314:陣龍:2024/02/27(火) 16:39:28 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
『自動人形ちゃん頑張る ~連合日本下列島日本のとある一幕~』
「……此処が、件の【特務任務】対象のお勤め先」
容姿端麗眉目秀麗、と言うより愛嬌や愛らしさが多分に有る童顔の女性が、とある建物の前で呟く。
見る人によっては学生と見間違われそうな、下手をすれば少女と思われそうな彼女は、
所謂ホモサピエンス…人類種ではない。
「同じ【特務任務】に就いている同族も、順調に進捗を進めているって話だし。私も続かなくちゃ」
単独でも世界を相手に戦える超大国が世紀単位でタッグを組んでシンギュラリティまで進んだ世界から送り込まれたのは、
とある思惑から同族とは別ロットのある種特注品に近い存在として特別に生み出された、
一種のハニトラ要因とも言える自動人形。
「先ずは仕事の同僚……そこから親交を深めて……ふふっ、夢が広がるわ」
【創造主】の世界に対し、下手をすれば宇宙人の襲来の方が未だマシになるかも知れない【世界改変の影響性】と言う
何処ぞのSCP的存在と言える、某掲示板の固定ハンドル持ち一般人書き手を何とかして篭絡()し、
自己の世界の安全を確保しなければならないと言う裏事情等全く知らない彼女は、
意気揚々とその【標的】が務める場所へ新入社員として入って行った。
「どーして……どーして……」
「うん……」
「どーして……全く手を出しに来ないの……」
「うん……」
それから一年後。その特務任務を帯びた自動人形は友人の自動人形の家でくだを巻いていた。
積み上げられた缶ビールから一升瓶からと、見た目の可愛さを台無しにする惨状である。
因みに一升瓶の日本酒はラッパ飲みである。
315:陣龍:2024/02/27(火) 16:41:28 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
「うわぁ……こらまたエライ事になっとんね」
「ん、久しぶり」
「おー、久しぶりーって、酒クサッ!?」
「あー……久しぶりー……」
新しく合流してきた友人の自動人形に対しても、机に突っ伏して蕩けた顔を向けて軽く挨拶するだけ。
性能や設計の関係上、自動人形は基本酔っぱらわないとは何だったのか。
「あーあー酷いこって……んで、今度は何が駄目だったんや」
「……夜に全裸同衾しても全然起きてくれなかった」
「据え膳食わぬは男の誇りか……」
「単に寝ていただけだと思う」
「そうだとしても酷いでしょ……私ってそんな魅力無いのかな……」
「いやそれは無いから心配せんでええ」
彼女らは知る由もないが、実はコッソリとターゲット()の様々な【好み】を調査し、それに適合する様に造られた
一種のスペシャリストなのが、今現在ヤケ酒をぐい?みしている自動人形である。
なのに全く手出しされもしないと言うのは【創造主】や任務を指定した者達からすれば完全に想定外だが、
開発者たちや心理学者等はこれはこれで一つの面白いデータが得られていると考えていた有様である。
「……でも、当人の自宅に?八百での同宿から半年掛けてでも同棲と言う形に持って行けただけでも、大きな進捗だよ」
「表面上はそうなんだけど……あの人、私の事よりペットの犬の方が大好き見たいだし……
ご家族の方が後押ししてくれてるけど、全然だし……」
「あぁ、うん……話聞いている限りやとな……」
【新入社員】としての入社、そして仕事に関しては何の問題も無かった。そんじょそこらの人間が束に成っても
勝てる訳がない自動人形が相手、しかも入社した先は常態的人手不足が常識な介護系の社会福祉法人。
現場としては諸手を上げて歓迎される存在であった。
「……まさかとは思うねんけど、若しかして女に興味が無いとか言う可能性は無いん?」
「それは大丈夫、大丈夫、PCで色々と見て【なんやかんや】してるのは間違い無いから。大丈夫、大丈夫、大丈夫……」
「ちょ、おい、か、肩!?肩握り過ぎや!肩にぎ痛い痛い痛い痛い!?」
「ストップストップ。肩握り潰したって意味無いって」
だが、肝心要の【特務任務】の標的に対する関係性構築は、見事に遅々として進まなかった。どれだけアプローチしても、
何処まで行っても、相手はこの自動人形の事を【同僚】としてしか見て居らず、同【特務任務】に就く同族が次々成果を上げているのに対して、
全く芳しくない関係性のまま足踏みを続けていた。その為【将を射んと欲すれば先ず馬を射よ】と、
雨に当たって偶然(意図して)駆け込んだと言う設定を作り、明くる日同居している家族と接触し、
お礼と称して色々な物を送ったりする等して友好関係を築いたりして行ったのだが、【標的】である男性との関係は全く
【同僚】の所から進みもしなかった。一応【同居人】になった所なので少しは進歩したのかも知れないが。
「一応【催促】する事は無い時間が掛かっても良いからガンバレ、って意訳するとそう言う事は言われてるんやし、
焦る必要も無いと思うで」
「そう思う。そもそも人の恋愛ペースは千差万別、それに【特務任務】の内容からしても、
最悪は結婚とかしなくても友好的になるだけでも十分」
「……私より後に来たのに、その日の内にあの人の腕枕でペットのワンコが寝ているのが納得できないーー!!」
「犬とヒトじゃ抵抗感ちゃうやろ……」
ウガァ!等と言う友人の自動人形に飽きれつつも、岡目八目で少しずつでもその当人とこの自動人形が
良い感じになっているのを感覚的に把握している友人二名。知らぬは当人ばかりなり、である。
316:陣龍:2024/02/27(火) 16:46:00 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) 以前ホワイトベアー氏の連合日本小ネタでの末尾に【掲示板】が確認された時のネタがベースでありました
掲載可かどうかは混乱防止の為ホワイトベアー氏の判断に
|д゚) さぁ震える()が良いぞ枢軸世界自動人形、列島日本人の枯渇以前に存在不明な恋愛何それ未知SF文明世界的感情を()
最終更新:2024年07月22日 22:00