銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです 幕間 大日本帝国とは その二
カツン、カツンと艦内の廊下を靴底が打ち鳴らす音が近づくのが強化されたセンサーが組み込まれた耳に振動として聞こえ、
その一歩ごとに緊張からサイボーグとして強化され状態も安定している筈のかつての肉体のクローンの背中に汗が流れる。
近づく床をその音を聞きながらとある世界でザンジバルと呼ばれた艦級を模して建造された数十隻以上存在する高雄型一等巡航艦『羊蹄』の会議室で艦長始め同じ理由で集まった同士でもある乗員らはゴクリと息を呑む。
羊蹄のその名も理由に因む。
靴音が会議室の前の扉で止まり機械音と共に扉が開き一人の女性が護衛の肉食獣型無人機を引き連れ入ってくる。
目に入るのは一族の証たるミントグリーンはなく”彼女”ならば着ることはないだろう濃い全てを呑む様な漆黒の軍用礼装、
かつてあった女性用乗馬服にも似た装い。
胸元には多数の勲章が存在し中には
アメリカやイギリスのものもある。
何よりもその水色掛かった髪から生える耳と同じ色の尾が目を引く。
眼前の彼女は足元のロングブーツを打ち鳴らし挙手の敬礼を行う。
「神崎島鎮守府よりヂラール戦観戦武官として派遣されましたメジロアルダンです。よろしくお願い致します。」
挨拶をしたのはガラスの重戦車ことメジロアルダン。
あまりにも理想的な敬礼に見惚れ反応の遅れる乗員たち、中にはその姿に泣き出しているものもいる。
艦名の羊蹄山…その名を取ったのは蝦夷富士のその裾野に生まれた馬達に脳を焼かれた者達だからである。
「少佐…もとい月東(がっとう)大佐これからのご予定は?」
「こちらを。」
アルダンの言葉に某宇宙要塞の悪夢の外見の艦長の月東大佐により羊蹄の会議室にゼルモニターとは異なる小さな輝きが多数映し出された球体の三次元ホログラフが映し出される。
艦長の声と姿に微妙な表情になるアルダン、彼女の中でのあのキャラクターは兵の域を出ないテロリストな頭ジオン星人である。
艦長の月東の転生前は1990年代後半から2000年代初頭の学生ででアバターのキャラクターの評価が理想に殉じた武人、義の戦士と見られた時代である。
自身の感想もそうなっている。
「これは天球儀でしょうか?」
「はい、Z7Q-285643と我々が呼称している宇宙における我々が観測した領域の天球儀になります。」
アルダンの言葉に艦長の月東が答え、そのの一部を拡大すると五つの惑星を有する恒星系が映し出され、さらに拡大され地球型惑星が表示される。
「オルネス星系第三惑星…現地名は不明、我々はZXS-7846と呼称し知的生命が存在しております。
我々の主観時間で20年程前になりますがZXS-7846にヂラールが襲来。
当時はせいぜい初期の農耕文化が発生した段階故に大した抵抗も出来ず多数の死傷者が発生しヂラールコロニー化されかけましたが我々とゼスタールが介入しどうにか排除しました。」
「オルネス…その名の由来は現地種族の?」
「はい、現地知的生命体の呼称で太陽の様な主恒星を意味します、話を戻します。
現在、このオルネス恒星系より数光年の星間空間にBETA…ヂラール先遣隊の出現の兆候が観測。
現在では流れる時間の相違によりZXS-7846では接触時より数千年経過を確認。
ですがそれでもカルダシェフ・スケールに当てはめればレベル1に届くかどうか程度…流石に荷が重い。
故にZXS-7846到達以前にこの先遣隊を叩くのが我々の任務となります。」
「この様なことは以前にも?」
「………地球を脱出してより100年…故郷奪還は叶わずさりとて人の身のままスールとなり果てた人類にとってその時間は長すぎました。
老いず死なず代わり映えのない日々。
転生経験のある我々はともかく彼らの精神の摩耗を防ぐことが必要でした。」
「その結果が宇宙の防人と…ガチャですか…。」
遠い目をする月東だがアルダンの一言に頭に汗を流す。
ちょっと彼も思うところがあるらしいがそのアバターも勿論ガチャである。
会議を終え係の士官に案内されアルダンは艦内視察の退室し艦長の月東と乗員が残る。
副長は月東に話しかける。
「あれがメジロアルダンですか…再びこの目でメジロの馬、いえウマ娘を見ることになるとは思いませんでした。」
「副長、ウマ娘ではないおウマさんだ。」
月東は副長の言葉を訂正する。
488 名前:635[sage] 投稿日:2024/07/04(木) 07:24:19 ID:27-143-183-71.rev.home.ne.jp [10/12]
「しかしメジロアルダンは艦長の推し馬でしたな。」
「幼少の時分、最初の人生の父に連れられて行った競馬場で初めて見た馬が彼女だった…。
当時の私は身体が弱くてな…体質が弱くとも健闘している彼女は私の励みになったものだ。
そういう副長も確か彼女に思入れがあったのでは?」
「勤め先で引退後の彼女の世話を任された時期がありまして思い出が少々…まあその世界も今は遠くになりにけり、ですが…。」
二人の間に沈黙が暫し降り月東が口を開く。
「しかしメジロアルダンとZXS-7846…不思議な縁もあるものだ。」
「艦長が受領したサイサリスで初めて出撃された場所で、
ヂラールからの地球防衛戦時から持ってると幸運になると艦長が御守にしていたアルダン嬢のフィギュアを紛失した惑星ですからな。
その星へメジロアルダンと共に行く…。」
「今でもあの星の何処かにあのフィギュアはあるのだろうか…。」
二人は因果なものを感じずにはいられなかった。
その頃、巡航艦羊蹄の格納庫でメジアルダンは眼の前にあるもの見て後頭部にでっかい汗を浮かべ案内の士官に尋ねる。
「あの…この試作二号機は一体…?」
「この機体は月東艦長の愛機です。艦長はこの機体で今まで多大な戦火をあげていらっしゃるんですよ!」
凄いでしょうと興奮気味に言う士官、そんな彼もまたメジロの馬に焼かれた一人である。
転生前はゲームでトレーナーもしていたとか。
「艦長はトップエースの一人でもありますからね!」
「痛い子とかいう…?」
よくご存知ですねと感心した言葉を零す士官に天を仰ぐアルダン。
そんな二人の前には白と緑に染められた某試作二号機が存在する。
そしてその盾にはデカデカとフリルの付いた黒主体の勝負服の見慣れた水色のウマ娘が描かれていた。
マルチバースに広がるいくつもの宇宙…それらには未だに知られぬ知的生命が誕生した惑星は文字通り星の数程存在する。
そんなとある宇宙の一つZ7Q-285643と大日本帝国が呼称する宇宙のある銀河のある星系のハビタブルゾーン内に存在する第三惑星には知的生命体が存在した。
水と森林の覆うその惑星に暮らすのは地球人やイゼイラ人と類似した体型で身長は平均して1.8メートル程度。
肌の色は多様でイゼイラ人に類似している。
瞳は大きく金や銀の虹彩を持ち、耳は側頭部から外側に広がる形状で羽根のような構造を持っている。
そんな彼らの自称を地球の言語で表現するならばZehnohs…日本語でならばゼノスであろうか?
