449 名前:陣龍[sage] 投稿日:2024/05/05(日) 23:08:05 ID:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp [27/52]
【FALLOUT ×
日本大陸 ~或いは人類文明圏最後の守護者~】
『…俺達は、止められなかった、か』『【世界】が違う、【常識】が違う。何度叫ぼうと、銃口を向けなければ、
連中に届く訳が無かったんだ』『…全軍、並びに同盟国軍に要請。……最終戦争、【Z作戦】だ』
――――電波発信量、人員の移動、偵察衛星、哨戒原潜等の報告を纏め上げ、そして勃発確実と確信された最終核戦争。
この世界に置いて、全世界を巻き込んだ終末戦争の勃発は確定された未来である事等露ほど知らぬ転生者達は、
諦観と絶望に包まれつつ、祖国を、同盟国を守る為に奔走し続けた。
『 破局 』
駐米日本大使館襲撃事件の報復攻撃にて、
アメリカの太平洋側のハワイ・アラスカ・西海岸の海軍・空軍重要軍事拠点三か所を吹き飛ばした事、
そして大使館の施設や人員への粗野な行動に対するアメリカ政府の謝罪にて【手仕舞い】とした後。
夢幻会引いては日本陣営が少しばかり
期待した
アメリカの『改心』は、予想通りに全く行われなかった。結局犯人については不明として一時結論付けられ、
その後第三国経由での日本の抗議にて真偽が定かで無い死体の人間が犯人だと断定して捜査終了となっていた程である。
その為、日本の対米不信は相当な高まりを保持したまま固定化され、経済制裁も形式上・書類上は解除されるも、
その後も日本から対米輸出は殆ど行われて居なかったが為に、実質の変化は制裁中と変わらなかった。
例外的に、完全に仮想敵国と確定した
アメリカの国力を低下させる為と、そして余りにも【惨たらしい】とまで日本人に言わしめた
環境破壊と大企業の横暴が顕著に進む
アメリカ本土より『御救い』するべく、一応国交自体は維持していた西太平洋条約機構の所属各国に
協力を秘密裏に要請し、優秀であるが故に大企業から勘気を被り理不尽な不遇に追い込まれた人材であったり、
遺伝子的多様性の保持の為として壊滅からの消滅カウントダウンが目前に迫っていた
アメリカ競馬界の競走馬や
絶滅寸前の
アメリカ固有種の野生動物等を、この頃の
アメリカでは相当な貴重品である未汚染の冷凍牛肉や天然水等の食糧品と引き換えに、
手当たり次第に可能な限り回収を開始した。尚
アメリカ本土に日本勢力圏の人間が入国すると冗談抜きに生命の安全が全く保障出来ない為、
登場当初から対人運用に支障のない完成度を誇るアンドロイドを投入する事で対応した。放射能にも薬物にも全く汚染されて居ない人間の臓器は、
汚染と破壊が進む世界では途轍もない高値が付く場合が殆どであり、それがこの
アメリカを含む真空管世界の現実だった。
450 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2024/05/05(日) 23:10:01 ID:58x158x54x18.ap58.ftth.ucom.ne.jp
あのガミラスとガトランティスの戦いは一方的というか
ドレル側は三次元運動して更には空母が巡洋艦の接近を許しているというのに
ただのほほんとお為ごかしな防御砲火とのんびりな航空機発進しかやってなくて
なんかいやーんな感じしたなあ
451 名前:陣龍[sage] 投稿日:2024/05/05(日) 23:10:05 ID:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp [28/52]
この公式非公式問わない日本版ペーパークリップ作戦には、途中から噂を聞き付けたアメリカ人が一部
助けを求めて行動を開始した事も有って、
アメリカ側も動物の類は兎も角多数のアメリカ人がどさくさ紛れに
この流れに乗じ日本へ逃げ出して行った事に気付くも、工作員のアンドロイド達が官憲等に高級ワインや穀物等を
的確にばら撒いた事による賄賂の口封じと、身の程を弁えなかった強欲の輩は秘密裡に【処置】した事による時間稼ぎ、
そして何より時折東太平洋上の航海を航行訓練と称した戦艦と空母のデモンストレーションによって眼が眩まされていた事から、
『御救い』が打ち切られるまでの13年で相当な数の高価値労働者とアメリカ大陸の動物を回収する事に成功していた。
ただ競争馬へは商業主義の行き過ぎによる常態的なドーピングや今までの飼葉の汚染物質の酷さから日本に来て暫くは
