9 名前:陣龍[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 21:27:11 ID:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp [2/52]

【FALLOUT × 日本大陸 ~或いは人類文明圏最後の守護者~】



 この技術の公表は10年伏せる。10年も経つ頃には、あの文明人を気取った札束狂いの事だ、
自国や自勢力圏レアアースの土砂を、建設用土砂として我々の元へ欠片も残さず売り付けて来る。
そうなれば、連中はマトモに高速演算する為の材料を未来永劫喪失する。ハハッ、
最高の吠え面が見れそうだ。

――――フィリピン共和国、某技術者談。過去アメリカ企業による違法投棄と不法開発を原因で弟と妹が死亡するも、
ドル札を積み上げて得たアメリカ本国からの圧力にて犯人の米国企業は無罪放免とされた彼の煮え滾った
アメリカに対する復讐心は、ノーベル賞級の名誉等眼中に入らせなかった。



『世界のガラパゴス経済領域 【西太平洋条約機構】の奇跡』


 日本を中心(盟主とは少し違う)とする【西太平洋条約機構】所属国並びにオブザーバー参加のオセアニア地域による
多国間経済協力・産業発展路線の方針を発表した『バンコク宣言』に対して、アメリカの政財界は祝盃を上げた。
旧来からの大量生産・大量消費社会を常識とする彼らから言えば、省エネルギー開発や環境保護・再生と
同時並行で産業発展させる事等痴人の戯言であり、また多国間が共同で出資し合って経済発展に努める事等有り得なかった。
抜け駆け、先駆けで周囲を出し抜くのは当然であり、そして環境破壊せずに産業発展する事は、
アメリカ人ひいては真空管世界に置いては絶対的に不可能と結論付けられていた。そもそも論で、現状の冷戦が一度熱戦になれば、
後生大事に抱えた役に立たない自然と共に、自然のせいで産業発展出来なかった愚かな国家は核の炎で消滅するのだから、
国家の安全と発展の為には寧ろ積極的に自然環境を破壊して産業発展させる事は正しいとされていた。それが、この世界本来の常識だった。


 そして、彼ら視点では確定された未来である『無能な政策で短期間で破綻し経済崩壊した日本勢力圏』を、
正しき先進的文明国であるアメリカが【優しく】管理下に置き、核戦争に置いて脆弱な半導体・集積回路技術は全廃させ、
アメリカ産の真空管技術によって西太平洋全域を経済支配すると言う歓喜の未来地図は、『バンコク宣言』から一ヶ月、三ヶ月、半年と経過しても、
西太平洋条約機構の各国は全く小動もせず、それ所か活発な開発と物流の強化・加速、そして自然保護を宣言した通りに
両立させたまま経済成長率が次々と上向きになったままであった。その勢いは、アメリカの真空管経済による支配によって刷新や競争がマトモに起きず、
経済成長の鈍化や停滞に見舞われて喘いでいる欧州とは比べ物にならず、資本主義世界の盟主を自認している
アメリカすらも経済成長率の数値を大きく上回っていた。無論過去からの資産やアメリカは自らの巨体その物も有って、
単純な国力差を比較すれば欧米側の方が優位では有るが、桁違いの経済成長を見せ付ける東南アジア諸国の勢いは
脅威と見られる程であり、その追い風を受ける日本帝国に関しては、事実上ヨーロッパに押し込められたかの如き
旧列強国家群が対抗するのは不可能な程の巨大な経済成長を遂げていた。

10 名前:陣龍[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 21:28:38 ID:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp [3/52]

