183:陣龍:2024/04/21(日) 18:54:44 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

『ゴーストウィニングの異世界旅行記 ~放課後の放火()の魔術師~』



「いやぁー、満足満足。セイちゃん号は満足ですよー」
「ちょっとオバサン臭くないですかねぇ……あ、そう言えば実年齢だと」
「セイちゃーん?」
「あ、此処の人参プリン最近出来たんですけどおススメですよー?」
「へぇー、ありがと。それはそれとして後でお小言ね」
「うへぇ……横暴だー……」



 ゴーストが転移して四日目、そして夜の帳が下りつつある頃。トレセン学園のカフェテリアでは。



「『マヤノー!?』『ちょっとwwwこっち何もしてないww』『マヤノの敵だキングぅ!』『見え見えですよテイオー!』
『ピュェー!?』『テイオー!?お前らゴルシ様置いてけぼりに落ちていくんじゃねぇ―!!』
『さぁ、最後は貴方だけですよゴールドシップさん…!』」
「」( ゚д゚)

「『なしてーー!?』『擦り付け直後にキン〇ボンビー化からのボン〇ラス星逝きって…』『……ご愁傷様です、スぺさん』
『あー…気張るんやで』『おかーちゃーーん!!』『残りターン数から見ても……余裕は有りますけど』
『下手すりゃ、戻って来れんかもしれんなぁ……』」
「」( ゚д゚)

「『ふむ、手持ち資金は相当少なくなったが物件への投資を重ねて順調に資産が増えている。このまま行けば』
『ム、この目は……』『ああああああ大恐慌マス!?』『ま、待ってくれヒシミラクル君!せめて、せめて物件暴落だけ…』
『……はい、ビワハヤヒデさん。ゴメンナサイ』『ワタシの物件投資がー!?』『ハァーッハッハッハ!ドンマイだよハヤヒデさん!!』
『マーベラース!☆』」
「」( ゚д゚)


 ウマ息子世界のゴーストから送られて来た、向こうの世界でのゲームプレイ動画の上映会が行われていた。



「いやぁー、楽しそうですねー。あちらの学園生活も」
「そりゃあねぇ」



 爆笑であったり、衝撃であったり、その他色々な物がゴタ混ぜの自由奔放なトレセン学園生徒らしいゲームプレイ動画。
別世界かつ異性の自分や友人、クラスメイト、先輩後輩が画面内で行っている【ソレ】は、少し前の姦しさをおウマさん達に
注意されたからか声量こそ抑えられているも、食事の手を止めて食い入るように凝視するウマ娘を量産していた。何せ面白いのだ。

184:陣龍:2024/04/21(日) 18:56:03 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

「同G1勝利ウマ息子によるゲームプレイ動画。以外な組み合わせのお陰で何が起きるか誰にも分からないモノね」
「万年G1未勝利ウマ娘のネイチャさんには縁遠いお話ですわー」
「うん、そのネイチャさんはあのゴースト号に唯二人勝ったウチの片割れなんだけどねー」
「あー……その事に関しましてはー、そのー……」
「あの娘(ゴースト号)、セントライト号やシンザン号とかだけでなく、万全の状態ならマンノウォー号やエクリプス号、
サンデーサイレンス号とかの相手にも選ばれたりしてる位なんだから、いい加減自信持ちなって」
「いやいやいや……え゛、その事初耳なんですけど!?」
「今初めて言った事だからねー」




 バトルロイヤルで相変わらずの強さを見せるも時々謎の凡ミスで墜落していくウマ娘キング君や、
通常マップへ執念の帰還を果たして大損害の大赤字から逆襲を開始するスぺ君から逃げ切りを図るカフェ君・タマモ君・キタ君、
そして要所要所で全く意図せず一位のハヤヒデ君に大打撃を与えるマスに止まり続けるヒシミラクル君と事あるごとに高笑いする
最下位オペラオー君とシレっと首位奪取マベサン君。此方の世界の異性の同位体の反応を他所に観衆はこの観劇を楽しむ中で、
相変わらず一歩引いた所で場を見ているネイチャとスカイ、そしてその二人のおウマさんであった。



「(pipipipipi)……あ、それよりもゴーストからの連絡ですねー。お小言はまた今度にー」
「はぁー……全く」



 少し前の大騒ぎより多少落ち着いた騒めきの空間であるカフェテリア。その中でゴーストが異世界転移してから恒例となった、
向こうの世界からのメール。




「……ネイチャさん」
「ん?どしたのスカイ」
「若しかして、ターボさん、ゴーストからゲームソフト借りた後返し忘れてたりしてません?」
「え、いや、流石にそれは知らないけど……わぁ」



 そしてこれも恒例となった、ゴーストによる向こうの世界での悪意のない『ヤラカシ』の報告。



『ゲーム動画の為のパワ〇ロソフトをターボから返して貰って無かったからギャロッ〇レーサーで代用した。動かなくなった(´・ω・`)』


 よりにもよって最新作【Gallop 〇acer N,World】を、馬の存在しない世界に持ち込んで【元ネタ】とも言える存在を事細かに解説したり
仮想の栄光を見せると言う爆弾魔モードのゴーストウィニングが、とても困った顔をして衝撃の余りバグとエラーを引き起こして
機能停止したマヤノ君を背景としたメール写真を送って来ていた。



「……爪痕を残す、とはこの前言いましたけどねぇ」
「【爪痕】で済むどころじゃ無いねぇ……分かってた事だけど」

185:陣龍:2024/04/21(日) 18:59:01 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp


