134 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/02/19(月) 23:50:18 ID:softbank126036058190.bbtec.net [23/155]
憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「オペレーション・トライデント」5
- C.E.世界 融合惑星 β世界 β世界主観1999年9月14日7時33分 インド亜大陸 旧ナガルコイル上空
砲撃を続行しているディアナの援護の元、発艦していくSFSは順次MSをインドの大地に送り届けていた。
送り込まれるのはドム・トルーパーやザク・ウォーリアなどのザフト系列のMSだ。
まだ沿岸部に楔を穿ったとはいえ、その範囲は非常に狭い。数を送り出して徐々に拡大させ、安定した領域を確保しなくてはならない。
高脅威のBETAは排除されているとはいえ、それでも突撃級や要撃級といった個体はそれなり以上にいる。
もっと小型の戦車級や歩兵級などは数えるのも面倒になるほどであった。
これらを排除したうえで、後方陣地形成の人員を送り込む余地を生み出すこと、それがMS隊の仕事である。
『こりゃあ酷いな、真っ平だ……』
ベースジャバーの上に立つザク・ウォーリア、そのコクピット内でモニターを見るTACネーム「ポール」は思わずつぶやいた。
BETAの侵攻でインド亜大陸が放棄されたのは1994年の事。主観的に見ればほんの5年前のことだ。
しかしながら、たった5年を以て大地は平らに均され、自然も人が作った人工物も悉くが消え去っている。
その代わりのように大地は何とも形容しがたい色に染め上げられ、重金属をはじめとした汚染物質を大量に含んだ大気が満ちている。
まるで、そこだけが地球上でありながらも地球ではない、全く別の惑星に変えられてしまったかのようだ。
それがBETAの支配地域に収まった土地の末路。何もかもを破壊され、植生も何もかもを失わされる。
(……)
だが、感傷に浸る暇はない。
こんな光景など、自分たちの地球ではアフリカや欧州で見られたものでしかない。
そして、自分たちはそんな光景を減らしていくためにここにいる。
『スター1より各機、予定ポイントだ。
予定通りハーミット隊はここを基点に砲撃支援を開始。
スター隊はこのまま敵集団に突入し、脅威度の高いBETAの排除を実施する』
『ハーミット1、「ダイヤ」了解。
お客さんのお出迎えは中々気合が入っていますね』
実際、ハーミット1、TACネーム「ダイヤ」の評価は正しい。
沿岸部に上陸した水陸両用MS隊とその母艦の活躍により、インド亜大陸からあふれ出て侵攻を始めたBETAは足止めされた。
数に任せて押し寄せるそれらを排除し、一定のラインまで押し上げることができたのだ。
とはいえ、あくまでそれは一定のラインまでである。そこから先は別の部隊が引き継いで橋頭堡から進軍し、奪還した領域を増やさなくてはならない。
MSの性能やパイロットの能力に任せればBETA程度の相手には可能であるが、それはあまり良策とはいいがたい。
如何に楽な相手と言えども、弾は消費するし、MSも少なからず消耗するし、パイロットだって疲弊する。
MSそのものや武器弾薬は血税から抽出された費用で賄われており、パイロットたちの福利厚生だってそこからねん出されている。
勝てる相手と分かっているならば、惜しめるコストは惜しんでおきたいのだ。
それに、こんな相手にいつまでも付き合うと腕と感覚が鈍る、その認識があったのだった。
『ああ、まだまだ湧いてくる。
だが、所詮は数頼みの奴らだ。個々の性能は他の侵略生物やB.O.W.から見れば低い』
だからこそ、とスター1、TACネーム「スパイク」は断言した。
『苦戦せずに作戦を遂行できることが前提になる。
各機、交戦を許可する。各兵装使用自由。花道を仕立てろ』
『了解!』
135 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/02/19(月) 23:52:05 ID:softbank126036058190.bbtec.net [24/155]
