480 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/03/02(土) 15:54:47 ID:softbank126036058190.bbtec.net [66/148]

憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「Andaman Express」4(修正版)


  • C.E.世界 融合惑星 β世界 β世界主観1999年9月14日2時45分 アンダマン諸島


 アンダマン諸島の諸基地からの要請に対する判断は、結局のところ現状維持となった。
 国連軍司令本部の判断は、あくまで防衛戦に徹してBETAの後方浸透を最優先とすべしという消極策だった。
建前的には、前線の押上げは歓迎できるが、かといって冒険を冒して防衛を果たすという目的からそれることを懸念したという。
実際、アンダマン諸島の防衛がうまくいっているのは地球連合の戦力ありきであり、これ以上の進出などに耐えられるかと言えば微妙だった。
失地奪還をして戦力を送り込んでも防衛するのが他国だよりでは意味がない、ということである。

 また、国連軍としても、いくつもの方面での作戦が同時進行していることで、そこまで把握するのが困難であった。
事実上見捨てた欧州や日本、極東ロシアなどを除いても、アフリカと東南アジア方面で大規模どころではない作戦を実施していたのだ。
これ以上さらなる処理すべきタスクを増やされると飽和するという懸念があった。

 だが、邪推すれば、地球連合に成果を出されては困るという米国の意志があったともいえる。
 防衛に成功している時点で大成功の部類であるからして、これ以上の点数稼ぎをされては困るのである。
犠牲も前提に東南アジア方面の防衛線を構築して今もなお戦っている国連軍からすれば、下手な戦果はメンツをつぶしかねないのだから。
そういう都合もあり、ユーラシア大陸への揚陸と橋頭堡の確保、ひいては失地奪還はできるならば阻止したかった。
これは悪意的に見ているが、真実に迫っているかもしれない。
 他方、インド方面においてはスリランカ政府およびインドからの要請もあり、今後の侵攻に対する予防的な意味も込めて失地奪還に動いたが、ここでは割愛する。
 とにかく、そういう判断が下されたのである。

 こうして防衛戦に終始することになったアンダマン諸島の戦力であったが、困ったことになった。
 早くもBETAの打ち止めが見えてきたのである。戦略砲撃を叩きつけて寄ってくる端から潰していた結果、後続が減り始めていた。
衛星からの観測では、あと十数分で十二分に消し飛ばせるほどの分しか後続がいないのだ。
それでも十分に大規模と言える集団ではあったのだが、何時までも続くかと思われたそれに終わりが見えたのは一つの光明であった。
助力もあって犠牲がほとんどないままに凌ぎきれたというのは、β世界の人々にとっては大成果そのものだった。

 一方で浮かれることができなかったのが地球連合の将兵たちだ。
 あまりにもあっけなさすぎる、と思ったのだ。
 確かに現在進行形で観測できているBETAの排除は進んでいるし、ハイヴからの湧き出す勢いも減っている。
 だからといって、ハイヴ内にどれだけいるかもわからないBETAが早々に枯渇してしまうだろうかという疑問を抱いた。
これまでに対峙してきた外敵が強すぎた弊害と言えるかもしれないが、とにかく、あっけなく勝てたことで逆に疑心暗鬼になったのだ。

 これを補強する要素もまた存在した。
 地球連合はこの融合惑星の一角を占めるβ世界を訪れ、外敵であるBETAの存在を知ることになった。
これに対して地球連合は現地の国家がこれまで戦ってきたデータなどの情報を受け取り、精査し、また自分でも調査することで脅威度を査定したのだ。
その結果から言えば、現状確認されている範囲ではBETAはさほど脅威ではないという、低い脅威とみなされたのだ。
BETAの個体ごとのスペックは確かに驚く点もあるが決して強いとは言えないし、物量に関しても対応できるレベルとも結果を弾き出した。
 しかし、これは現状明らかになっているBETAのデータを統合した結果にすぎず、査定の結果は覆るかもしれないと警戒していた。

481 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/03/02(土) 15:55:57 ID:softbank126036058190.bbtec.net [67/148]

