923 :earth:2012/03/16(金) 22:00:11
 少しカリフォルニアが可哀想なので……ゲートネタIFです。




 自分の世界が危うくなったことから、アメリカ合衆国が引き上げたのを見て、日本帝国は西海岸侵攻作戦の準備に入った。
 帝国からすればカリフォルニア共和国は、様々な温情を与えたにも関わらず裏切った許すことが出来ない存在だった。
 当初は核兵器でアメリカ風邪諸共、消し炭に変えてしまう予定だったが、戦後のアメリカ合衆国との関係や西海岸の利権など
様々な事情を考慮して核の使用は戦術目的にとどめ、通常兵力で西海岸を制圧することにしたのだ。

「ハワイ沖海戦の傷を癒した連合艦隊と、北米総軍で押し潰してやる」

 クーデター軍に後ろから撃たれて非業の死を遂げた今村元帥の敵討ちだと帝国軍は意気軒昂だった。
 戦艦7隻、超重巡4隻、正規空母10隻を中心とした世界最強の機動部隊と6個師団を中心とした北米総軍がハワイに集結した。
 そしてその様子は余すことなくカリフォルニア共和国にも届いていた。

「ハルゼーはハワイ沖で沈み、海軍は消滅。頼みの合衆国は逃げ出した、か」

 日本帝国国民の憎悪を一身に受けているカリフォルニア共和国臨時大統領マッカーサーは、自分の身の破滅が迫っていることを
悟った。共和国軍内部では本土決戦を主張する者もいたが、経済はガタガタであり、国内では反政府ゲリラが活発化していた。
加えて建国の功労者であるハーストが日本海軍の潜水艦によって救出され、ハワイで臨時政府の樹立を宣言したことがトドメになった。

「暴虐な独裁者マッカーサーに我々は、いや民主主義は屈しない! 自由の民よ、今こそ異世界の侵略者と自由の敵に対して
 我らの正義を示すときだ!」

 ラジオから聞こえるハーストの演説を聴いてマッカーサーは憎悪に顔をゆがめた。

「国を売ろうとした売国奴が!!」

 だが勝負はすでにハーストに軍配が上がっていた。
 最初はマッカーサーを支持した国民も、経済の低迷、立て続けの敗戦によってハースト支持に切り換えている。
 メキシコ経由で脱出したアイゼンハワーがハースト率いる自由カリフォルニア政府に加われば、共和国軍内部からも
自由政府に寝返る者も出る可能性が高い。

「このままではサンフランシスコ沖に連合艦隊が出現した瞬間に、私は縛り首だ」 

 そしてマッカーサーは一つの決断を下す。それは皮肉にも史実と同様の決断だった。
 彼は再度徹底抗戦を表明しつつも、その晩に一部の側近や家族と共に輸送機でフロリダに逃亡したのだ。表向きは合衆国に対して
直談判を行い援軍を得るためというものだったが、誰が何と言おうと実質的には敵前逃亡だった。

「私は必ず帰ってくる」

 しかし彼は帰ってくることはなかった。彼の乗った輸送機はフロリダに着く前に機体トラブルによって墜落したからだ。
 彼は英雄ではなく、卑怯者、世界の裏切り者として汚名を残すことになる。
 そしてマッカーサーが望んだ英雄の名は、彼が嫌った男が得ることになる。

「私はここに、カリフォルニア共和国の再建を宣言します!」 

 カリフォルニア共和国臨時政府の降伏によって、カリフォルニアへの帰還(それも大和に乗って)を果たしたハーストは
満面の笑みを浮かべて、カリフォルニア議会で高らかにそう宣言した。
 そしてハースト大統領率いるカリフォルニア共和国はアメリカ合衆国と大日本帝国の間を取り持つ存在として、荒廃した北米で
最も繁栄した地域となり、ハーストの名は長い間、稀代の名政治家、英雄として残ることになる。

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最終更新:2012年03月17日 16:50