40 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:03:21 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [8/179]
1.前史
早い段階での農業、産業革命の達成。幕府から立憲君主制の近代国家への移行。そして20世紀以降の覇権国家としての地位確立。
この世界に流れ込んだ転生者の中では中堅クラスのメンバーたちは、概ね大過なく達成することに成功。衝号作戦等も必要としなかった。
基本的には史実で西側と呼ばれた国家と友好関係を構築し、21世紀には史実平成、令和の人間でも違和感ない安定した国家となった。
無論、相応に強大な軍事力や工業力。高い技術力などは健在であり、自前の通信衛星や偵察衛星網を構築。
軌道往還機や宇宙ステーションの完成に漕ぎ着けるなど、航空宇宙産業も高いレベルで発展を続け、諸外国に対して優位を維持。
21世紀後半には友好国と共同開発という形で月面に都市、資源採掘地帯等を構築し、人々は宇宙と未来に希望を抱いた。
そして22世紀はじめには万が一の核戦争に備えた除染システムを原型に、遂にテラフォーミングシステムの開発に成功することになる。
特に火星などは有力な候補であり、レーザー核融合炉を備える宇宙船技術の進捗もあり、人類の地球・月軌道からの飛躍が現実となった。
西暦2111年には日本、合衆国、欧州連合などを中核として、第一次火星調査・移民船団が数千名規模で飛び立つことになる。
ナノマシン形状のテラフォーミングシステムを火星大気圏に散布。呼吸可能な大気と「海」の生成、有害物質の除去を5年ほど実施。
第一陣として降下した調査ドローンによる探査の結果、概ね有害物質は除去され、ハードスーツなしでも呼吸可能と判断。
月面都市設営で培ったノウハウを用い、移民船団は最初の調査・研究拠点となるアルカディアシティーを建築に成功。
地球との絶え間ない衛星通信により情報共有を行いつつ、着実に拠点と調査範囲を拡大していくことになる。
「海」の生成により嘗て95%に達した二酸化炭素も適正含有量に近づき、限定的ではあるが資源採掘なども開始された。
地球に存在するとはやや組成の異なる金属資源、あるいは希土類等の鉱脈も発見され、経済的価値も上昇することになる。
やがて日本、合衆国、欧州連合などの政府が認可したものに限るが、民間ベースの船団派遣や植民活動も活発化。
核融合炉を備える貨物船の低コスト化、自動化などによる輸送コスト低下もあり、段階的に地球と火星の経済は発展することになる。
殖民成功から四半世紀ほどが経過した2130年代後半。今なお探査を続ける調査団が、明らかに自然物ではない残骸を発見した。
41 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:03:56 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [9/179]
2.未知との遭遇
それは全長300メートルを超える宇宙船の残骸であり、何らかの強力な武装を施されていたであろう痕跡も、随所に残されていた。
相当に劣化しているが動力系も核融合方式とは異なる。そして恐らくより進んだ技術を用いていることが伺えた。
調査団はこれを兵器-軍艦の一種ではないかと結論付けた上で、火星自治政府及び日本、合衆国、欧州連合政府などに研究を提出。
何れも異星文明の存在に驚き、様々な意見が百出したが-日本政府及び国軍は、日頃の比較的穏健な態度と大いに異なる反応を示した。
合衆国や欧州連合、火星自治政府を巻き込んだ上で異星文明宇宙船のさらなる徹底研究。新技術としての取り込みを提案。
仮に本当に宇宙軍艦であった場合、最悪の場合はエイリアンによる侵略もありうるという、被害妄想に誓いが否定できない意見を提示した。
反応の原動力となったのは幾度かの転生を繰り返し、やはり政府中枢に要職複数が存在する
夢幻会の中堅クラスメンバーであった。
彼らは送られてきた異星文明宇宙船のデータから、それがボラー連邦戦艦であり、つまりこの世界はリメイク版ヤマトの世界線であると気付いた。
全員があの作品を熟知していた訳では無いが、総務大臣を担うメンバーにマニアが存在し、いち早く夢幻会ネットワークに警鐘を鳴らした。
この世界では火星自治政府と地球との関係も概ね穏健なもので、内惑星戦争は生じそうになく、故に地下都市建造などは難しい。
まして向こう半世紀程度でやってくるガミラスに対抗できる戦闘艦など、「余程の確証」でもない限りは不可能に近い。
いっそ不穏分子を送り込んで内惑星戦争を起こしてはという意見も存在したが、流石に本末転倒であるとして却下された。
なればこそ日本政府と国軍主導の調査は徹底したものとなり、その調査研究結果も半ば意図的に、一般公開されることとなった。
当該宇宙船は何らかの永久機関(波動エンジン)を備えた痕跡があり、仮にそうであるならば超光速航宙-ワープも可能であろうこと。
装甲も極めて堅牢で、武装には人類が実用性に乏しいと研究段階の陽電子砲を、大出力で完成させ多数を備えていると。
合衆国や欧州連合などは過度の軍事負担を生み出しかねないと難色を示したが、一方で軍などは日本の研究に理解を示した。
仮にこれほどの「宇宙戦艦」を生み出せる勢力が存在し、太陽系に接近した痕跡があるならば、次の接触が友好的とは限らない。
