282:モントゴメリー(オルタ):2024/02/26(月) 21:55:37 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
日本大陸連合 Strong Style②

時は“連合”による列島日本総攻撃が行われた時までさかのぼる。
場所は日本海南西部、「竹島」

「班長!レーダーが使用不能になりました!!」
韓国国家警察、独島警備隊のレーダー手がそう叫ぶ。
それを聞いた指揮官が総員配置を下令しようとした時には、全てが遅かった。
レーダーと対空機関砲、警備隊宿舎に小型極超音速ミサイルが直撃し、指揮官以下警備隊40名のほとんどがその一撃で蒸発する。
灯台と気象観測台は無傷であったが、無線設備も吹き飛んでいたため本国に連絡することはできなかった。
もっとも、仮にアンテナが無事だったとしても妨害電波によって無意味となったであろう。
また、竹島沖合に遊弋していた韓国海軍警備艦艇も同様の運命をたどっている。

それから10分も経たずにこの世界の住民には見慣れない航空機が竹島上空に飛来した。
パニック状態になる観光客(日本人から見れば信じられないが、韓国では竹島は観光名所なのである)が逃げ惑うのを尻目に、その航空機はヘリポートに垂直に着陸する。
その中から出て来るは、SF映画でしか見たことがないようなロボットスーツを装着した兵士たち。
彼らの肩には、太陽の紋章が刻まれていた——。

独島占領さる!!
その報に韓国国内は激震が走り、民衆は狂乱した。
政府(というより大統領)も同様であり、日本を占領している“連合軍”に対し「謝罪と賠償」を要求する。
しかし、彼らは失念していた。
今度の相手はあの弱腰の日本ではない。彼らが魂の底から憎み、かつ恐れている『大日本帝国』たちなのである。
“連合軍”からの返答はにべも無かった。

——我々は列島日本の無条件降伏を受諾し、『列島日本の領土』の治安維持を行ったまでである。

そして逆に韓国に対し、これまで列島日本の領土を不法占拠していたことに対する賠償を要求したのである。
こうなったら、もう韓国政府として後には引けない。
大統領は独島奪還を軍に命令するが、まだ理性が残っていた軍部は翻意を促す。
何せ“連合軍”は陸上戦力だけで300万名の大軍なのだ。
これだけで中国軍の総数を越えてしまう。はっきり言って勝負にならない。
されど、そんなことは正気を失った大統領にはどうでもいいことであった。
改めて命令が下され、海兵隊が竹島へと投入される。

——ここからのことは語るまでもないだろう。

1000機を越える航空機の攻撃により韓国海軍及び空軍は3時間で組織的抵抗力を損失し、韓国沖に集結した“連合”海軍の戦艦群による艦砲射撃と他艦艇からのミサイルの雨により韓国各地の軍駐屯地は月面の如きクレーターとなる。
民間施設への攻撃が控えられたのがまだ慰めになるが、例外もある。
首都ソウルには“連合軍”司令部直轄予備の内の10万名が投入され大統領以下政府要人を生きたまま確保した。
また、釜山港は“連合”海軍による徹底的な艦砲射撃が加えられただけでなく、そのご地上部隊までが投入され、港があったという痕跡すら残らないほど破壊された。
その後、大統領が講和文書に署名。
後世「日韓8時間戦争」と呼ばれる戦乱は終結した。
なお、在日米軍及び在韓米軍がどうなったかはまたの機会に語ることになるだろう。