 もっと言えば、実はまだBETAには未知数の能力や種類が存在しているのではと、まだ調査できていない領域---ハイヴなどを警戒していたのだ。
もしかしたら人類が認識していないだけで、驚異的な能力を持っているBETAが隠れており、それが出てくるかもしれない---経験則的な予測があった。

 当初こそそれを一笑したβ世界の将兵たちであったが、危険性を何度か訴えられ、不安になってきた。
 BETAと長く戦ってきていることは確かであるが、かといってβ世界の人類はBETAについて全部を把握しているわけではないのだ。
いくつもの疑問や未解決な要素が存在しているし、BETAに対する研究自体も今もなお進行中である。
つまり、地球連合が警戒する要素が存在していても全くおかしくない、というわけだ。

 そして、その懸念は東南アジア方面からの至急電により、的中していたことが発覚する。
 即ち、最前線であったクラ海峡防衛線が崩壊したという情報。
 しかも、新種の大型BETAが出現したという情報と映像データまで付属していたのだ。
 現地司令部の余裕は一瞬にして吹き飛び、それへの対処のための動きを余儀なくされたのだった。

 クラ海峡を活用した防衛線は、元々最前線ということもあり、兵力および武器弾薬が集積され、地形も相まって堅牢な防衛線だった。
単純に戦力が多いということもあるが、キルゾーンをいくつも設定しており効率的な排除が可能だという強みもあった。
縦深も稼いでいたこともあって、粘れるだろうという見込みがあったのだ。
 ここに上乗せされたのが、マレー半島につながるユーラシア大陸の大地にアンダマン諸島からの戦略砲撃が行われたことだった。
一射で大量の数を消し飛ばせるそれは、絶対数こそ少ないながらもマレー半島へと抜ける数相当数減らすことに繋がり、防衛ラインの延命につながっていたのだ。

 では、いったいなぜクラ海峡を利用した堅牢な防衛線はBETAによって崩壊したのか?
 それは至極単純に、砲撃をBETAが文字通りの意味で潜り抜けたからに他ならない。

 古くは第一次世界大戦、あるいはアメリカ南北戦争。
 それまでの戦列歩兵による戦いを覆したのが塹壕戦という耐久力を求められる戦い方だった。
砲撃の射程や大多数の敵を蹴散らすことができる機関砲などの発展により、迂闊に突っ込むだけでは無駄死にになる戦場が形成されたのだ。
 ではその塹壕戦がすべてとなったかと言えば、そうでもなかった。今度は塹壕を突破する、あるいは無力化する手段がとられ始めたのである。
戦車であるとか浸透突破戦術であるとか毒ガスなどの化学兵器だとか、それらは非常に多岐にわたっていた。
防衛線に絶対無敵ということはなく、どこかしらに抜け穴があり、そこを突かれると弱いということである。

 さて、話を現在に戻そう。
 BETAが堅牢な防衛線に対して行ったのは、そんな人類がかつて構想した手段と類似したものである。
 メシヌの戦いで用いられた地下に坑道を掘ることで行った坑道戦、あるいは戦間期にドイツが構想した「ミドガルドシュランゲ」が適切だろう。
要するに、地上を行くから砲撃などで排除されるならば、地下を掘り進めよう---そんな極めて単純な発想だった。
 これを担ったのは、これまで人類の前に姿を現していなかったBETA---後に「母艦級」と呼称されるトンネルボーリングマシンに似た種であった。
砲撃の影響のない地下を掘り進め、海峡も陣地も通り越して、あるいは陣地のど真ん中に穴をあけ、そこから大群を送り込んだのである。

482 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/03/02(土) 15:56:47 ID:softbank126036058190.bbtec.net [68/148]

 これは同時にある種のステルス性を発揮した。
 β世界の人類がBETAの動きを知る手段としていたのは、もっぱら衛星軌道上の監視衛星からであった。
 高高度から見下ろせば誤魔化しは効かない---逆に言えば、監視衛星は表層しか見ることができないのである。
地表を移動するBETAを全てと思い込んで行動していた人類は、それに捕らわれてしまい、地下を掘り進めるというBETAの行動をすっかり忘れていたのだ。
少なくとも、このクラ海峡防衛線において、地下浸透への警戒が低かったのは事実であった。
無理からぬ話でもあるだろう。膨大な数を相手にせねばならず、悪天候下で戦うことを強いられ、注意が分散したのだから。