今すぐ大規模な宇宙艦隊を整備するのは早計でも、要素技術や運用ノウハウの研究は早急に行うべきである、と。
42 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:04:35 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [10/179]
3.人類初の航宙戦闘艦の完成
未知の異星文明が地球より高い技術を持ち、軍事的に優れており、次の遭遇が友好的とは限らないというニュースは人類圏を即座に巡った。
「原作」では国民の混乱を招くことを恐れて隠蔽したのだろうが、こちらでは内惑星戦争という軍事技術ブレイクスルーの機会が存在しない。
もしも現状の路線で、つまり宇宙軍と呼べるようなものが存在しない状況でガミラスの侵略を受ければ、人類は文字通り滅亡しかねない。
やがて合衆国や欧州連合政府などにも浸透したこの認識に基づき、まずは手持ちの技術で作れそうな航宙戦闘艦開発と建造が始まった。
幸いレーザー核融合炉の実用化、月面等から豊富に入手可能なヘリウム燃料などの存在もあり、技術的には難しいものではなかった。
「前例が存在しない」という理由から異星文明軍艦の推定復元図面を用い、それを模倣する形で人類初の航宙戦闘艦の開発は進捗。
西暦2154年にはM2154年式航宙戦闘艦-「原作」の村雨型宇宙巡洋艦に相当する戦闘艦が、日本、合衆国、欧州連合の手で就役。
高圧レーザー砲を連装砲塔3基、電子励起弾頭を持つ誘導弾発射管4門を備えるなど、当時の技術で可能な限りの武装が施された。
機動性も大出力レーザー核融合炉、戦闘用スラスタ配置の最適化などにより、従来の宇宙船を大きく凌駕する俊敏なものであった。
この戦闘艦の開発成功に際して日本、合衆国、欧州連合政府は、人類全体からの反発を抑えるため、国連指揮下とすることを提案。
過度な綺麗事にさほど汚染されておらず、大国の利害調整機関として概ね機能している国連は、それなりに期待できる組織であった。
国連はこの提案を受諾し後の国連宇宙軍となる「国際連合宇宙警備隊」を、既に問題化しつつあった宇宙海賊対処組織として設立。
M2154年式航宙戦闘艦は地球、月、火星の航路護衛を行い、必要とあらば主に宇宙進出で経営破綻した企業が元となった宇宙海賊。
それに対する武力行使を行う組織として活動を開始し、貨物宇宙船を原型とした武装海賊船などを、着実に排除、撃破し始めた。
勿論、この戦闘艦では解析した異星文明艦。そしてメタファー視点ではガミラス艦に勝てないが、まず航宙戦闘艦とそれを運用する組織。
それを民意の支援を取り付け、惑星間経済安定の守り手として存続を成功させただけでも、非常に大きな進歩であった。
同時に「永久機関」という存在は当然、人類にとって再現できれば福音に等しいエネルギー源であり、大きく研究開発が進むことになる。
一応は核融合技術の普及で電力問題を解消した人類だが、より優れたものがあればそれを求めるのが、人情であり人の業である。
43 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:05:15 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [11/179]
4.限定的な波動エンジンの解析とリバースエンジニアリングの成功
永久機関とは極論すれば燃料を必要とせず、適切な整備さえ行えば半永久的に莫大なエネルギーを提供する存在である。
核融合技術もそれに限りなく近いが、ヘリウムやトリチウムなどの確保が難しい燃料を必要とし、完全な永久機関とは言い難い。
故に実用化出来た際の技術、経済的な効果は恐ろしく大きなものであり、安全性のため地球や火星の軌道上施設で研究を継続。
複数回の事故、貴重な研究者の殉職などの悲劇も生じたが、代償として異星文明の用いる永久機関の研究は著しく進捗。
その過程で宇宙空間は十一個の次元から構成され、観測困難な余剰次元より無尽蔵のエネルギーを汲み上げている構造が判明。
一度理論が判明してしまえば、複数の大国が出資しているプロジェクトなだけに、のべ20年程度でリバースエンジニアリングに成功。
流石に超光速航宙までは再現できないものの、これまでのレーザー核融合炉推進に比べ格段の大出力の安定発揮に成功。
また推進剤などを必要としないため、経済性を重んじる商業用宇宙船。戦闘艤装で余裕の乏しい航宙戦闘艦に最適であった。
2173年に「次元波動エンジン」の名前で日本、合衆国、欧州連合の共同開発という形で、ついに実用化に成功することとなる。
真空でこそ最大効率を発揮するため、惑星上のエネルギープラントとしては扱いが難しいが、既に発電衛星技術は確立されて久しい。
故にまず次元波動エンジンは地球、月面、火星の軌道に発電プラントとして用いられ、ある程度の減衰を割り引いても莫大な電力を供給。
大いに人類居住圏の経済と産業を活性化させ、長期的かつ安定した経済成長さえ齎すことに成功することになる。
そして-大いに経済発展を成し遂げたことは、自然と国連宇宙警備隊の予算増額にも繋がり、新世代の戦闘艦建造が認可された。
次元波動エンジンを主機とした上で、異星文明船舶のそれを参考とした大出力陽電子砲を、砲塔式に複数を搭載。
また高圧レーザーや陽電子に対する電磁防壁という防御手段を、複合装甲以外にも備え、亜光速に達する機動性も向上。
