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憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「無情な決算」
- C.E.世界 融合惑星 β世界 β世界主観1999年9月22日 午前10時21分 アメリカ合衆国 ニューヨーク 国連本部 議事堂
国連本部の議事堂の空気は、控えめに言って地獄であった。
決して汚れているという意味ではない、険悪あるいは居心地の悪さという意味で突き抜けているのだ。
今行われているのは、14日に始まり、戦線にもよるが3,4日継続した大規模侵攻についての報告である。
詳細まで事細かにとはいかなくとも、戦闘詳報の第一報などは十分に出来上がるくらいの時間はあり、それらが報告されている。
アフリカ、欧州、極東ロシア、大日本帝国、インド・スリランカ、東南アジアと各地で戦端が開かれ、それぞれで激戦があった。
それぞれの戦線で、何が起こり、どういう動きがあり、戦場がどう推移し、結果的にどうなったのかを順々に述べていくのだ。
端的に言って、それは米国や国連軍の判断を批判し、如何に地球連合の手を取ったことが助けになったかの証拠であり証言だった。
東南アジア戦線とアフリカ戦線においてはアメリカ軍も国連軍も奮戦したが、それが解決にならなかったかも語られた。
もしくは、国連軍などの奮戦は認めつつも、核兵器などを使わずに戦果を挙げた他の戦線と比較し、選択を誤ったとまで述べる国もいたほどに。
それはなにも感情・心象的なものだけにとどまらず、具体的な損耗率や死傷者数、あるいは戦闘の二次被害の被害額という形で提示された。
核の積極投入による焦土戦は放射能汚染やフォールアウトを招き、地形を砕き割り、海で使えば津波も引き起こされるものだ。
それによる被害は復興できるものもあれば、植生や歴史的建造物などのように時間がかかるもしくは不可逆的なものだってある。
復興できるものについては、いずれもが地球連合の手を借りるという形で長期にわたる復興計画が進められることが報告された。
さらに付随して報告がされたのが、イギリスにおいて結成された「アロウズ」であった。
アメリカ軍および国連軍が置いてけぼりにした、過去からの跳躍者や転移者などをイギリスの市民権を餌に引き込んだ外国人部隊だ。
国連軍がいざというときに当てにならない、という実績からイギリスをはじめとした欧州諸国はこの部隊を活用する気であったのだ。
置いてけぼりにされ、戻れなくなっていた外国籍の人間たちにとっても、ある種渡りに船であったのだろう。
欧州諸国はさらに地球連合との安全保障に関する条約の締結や奪還した地域の復興を進めることを報告。
国連軍やアメリカ軍、ひいてはAL5に依存することのない国土防衛および国土奪還を進めていくことを公表した。
これに便乗したのがアフリカ諸国と東南アジア諸国、さらにインド政府などであった。
アフリカ諸国はアメリカ軍や国連軍の奮戦もあって自力での防衛も成功したが、それは一回きりのカードを切った上でのギリギリの勝利だった。
事前に敷設されていた大量の核地雷や用意されていた戦略核兵器、あるいは通常火薬でも膨大な量の地雷・機雷・その他諸々。
地形や環境への影響を鑑みることのないそれらによって強引にもぎ取ったものである。
さらにその勝利さえも、欧州での地球連合の戦いによってBETAが漸減あるいは誘引され---いわばデバフをかけられたBETAから得たものだった。
つまり、アフリカの防衛が成り立ったのはアメリカ軍や国連軍の奮戦だけではなく、地球連合による援助アリでの結果なのだ。
中東方面のハイヴは未だに健在であり、国連軍やアメリカ軍がほぼ壊滅し、さらには手札もない状況とあらば、地球連合に転ぶのも無理からぬ話だ。
インドと東南アジア諸国も右に同じである。国連軍もアメリカ軍も当てになるとはいえず、地球連合抜きには今後は立ち行かない。
だからこそ関係を深め、リスクに備えて既存の国連だけでなく、地球連合の援助も当てにすることを明言したのだった。
いや、表向きには国連と地球連合の両方と言いつつも心情的には地球連合のみであろう。
イギリスなどはとっくに国連や
アメリカに見切りをつけているというのが大規模侵攻後の行動で明らかであるし、他国にしても好意的ではない。
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さらに、事前協議の時点でアメリカ軍や国連軍の行動について、各国から追及を喰らう羽目になったのだからたまったものではないだろう。
戦線の維持あるいは防衛のために友軍への被害などを鑑みない攻撃や核の投入、焦土戦の徹底。
それらによって結果的に被害を受けた現地国家がその責任追及を行ってきたのである。
国連もアメリカも一蹴したいところであったが、なまじ過去に前例をアメリカと国連がやっているだけあって、否定できなかった。
そう、人道的な観点で行動を優先して行った結果、損害を拡大させてしまい、それを咎めた彩峰中将事件である。
過剰反応とまでいえる抗議と要請の結果として、日本帝国から参加していた指揮官の彩峰中将は死を強いられた。
国際法廷に引きずり出してまでも、というのは明らかに度を越していたと言えるだろう。
同じ理屈で言えば、大東亜連合やアフリカ諸国は作戦指揮にあたった国連軍やアメリカ軍の責任追及が可能だったのだ。
ここでなあなあで済ませたり、過去の判例を無視すれば、国連としては致命傷。
かといって厳罰に処することは国連---いや、アメリカに人身御供を強制することになる。
今はまだ報告段階にあるが、それが追及されるのは目に見えている。
そして、彼らの報告の後に登場したのが地球連合の外交使節であった。
β世界各地に派遣されていたそれらから代表者たちが集まり、この国連の場に参列していたのだ。
実質的にはβ世界そのものと地球連合の外交の場も兼ねていると言える。
ともあれ、地球連合は各国と話し合った復興・防衛計画及び今後の対BETA戦略についての意見を並べた。
β世界のそれを超える技術と物量、さらに経験値を活かした計画は突拍子もないように見えて、しかし堅実で、具体的なものであった。
放射能汚染や重金属汚染についての具体的な除去計画も含まれ、健康被害の防止や治療についても事細かに、だ。
これらの報告についてもアメリカは遮ることができなかった。
彼らも彼らで各戦線での被害などを報告することはできたが、それ以上はできなかった。
何しろ、各戦線でアメリカ軍は奮戦した結果、壊滅的な被害を受けるに至ったのだ。
実働可能な戦力が極めて少数であり、武器弾薬や核といった兵器も一時的に底をついている状態である。
ここで今後のプランについて何かを言うにはあまりにも不足がありすぎて、机上の空論しか言えないのだ。
あくまでも国連軍との合同や現地国家の承認の元参戦しているのであって、それ以上をする権限は何一つ有していないこともある。
まあ、アメリカ側としては国家戦略が覆されていくのを黙ってみているしかないために、非常にストレスであっただろう。
そして、地球連合はβ世界との外交において無視しえない分野に踏み込むことを選んだ。
今後の対BETA戦略および戦術、オルタネイティブ計画についての言及に踏み込んだのである。
現行のAL計画は日本帝国の横浜を基地として進む4と、歪なことに4と並列して存在してアメリカが主体となって推進する5の二つだ。
これまでの地球連合の外交的な活動や行動の内容や窺える方針からすれば、どちらが主題となるかなど明白である。
即ち、G元素を元としたG弾による決戦を挑むという、AL5計画について踏み込んだのである。
284:弥次郎:2024/03/29(金) 23:11:38 HOST:softbank126036058190.bbtec.net
以上、wiki転載はご自由に。
というわけで国連の場における政治の戦闘が開始です。
決算の時間だよ。
最終更新:2024年07月20日 13:10