 とはいえ、結果は結果である。
 突如として防衛線のど真ん中、あるいはその後方へと出現した大量のBETAは柔らかい側面を晒していた人類戦力を食い破った。
それこそが、堅牢且つ戦力が集中しているため、半日は持つと想定されていたクラ海峡防衛線があっけなく崩壊してしまった理由なのだ。
後方にいるはずの光線級や要塞級が前線にいきなり現れ、あるいは正面から来るはずの突撃級などが自分たちの後方から押し寄せてくる。
現場の混乱と恐怖は如何ばかりか、想像するのも難しい。救援要請や悲鳴のような通信の嵐だけが、かろうじて後方に伝えるのみ。

 そして、クラ海峡を利用した防衛線がもはや維持できない---意味をなさないと判断したシンガポール基地司令部は非情な決断を下す。
 即ち、救出や脱出が不可能となった友軍を見捨てる形で、現地に備えられていた大量の核兵器の起爆を行ったのだ。
これにより、犠牲は出たが、それ以上にBETAの排除することに成功した。縦深として「クラ湾」が形成され、時間稼ぎができたのだ。
この間に戦力の再編や再配置を行い、「クラ湾」に合わせた防衛線を再構築する。
機雷・地雷・野戦砲・海上艦艇---通常兵科も惜しみなく投じ、BETAの進撃を食い止める準備をする。
元々クラ海峡を利用した防衛線は抜かれることも前提としており、時間をかけてそのように準備がされていたのだ。

 しかし、根本的には何も解決していない。
 そもそも、新種の母艦級BETAの排除は、現地の戦力が束になってもできなかったのだ。
次に同じように母艦級が地下を掘り進めてきた場合に、どうやって対処するかのメソッドが定まっていない。
戦う方法が定まっていないどころか、大深度地下から浸透してくる動きを察知する手段がないのだ。
一応地下浸透を警戒するための震度計が利用できるのではと検討はされたが、それを十分に配置する時間的な余裕がまるでない。
つまり、母艦級という戦術を超えて戦略的な動きをするBETAがいつどこに現れるか分からないままに戦い、対応することを強いられているのだ。

 ともかく、その情報や顛末については空母タケミカヅチ艦載機の偵察機が克明に捉えていた。
 この情報は即座に各方面---あるいは各地でBETAと交戦している部隊へと共有された。
 当然、BETAの姿が見えなくなって安どしていたアンダマン諸島の国連軍基地へも至急電で伝えられた。
BETAは打ち止めになったのではない、地下へと進路を変更して、砲撃を回避して接近しているのだと。

483 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/03/02(土) 15:57:57 ID:softbank126036058190.bbtec.net [69/148]

  • β世界 2時52分 アンダマン諸島 中アンダマン島 地球連合アンダマン諸島派遣軍旗艦 改レセップス級陸上戦艦「アナトール」


 事実関係の確認がなされた後、「アナトール」艦橋にはアイの声が轟いていた。

「アンダマン諸島の各所の部隊に最優先で通達!
 BETAが地下から侵攻してくる可能性大!新種の出現よ!大至急地下からの浸透を警戒させて!
 特に北部地域が真っ先に会敵する可能性がある。あそこの砲台群がやられては困るから最優先に!」
「了解!」
「後方にまで容易く浸透してくるわ、そのつもりで!
 それと、震動計の敷設を急いで!どれくらいの深さか分からないけど、近づいてくれば感知できるはず!」

 それと、と予備の部隊へも指示を出す。

「手すきの部隊で遊撃部隊を編成するように指示を出しておいて。
 突破されることを前提として、その火消し役をできるだけ送り出すのよ」
「急がせます、無人機も?」
「編入していいわ。とにかく数が必要よ」