宇宙警備隊艦政本部が日本、合衆国、欧州連合の支援を受け設計、建造を行った航宙戦闘艦は、M2154型と桁違いのものとなった。
全長230メートル、基礎乾燥重量48500トン、36サンチ陽電子砲3連装4基及びレーザー近接防御兵器、誘導弾発射管12門を搭載。
従来は困難であった重力制御も有り余るエネルギーで1Gを実現し、ついに人類は実用的と言える「宇宙戦艦」を手にしたのである。
44 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:06:19 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [12/179]
5.国連宇宙軍創設と拡大
ついに宇宙警備隊は「国連宇宙軍」拡大されることとなり、主体は日本、合衆国、欧州連合の整備してきた航宙軍となった。
2177年に竣工した宇宙戦艦は日本航宙軍で金剛型、合衆国宇宙軍でネヴァダ級、欧州連合宇宙軍でウォースパイト級と命名。
建造コストの高さから就役ペースは比較的緩やかなものとなったが、それでも三カ国合計で毎年3-4隻の建造ペースを維持した。
同時にM2154型戦闘艦の代艦も必要とされやはり次元波動エンジンを搭載、全長を190メートル程度とした「巡洋艦」の設計に着手。
20サンチ陽電子砲を連装砲塔4基に備え、近接防御兵器や誘導弾発射管も過不足ない宇宙巡洋艦が完成。
日本航宙軍で村雨型、合衆国宇宙軍でクリーブランド級、欧州連合宇宙軍ではシュフラン級と命名。戦艦と並行して建造を開始。
またこの頃になると軌道上の波動エンジン搭載衛星からのエネルギー供給により、中小国でも大いに工業力を効率化の上で拡大。
巡洋艦クラスであればライセンス建造可能な国家、あるいは戦闘艦そのものの建造は困難でもモジュール製造を行える国家多数が存在。
無論、宇宙船事業の主たる利益は商船事業であったが、戦闘艦建造は直接利益こそ控えめだが、技術向上にはうってつけであった。
宇宙軍兵員確保についても月面開拓、火星殖民事業がいよいよ好調なペースとなり、それ故に大量の商船を守る必要性が発生。
事実上日本、合衆国、欧州連合の利害調整組織とはいえ、一応のバランス感覚を持つ国連による志願兵募集は一定の効果をあげた。
これは兵員提供を行った国家、地域に対して、国連を介して何らかの経済ないし技術支援が確約されたことも、無視できないものである。
宇宙海賊程度の脅威に些か過剰ではないか。補助金主体の経済徴兵と過剰軍備は如何なものか、そのような無視できない批判も生じた。
この世界の「原作」を知らなければ間違ったものではなく、苦言を呈した人々も全くの善意であり、故に国連主要国も宇宙軍も無碍にしなかった。
まずは批判をもっともなものとして受け止めた上で、内惑星経済圏の拡大に伴う、海賊犯罪に対する抑止力構築を理詰めで説明。
そして最悪の可能性として、未だにリバースエンジニアリングが手一杯な異星文明が、非友好的な接触を遂げた場合の損害試算を提示。
更にはまだ不完全とはいえ電算機や通信網にさえ普及しているタキオン粒子理論、波動エネルギーの齎す経済効果の大きさ。
好景気と所得拡大は七難を隠すという生臭いが正論を、やはり統計データという確証付きで提示し、反論を低下させた。
45 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:07:28 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [13/179]
6.「原作」開始
かくして2170年代より開始された国連宇宙軍の創設、好景気と税収増に基づく軍拡、タキオン粒子理論に基づく新技術はシナジーを発揮。
従来では無人調査船派遣が手一杯であった太陽系外縁に対しても、タキオン合成開口レーダを備える偵察衛星多数を敷設。
太陽系外縁から内惑星人類圏という長大な通信距離も、タキオン粒子理論を用いた超光速通信が概ねを解決することになる。
実働戦力も戦艦と巡洋艦を主体として拡大の継続に成功し、艦隊防衛用の無人航宙機の開発と共同交戦能力への組み込みに成功。
本来であれば「駆逐艦」が担うであろう、敵艦隊への対艦誘導弾を抱えた高速突撃任務を想定した訓練なども開始された。
なお駆逐艦の建造自体は検討されたが、これ以上の戦闘艦の小型化は寧ろ脆弱であり、兵員損耗抑制の観点から断念されている。
紆余曲折を経つつも宇宙軍の戦力は確実に強化され2190年には8個艦隊、合計して戦艦48隻、巡洋艦80隻、無人支援艦32隻を数えた。
そして西暦2191年4月1日。天王星軌道上の偵察観測衛星が、明らかに正規軍艦隊と思しき異星文明船団の太陽系接近を捕捉。
その数は150隻を越えており、およそ友好的とは思えない存在に対して、国連及び国連宇宙軍は概ね迅速に反応。
8個現役艦隊全てに動員を行い、異星文明太陽系侵入艦隊への防衛出動を実施。同時に全ての民間船を最寄り宙港へ退避。
火星や月面では地上都市、設備破壊に備えた地下都市への避難が行われ、地球でも外出自粛要請が各国政府より発令された。
なお8個艦隊からなる国連宇宙軍総力を率いたのは、地道だが宇宙海賊対処で功績をあげ続け、信頼を受ける沖田十三中将であった。
彼は異星文明に最大限穏当な接触に努力し、偵察観測衛星経由で傍受した通信情報をもとに解析した、異星文明軍の言語。
やがては地球人類の言語全てを用いた武装状態を保った太陽系侵入停止の警告を実施、最終的には発光信号さえ用いた。
