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日米枢軸ネタ 小ネタ 新標準艦隊

新標準艦隊とは、戦間期から冷戦初期にかけてイギリス海軍が実施した海軍軍備計画である。
世界大戦で見せつけられた日本海軍や、その支援を受けて急速に拡大するアメリカ海軍への抑止力を維持するために策定され、国際情勢の変化により幾度かの改定を加えられながら、1926年から1946年までの20年間に渡って精力的に推進された。

概要
世界大戦終結時のイギリス海軍は戦艦24隻、巡洋戦艦20隻、航空母艦16隻を含む1400隻以上の艦艇と8000機近い航空機を運用する世界最大規模の海軍であった。

これは規模だけなら日本海軍に次ぐ世界第二位のもので、欧州では最大の規模を誇っていた。
しかし、その内実は砲装型戦闘艦やレシプロエンジンを動力とするレシプロ機などの従来兵器が主体であった。
欧州諸国を相手にするには十分以上ではあるが、世界大戦前からミサイル兵装艦やシステム艦、ジェット機の運用を開始していた大日本帝国を相手にするにはやや頼りない。

物量で質を補おうにも、従来型の砲装型戦闘艦艇の数も戦艦こそイギリス海軍の方が多いが、航空母艦や巡洋艦、駆逐艦以下の補助艦艇は日本海軍の方が多い。
数で優位に立つ戦艦ですら、スペック差で見るとイギリス海軍最大のアドミラル級戦艦の主砲が16インチ砲なのに対し、日本海軍最大の紀伊級戦艦の主砲は18インチ砲と隔絶した差があった。

イギリスの繁栄の源は世界中の植民地との通商路であり、それを護る海軍の存在はイギリスの要と言っても過言ではない。
故に海洋戦力で遅れを取るということはイギリスの命運を放棄することを意味している。

外交面でも、アイルランド独立派(アイルランド系アメリカ人含む)との間におきたアイルランド独立戦争で日米が介入したため敗北(アイルランドの独立を認めさせられた)したばかりであり、これ以上日米はもちろん欧州諸国に舐められる訳にもいかない。

保守党のスタンリー・ボールドウィン内閣は未だ世界大戦のダメージから回復しきれていないながらも、19世紀に起こった『扶桑ショック』や20世紀初頭の『満州ショック』の時と同様に、対抗措置として軍備の拡充を選択せざるをえなかった。

内閣の指示を受けたイギリス海軍は、1926年2月までに陳腐化した艦隊を再現するために戦艦14隻、航空母艦24隻を中核とした一大建艦計画である「新標準艦隊」と呼ばれる海軍整備計画を立案、議会の賛同の下に実施する。

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構想の内容
計画が構想されていた1920年代初頭のイギリス海軍は、主力艦だけでも16インチ砲戦艦12隻、15インチ砲戦艦12隻、13.5インチ砲戦艦16隻、航空母艦20隻と数だけなら日本海軍に匹敵する規模であった。
しかし、上記したようにイギリス海軍の艦艇と日本海軍の艦艇達と間には隔絶した性能差が存在するため、イギリス海軍は15インチ砲戦艦以下の戦艦28隻を退役させることでワシントン海軍軍縮条約に基づき14隻の戦艦建造枠を確保。
空母に関してもレシプロ機の運用を前提としたアークロイヤル級航空母艦とグローリアス級航空母艦を退役させ、ジェット機の運用を前提とした大型航空母艦を16隻、世界大戦でその脅威を知らしめた潜水艦対策としても使える軽空母8隻を整備し、戦艦26隻、航空母艦24隻まで主力艦を増強する。
合わせてこれらの主力艦を護衛するミサイルを主兵装とした艦艇や高速潜水艦に対応できるよう対潜艦艇の整備が計画の根幹とされた。

以下新標準艦隊で構想された建艦計画

  • 戦艦     ×14隻
  • 正規空母   ×16隻
  • 軽空母    × 8隻
  • 巡洋艦    ×32隻
  • ミサイル駆逐艦×28隻
  • 汎用駆逐艦  ×96隻
  • 対潜フリゲート×56隻
  • 潜水艦    ×38隻
  • 補助艦艇   ×多数

戦艦
1920年代当時のイギリス海軍は

  • クィーン・エリザベス級戦艦  6隻
  • キング・エドワード7世級戦艦 4隻
  • オライオン級戦艦       4隻
  • コロッサス級戦艦       4隻
  • ドレットノート級戦艦     4隻

  • アドミラル級巡洋戦艦     6隻
  • レナウン級巡洋戦艦      4隻
  • ライオン級巡洋戦艦      4隻
  • インヴィンシブル級巡洋戦艦  4隻