ザク・ウォーリアおよびドム・トルーパーはどちらもザフトの新世代MS「ミレニアム
シリーズ」に分類されている。
開発期間の短縮と高い性能の両立を図るために、名機であるザクおよびドムの形状を取り込み、中身を最新型にすることで生み出された。
別の言い方をすれば、入れ物を用意し、新技術を注ぎ込んだともいえる。
どちらにせよ、開発はそのようにして行われ、こうして配備されることになった。
そして、その両方---そして同じくミレニアムシリーズのグフ・イグナイテッドとバクゥハウンドに共通するのが、ウィザードシステムだ。
大西洋連邦で運用されているストライカーパックシステムに着想を得て、MSの「背負い物」を換装することで機体特性を変更できるようにするというもの。
MSを頭数を揃えて送り出す大国の戦術が難しい中小国ならではの悩みを解決するシステムであった。
とはいえ、画期的とはいえ、通常のMSに加えてウィザードを母艦内部で換装する設備の用意など負担があったことも確か。
それらを乗り越えたのは偏に性能などを底上げしなければ自国防衛すらままならないという、プラントにとってトラウマの出来事を繰り返すからであった。
閑話休題。
火力支援の担当となったハーミット隊のザクのウィザードはガナーウィザードで統一。
他方で突入を担うドムを操るスター隊のウィザードはスラッシュウィザードで統一していた。
細かい装備---携行する装備に多少の差はあれども、役割に徹する運用なのはまさに面目躍如と言えた。
『ハーミット3、攻撃開始!』
『当たれ!』
ガナーウィザードはレールキャノンとビームキャノンの二種が存在するが、今回はどちらも採用されていた。
ビームキャノンでは照射による薙ぎ払いという利点があり、他方でレールキャノンは砲弾を変えることによる多目的な砲撃が可能という強みがある。
『そこだ!』
放たれた砲弾は拡散榴弾。数百・数千どころではない高硬度の破片が広範囲にバラまかれていくのだ。
固い外殻を持つ要塞級はもちろん、突撃級などもまとめてミンチに仕上げていくのに十分すぎた。
そして追い打ちにはビームキャノンの照射が突き刺さる。至近弾でもBETAが炎上し、絶命するほどのビームが連打されるのだ。
たった数機のザクの砲撃により、押し寄せてきていた筈の集団は一気に弱体化を強いられてしまう結果が生まれた。
だが、BETAが簡単に尽きるかと言えばそうではない。ここは最前線、BETAの津波が押し寄せるところだ。
地面から顔を出したのは大量の母艦級。内部に蓄えていたBETAを吐き出し、さらには後方への突破を試みる。
『新型を確認、このままスター隊は排除を行う。各機、続け!』
それを見越してSFSからいったん飛び降りて突入していくのはドム・トルーパーだ。
主兵装のビームアックスを腕部に保持したドム達は、同時に背部に搭載されているガトリング砲による制圧射撃を以て道を拓いていく。
ハーミット隊からの支援砲撃ももちろんだが、速度と質量、さらにビームの威力も合わさった斬撃を止めることができないBETAは排除されるのみだ。
『連続で仕掛けるぞ』
『援護します』
『くらえ!』
そして、吐き出されるBETA群を潜り抜けたドム3機は連続で攻撃を叩き込んだ。
ガトリング砲で拘束しつつ、一機目がビームアックスで左横を抜けながら切断。
二機目が同じくガトリング砲を浴びせ、上へとジャンプして同じく駆け抜けながらビームアックスで切断。
とどめに三機目が片手でビームバズーカを口内へと叩き込んで焼き尽くし、さらに右横へと抜けて横っ腹を連射して穴だらけにしていく。
一瞬で、全く無理も無駄もなく、母艦級は解体され、排除された。
『次にかかるぞ』
『元気なことですね!』
136 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/02/19(月) 23:53:09 ID:softbank126036058190.bbtec.net [25/155]
しかし、スター隊は油断なく次に飛び掛かっていく。
次々と湧いてくるBETAの中でも、特に大型を排除しなくては前線の押上げはならないのだから。