単純に国連宇宙軍きってのベテランと言うだけではなく、物理化学者としての側面も持つ彼は、最大限友好的な接触を望んだのだ。
しかし異星文明艦隊はそれらを尽く無視し、やがては地球艦隊に対し陽電子砲と思しき砲塔を指向。戦闘態勢を隠さなかった。
故に最終手段としてあらゆる言語と発光信号を併用した警告を送った上で、国連宇宙軍艦隊は先遣艦村雨による威嚇射撃を実施。
これに対し異星文明-後にガミラスと判明する彼らは、大義名分を得たかのように全力で応射を開始したのである。
46 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:08:20 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [14/179]
7.第一次天王星沖海戦
学者としての側面も強く持ち、平和的な接触を望んでいた沖田提督であったが、ガミラス軍の攻撃に対する反応は適切で素早かった。
双方が光学システムで視認できる状況では航宙機発艦は間に合わず、艦砲と誘導弾、電磁防壁を用いて応戦するほかはない。
長く内惑星航路の安全確保という実践を経験した沖田提督の判断は素早く、宇宙軍艦隊もデータリンク経由で諸元最適化の上で即応。
無人支援艦を撤退させつつ戦艦、巡洋艦の搭載する大出力陽電子砲による応戦を開始し、帯電磁バリアを最大出力に上昇させた。
ガミラス軍艦隊は高機動戦闘に習熟しており、戦闘開始と同時に航宙機かと思わんばかりの艦隊分離、包囲殲滅戦闘を開始。
国連宇宙軍艦隊はこれがはじめての本格的な艦隊戦闘故に、意図的に並列陣形を維持しつつ両者の戦闘は熾烈化していくこととなった。
ガミラス艦隊の三次元機動を駆使した襲撃は国連宇宙軍を翻弄し、少なからぬ艦艇を空間魚雷や誘導弾で屠ることに成功している。
確かに次元波動エンジンを搭載して以降の戦闘艦は大きく性能向上を果たしたが、兵員の経験不足は大きな劣位となった。
各艦隊、戦隊の旗艦爆沈や大破の報告が相次ぎ、沖田中将が全てを直卒するまでに、実に20隻以上の戦闘艦が失われることになった。
だが国連宇宙軍も案山子というわけではなく、未知の敵へ限られた形とはいえ訓練を蓄積してきただけに、練度はけして低くなかった。
また36サンチや20サンチ陽電子砲、電子励起弾頭を搭載する誘導弾は、命中すれば確実にガミラス艦の装甲を貫通。
営々と築き上げた異星文明戦艦原型の技術開発は無駄ではなく、「原作」と異なり火力発揮という面で劣後することはなかった。
艦隊の数量と機動性で勝るガミラス、火力と装甲で優れる国連宇宙軍の戦闘は、やがて対等のキルレシオの消耗戦へと移行。
数時間の戦闘により国連宇宙軍は艦隊戦力の半数近くを失い、沖田中将が座乗する戦艦霧島が全てを直卒せねばならない有り様であった。
このあたりは技術面では順調な進捗を果たしていても、異星文明の正規軍を相手とした実戦経験の欠如が影響している。
だがガミラス艦隊も当初想定した以上に技術面で進んでおり、火力と装甲で対等以上の国連宇宙軍を相手に、4割以上の戦闘艦を喪失。
やがてガミラス軍が秩序だった撤退を行い、国連宇宙軍が深追いをしない形で。人類初の異星文明との戦闘は終息した。
この戦闘は地球側では第一次天王星沖海戦と呼ばれ、ガミラス軍を相手とした過酷な消耗戦の始まりとして記録されることになる。
47 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:09:18 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [15/179]
8.待ち望んだサンプル入手と奇跡の世代ロールアウト(誇張なし)
第一次天王星沖海戦で痛み分けに近い形でガミラス艦隊を追い払った国連宇宙軍は、この敵対的異星文明の存在を諸国に公表。
日本、合衆国、欧州連合等の国連宇宙軍の主体となる国家は戦時体制に移行し、国連加盟国も協力体制に入った。
火星との交易でうまい具合に産業を効率化させ、何とか国民の不安を低下させた中国やロシアなども、概ね協力的であった。
これだけでも他の世界線を知る夢幻会メンバーにとっては御の字だったが、より喜ばしいことに今度こそ生きた異星文明航宙艦を入手。
ガミラスからしても地球側の反撃は想定以上だった模様で、捕虜や戦没者の遺棄等はなかったが、破壊しそこねた損傷艦。
そして全長300メートル近い戦闘艦(デストリア級重巡)に高機動を可能とするゲシュタム機関-ガミラス式波動エンジンの完成品を入手。
従来不完全であった波動エンジンや陽電子砲の解析は一気に進み、金剛型戦艦や村雨型巡洋艦の再設計、性能改善に貢献。
そして地球規模の危機に立ち向かうため、国連宇宙軍艦政本部は宇宙防衛に参加、協力を行う国に、非常に低コストで技術開示を実施。
一国でも多く性能改善を果たした金剛型や村雨型、あるいはその派生型-航宙母艦などの建造支援を行っている。
勿論指揮系統などを巡る利害対立も存在したが、概ね調整可能な範疇に収まった。実際のところ、これは奇跡と呼んでも良い。
タキオン粒子理論や波動エネルギーの恩恵により経済的余裕を大いに齎したことが、人類に冷静さと知恵を与え続けていた。
何処ぞの珪素生命体に侵略された世界線のような大惨事を回避できたことも、密かに夢幻会や各国政府上層部を安堵させた。