その名前は惑星の名前にもなっている。
そんな惑星ゼノス、恒星
彼らの住む都市には水路が張り巡らされ森林や水辺と一体となり立ち並ぶ高層建築物は有機的な形状をしており、
曲線や自然の形を模したデザインをし植物が生い茂り空中庭園のようになり、季節は春に近いのか花々が咲き季節を謳歌している。
それらの建物の中には多層的な垂直に伸びる農場も存在している。
内燃機関的なものは交通機関を見回しても存在せず技術的には地球より幾分進んでいる様に感じられる。
それら都市を離れると大自然が未だに広がっている。
その中でもこの星の中央平原にある深き大森林エルタリス、静かな水を湛える美しき湖シエルバ、剣の如き鋭き山カルディナ、広大なる豊穣の大草原ルミナ、海に面する風吹きすさぶ険しき断崖アウレリア。
それらには神殿が設けられこの星の者らから信仰を集める女神が祀られている。
神殿には清らかな水が流れ周囲には庭園が広がっている。
内部を見れば動物の耳と尾を生やした女性、女性と同じ耳と尾を生やした地球の馬にも似た動物の絵画、金属質の身体を持つネコ科の大型肉食動物にも似た動物をモチーフとしたレリーフが飾られ、
モチーフになっただろう馬にも似た動物…カリーネルが神殿の周辺で草を食む姿が見える。
489 名前:635[sage] 投稿日:2024/07/04(木) 07:25:00 ID:27-143-183-71.rev.home.ne.jp [11/12]
女神の名はエルテナ、カリーネルに乗り地上に降り立つと大地を創造し原初の大森林エルタリスを育てたとされる。
自然と調和、豊穣と保護の象徴でありカリーネルに似た水色の耳と尾を持ち、同じ色の長い髪と紫の瞳を持つとされている。
そして地球のネコ科の肉食動物にも似た鋼の身体を持つ聖獣メタロキンを使いとし、
メタロキンは神聖な儀式や祭典において重要な存在とされエルテナの祝福を象徴しており豊穣祭や平和の祭りではメタロキンの像が飾られ祈りが捧げられる。
そしてメタロキンの像は神殿の前にも狛犬の様に存在している。
そんなエルテナを祀る神殿の中でも最大のエルタリス神殿には近づく春の豊穣祭の準備の為に信者が大勢いるが話題は一つのことで持ちきりだ。
信者の一人が友人と興奮しながら語り合う。
「もしかしたら異星人かもしれない…!」
「本当なら隣のシリウムでの生物発見以来の快挙だな。」
「エルタリス神殿に祀られた最古のエルテナ様の像もゼノスの外から持ち込まれたことが確定してるしエルテナ様も異星人なのかもな。」
つい先日、オルネス星系第五惑星の外側…星系外縁部にて突如として赤外線反応の増大が観測され天文台や宇宙望遠鏡、天文学のアマチュアだけだえなく一般市民も望遠鏡を持ち出して天体観測するのがブームになったからだ。
観測機を打ち上げるという話まで出ている。
「でもさあ…あれだったらやだよね。」
「アレ…?」
「ほらアレだよ…人々を喰らい鉄の巨人達に打倒されエルテナ様に天の果てに封じられた怪物達だったら…。」
「ああ…伝説の空に開いた穴からやってきたという…。」
その水と緑の惑星ゼノスのあるオルネス星系の外には幾つものゼノス文明より遥かに進んだと思しき航宙艦と多数の一つ目の人型機動兵器の姿があった。
艦艇の周囲には夥しい数の肉と血が無重力の中を漂っている。
それらは幾分原型を留めているものもあるがその姿はまるで神話の怪物の様に恐ろしい…。
その中にある艦艇の多くは楕円形の緑の船体から後方に艦橋はらしき部分が伸び、その伸びた部分から下方に向かいエンジンブロックらしいものが存在している。
そして艦艇らには白地に赤い円から赤い線が放射状に伸びる意匠のマークが施されている。
それらの艦艇の星系内に向け移動を開始開始した。
最終更新:2024年07月04日 19:21