283:モントゴメリー(オルタ):2024/02/26(月) 21:56:24 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
「…しかし、これで良かったのでしょうか?」
“連合軍”の統合参謀本部(仮称)に属するまだ若い少佐がそう苦言を呈する。
しかし、それは道義心や博愛精神から発せられた言葉ではなく、純粋なる戦略的観点からの疑義であった。
「北方領土は確保せず、竹島は確保しそこを占領していた韓国は“敵国”として殲滅したが,
ロシアには手を出さなかった。
ここまで対応に差をつけては、この世界の諸外国に“北方領土は列島日本の固有領土とは認めない”ということだと誤解されるのではないでしょうか?」
「それに関してはいくつか理由がある」
心配げな部下に対し、若者を指導してやろうとでも言いたげな大佐が“講義”を始めた。
「まず前提として、北方領土も竹島と扱いは変わらない。純然たるこの世界の日本の領土であると我ら“連合”は定めている。ここはわかってるな?」
「勿論です」
「ならば“この世界の諸外国”がどのように考えるかなど、どうでもよろしい。我々は粛々と列島領土の“治安維持”を続けるだけだ。
近いうちに連合からの公式発表もなされるだろう」
大佐は“ロシアもいずれ攻撃する”という、この世界の住民が聞けば卒倒するような事実を夕食の献立を告げるかのように平然と吐き捨てた。
「ならば、何故今回は竹島だけだったのですか?
戦力的には北方領土と同時進行も可能だったはずです」
「理由はいくつかあるとあっただろう、最後まで聞きたまえ。
二正面作戦も可能だったという君の判断は間違いではない。しかし、上の連中はあくまでも用兵学の基本に忠実であろうとしたんだ。
“我の戦力は集中せよ、そして敵の戦力は分散させよ”というね。異世界での軍事作戦なんてどこの世界線でも初めてだったからな。
だがそれだけじゃない」
大佐はやや表情を硬くしつつ続ける。
「上の連中、北方領土の回収を“彼ら”にやらせるつもりらしい」
「……列島日本軍、自衛隊にですか?」
「正確には新規に創設される国軍にだな。自衛隊とやらは一度完全に解体する方針らしい」
「たしかに、あれは軍隊と呼べる存在ではありませんからね。装備や練度も問題ですが、それ以前に関連の法制度の整備がほぼ皆無です」
そう言った少佐は呆れを含んだ溜息を吐いた。
「まあ、要するにだ。
この狂った世界の日本人に“血を流す”こと、国土の防衛するというのはどういうことかを思い出させるための舞台として北方領土はロシアにあずけてあるのさ」
「意図はわかりましたが、“練習台”とするならばロシアより韓国の方が難易度は低かったのでは?
なぜロシアの方を後回しにしたのでしょうか」
「それにも理由がある。
…『釜山港を破壊するため』だよ。」

284:モントゴメリー(オルタ):2024/02/26(月) 21:57:00 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
「はい?」
少佐は大佐の発言の意図を掴みかねていた。
「まあ、これだけ言ってもわからないだろうな。…これを見てみろ」
大佐は手元の端末を操作して少佐にデータを見せる。
そこに表示されていたのは列島日本の貨物取扱量…具体的には「主要5港」と呼ばれる東京・横浜・名古屋・大阪・神戸、各港湾の年間コンテナ取扱量であった。
「……少なすぎやしませんか?如何に列島日本の人口が我々の1/5以下とはいえ、これでは輸入も輸出も全く足りません」
「その答えがこれだよ」
大佐が端末を操作し次のデータを示す。
「こっちは釜山港のコンテナ取扱量——えっ⁉」
そこに表示された数字は、先の5港を合計したそれよりも大きかったのである。
「正気とは思えんが、この世界の日本は自国の主要港——ハブ港だけでは海上輸送を統制できないらしい。
その代わりに、他国のハブ港を間借りしているのさ」
「それで釜山港は韓国の国家規模と比べて過剰なほど大規模だったのですね…」
「無論、この数字全てが日本向けではない。韓国自身の分は勿論、支那大陸分も含まれている。
しかし、釜山港がこの列島の海上物流の要であるという事実は揺るがない」
「…兵站部門が顔を青くして走り回っている理由がわかりました。
釜山港が消滅した分の肩代わりを我々“連合”がやるんですね、これ」
「ご名答。近い将来にはゲートの沖合にメガフロートを複数建造してハブ港として運用する計画も既に出来ている」
「つまり、この列島は我々から独立しようとすれば、もしくは我々が手を引いたら海上輸送網が麻痺して飢餓地獄となり果てる訳ですか。
……ひどい話ですね」
「恨むなら国内の港湾設備の強化を怠った前任者か自分自身を恨んで欲しいね」
大佐は侮蔑すら含んだ声色で話を締めくくった——。

285:モントゴメリー(オルタ):2024/02/26(月) 21:57:34 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
以上です。
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「韓国なんて滅びてしまえばいいのに」

ここの住民ならば一度は心奪われたであろう悪魔のささやきですが、それが実現した場合、日本の海上物流も死ぬのである……。

その現状(惨状)を知った大陸連合の面々は呆れ果てますが、それを利用することに躊躇は致しませんでした。
釜山港が原始時代に戻った結果、列島日本は大陸連合の支援が無くなれば必要な食料や燃料を輸入することも出来ず、製造・加工した製品を輸出することもできなくなり果てました。

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最終更新:2024年07月21日 23:51