故に天王星防衛ラインは強固なものであり、ガミラス軍の遊星爆弾を用いた長距離攻撃も、非常に高い確率での阻止を果たし続けた。
そして西暦2194年から2195年-後に宇宙軍技術本部・艦政本部の宝玉とも呼ばれる、三人の若い技術士官たちが任官した。
M.I.T留学経験さえ持つ天才真田志郎、臨床心理士の資格さえ持つ新見薫、豪放磊落な異才の持ち主大山敏郎。
そう。原作宇宙戦艦ヤマトシリーズのチートクラスの技術者たちが、早々に才能を認められ宇宙軍技術本部・艦政本部に任官。
長年試作止まりであった改良型陽電子砲-陽電子衝撃砲の小型効率化と量産化、波動防壁の実用化などを早々に成功。
無人船を用いての実験段階ではあるが、人類初の短距離ワープ航法さえ成し遂げ、文字通りのブレイクスルーを果たしたのである。
48 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:10:00 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [16/179]
9.ガミラス軍の焦燥
帝星ガミラス・ゾル星系(太陽系)方面軍は思いも寄らないテロン人の軍隊による、強力な抵抗と防衛網構築に焦っていた。
ゲシュタムジャンプ航法さえ実用化していない未開の土地であり、機動戦と占領地統治に慣れたガミラスからすれば、余興に過ぎない。
それこそ(口には出せないが)総統閣下の何時もの気まぐれに付き合う程度の、二等臣民ザルツ人部隊を攻略に当てた。
だが初戦ですらテロン軍はジャンプ航法こそ行えず、機動性でも我が方に劣るが、強力な陽電子砲を搭載する戦闘艦多数を投入。
数量でも経験でもガミラス軍が勝るにも関わらず、痛み分けに近い形で撤退を余儀なくされ、冥王星に仮説基地を整えるに留まった。
指揮官たる一等ガミラス人大佐は早々に更迭され、責任転嫁のために以降のテロン攻略はザルツ人部隊に全てが投げられた。
そしてここで距離の暴力による双方の補充能力の差が、明確に響いてくることになる。帝星ガミラスからゾル星系まで168000光年。
この距離を踏破して補充兵力や兵站物資を送り込むのは、恒星間国家であるガミラスにとっても尋常な負担ではない。
また傍流戦線と見做され二等臣民部隊が主体であることから、そもそもの補給物量自体が十分ではない弊害も生じていた。
一方でテロン人たちはいわば自分の庭での戦争であり、ジャンプ航法を用いずとも推定80億を超える本星からの補給は迅速であった。
更には我が方の破棄措置が不十分であった沈没艦を参考にした模様で、2192年以降は明確に戦闘艦の性能が向上。
高機動航宙機を搭載した空母さえ配備を開始し、物量や性能だけではなく、ドクトリンという点でも手強い相手となりつつあった。
乏しい資材をやりくりして基地を建設した冥王星。その軌道上の隕石を用いた長距離質量弾攻撃の効果も、捗々しくはない。
テロン艦隊は我が方との戦闘による損耗を凌駕するペースで増強され、投射した質量弾の大多数はそれに迎撃されてしまう。
突破した質量弾が命中したかどうかも、弾着に数ヶ月の時間が必要であり、偵察艦の浸透も困難なために確認も不可能に近い。
本国から送られる補給は不十分で戦闘艦も型落ちが多く、送られる補充兵も老兵か若年兵ばかりという、頭の痛いものであった。
彼らザルツ人部隊に本国の思惑は概ね見て取れた。総統閣下の名前を汚さぬ程度に奮戦せよ、だが優先扱いなど期待するなと。
仮にテロン人が我が方の技術解析を更に進めた場合、質的にも劣位に転ずるのでは。その危惧はやがて現実のものとなった。
49 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:10:45 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [17/179]
10.地球の困窮(当社比)と新型艦完成
一方の地球はといえば少なくとも楽な状況ではなかった。確かに改良型の航宙戦闘艦が100隻単位で竣工し、急速に宇宙軍を増強。
天王星など外惑星防衛艦隊、そして遊星爆弾やガミラス偵察艦迎撃の内惑星艦隊に分かれ、概ね有効な防衛網を機能させている。
しかし100隻単位の宇宙艦隊とはそれだけで国庫負担が大きく、また戦死者も戦闘の度に三桁、四桁の数で発生してしまう。
内惑星経済圏は幸い維持されているものの、国連加盟国によっては宇宙軍への選抜徴兵が開始され、産業界が難しい顔をした。
国民生活という点でもやや増税が始まり、配給制や極端な物価上昇こそ免れているが、あまり有り難いものではなかった。
内惑星圏軌道上に波動エネルギープラントを浮かべ、ほぼ無制限の電力供給を成立させているが故に、この程度で済んだとも言えるが。
なお食料生産を含む産業の効率化は順調に進んでおり、防衛に必要な増税も間接税であり、物価にプラス3%程度で収まっている。
故に戦時下でありながら一般市民の大多数はさして切迫しておらず、食べ歩きや長期休暇を楽しむ余裕も普通に存在していた。
とはいえこの状況を早々に終結させる必要性は誰もが感じており、その様な折にリアルチート複数の加入により、遂に完全な新型艦が完成。
長砲身陽電子衝撃砲複数と波動防壁を備え、遂に超光速航法-ワープを可能とした宇宙戦艦、巡洋艦、そして駆逐艦である。
従来駆逐艦は小型故に火力、防御力の問題から人命損耗に繋がると、防衛主眼の国連宇宙軍では採用に消極的であった。