『後方の陣地形成はどんな具合なんでしょうねぇ?』
スター3の操るドムが要塞級を真っ向から、文字通り叩き潰す。
質量とパワーとビームの合わせ技だ。あっけないほど簡単に切り伏せられ、ビームの熱で悪臭を放ちながら焼き尽くされる。
その成果に感慨を抱かないスター3の問いかけに、スター1は肩をすくめつつ答える。
『さぁな。ディアナと合わせ前線の押上げはまだ始まったばかりだ。
他の方面からの揚陸も始まっているだろうが---時間はかかるだろうな』
古来から、海と陸の垣根を超えるというのは苦労が付きまとっていた。
まして戦争をしながらとなれば、途方もない量の物資を、碌なインフラのない場所に揚陸させなくてはならなくなる。
時代が進歩し、技術が研鑽されたとはいえ、その難易度は変わっていない。
むしろ、ひどく悪化したと言えるだろう。MSという巨人やそれにかかわる物資や物品、その他設備を含めれば、途方もない物量になる。
水陸両用機およびその母艦で橋頭堡を穿ち、後続で前線を押し上げているのは、偏にそのための時間を稼ぐために他ならない。
欧州で行われていたような数の漸減を目的とした渡洋攻撃ではなく、恒久的な奪還を行うには兎にも角にも拠点を構築しなくてはならない。
それこそ、今回のような大規模侵攻が起こっても持ちこたえられるようなくらいの設備を備えたものを。
『データリンクで恐らくは確認はできるだろう。しかし---』
飛び出してきた突撃級を文字通り踏みつぶし、スター1は断言した。
『後ろを気にしすぎる前に、目の前の敵を倒せ。
俺たちがやらなければ、彼らの努力は無駄になる』
『違いないですね……と』
ぐしゃりと、母艦級の最後の一体が潰れた。
散弾による砲撃を側面から連続で叩きこまれた結果、穴だらけになってしまい自重を支えきれなくなったのだ。
当然、内部に残っていたBETAも母艦級の中でサンドイッチになっている事であろう。
『これであらかた片付いたか……?』
『まだ細かい個体はいるが、ほぼ掃討完了だ。
念のため補給と簡易整備を受けておきたいが……うへぇ、機体がドロドロだ』
『汚染物質が含まれているって話だからな、まだ母艦には戻れん』
パイロット達は愚痴ってはいるものの、白兵戦をやるとはそういうことだ。
整備班の聖域たる格納庫にこの汚染物質の入った肉片やら体液を持ち込んだ際には、生身であの広い格納庫の清掃をやらされかねない。
『スター1より各機、ディアナからのデリバリーが来るそうだ。
生憎とシャワーはないようだが、武装の補給はできるぞ』
そして、と付け加える。
『場は整ったということでな、フリーダムのお越しだそうだ。
俺たちが開いて整えた舞台で、天使のダンスを見せてくれるそうだぞ』
戦略砲撃さえ可能なフリーダムB装備、その出番が迫っていると告げたのだった。
137 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/02/19(月) 23:54:26 ID:softbank126036058190.bbtec.net [26/155]
以上、wiki転載はご自由に。
すいません、予定変更でフリーダムの出番を遅らせます。
ドムとザクに出番を作ってやりたくて…
次回こそフリーダムです。
そしたら今度はインド亜大陸の東で頑張る国連軍の皆さんですかねぇ…
そろそろスリランカの国連軍さんも東南アジア方面での被害を把握する頃でしょうし、ね
138 自分返信:弥次郎[sage] 投稿日:2024/02/19(月) 23:57:44 ID:softbank126036058190.bbtec.net [27/155]
修正を
135
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ビームアックスを主兵装とするウィザードを腕部に保持したドム達は、同時に搭載されているガトリング砲による制圧射撃を以て道を拓いていく。
〇
主兵装のビームアックスを腕部に保持したドム達は、同時に背部に搭載されているガトリング砲による制圧射撃を以て道を拓いていく。
最終更新:2024年05月19日 21:24