さがある。
 今、BETAは自分の属する中隊の布陣する沿岸部に上陸してきている。
 故に自分たちはそれの迎撃を行っている。自走砲や戦車などの攻撃を抜けてきた個体を順次処理していくのだ。

「少なすぎるだろ……」

 だが、問題は余りにもその数が少ないことだ。
 いや、少ないことは非常に助かる。こちらが十分な数を揃え、相手が少ないならば十全に処理することができる。
そのおかげもあって、第23戦術機中隊の脱落者は戦闘開始から未だに0、というか戦術機だけでなく機甲戦力の損耗も0であった。
 なぜ大規模侵攻にあってここまで数が少ないのか?
 それはともに防衛線を構築している地球連合軍の攻撃があってのことである。

 まず、陣地より後方に控えるスケールを間違えたかのような巨大な陸上艦艇からの砲撃が、インド亜大陸を耕してBETAを減らしている。
光線級による迎撃を潜り抜けるそれらで、大量に押し寄せるはずのBETAは過半が消し飛んでしまっているとのこと。
 そして、目の前の海の中で動く海軍戦力が水中でも迎撃を重ねているらしい。
 その結果がこれだ。抜けてきたBETAの数はごくわずかで、その迎撃も地球連合軍が協力してくれる。
 やることがないのだ。警戒はしているが、よほどのことがないと動きがなく、これが戦闘なのかと訝しんでいるほどに。

『CP、こちら第23戦術機中隊オルフェウス1。敵の侵攻の兆候はないのか?』
『こちらCP。地球連合とのデータリンク情報は共有しているはずだが?』
『あまりにも少なすぎる、こっちの仕事が無くてな』

 中隊長とCPの通信が聞こえてくるが、まさにその通りだ。
 あちらからの観測情報などはデータリンクで共有され、戦術機に乗っている衛士にも確認できている。
その観測情報が正しいならば、最早海中でほとんどのBETAが駆逐されてしまい、上陸までこぎつけるBETAがほぼ0なのだ。

『CPよりオルフェウス1へ。地球連合軍に問い合わせてみたが、海軍が水中ではしゃいでいる結果だそうだ』
『噂の水中戦闘が可能な兵器か』
『ああ、イントルーダーと何が違うと思っていたが、やるようだな』

 水陸両用と聞くと、イントルーダーを知っている。
 だが、より正確に言えばイントルーダーとは水陸両用戦術機というより、可潜戦術機だ。
 島嶼の奪還などにおける強襲揚陸と橋頭堡核という目的のために開発されており、水中では戦闘ができない。
そんな限定的な能力の戦術機に対し、ザフトのゾノⅡや共同開発機構のアクアジムⅢは当然だが水中で戦闘可能なのだ。

813 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/02/16(金) 01:00:02 ID:softbank126036058190.bbtec.net [106/137]

『……何、本当か?司令部も自棄になったか……?』
『どうした、CP?』
『CPより第23戦術機中隊「オルフェウス」各機に通達、作戦が変更になった。
 「オルフェウス」および随伴する機甲部隊は指定ポイントまで移動、そこで待機せよ』
『おいおい、損耗もしていないのに放棄しろってどういうことだ!』

 隊長の憤りは当然だ。
 仕事らしい仕事もせず任せっぱなしで時間を浪費し、その後には移動しろときたものだから。
役に立てないから引っ込めとCPに言われたようなものであるから、戦術機乗りとしては憤るしかない。

『聞け。作戦変更というか任務変更だ。
 地球連合軍との協議の結果、防衛戦から反抗作戦に転じることになった』
『はぁ?』
「反抗……?」

 思わずアルヴィンも呟いた。
 つまり、防衛戦に終始するだけではなく、逆侵攻、失地奪還に赴くということだ。
 しかし、言葉を復唱しても、衝撃的過ぎて理解が追い付かない。

『嘘だろ……』
『本当だ。予定ポイントで輸送機と合流、そのまま友軍が確保した橋頭堡に配置されることになる』
『……何がどうなっているんだ』
『こっちだって知りたい。地球連合軍が参戦してから、瞬く間に巻き返しているんだ。
 ともかく、命令を復唱後、オルフェウス中隊は移動せよ。他の中隊も諸君らと合同で移動する』