しかし新型波動エンジンによる高機動性と波動防壁の実用化により、ついにガミラス駆逐艦に追従しうる新型駆逐艦を完成せしめた。
また共通商船規格を原型とした、やはり波動防壁を展開可能な輸送船、補給艦、病院船、工作艦等も並行して竣工を開始。
いわゆるスペーストレイン型の商船にコンテナ形式で輸送、補給、医療、工作用モジュールを多数取り付け、用途に応じ支援を行う。
言うまでもないが戦闘艦、支援艦を問わず、志願制故に兵員潤沢とは言えない宇宙軍の実情に合わせ、省力化も進んでいる。
無論、慣熟訓練などが必要なために、直ちに前線の艦隊をハイペースで更新できるわけではないが、一つの転換点ではあった。
なお真田、新見、そして大山の三人を血眼で追っていた夢幻会が、彼らの実力が本物であると判断してから、動きは早かった。
この三人を艦政本部というプリズンに収監-もとい栄転させたのは彼らである。無論、それ以前からの莫大な技術蓄積あってこその飛躍であるが。
50 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:11:26 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [18/179]
11.メ号作戦発動-物量の暴力
新型艦艇はM2196年式という名称で戦艦、巡洋艦、駆逐艦、汎用支援艦を含めて宇宙軍に採用が行われた。
なお各国航宙軍や宇宙軍において、それぞれ独自の名称(事実上の愛称)が併用されていることも、既存の航宙艦と同様である。
日本航宙軍においては天城型宇宙戦艦、最上型宇宙巡洋艦、春風型宇宙駆逐艦等の名前で命名、建造が行われている。
そしてこの戦争以前から航空宇宙関係で一歩先んじ、工業力では文字通りトップの大陸日本の航宙軍艦隊再編は早かった。
軌道上と惑星上。双方に設けられた数多の造船所、もしくは工場は火所に速いペースで新型艦建造やモジュール製造を達成。
1年で戦艦16隻、戦闘空母8隻、巡洋艦24隻、駆逐艦36隻、各種支援艦48隻を転換訓練を終えた乗員と共に配備を終えた。
合衆国、欧州連合も日本ほどではないにしても、相当に速いペースの艦隊刷新を進め、規模の面でもそれに迫るもの配備。
国連宇宙軍は今なお冥王星を根拠地として、太陽系外周を脅かすガミラス軍排除行動-メ号作戦を発令。
日本、合衆国、欧州連合の新鋭艦隊を中核に戦艦36隻、戦闘空母15隻、巡洋艦81隻、駆逐艦100隻以上を投入。
質の面でも安定性と応答性の高いガミラス式波動エンジン技術を導入し、全艦が波動防壁とワープ航法能力を獲得。
36サンチ衝撃砲15門を有する戦艦、20サンチ衝撃砲15門を搭載する重巡、多数の空間魚雷発射管を擁する高速駆逐艦。
戦艦をベースとした戦闘空母など、波動砲こそ搭載していないが、それ故に性能バランスの取れた高性能艦が揃っていた。
率いるは定期交代で宇宙艦隊指揮権を得た土方竜中将で、多数の哨戒艦と索敵機を緊密に用い堅実に艦隊を前進。
敵要塞砲、根拠地などを設営するに適した地形全てに対して、艦砲射撃と空襲による飽和攻撃を実施。
これにより反射衛星砲の位置を早々に露呈を強い、砲爆撃で破壊した後は、撤退戦に至ったガミラス艦隊を追撃。
巡洋艦と駆逐艦の宙雷突撃により我が戦艦部隊のキルゾーンに追い込むなど、徹底した機動力と火力発揮を実施。
後が無いからこそ士気、練度良好なガミラス艦隊も奮戦したが根拠地を失い、物量に優れる敵に機動戦を強いられ壊滅。
自らの損害を1割程度に抑えつつ、殿を担った敵旗艦を含むガミラス艦隊の8割を撃沈し、ようやく太陽系の安寧を取り戻した
51 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:12:05 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [19/179]
12.「原作」からの大きな乖離
夢幻会メンバーの一部が知る「原作」とは、ガミラスの圧倒的な軍事力により地球が滅亡寸前となり、イスカンダルが手を差し伸べる。
そこで受け取った設計図と波動コアを用い恒星間航行超弩級戦艦-ヤマトを建造し、コスモリバース受領の旅に出る内容である。
つまり人類は滅亡寸前に陥ったからこそ、イスカンダル式の高性能な波動エンジンと戦闘艦を入手できたと言えなくもない。
だが夢幻会はあえてその流れを無視した。人類の7割が死滅し地球は焼け爛れ、1隻の戦艦に残る人類の運命を託す。
そのような数十億の犠牲の末の賭博を打つくらいならば、メタ情報を使ってでも遊星爆弾攻撃を阻止し、ガミラス侵攻軍を叩き出す。
夢幻会メンバーである以前に日本を含む地球、内惑星圏の死活を担う政府・軍責任者として、それは当然の判断であった。
それがさらなるガミラス精鋭部隊の侵攻を呼び込むリスクは存在し、まだCRSが存在しない以上、時間断層という魔法の杖も存在しない。
だが、ボラー漂着艦を発見以降、不完全であっても異星文明研究と再現に成功した地球の国力は、桁違いに向上していた。
もしも仮にヤマトに相当する超超弩級戦艦の建造が必要であっても、同型艦複数を同時着工、短期建造は十分可能なレベルであった。
また何よりも大きいのがガミラス戦争で本来は失われたはずの、軍民双方の貴重な人材、人命の殆どが健在なことである。
「原作」の代表的な人材で言えば、沖田十三中将は遊星爆弾症候群を病んでおらず健康で、その子息や義娘も健在。