環境が一気に正常化し過ぎた反動で多数が倒れて獣医が多数緊急動員されたり、亡命した形のアメリカ人自身も
既存の常識が全く通用しない西太平洋地域の社会に引っ繰り返ったりしていたように、脱出出来ただけで万々歳とは終わらなかった。
そして『御救い』作戦打ち切りの理由となった、2051年の
アメリカの資源目当てに行った強引なメキシコ併合から立て続くように、
翌年には
アメリカ本土のテキサス油田が枯渇したテレビドキュメンタリーから始まった、日本勢力圏以外での深刻極まりない
エネルギー危機が号砲を鳴らし、西太平洋地域で世界から独立経済圏を完成させていた西太平洋条約機構所属国以外の世界は、
資源不足と言うどうしようもない理由で深刻な不景気に突入し、真空管世界の小国の殆どは経済破綻を引き起こした上、
日本勢力圏以外で貴重な比較的多量の石油を産出している中東に対して、値上がりを続ける石油価格に耐え切れなくなった欧州が、
国際情勢を完全に無視して軍事侵攻を開始し、壮絶な戦闘が開幕。日本やその同盟国はこの世界情勢を少しでも改善、
出来なくとも抑え込もうと国際連合の場で奔走するも、最早エネルギー枯渇の恐怖で暴走する欧州は言葉と多少の支援程度では止められず、
中東側もここぞとばかりに過激派イスラム組織や原理主義等が、中東全体のナショナリズムの高揚と共に多数隆起。
必然、反海外・排撃主義・攘夷主義の三本柱の主張に煽られた中東の民衆からの支持も拡大し、心情的には侵略戦争の
被害者である中東側に付きたかった日本陣営も手を出せなくなっていた。見た目白人で無くとも外国人なら誰彼構わず銃撃し出す様な有様の地域に、
支援団体等送れる訳も無かった。
452 名前:陣龍[sage] 投稿日:2024/05/05(日) 23:21:30 ID:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp [29/52]
時が経ち2060年に入ると、日本勢力圏以外で燃料が高等化し過ぎた事によって道路から自動車が消え去り、
今まで踏ん張っていた筈の
アメリカ経済も代替品として生産開始された電子・核融合自動車も工場の燃料事情から供給台数は少なく、
結果自動車流通が停止した事で破綻目前に成り果て、中東は石油枯渇により戦争終了となっても紛争は終わらずに壊滅状態と化し、
欧州側も連邦が崩壊して残った資源を奪い合う戦国時代へ突入。日本とその同盟国たちは、加速度的に悪化し続ける世界情勢に対して
マトモにアクションを取れず、唯々守りを固め、殻に閉じこもる様にして必死に自分達の生存権を守り続けていた。
豊富な電力資源を活かし、宇宙開発の技術から転用された超高性能バッテリー搭載の電気自動車が俄かに激増して普及し、
次々と開発される新エネルギーとそれらを活かす生産施設、そして全てを守る為の多種多様な軍事兵器を、
国家国民一致で邁進する総力戦状態。筋道を付けた
夢幻会の転生者達も、過去の無邪気な希望や転生にて感じた一時の万能感等欠片も無く、
必死に日本を、東南アジアを、オセアニアを駆けずり回っていた。最早、技術的優位に驕り、斜に構えている暇など何処にも無かった。
奇跡的バランスで維持されている日本勢力圏の自然環境や資源の供給体制は、いかなる手段を用いようとも
絶対に保持され続けられなければ成らなかった。それが例え、核融合炉の完全実用化と言う異次元の成果を達成していたとしても、
安心できる要素は何処にも無かった。……恐ろしかったのだ。
2066年。日本勢力圏全域で必死に行われていた軍事力の増強と多方面への威嚇を続けた事から、石油資源を巡る米中の争いは、
中国軍による米国領アラスカへの侵攻と言う形で開幕する。難き敵より易き敵を撃つべし。古代より伝わる戦争の基本原則に則り、
レーザー砲やレールガンの大規模配備すら見せていた日本帝国とその一党よりも、未だ
アメリカの方が中国軍としては倒し易い敵だった。
実際、戦争中の冒頭でアメリカ海軍の巡洋艦が自軍の原潜に敵艦と誤認されて核魚雷を誤射され被弾、
一撃蒸発すると言う無様を晒していたのだから侮り易い部分も有ったし、それに米中開戦の引き金の一つでもある
アメリカ製の核融合炉セルの発表は、困窮するエネルギー事情を改善させる大きな一手にもなる事が予想出来た。
半導体等と言う未知の技術満載な日本からは大規模支援されない限り日本産核融合炉は入手不可能と
冷静に判断した中国上層部は、未だ複製し易いアメリカ製核融合を手に入れるのが先決であった。