 CPの言葉とともに各機に詳細データが送られてきて、ようやくそれが正式なものと理解した。
 けれども、まるで夢のような内容なことに変わりはない。

『オルフェウスリーダー了解。
 各機、聞こえていたな?半信半疑だが、ユーラシアへ一番乗りの名誉を貰えるかもしれん。いくぞ』
『了解!』
「了解」

 だが、それはそれ、だ。
 守っているだけでなく、攻め込んでいけるならばこれほど待ちに待ったことはない。
 早速オルフェウス中隊は移動を開始、予定ポイントで連合の輸送機であるヴァルファウと合流、準備に取り掛かったのだった。

814 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/02/16(金) 01:01:11 ID:softbank126036058190.bbtec.net [107/137]

  • β世界 7時11分 インド亜大陸 旧ナガルコイル沖合 改ミネルバ級ISA戦術対応全域航行航空母艦「ディアナ」 ブリッジ



 ブリッジを遮蔽し、戦闘態勢にあるディアナは、先行していた部隊からの報告を受け取っていた。
 海上艦艇という都合上、速力などに限度のあるタケミカヅチ級タケミナカタに先行して駆けつけたディアナは、インド南端を指呼の距離に収めていた。
 既にインド大陸には複数のポイントからの揚陸が開始され、橋頭堡の確保も進められている。
そのうちの一か所の支援がディアナに任された任務であり、そこから内陸部への浸透突破とBETAの排除が任された仕事であった。
 航空艦という巨大な存在ゆえに、光線級は立て続けにレーザーを放ってはいるものの、装甲に焼け跡一つ残すことさえできていなかった。
対するディアナは直撃したレーザーの角度と方位から位置を特定し、主砲などで反撃してミンチを製造しつつあった。

「揚陸艦ロードスターおよびラートリッシュより入電、『我、上陸の楔を穿った』。
 また、潜水艦フェルストは艦載機の揚陸を開始したとのことです」

 オペレーターからの声に、ディアナ艦長のゾーイ・フィッシャー大佐は頷きを作り、朗々と指示を飛ばす。

「了解したわ。
 予定通り、前線の押上げを第一義として行動する
 本艦はこのまま艦砲による支援射撃を実施、橋頭堡を維持する友軍支援を優先する。
 フリーダム小隊はA装備およびB装備にて出撃して、高脅威目標の排除。ドム小隊は現地橋頭堡の防衛に回るように通達」
「了解!ブリッジより格納庫へ、フリーダム小隊及びドム小隊出撃準備!SFSも出せ!」

 艦長の許可を受け、格納庫では待機していた量産型フリーダムとドム・トルーパーを要する艦載機がカタパルトへと上げられていく。
少数対大多数を想定したフリーダムにとってみれば、まさにこの状況は機体コンセプトにはまっていると言えるだろう。

「BETA群、要塞級および新種の出現を確認。観測機より座標来ました!」
「主砲、副砲、狙いは高脅威BETA。要塞級と新種をよく狙って。敵の数をできるだけ減らして負担を減らしてあげて頂戴。
 砲術長、貴方の腕に期待しているわよ」
「任されました」

 想定以上にBETAの排除は順調だ。
 とはいえ、相手が何をしてくるか不明なところが大きい関係上、油断は許さない状況だ。
 事実として、地下から新種のBETAが出現し、大量の戦力を送り込んでくるという芸当をしてきたのだから。

(脅威度査定としては低いけれど、友軍を援護しながらというのが厄介ね)

 MSとは比較にならない戦力である戦術機らと歩調を合わせるのは一苦労だ。
 政治的要求に基づき、彼らにも戦力として働いてもらいつつ、同時に犠牲を抑えなくてはならない。
 程よい手加減ができるわけでもないので、これに関しては厄介だとしか言えない。

(……やれやれ、楽にはいかないものね)

 ともあれ、今は艦長としての仕事に集中、とゾーイは気を引き締める。
 橋頭堡の確保の後は内陸への進撃とBETAの誘引及び排除という連戦だ。
 楽な相手ではあっても、長時間の戦闘となることを見越して動かなくては疲労に蝕まれる。
 勝つことは必定。如何にうまく勝つかというのが問題の戦闘は、インドの奪還に向けた開幕の角笛となって始まったのだった。

815 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/02/16(金) 01:02:15 ID:softbank126036058190.bbtec.net [108/137]

以上、wiki転載はご自由に。
戦闘はこの後も続きます。
まあ、どっちかと言えば処理ですがね。

MSの設定などはオイオイネー
せめて設定を出したMSくらいは活躍させたいですし…
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最終更新:2024年05月03日 20:39