古代守を初めとする、この戦争で実戦を経験して成長してきた若手、中堅士官も、着実に能力を発揮しつつあった。
そう。「原作」で何よりも足りなかったものは教育と経験を蓄積した人材という、ハードでは補いきれないソフトウェアであった。
それが豊富に健在というだけでも、時間断層の欠如や波動砲搭載艦建造の遅延程度、幾らでも補いが効く程度の話である。
事実、戦時体制から準戦時体制に緩和された地球圏は、民需を中心に着実な経済及び工業力の発展を再開。
軍は旧式艦や高齢将兵を中心に一定の縮小が行われたが、着実に向上する国力に牽引され、質的なレベルはより強化された。
指揮通信及び広域警戒網は民間電子技術を用い高性能化を果たし、無人支援艦多数を用いた兵站もより効率的なものに。
次元波動エンジンのさらなる熟成、性能向上は艦種を問わず戦闘艦の性能を改善し、AI搭載無人哨戒艦もそれを補いつつあった。
52 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:12:41 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [20/179]
13.ヤマト計画-宇宙戦艦ヤマト設計と建造
金剛型、村雨型以前の戦闘艦の殆どを保管艦・予備艦に指定することで、軍縮を維持しつつ戦力維持を図る国連宇宙軍。
同時に彼らはガミラス軍ザルツ人部隊の捕虜からの聴取(尋問、拷問は厳に戒められた)。艦艇、基地残骸からの情報収集を実施。
本星が太陽系から16万光年も離れた大マゼラン雲に存在している、恒星間覇権国家であるなど、概略を知りつつあった。
国連宇宙軍が老練な土方提督の堅実な指揮と、新型艦の物量で押しつぶした100隻前後に達する艦隊すら、末端に過ぎないのだ。
そして一定数の敵艦が脱出してしまっている。あるいは壊滅以前の戦闘詳報などから、我が方の軍事力と国力は確実に知られている。
事ここに至りて国連加盟国および宇宙軍は守りに徹するのみでは、近い将来、ガミラス本国の圧倒的軍事力による苦戦もあり得ると判断。
ガミラス本星までの到達は困難であっても、中途に複数存在するであろう軍事拠点への逆襲可能な軍事力の整備が必要と考えられた。
それでも片道数万光年の遠征となり、中途で度重なるであろうガミラス軍との戦闘を考えれば、生半な戦闘艦では任務を達成できない。
現在最新の戦闘艦と支援艦ですら基本的には太陽系内における防衛作戦を主眼とし、今なお国連宇宙軍は沿岸海軍なのだ。
ここで日本政府より全く新規の。超大型宇宙戦艦複数の建造による、ガミラス戦略軍事拠点への到達と破壊が提案されることになる。
建造予算、運用維持費ともに最新主力戦艦の数倍に達し、中小国や航宙艦建造インフラが小さい中露等は、流石に棄権した。
仮に建造を実行するなら船体モジュール単位の製造などでは協力するが、設計や運用全般はとても責任が持てない、と。
これは日本政府-夢幻会も織り込み済みであり、中露や中小国に対しては艤装モジュール発注に、適正価格で応じて頂きたい。
一方で国連宇宙軍の主力を日本とともに構成する合衆国、欧州連合には、是非とも建造そのものを行って頂きたい、と。
戦艦用波動エンジンを「双発」で搭載する超大型宇宙戦艦に対し、両国ともに渋い顔をしたが、最終的には了承に至った。
彼らも殆どの迎撃に成功したとはいえ、ガミラスの遊星爆弾攻撃や偵察艦浸透により、市民が一時パニックに陥ったことはよく覚えていた。
そこにガミラスが地球を数倍、あるいは数十倍規模で凌駕する大国と判明し、何も手を打たなければ次はパニックでは済むまい、と。
かくして造艦の真田、電子技術の新見、波動エネルギーの大山が作り上げたY級宇宙戦艦-ヤマト型はここに産声をあげた。
53 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:13:33 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [21/179]
14.あとがき-作中登場艦艇について①
・M2154型航宙戦闘艦
2199原作の村雨型宇宙巡洋艦そのまま。実は太陽系内で海賊対策に使うには一番手頃な軍艦だったりします。
この世界線の波動エンジンを搭載した金剛型、村雨型竣工後は半数ほどが、国連宇宙局管轄の空間軌道保安庁へ譲渡。
駆逐艦向けの波動エンジンに主機を換装。居住性や電子装備の改善を行い、破綻企業の末路の海賊対策にあたってます。
なお夢幻会。本当に宇宙軍創設が無理だったら、原作第二次火星沖海戦よろしく、このクラスに軸線ショックカノンを搭載する予定でした。
・村雨型宇宙巡洋艦(大陸日本仕様)
外観は出渕監督のデザインした原型に似ていますが、一回りほど大きく、主砲配置は改装前の金剛型宇宙戦艦と同様です。
ワープ機能こそ持たないものの波動エンジンを備え、20サンチ陽電子砲連装4基と帯電磁バリアを備えるなど、結構戦えます。
いっそワープできないなら火力と装甲に割り振れば良いじゃないという、どっちかといえば海防戦艦に近いようなクラスです。
ガミラスとの開戦により大量の波動エネルギー情報を得て、全般性能改善を果たし、冥王星陥落まで防衛ラインを守ってました。
・金剛型宇宙戦艦(大陸日本仕様)
やはり外見は玉盛順一郎氏のデザインした改装前の金剛型ですが、こちらも波動エンジンを備え、全長も30mほど大型化しました。