453 名前:陣龍[sage] 投稿日:2024/05/05(日) 23:23:28 ID:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp [30/52]
日本本土の真上での大戦争に怒り狂う日本であったが、最早資源と言う生命線を巡った戦争を止めるには武力しか無く、
武力介入すれば必然全面核戦争が勃発すると言う確定された予想から警戒と監視するしかない中、
アメリカは国内で新ペストが未だ収まりが付かないのを無視するかの如く、カナダの併合と抗議するカナダ人の武力鎮圧、
更に中国軍の生物兵器の実戦投入、アメリカ大統領の勢力圏内残留石油資源の米国独占宣言、
米国内の食糧を求める大規模暴動等、あらゆる意味で悪化の一途をたどり続けた世界の二大超大国同時の戦争は、
殻に閉じ籠る西太平洋条約機構に取っていよいよ目の前に核戦争の危機が迫り来ていると覚悟させるに十分であった。
追い詰められ切った食い詰め者が何をするか等、考える必要も無かった。宇宙空間に対隕石迎撃レーザーを装備した
研究宇宙ステーションに追加で迎撃レーザーが突貫設置された様に、現場の兵員が最低限の休養日すらも
自主的に訓練に励んでいる様に、迎撃装備のみならず放射能や生物兵器汚染対策の除染装置を過剰配備し続けた様に、
誰しもが【その時】が来ると確信していた。
そして2077年1月10日、アメリカ軍が中国軍の猛反撃で壊滅的打撃を受けつつも、アラスカ本土の奪還に成功。
戦場でのミニ・ニューク使用は兎も角大型の核兵器は何とか未使用に終わった事でどうにかこの米中戦争の
落としどころを見つけられないかと考えられだした直後の2月。FEV研究が原因不明の世界的大規模リークが発生し、
夢幻会の転生者を含めて西太平洋条約機構は総出で絶句し、恐怖した。確かに今までの所業から考えれば
幾らでもやっていておかしくないのだが、此処まで倫理も何も無い所業を仕出かすとまでは思っても居なかった。
そして現段階でも何とか生き残っていた他国が『新ペストの原因』と言い出した事で、日本側は『細菌兵器を散布し、
西太平洋地域の人間を全滅させるつもりでは』と可能性を考え、躊躇無く猛抗議のみならずアンドロイド部隊による工作員を
アメリカ本土へ派遣し、資料収集並びに無毒化或いは日本勢力圏に届かない様に破壊する事を指令。
ただ、完全に技術体系が分化して長期化し、有る程度真空管世界の技術者を受け入れていたとは言え戦争で加速した
研究開発の前にはその知見は余り役立たないとも考えられ、それ以前にその【FEV研究】なる物が何処で研究されているのかを
洗い直す必要性が有った。
アメリカ本土は各地で暴動や混乱に包まれている為に、
日本産のアンドロイドが紛れ込む事は不可能では無いにしても、根本的に『溶け込む』には情報が足りなかった。
万が一発見された後に破壊され、
アメリカで研究材料となるのを恐れて最低限度のアンドロイド型工作員しか配備していなかったのが、
ここにきて仇になっていたのだ。
世界が未だ阿鼻叫喚の恐怖に包まれ拭えず、そして米中戦争も全く終わる気配が見えない中。2077年10月に入って以降より、
日本の偵察衛星は米中両国にて怪しい動き……つまりは、核関連施設に動きが始まった通信や映像を察知。
最新鋭の合成映像や高精度倍率等からも、追加して敵性艦艇の追尾や監視を続けていた友軍艦からも続々と
情報が報告が届き、集積。
アメリカへ緊急増派したアンドロイド達も危険を顧みずに貴重な情報を発信してくれたお陰で、
統合軍司令部では達観・絶望・諦観・そして憤怒の感情が織り交ざった将軍たちが、一文の報告を握り潰していた。
『米中、並びに世界各国にて、核弾頭搭載弾道弾の発射シークエンス開始を確認。目標、全世界の主要都市、軍事、資源拠点と認る』
この狂い切った悪夢の世界。その全てを一度幕引く為に必要な、最後のキーが回される一報。この世界の事を全く知らぬまま、
唯々足掻いて藻掻いて戦い続けたニュービー勢の、最後の【決戦】が始まった。
454 名前:陣龍[sage] 投稿日:2024/05/05(日) 23:26:21 ID:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp [31/52]
|д゚) …451と452の間に国連崩壊の一節が入る予定だったんですが、謎の書き込み制限の為そこだけ外しました、明日一レスだけ突っ込みますハイ
|д゚) まぁそれはそれとして、足早ですが世界最終戦争直前になります。ニュービー勢の最後の【戦争】で打ち勝てるかどうかは、今までの全ての積み重ねが答えです
最終更新:2024年08月11日 20:08