 当然、この突然急加速したかのように見えた日本勢力圏の経済成長に慌てる様に、アメリカ等も自国製品の売り込みを図ったモノの、
過去述べた様に真空管が前提の工業製品は、半導体や集積回路時代に突入して久しい日本勢力圏には
全く適合する訳も無く門前払いに成り、ならば農畜産物となるとこの時期既に過激な利益重視による【生産効率重視】により、
環境破壊や過剰生産による土壌の破壊、更には工場廃液等を処理も無くそのまま垂れ流し続けるのが常態化している
環境対策の無規制体制と相まって、この頃から既に日本人から見たアメリカ産の農畜産物は『食用に能わず』と、
最低基準すら満たせない存在に成り下がっていた為に殆ど輸入されなかった。当然アメリカ側は
『自由貿易を妨げる為の規制基準』と激怒し撤廃を度々要求していたが、この点日本人は頑として規制を緩めずに
要求を突っぱね続け、日本に倣って東南アジア諸国とオセアニア地域もアメリカ産の農畜産物輸入は拒否し続けた。
最終的に一部アメリカ企業が商品の生産地ラベルをオーストラリア産等と偽り迂回輸出を目論むも税関検査で発覚、
オーストラリア人を官民総出で激怒させる始末で終わっており、結局輸出出来たのは、
日本勢力圏で需要が高まっていた土砂類等の一部資源位なモノで、しかもその土砂すらも意趣返しか厄介払いか、
優先的に【汚染】されている物を送り付けていた始末だった。



 また、単純な経済成長と産業発展だけでなく、アメリカ人の理解の範囲外だったのが、東南アジア諸国やオセアニア地域を
引っ張っている格好の日本が、勢力圏各国に特に締め付け等行わず、寧ろ自由な技術開発や産業発展を奨励・
支援している事だった。アメリカでは自国の権益、特に大手企業の利益を侵害する可能性の有る者や企業は表裏一体で
圧迫して潰したり自国内に連れ込み安価に使い潰す等して、脅威となり得る存在を排除し続けており、
それが強者が全ての利益を総取りするアメリカ式資本主義世界としては当然の事なのだが、
一方の日本では完全に真逆に抑止などする気配も無く、各国の独自技術開発を寧ろ喜んでいる程であった。
例を挙げれば、日本に次ぐ西太平洋条約機構の食糧庫として存在感を増し続けるオーストラリアは、
その広大な国土を開拓・農地や放牧地とする灌漑・緑化技術で頭角を現し、過去アメリカ植民地だったフィリピン共和国は
長年国土にアメリカ企業によって不法投棄され続けた各種廃棄物の処理問題に苦しみ続けていた事からも、
日本と共同で効率的な処理と何かしらの資源再生の方法を研究し続け、結果今までは焼却等で処分するしか無かった
産業廃棄物に存在する内包されたレアメタル・レアアースを抽出し、残った廃棄物も高精度な分別と再資源化法を確立させ、
超高効率なリサイクル社会の将来を現実化させるオーパーツ染みた未来技術を開発する皮肉を見せていた。
正し、後述する理由でこの『キドラッド法』(発明した科学者名)は、存在が公表されたのは10年程後の話となるのだが。

 そして技術開発や産業発展と連動し、東南アジアの各所では天高く上りゆく超高層ビル群や環境対策が施された
工業地域が建築・増築・再開発されると共に、過剰な陸地開発による洪水の誘発であったり、農業生産力の低下を連鎖させない為にも、
所謂オーシャンコロニーと言うべき巨大洋上プラントが多数建設されるようになる。これには、日本の誇る巨大造船業が、
日本勢力圏だけ先駆けて真空管経済から突破した為に世界市場の多くを喪失し不振に陥りかけていたのを救済すると共に、
大陸棚地下等に存在が確認されている大量の石油資源等を、アメリカなどに一切邪魔建てされない様に完全に確保する事が目的だった。
沿岸部の埋立と言う手も考えられたが、急速な経済発展とアジア圏特有の大人口から来る人口拡大速度、
そして環境保護と産業発展両立と言うお題目と併せて考えた場合、大きな経済波及効果も見込める洋上プラントの建設が選ばれた。
そしてその選択が正しかったのは、日本勢力圏全体の経済力や工業力の継続的且つ高度な成長が示していた。

11 名前:陣龍[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 21:30:43 ID:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp [4/52]