 むしろこういう時のための無人機だ。
 質はもちろん必要であるが、もっと必要なのは広い範囲をカバーできる頭数である。
 軍事基地などが狙われるならばまだマシだが、避難している民間人が狙われると状況的には非常にまずくなる。
まだ大規模侵攻が始まってから3時間余りしか経過していない。この諸島の難民キャンプからの避難はまだまだ時間を要する。
一先ず安全性の高い後方の南アンダマン島にまで逃がす手筈になっているが、それまでの安全確保などが急務。
 いや、避難先に先回りされる可能性もある。護衛も張り付ける必要があるだろう。

 そして、アイからの指示の元、予備戦力が次々と送り出されていく。
 SFSに乗った有人MSと無人MS、あるいは単独での飛行ができるディンやバビといった航空MS。どこに出るか分からない相手への対処は急務だ。
 同時並行で、各地で地下からの侵攻を想定した対地震動計などの設置と観測が急がれた。
 この手の地下を利用した侵略者や敵性集団との交戦経験のある連合では、不測の事態に備えそういった装備が標準化されていたのだ。
備えあれば患いなしという言葉の通り、これによって少なくともここでは対応できるようになった。

「スリランカ方面軍への連絡は?」
「既に完了しています。
 あちらではまだBETAがインド亜大陸を南下している段階で、事前攻撃で削っているとのことですが、あちらでも同じことが起こるだろうと」
「それならよかった。一応、北からだけじゃなくて、東西両面への警戒も怠らないように」
「了解です」

484 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/03/02(土) 15:59:22 ID:softbank126036058190.bbtec.net [70/148]

 そして、各地で動きが活発する中で、ついにそれが来た。

「北アンダマン島の『ジャクソン』より入電!新型BETAが出現したと!複数個所です!」
「同じく砲台群から、新型BETAが直近に出現したとの報告です!」

 来るものが来た、と腹を括る。
 北アンダマン島まで来ているならば、この中アンダマン島やさらに南に出現するのも時間の問題。
 ここからは単に防衛するだけでなく、有機的且つ柔軟に戦力を差配しなければならない。
 長丁場且つ集中の必要な時間だと、アイはモニターの情報に目を走らせた。

 斯くして新しく確認された母艦級BETAによる侵攻が始まり、特に東南アジア戦線は出血を強いられることとなった。
最初こそ、クラ海峡ごと核兵器の集中起爆で吹き飛ばすことで処理できたものの、何も母艦級BETAは1体しかいないのではない。
新しく形成されたクラ湾を利用した防衛線での戦いの最中にも改めて出現し、その輸送力と突破能力で後方を荒らし始めたのだ。
 これに対し、現地の大東亜連合軍および国連軍・米軍は有効な手立てがなく苦戦を強いられてしまった。
後方に浸透されて後ろから刺されるという状況もそうであるが、純粋に母艦級BETAが倒せないという問題があったのである。
戦術機の突撃砲などはもちろんのこと、展開していた戦車や自走砲は愚か、海上艦艇からの砲撃支援さえも外皮で弾いてしまう厄介さがあった。
 そして、そんな倒せないBETAからは次々とBETAが吐き出されてくるわけで、それへの対処に大わらわになる。
そうして待ち受けるのは戦力に対して対処すべきタスクが増えることによる飽和現象だ。
組織的な抵抗を行うための能力が徐々に削られていき、櫛の歯がかけていくように現地戦力は損耗。
何とか抵抗を続けはしたものの、クラ湾防衛線は大規模侵攻開始から6時間余りで崩壊することとなった。

 頭を抱えたのはそれをカバーする形になった前線の将兵たちであったが、それ以上だったのは後方の司令部であった。
これまでのところ母艦級を撃破できたケースは、核兵器の投入という手段でしか実現できていなかった。
戦術核兵器の投入ならばそれなりに手軽にできるものであったが、同時にそれは加害範囲が広く、友軍への被害が想定された。
一匹倒すために周囲の友軍や防衛線までも巻き込んでしまっては到底割に合わないのだ。
つまるところ、母艦級の出現で事前に策定していた防衛計画やこれまでの常識・メソッドが通用しなくなってしまったのである。
無駄な抵抗をしろと現地の将兵に命じることはできず、同時に何かしなくてはならなくなった。