「マヤ、分かんない、分かんない、ワカンナイ……ガガーガーピーピーピー」
「マヤノー!?どうしよう、マヤノが壊れちゃった!」
「うん、ゴーストちゃん。今ゴーストちゃんが何したのか言って見よ?」
「何って、ただ単にゲーム中のマヤノトップガン号で同一年日米英仏豪の芝G1最高峰を制覇した上で
ドリームレースで勝利しただけだよ!?」
「それだよ、と言うかそれしかないよ」



 因みにその頃のウマ息子世界では、相も変わらず爆弾をばら撒き誘爆させているゴーストが、
情報過多にて一時的故障()を起こしたマヤノ君を介抱し、それをカレン君が呆れながら見ていた。
尚、ゲーム画面のまま音声のみ放送中である。






「動画配信、かぁ。ゲーム動画で良い?」
「うん。それで良いけど、良いの?」
「いや、こっちの世界のゲーム動画をアッチに送ったし、それの返礼もしないと行けないでしょうに」
「確かにそうだけど……」


 時は一時間程遡り、【大暴走】していたウマ娘共をゴースト謹製MAD動画と言う劇薬爆弾にて強制鎮圧して30分後の事。
台風の目にして悪意も何も無く爪痕を超えて斬撃痕を残して回っているターフの亡霊は、
この世界に来てから殆ど傍にいた為か耐性が付いていたカレン君とマヤノ君から、動画配信の要請を受諾していた。


「なんか、歯切れが悪いね」
「ゴーストちゃんがそれ言う?」
「ゴーストさんが何かしらやる度に、ウマ息子が上や下やの大騒ぎになるからね……」
「ワタシ・ナニモ・ワルク・ナイモン」


 ぷっくり頬を膨らませる子供染みたいじけを見せて見るゴースト。一応ウマ息子の方が過剰反応し過ぎていると言えなくも無いだろうが、
根本的原因が言った所で説得力が無い。



「それで、ゲームのソフトだけど……」
「一応言って置くけど、あんまり変な物をやらないで欲しいなーって」
「やろうと思うのは野球ゲームだからそこは安心して欲しいかなって。シリーズモノで安定した面白さのトコだし」
「それなら安心……かな?」
「ボーク判定モノ投法とか謎ダンス投法とか軟体人間投法とか見たいなバグ染みたヤツとかは絶対有り得ないから実際安心」
「なんですかその訳分からないの……」


 変な事を言いだすゴーストに疑問符を浮かべて訝し気な目になるウマ息子達。その後ゴーストが言った謎の言葉を示す
とある野球ゲームのMAD動画を見せられて思わず大笑いした事はさて置き。




「……あ、ターボのヤツ。パッケージは有ってるけど入れてるソフト間違えて返して来てる。なんぞこれ、音ゲー?
専用機器無いんだけど」
「え、無いの?それじゃ、どうしよう?中止する?」
「告知して置いてそれは無いでしょうに……ヨシ、代用でコレにしよ。丁度ウマ息子にもウマ娘にも関連性もあるし」
「それ、なんですか?」
「最新作の神ゲー【Gall〇p Racer N,World(エヌ・ワールド)】」

186:陣龍:2024/04/21(日) 18:59:57 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

「どうしてこうなった」
「寧ろこうなる方が自然だと思うよ、うん」
「……仕方なし、まだ配信時間残ってるからカレンチャン号で世界スプリント完全制覇のロマンを果たして見せようゾ。
余裕が有ったらマイル路線でも」
「今度はカレンが標的になるの!?」
「視聴者が望んでいる事だし仕方ないねそうだよね」
「ちょっとー?ゴーストちゃん?コッチに目線を合わせて言って見ようね?うん?」
「ヨシ、カレンチャン号が駄目ならダイタクヘリオス号にて二代目全距離重賞制覇の伝説を……」
「そう言う事じゃないからね?ゴーストちゃんそっちじゃないからね?」



 ウマ娘世界では、ゴーストウィニングへゲームソフトを返し間違えた事で余計な【誘爆】を誘発させた咎にてツインターボが
ニッコリ笑顔のネイチャに詰められている中、ゴーストはカレン君の【圧】により常々気圧される図式が成立していた。
この天然無意識爆裂娘を一定度でも制御出来たのであれば偉業である。


「あ、そうだ。カレン君カレン君」
「うん、だからね、ゴーストちゃん……」
「ほい」
「……ぅえ?」
「マヤノ君が謎の轟沈しているから、ソファー座る処無くなっちゃったし」
「……いやいやいやいや!?良いよ!?カレン立ってるから良いよ!?」
「ずっと立ちっぱなしとか疲れるでしょうに。良いから座ってる様に」
「ほ、ほぅわぁぃぃ……」



 だがその様な【偉業】、カレン君が立ちっぱなしでソファーの座るスペースが無いからと言う理由で欠片も問題意識も何も無く純真な善意で、
ゴーストウィニングの膝に半ば無理矢理座らせて来た事で顔を茹蛸にしているカレンチャン君が達成できる日は、程遠い話のようだ。



「おー、なんか良い感じにジャストフィットシンデレラって感じ」
「ぁわぃぅわえぉいあぅ……」
「……何語話してるのよさ。それより始まるよー」



 距離感云々以前に一定度の友好度を持つ相手には警戒感が紙よりも薄過ぎるこのウマ娘。サラブレッド時代の感性が未だ尚
色濃く残り過ぎているのだから当人にとってはある種当然の行動に、この世界のウマ息子の誰が対抗出来るのであろうか。
疑問は尽きない。

187:陣龍:2024/04/21(日) 19:03:42 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) 純情紳士()カレン君で無ければ鼻血のロケット噴水と言う地獄絵図が出現していたかも知れませぬが
    そこはカレン君だったので実際安心()>膝乗せ背中接触近距離吐息肩顎乗せコンボ

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最終更新:2024年07月15日 19:12