 尚この洋上プラント等の大規模建設に際して、日本勢力圏では土砂類が不足すると考えられ、そして自国の環境保護の為にも
必然的に海外から輸入する事を決定。結果、アメリカ企業が主導して日本に送り付けていたのは、アメリカでは【汚染土】扱いで
厄介者扱いされていた土砂が多く含まれていたが、真空管世界では厄介者であったその汚染土は、
半導体時代に突入している日本勢力圏にとっては、高濃度なレアアースが内包されている、文字通りの【宝の山】であった。
しかも折よく、フィリピンでは『キドラッド法』にて従来より高効率にレアアースを抽出可能となっていた為に、
更なる新時代の半導体、場合によっては次の時代の電子部品、電子回路の開発も行える可能性も見えて来た。
日本勢力圏を率いる日本が驚愕からの歓喜に震えかけたのは必然であろう。


 だがその日本の喜びに水を差す様に、『キドラッド法』を開発したフィリピン人科学者の提案にて、
この慶事は10年程伏せ続け、何も知らないアメリカ人筆頭に世界各地からレアアース満載の土砂を粗方輸入完了してから
公表する事が決定した。敢えてその提案をし、自身の功績を長期に渡って伏せる事に平然としていた当人の真意は、
日本政府は当然ながら当人周囲の人間にも分からなかったが、兎にも角にもその真価からすれば余りにも安価な
【汚染土】を大量輸入し続ける西太平洋条約機構の動きは、他国には全く疑念を抱かれなかった。
高層ビル群や洋上プラントを分かり易く各所で建設しているのだから、アリバイ工作以前に実際に輸入した土砂は建設にも用いていた。
半導体技術に関しても細かく理解していない真空管世界が、疑念を抱けと言うのが酷だろう。



 未だに建設ラッシュが続き、加えて宇宙開発の為のマスドライバー建設も終了して実運用が開始されている中、
【ネタ晴らし】としてレアアース抽出技術等が公表された時、アメリカでは『もっと高値で売り付けなければならなかった』と、
水子の年を数えるが如く本来得られるはずだった利益を皮算用し、西太平洋条約機構へ追加請求するも鼻で笑われていたが、
日本陣営が考えていた程にアメリカ陣営への衝撃は無かった。元から真空管経済から脱却する気等無かった事や、
何だかんだ言っても日本陣営への土砂売却でそれなりに利益を得ていた事。そして最大の要因は、
西太平洋条約機構で唯一核兵器を保有している日本帝国が、今回の各国への投資や開発支援の費用を捻出する為に、
核弾頭の保有数を一部削減した事で、単純な核弾頭の保有数差でアメリカ側の優位が強まっていた事だった。
例え【額面上】の経済力で差を付けられようとも、最終戦争時の核の撃ち合いで勝てるのであれば全く問題はない。
冷戦期が未だ尚継続している為の、当然の考えであった。

 当たり前であるが、単純に核弾頭削減だけでなく、新型の多弾頭型弾道弾であったり、威力と小型化の改良が施された
対地貫徹型水爆であったりと、威力が強化された新型核兵器に置き換えする事で核戦力の均衡は日本なりに図っており、
また西太平洋条約機構所属国に加えて、最近はイギリス(本国)との関係が度々アメリカが首を突っ込んでくる事で
欧州と疎遠さを増しつつあるオーストラリア・ニュージーランドも含めて、通常兵器の質が強化され続けている事で
相当にアメリカへ脅威を与えていると計算していたのだが、当てが外れた格好になる。



『連中、核兵器と真空管万歳脳過ぎて脳味噌とろけてるんじゃ無いのか』と言う、転生一回目のニュービー夢幻会員の言葉は、
未だに米海軍の艦載機が直線翼ジェット機と言う、第二次大戦直後と大して変化のない有様で有りながら、
日本海軍の最新鋭超音速巡行ステルス戦闘攻撃機に対抗措置として張り合わされている惨状が特に改善される様子が無い状況を見て零れ出た、
心の底からの言葉であった。因みに、中ソ陣営の戦闘機は取り合えず後退翼である。

12 名前:陣龍[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 21:33:21 ID:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp [5/52]
|д゚) 大分駆け足ですが日本と東南アジア、それとオセアニア地域が経済発展した流れに成りモス

|д゚) 基本的に日米対立の事ばっかなんですが、中ソとはそれなりに鞘当てしつつ普通の冷戦しているもんなんで、
    関係性の薄さも有って影が薄くなるのは仕方ないもんな()
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最終更新:2024年08月11日 19:56