631:モントゴメリー:2024/01/30(火) 21:31:52 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
——発泡金属複合材——

フランス連邦共和国(FFR)で開発された新素材。
その名の通り発泡金属を主成分としており、優れた衝撃吸収能力を有する。

まず、発泡金属そのものについて説明しよう。
発泡金属とはガスによる小さな空間を多量に有する、金属(アルミニウムのものが多い)のセル状の構造物であり、気孔を大量に保有していることが特徴である。
ざっくり言うと諸兄の台所にもあるであろうスポンジと同じ構造を金属で構成しているのである。
(その体積の75から95%までは空洞である)
“スポンジ”という例えから連想できるように、この素材は優れた衝撃吸収性を持つ。
そのため義肢などの民生品への適応のために各国で研究が進められてきたが、どのような技術でも軍事転用してしまうのが人類の叡智であり宿業である。

FFRもその例に漏れず、装甲材としても利用を模索して研究が進められてきた。
彼らが採用した構造は発泡金属をセラミックとジュラルミンで封入し、それを一個の部材とするというものだった。
サンドウィッチの「具」が発泡金属で、「パン」がセラミックとジュラルミンと言えば分かりやすいであろうか。
実験の結果、厚さ25㎜の部材で速度800m/sで突入して来たMAS50の7.5x54mm弾を粉砕してしまった。
防いだのではない、「粉砕」したのである。
複数回の実験の末、複合材は通常弾の75%、徹甲弾では80%の運動エネルギーを吸収したことが判明し開発陣を歓喜させた。
厚さ25㎜で7.5㎜弾を防ぐのは普通では?と諸兄は思うかもしれないが、この複合材の主成分は空洞だらけの発泡金属である。
その重量は同じ厚さの均質圧延鋼鈑の半分以下となった。
つまりは戦車の装甲に使用すれば同じ重さで2倍の防御力を持たせることも可能である。
しかし、歩兵用の防弾装備とするならこれでも十分であるが、戦闘車両に使用するのはまだ不満な点もあった。
現代の戦闘で戦車が最も恐れるべきは敵戦車の徹甲弾——装弾筒付翼安定徹甲弾である。
これに対して、本複合材は厚さに比例する効果は発揮できないと考えられた。
装弾筒付翼安定徹甲弾は超高速で突入してくるため発泡金属が変形する前に貫徹してしまうと予想されたのである。
また成形炸薬弾に関しても従来のセラミック複合材ほどの耐久性は無かった。
成形炸薬弾については本複合材の後方にセラミック材を追加するだけで良いのであるが、装弾筒付翼安定徹甲弾についてはこのままでは対処できない。
いっそ戦車への搭載は諦めて、各種装甲車用にするという意見も出たが、それは技術的敗北である。
袋小路に入った開発陣を救ったのは、別部門の成果であった——。

632:モントゴメリー:2024/01/30(火) 21:32:45 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
完成した発泡金属複合材には、「具」が追加された。
FoDi(悪魔の分岐路)とPeRo(ロランの皮膚)である。
各々の詳細は専門記事を参照して欲しいが、これにより装弾筒付翼安定徹甲弾についても対処の目途が立った。
まず、侵徹してきた装弾筒付翼安定徹甲弾はFoDiにより横向きの力が作用する。
これにより侵徹体は横倒しになるか、最悪破断する。そうして侵徹速度を大幅に低下させれば、発泡金属は本領を発揮できるのである。
また衝撃吸収能力そのものもPeRoにより強化されたので、重量比での強度は均質圧延鋼鈑の3倍となった。
さらに発泡金属本体にも改良が加えられ、素材にステンレスとタングステンが追加された。
これによりX線やガンマ線、さらには核分裂の際に放出される中性子線に対する耐性を確保することに成功した。

こうして完成した発泡金属複合材はFFR各軍に採用され、陸軍では戦車のモジュール装甲に使用され、宇宙軍ではその軽量さと耐放射線特性を利用して艦艇の主装甲として採用されている。

633:モントゴメリー:2024/01/30(火) 21:33:20 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
以上です。
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情報漏洩()により急遽製作いたしました発泡金属複合材。
2015年の実験では7.62㎜徹甲弾を粉砕したとか。
今回はそれに加えFFRオリジナル要素として、別の新素材を加えることで戦車の装甲にも使用可能なものに仕上げました。

…まあ、色々クセがあって使いづらいので万能の装甲とはとても言えませんが。

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最終更新:2024年06月11日 18:01