の計40隻の戦艦・巡洋戦艦を保有していた。
当初のイギリス海軍はこのうち13.5インチ砲艦であるコロッサス級戦艦、ドレッドノート級戦艦、ライオン級巡洋戦艦、インヴィンシブル級巡洋戦艦の16隻を退役させ、その代艦として18インチ砲戦艦であるキング・ジョージ5世級とヴァンガード級戦艦をそれぞれ4隻ずつ建造することを計画していた。
しかし、日本海軍で建造が計画された大和型戦艦のスペックを知ったイギリス海軍はこれでは足りないとして、対日戦を想定した場合無力に等しい15インチ砲戦艦(オライオン級、キング・エドワード7世級、レナウン級)も退役させ、新たに20インチ砲を連装形式で4基8門搭載した守護聖人級戦艦4隻の建造も実施した。

空母
世界大戦時から戦後直後において、イギリス海軍の主力空母として活躍したのは26,000トン級のアーク・ロイヤル級航空母艦6隻と14,000トン級のグロリアス級航空母艦14隻であった。
これらはレシプロ機を運用するには十分であったが、世界大戦時に日本がお披露目した次世代型の航空機、ジェット機を運用するには小型すぎ、十全の状態で多数のジェット機を運用できないという問題が発覚する。
航空戦力の優劣が戦争の勝敗に直結することがこれでもかと示された以上、戦艦の整備以上にジェット機の開発とそれを十全に扱える空母の整備が急務とされた。

1926年には4万7,000トン級大型空母であるオーディシャス級航空母艦4隻、23,000トン級のハーミーズ級航空母艦2隻の建造予算がイギリス議会で成立したのを皮切りに、1946年までにジブラルタル級航空母艦(53,000トン級)4隻、オーディシャス級航空母艦12隻、ハーミーズ級航空母艦8隻が整備された。

178:ホワイトベアー:2024/02/20(火) 22:06:22 HOST:om126194226068.10.openmobile.ne.jp
巡洋艦
世界大戦で日本海軍のミサイル兵装を見せつけられた欧州諸国では、戦後次世代の兵器としてミサイルの研究とそれを運用するプラットフォームの研究が進められた。
これはイギリス海軍も変わらず、新標準艦隊ではミサイル兵装を主兵装とした新艦種「防空巡洋艦」であるダイドー級防空巡洋艦が設計され、20隻の建造が新標準艦隊計画に盛り込まれた。
ドイツ帝国海軍のとある巡洋艦のせいで水上艦艇による通商破壊の脅威もトラウマレベルで植え付けられており、ハンター・キラー部隊の旗艦を担う巡洋艦として、対空能力を妥協して対潜能力と対艦能力を高めたサウサンプトン級巡洋艦12隻の整備も実施された。
また、これと並行して十分な数の新造艦が揃うまでの繋として、既存の重巡洋艦並び軽巡洋艦のミサイル巡洋艦化も行われる。

駆逐艦
従来のイギリス海軍は1隻の教導駆逐艦と8隻の駆逐艦で駆逐隊を編成していた。
新標準艦隊ではこの編成を下に1隻のミサイル駆逐艦と8隻の汎用駆逐艦で駆逐隊を編成することとされ、駆逐隊の旗艦として28隻のミサイル駆逐艦が最低でも必要と見積もられ、1946年までに5,300トン級のバトル級ミサイル(教導)駆逐艦の建造が認められた。
汎用駆逐艦としては4,100トン級のジャベリン級駆逐艦とその系譜を組む駆逐艦(K・N・L・M・O・P・Q・R・S・T・U級の全11クラス)が整備された。

顛末
1949年に施行される予定のウェストミンスター憲章とそれに伴う大英帝国のイギリス連邦への発展的解消により、一時的ではあったがイギリスの財政状況は大幅な悪化が見込まれた。
これを受け新標準艦隊も大幅な見直しを余儀なくされ、建造艦艇数自体の縮小は避けられたが、少なくない数の艦艇がイギリス本国海軍ではなく、イギリス連邦加盟国に譲渡されることとなった。

最終的に1946年の計画達成時にイギリス本国海軍が運用していた主要な戦闘艦艇は以下の通りである。

戦闘艦艇
守護聖人級戦艦×4隻
キング・ジョージ5世級戦艦×4隻
ジブラルタル級航空母艦×4隻
オーディシャス級航空母艦×6隻
ハーミーズ級航空母艦×8隻(全艦がコマンド母艦化)
ダイドー級ミサイル巡洋艦×20隻
サウサンプトン級ヘリコプター巡洋艦×4隻
バトル級ミサイル駆逐艦×12隻
汎用駆逐艦×96隻
対潜フリゲート×56隻
潜水艦×38隻

179:ホワイトベアー:2024/02/20(火) 22:07:51 HOST:om126194226068.10.openmobile.ne.jp
以上になります。
ちなみに最後の表にない艦艇は予備役化もしくは各ドミニオンに譲渡されることとなりました。

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wikiへの掲載はOkです

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最終更新:2024年09月13日 20:11