 結果として、現地司令部は苦肉の策として母艦級の撃破を周囲のほかのBETA諸共吹き飛ばす焦土戦術に移行した。
戦術機を主体とした部隊によって地帯戦闘を行いつつ、BETA群を指定したエリアまで誘導、ミサイルや地雷という形で起爆し、排除するのだ。
当然だが、これは国土を犠牲にするし、少なからず犠牲なども発生する忌避すべき戦術だった。
それしかない、というのは一致した見解ではあったものの、それでも選ぶことは苦しさが付きまとった。
 これ以降、東南アジア方面は11時ごろまでずるずると後退しながら、犠牲も考慮した核による焦土戦術を継続。なんとかBETAの大群の足止めを行った。

485 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/03/02(土) 16:00:23 ID:softbank126036058190.bbtec.net [71/148]

 だが、BETAがそれを斟酌してくれるはずもなかった。
 マレー半島だけでなく、海中に飛び込んだBETAの群が時間差こそあれ、フィリピンやカリマンタン島、スマトラ島にまで到達を始めていたのだ。
 人類側は各地に戦力は配置していたのだが、地中と地表を移動するBETAに対して数の不利などはどうしても避けえなかった。
母数が限られているのに対し、防衛すべき箇所が多い結果、必然的に戦力の分散が発生して一か所当たりの防衛力の低下が発生したのだ。
 そのため、ここでも現地部隊は焦土戦術の敢行を余儀なくされた。

 同時に発覚しつつあったのが、現地部隊の武器弾薬および戦力の枯渇という事態であった。
 BETAの侵攻に備え、各地では備蓄を行い、周到に準備をしていたのはこれまでも述べた通り。
 だが、事前の想定を超えるペースでそれらが消費あるいは消耗していったために、戦闘を継続する力が失われつつあったのだ。
事前の準備の分のほか、後方からの輸送および射出などで前線に送り届けられてはいたが、それでも限度があった。
あるいは武器があっても戦術機の燃料などが尽きてしまったという事態も発生し、前述の要因もあり、士気の低下は著しくなった。

 さらに現地軍の士気に致命傷を与えたのがある種の「銀の弾丸」である核兵器の枯渇しつつあるという事実だった。
 この原因は言うまでもなく、想定以上に焦土戦術を続けてBETAの排除をしなくてはならなかったことだ。
核兵器もまた兵器の一つであり、使えば消耗する。同時にいくら便利だからと言って調達や配備できる数には限度がある。
各地で苦境に陥っている中で状況を打破するための「銀の弾丸」が状況を凌ぐ「命綱」となりつつあるのに、それが足りなくなる。

 そして、この苦境と劣勢を見続けていた大東亜連合は、自らの選択について疑問を抱いた。
 国民こそ逃げることに成功しているが、焦土戦術によって国家の未来は鉋にかけられている状態だ。
それで勝てるならば、まだマシだろう。時間はかかるが復興すればいいわけであるから。
そもそも、大東亜連合としては業腹ではあったが、米国の手を借りることになったのは大規模侵攻に対処するためだ。
そうでなければ、と思ったのに、結果が伴わなければ自らの選択を過ちと考えるのも自然。
 それらの統合の結果として、大東亜連合は援助を申し出ていたもう一つの勢力---地球連合へとコンタクトをとった。
勝つことができない米軍にいつまでも付き合っていられないという打算も込みだったと言えばそれまで。それでも彼らは生き残りたかったのだ。
 そして、遠く離れた土地で何が起こっていたのかを、ついに知ることになったのである。
 それはBETAがもたらす以上の絶望の刃ということを、未だに知らぬままに。

486 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/03/02(土) 16:01:51 ID:softbank126036058190.bbtec.net [72/148]

以上、wiki転載はご自由に。

文章の見直しとかしました。
転載時に修正するよりも楽ですからね。
これくらい分割しないとならないほど長くなったんだなぁと改めて実感…

出かけてくるので暫くの間返信できなくなります。悪しからず。
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最終更新:2024年07月06日 20:37