コンセプトは村雨型と同様の海防戦艦に近いもので、36サンチ陽電子砲3連装4基とより強力な帯電磁バリアを有しています。
実は砲戦火力ならデストリア級に殴り勝てるのは内緒です。またタキオン粒子電算機を搭載し、旗艦機能も原作より拡張されました。
ワープできないなりにタフな戦艦で、途中の性能改善を経て防衛ラインを維持した名脇役です。戦後は村雨型ともども殆どが予備艦ですが。
54 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:14:16 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [22/179]
14.あとがき-作中登場艦艇について②
・春風型宇宙駆逐艦(新型駆逐艦)
さらば宇宙戦艦ヤマトに登場した突撃駆逐艦を2199でヤマトが大型化したのに比例し、大型化した宇宙駆逐艦です。
空間魚雷発射管4連装4基を主戦兵装として維持しつつ、12.7サンチ連装衝撃砲3基を速射砲として搭載している重武装駆逐艦です。
波動防壁を展開し、後述する宇宙巡洋艦4隻の戦隊を盾に宙雷戦隊として突入。バーガー戦闘団に近い機動戦がメインですね。
派生型として魚雷発射管を半減させセンサー系とC4Iを拡張した哨戒艦も存在し、やがてはデータリンクとAI制御で無人化されます。
・最上型宇宙巡洋艦(新型巡洋艦)
やはりさらば宇宙戦艦ヤマトに登場した巡洋艦、あるいはパトロール艦ゆうなぎ相当の艦で、2199ヤマトに比例して大型化しています。
波動砲は試作段階かつ余りに高価で当初より搭載せず、一方で砲熕兵装は20サンチ3連装衝撃砲に統一され5基搭載。
機動性も高く波動防壁展開強度も駆逐艦より高いため、嘗ての日本海軍よろしく4隻1個戦隊で宙雷戦隊の前衛を担います。
当然、武装を軽減させセンサー系を強化したパトロール艦も存在し、やがて無人化される索敵艦の旗艦として長距離哨戒も担います。
・天城型宇宙戦艦(新型戦艦)
波動砲を搭載していない護衛戦艦アリゾナです。デザインが好きで選びました、反省も後悔もしていません。
主砲口径こそ36サンチと控えめですが3連装5基の配置で搭載し、威力は原作カ2号作戦同様、一発でデストリア級重巡を破壊できます。
波動防壁の強度も大きく、シュルツ司令の空間機甲旅団でそれを射貫出来るのは反射衛星砲だけで、しかも36隻も来ました。
太陽系で守りに回るだけならかなりのことが出来ます。主な建造は日本、合衆国、欧州連合ですが、中露も少数ながら建造を開始しました。
・ヤマト型宇宙戦艦
春蘭です。はい、まんま春蘭です。イスカンダル式の高性能な波動コアが、こんな地球有利な戦況で届くはずもなく、エンジンは自然と大型化。
出力もショックカノンや波動防壁、ワープ航法までは対応できますが、2199のガミラスのクソデカ波動コアとデスラー砲から単機では無理と判断。
じゃあいっそ双発に並べちまえとトチローの声が聞こえ、ヤマトの名前を持つ春蘭が出来ました…波動砲が1門なの以外は原型通りの重武装です。
因みに建造数は日本3隻、合衆国及び欧州連合各2隻の合計7隻。ビッグセブンとか言われるんでしょうか。どっちかといえばびっくりセブンですが。
55 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2024/05/03(金) 23:15:15 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [23/179]
15.あとがき-総論
もしも地球が特に内惑星戦争とか内乱を起こさず、大陸日本の国力で漂着ボラー戦艦を全力で調査。技術再現をしたらどうなるか?
そこから思考実験が始まり、再現した波動エネルギーをまず民需産業への大電力に用い、好景気を生み出し心理的余裕を醸成。
ガミラスという外敵に対して概ねまとまって戦える地球を作ってみました。内ゲバはリアルやマブラヴ世界だけでお腹いっぱいです(白目
そして大陸日本が音頭を取った概ね国力の大きな国々が、波動エネルギーを自家薬籠中のものとしたら、防衛艦隊が強いんですね。
ワープできない初歩的な波動エンジンでも、攻撃と防御などに回せるエネルギーが桁違いですし、練度だって悪くない。
何しろ原作ネームドの沖田十三、土方竜、山南修、古代守、あるいは水谷艦長やゲーム版の三木艦長たちだって健在ですし。
そこへ2199でガチの技術チートを発揮した真田さんと新見さん、ゲーム版の第二のチートであるトチローを投入したら…こうなりました。
メ号作戦の段階で波動砲を搭載してないことを除けば、さらばヤマトのそれに匹敵する防衛艦隊が出来上がるんですね。
如何にシュルツ司令が優秀な人で、部下も精鋭揃いでもこれじゃ無理です。哀れザルツ空間機甲旅団と冥王星基地は爆発四散。
んでもって当面太陽系防衛に成功しちゃった以上、ヤマトに匹敵する戦艦は捕虜や敵艦・敵基地残骸などからガミラスの詳細を入手。
地球の数十倍の国力を持ち、膨張傾向と差別主義を持つやべーのがいると判明して、やっと民意と予算がついてきます。
さて7隻が出来たこのヤマト型という名前のなにか。どうやって使うのか…多分彼女たちが揃う頃に嶋田さんインストールです。頑張って♪
以上となります。本当に長々とした投下になってしまい、皆様申し訳ありませんでした…しかしこれヤマトと言って良いのかな?(困惑
最終更新:2024年08月11日 20:19