477:ホワイトベアー:2024/01/26(金) 21:34:16 HOST:softbank060067081109.bbtec.net
日本連合小ネタ 日常の中で2

20XX年3月8日 日本国東京都

「我々は全世界でおきている全ての女性差別に断固として抗議する! 本来、男女の間に差は存在しない!!」

突然現れた並列世界へと繋がる複数のゲート、その先にある異なる歴史を歩んだ日本群に日本が軍事占領されて暫くが立ち、占領後のゴタゴタもすでに落ち着き、春の息吹を感じる東京は占領前と変わらぬ平穏を取り戻していた。

都内にある日米枢軸日本(以下枢軸日本)軍の部隊が駐屯しているエリアの近くでは、枢軸日本でおきている女性差別に対して抗議を行うべく、いわゆるフェミニストや女性権利団体など、残念な事に昨今では胡散臭さが目立つ人々が集まっていた。

彼ら彼女らは警察の誘導の下に許可された範囲内で、手に女性差別反対を示すプラカードや横断幕などを手に持ち、
「女性差別反対!!」
「性差別を無くそう」
「国境を越えて男女平等を」
「各国で行われる男尊女卑思想に断固として抗議する」
などのシュプレヒコールを上げて大々的な講義活動を行っている。

こうした活動は極めてギリギリであったが、主張する内容自体は日本連合およびその加盟国を貶める様な内容ではなく、日本国の法令は勿論、占領軍が発した勧告にも反していはない完全に合法的なものであった。

しかし、いくら合法的であったとしても、自国を占領する軍事組織を刺激しかねない行動をとる馬鹿達を史実日本政府が無視できるはずがない。
名目上はただの女性差別反対デモであったものの、史実日本政府は警視庁第一機動隊および第四機動隊、第5機動隊を動員し、同地では否応なしに緊張が高まっていた。

一触即発の状態が続く大通りから少し離れたところに36名ほどの奇妙な少女達の姿があった。

彼女達はみな高校生程度の少女で、その身に纏う服装もセーターとブレザー、それにミニスカートといった、一見すると何処ぞの高校の制服のようなあった。

しかし、女子高校生にしては手にしている道具がいささか可笑しかった。
彼女達は全員が学生鞄ではなく、多少デコってはいるが小銃や騎兵銃を持っていた。

10代程度の少女達が銃を持っているという、某学園都市の学生達のような異質な光景は見るものに違和感しか抱かせず、サバイバルゲームに興ずる女子学生らが場違いな場所に来てしまったかのような印象を見るものに与えてた。

しかし、彼女らの着ている服や被っているベレー帽などには日本連合紋章や、日米枢軸日本から派遣されてきた事を示すヤタガラスと鷲が描かれた部隊章が描かれている事から彼女らが日本を占領する占領軍の一員である事は一目瞭然であった。

そして、そこから連想して彼女らの正体に気づくものも多いだろう。そう、少女の姿をしている彼女らこそ、日米枢軸の最新技術の結晶である戦闘用自動人形なのだ。

478:ホワイトベアー:2024/01/26(金) 21:35:17 HOST:softbank060067081109.bbtec.net
「平日だと言うのに、良くもまあこんなに人が集まるねぇ。どうやらこっちの日本には暇人が多そうね」

私はしかめっ面を浮かべながらそう呟いた。

「まあ、しょうがないんじゃない? あの新型コロナが一応治まったと言っても未だに自粛している店なんかも多いし」

ほんの独り言として呟いたその言葉に対して、私の右斜めにいた、腰まで届く明るめの白髪をツインテールにしている少女がその言葉に答える。

「それってようは私たちはアレの暇潰しに付き合わされているって事でしょ? 」

「そうとも言う!!」

「なに元気満々で答えているのよ!」

2人の少女達はそんな漫才の様な掛け合いをしながら監視を続けていた。

「二人とも相変わらず仲がいいのね」

そんな2人に呆れたようにピンク色のショートヘアの女性が会話に加わってきた。

「当然、だって私と彼女は戦友なんだから!」

ツインテールの少女は私の方を一度向いてそう元気よくそう答えた。

「これのどこが仲がよさそうに見えるんですか」

私はそうぶっきらぼうに答える。もっとも表情を見ればそれが照れ隠しであることがすぐにわかるだろうが。

「まったく……相変わらずめんどくさい性格しているわね」

「自分でも理解しているわ。けど、性格への文句なら私ではなくて製造者にいってちょうだい。」

「文句じゃなくて誉め言葉よ」

わかりやすく怒ってますといった表情でぶっきらぼうに答えたが、肝心のショートヘアの女性はニヤニヤと微笑みを浮かべながら返しただけであった。
付き合いが長いだけあって、彼女に私の気持ちを隠すのは難しい。

「それで隊長さんはどんな用事なの?」

劣勢を感じた私は話を変えるべく切り出す。

「なに、大した事ではないわ。ただこの任務が終わったら今日の仕事は終わりじゃない?だから全員で飲みに行こうかと思ってね」

「隊長の奢りですか!?」

「馬鹿言っているじゃない。自腹よ自腹」

野次馬していた一人の少女が冗談半分でそう投げかけるが、彼女は笑いながら一刀両断した。
問いかけた少女もですよねぇーと参加を表明。
他の同僚達も口ではアレコレ言いながら、次々と参加の意思を伝えていく。

それでどうする?と彼女は続ける。言葉とは裏腹に彼女は自分が断れるとは微塵も思ってないないとでも言いたげな笑みを浮かべながら。

部隊の仲間たちは次々と

(まったく、私も断らないとわかりきっているからって……ずるいなぁ)

「わかった。わかりました。行けばいいんでしょ。行けば。」

「よろしい!」

未だ占領地での自分達に対する抗議デモは続いており、デモ隊の監視という彼女達の任務は終わってはいない。それでも彼女たちと飲み明かす未来が確実に来ると確信している自分に驚いてしまう。
決して警戒を緩めているわけでも油断しているわけでもない。
ただ、少しずつではあるが絆されているのだろう。この日本連合によって占領された後も、列島日本でこれまでと変わらず続いている平和な日常に。

キャラ紹介
隊長さん……スラブ系の女性。身長は165cmとやや高く、年齢は22歳。
小規模とは言え自動人形部隊を率いているが、厳密に言えば彼女は日米枢軸日本軍人ではなく、日米枢軸日本国防総省と契約しているGK社の社員である。

出身国は極東ロシア帝国だが、日本国籍を取るためにGK社に入社。高い状況判断能力を買われ、期待の新人として史実日本に派遣された。

最近の悩みは合コン好きの上司につきあわされることと、毎回毎回合コン後に敗北者となった上司の愚痴を聞かされることだと言う。

479:ホワイトベアー:2024/01/26(金) 21:35:51 HOST:softbank060067081109.bbtec.net
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最終更新:2024年06月11日 17:44