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日蘭ネタ 戦艦松島の生涯 Act.1
「香港にはコロラド達が行っているし…Meのお役目ももう少しで終わり…かしら…ね…。」
白煙立ち昇る街を己のマストから見下ろしつつ”元”
アメリカ合集国海軍戦艦アイオワの船魂はそう呟く。
そんな彼女の眼の前に広がるのは上海の街、己と姉妹の砲撃によりそこかしこに自慢の16incの主砲による破壊の後が見受けられるが、
彼女は知る由もないが鹵獲され日本仕様に改装された際に搭載された電子機器の差により、
香港にて戦艦コロラド、メリーランド、オレゴンらが行った全力艦砲射撃を行う必要がなく砲撃要請によりピンポイントで砲撃を行った為に驚く程に被害が少ない。
未だ散発的な爆発の発生する戦場より流れる土埃の混じった風にたなびく旗を見ればそこに自分が仰いだ旗は、自分の生涯を掛けて守る筈の存在はもうない。
意匠化された光を放つ太陽、己の仰ぐ筈だった旗よりも古い栄光(Old Glory)がそこにある。
旭日旗、即ち太陽の帝国たる大日本帝国、それが現在彼女が仰ぐべき旗の名前。
そんな現在の彼女…松島の姿はハワイ沖で鹵獲された時から大きく様変わりしている。
合衆国のそれを超えるレーダーや無線機電子機器に火器管制装置がそこかしこに設置され、換装可能だったので取り替えた対空火器も比べるまでもない。
まだ合衆国海軍在籍時だった自分には影も形も無い自国製の高角砲用の高精度近接信管まで用意されて泣きたくもなる。
まあそれでも、鹵獲されようとも大義を持って巨悪と戦っていると戦後のアメリカの為に戦っていると胸を張れる自分はまだマシだ。マシなのだ。
中央共産党による侵略受けた米植民地の解放作戦にも従事、
燃やされ崩れ落ちた自分の家を前に呆然と座る民兵、尊厳を奪われ壊された家族を前に泣き叫ぶ兵士も居た。
だが、脱出した家族との再会を喜ぶパルチザンや家族とともに家に帰れた植民地軍の将校もいた…自分は彼らの為に戦いその戦後を見送るのだ。
故国守りきれず散った姉妹や同胞達に比べれば遥かに有意義であろう。
そんなことを船魂の彼女…特設砲艦松島の船魂はマストに座り込む。
戦意高揚の為に印刷されたアメリカの象徴の様なピンナップガールの絵にも似た豊満で露出の多い姿はそのまま、
右足のサイハイソックス…星条旗より取られた紅白のストライプは新たなる母国の言語が書き込まれた黒いものに変わっている…の非理法権天の言葉を撫でながら考えた。
「Unjustis(非)はJustis(道理)に劣り、Justis(道理)とLaw(法)は等しくし在らねばならず、Law(法)をAuthority(権威)が保証し、
Authority(権威)をGod(天)は見ていらっしゃる…。」
松島が呟くこの鉄血溢れる世界でのその言葉の有り様。
非は道理に劣り、道理とは法はと同じ方向でなけれならず、その法は権威が保証し守らなければならない…、
そしてその権威はお天道様がいつも見ている…という考えだ。
元は違った意味がその様に再構築されたのはやはり蘭帝本土防衛線での経験が大きいだろう。
非は道理に劣っただから日蘭は勝った、道理と法は同じ方向を向いただから日蘭は発展した、その法を権威が保証し今の繁栄した日本と蘭帝が存在する。
翻って他国はどうか?フランスは革命に倒れ、世界帝国であった沈まぬ国の太陽は沈んだ…まあつまりはお天道様は全て見てたと当時の者らは思ったのだろう。
そしてそれは今の時代にも当て嵌まる、正義の日蘭は勝利し連合は負けた今後は日蘭に準ずる国家体制になっていくだろう…かつての祖国含めて…。
「まあ今のMeには関係のないことね。」
どの道、自分の槍働きは支那鎮定が終われば終了し退役であろうと松島は考えながら立ち上がる。
再び上海の街に目をやれば爆発や銃声は既に途切れ歓声が上がっていた…ついに上海を奪還したのだろう。
日差しを手で遮り松島が目を凝らし外灘…所謂バンドを見るとゴシック様式の建物、上海の象徴とも言うべきその建物の頂上によじ登った人がいる。
軍服を着用せず仏軍所属を示す腕章をするので仏植民地軍の民兵かパルチザンであろう。
彼、或いは彼女は立ち上がると何かをその頂上で掲げ振り上げた。
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「Tricolore…。」
青、白、赤の三色の旗。
彼、或いは彼女は自分が…自分らがこの地に戻ったのだと示したかったのであろう。
その気持は痛いほど分かる。まあ、それを気にする余裕も周囲の人間にはないのだが…。
その光景を認めると両手の人差し指と親指でフレームを作り旗を振る人物を収めると言葉を紡ぐ。
「Hi!Cheese!」
松島は他の人が知らずとも自分らはフランス人はここにいるとフランスは健在なりと知らせようとした人間がいたと示した人物の存在、
それを己だけでもと記念撮影で日本人が口にする言葉を紡ぎ…何故に乳製品出るのか分からないが…心の中に焼き付ける。
それを終えるとその後も暫くその人物は旗を力一杯振っていたが誰も気づかないことに気づいたのか肩を落とすと国旗を建物の頂上、
通りから見える場所に掲げるとトボトボとその場を後にした。
ついでに三色旗を中心にだが他の国の旗も纏めて掲げる辺り配慮していて松島は苦笑した。
その作業中、その人物は松島の艦体を認めると乗員がいるのかと思ったのかブンブンと笑顔で手を振ったので見えないとは思ったが手を振り返したが。
それから暫くだった、掲げられた各国の旗にフランス軍始め支那植民地奪還軍が気づき歓声を上げたのは。
戦後長らく、戦友の誰が掲げたのかも分からない旗はこう呼ばれることとなった…戦友たちの旗、と。
なお、戦後数十年経ての写真、文書などの資料整理にて砲艦松島の保存資料の中からその建物の屋上で旗を振る人物を撮影した写真が発見され人物も特定。
あの時、旗を振る自分を見ていてくれたのは松島(アイオワ)だけだった…とか日記に残してたのが判明大騒ぎとなったとか。
956:635:2024/02/12(月) 10:24:29 HOST:119-171-251-139.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ
( ゚д゚)<遅くなって申し訳ない。松島のお話です。遅筆なので時間掛かるやもですが。
( ゚д゚)<この旗の話が国際協調を進める一端ともなりましたが戦後長らく掲げた人物は特定不能となっておりましたが誰が撮影したか分からん松島の資料の中に埋もれていた写真で特定されたという
( ゚д゚)<なお、その人物フランス人で松島の船魂見たのでFFRが女神の存在を深く信じる一助になったのは言うまでもない。
( ゚д゚)<松島はFFRからは旧アメリカ関係(艦)の中じゃ唯一敬意持たれてるかと(フランス人の善行?見守り写真に残した)
最終更新:2024年06月16日 23:32