352:陣龍:2024/05/11(土) 14:34:53 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
【FALLOUT ×
日本大陸 ~或いは人類文明圏最後の守護者~】
「ショウゴウ……作戦?」「ジェット戦闘機疾風…?」「
アメリカ風邪…?スペイン風邪で無くて…?」
「広島長崎で無くて日本軍がメキシコに核攻撃…?」
「……全く、我々の事を知らない、と?」「初めて遭遇したのがあの邪気眼自称する病院送りになった陸さんなので……」
「おぅ……そうなのか……」
「……えっと、取り合えず歓迎します。今は世界が壊れて西太平洋条約機構の構成国も限界突破しているので、
この悪夢のような世界で戦える人なら、幾らでも」
――――原点の
夢幻会とニュービー勢の夢幻会が、核戦争後となって初遭遇。だがニュービー勢は列島日本で七転八倒しつつ
生きていた彼らを全く知らない世界線出身で、しかも初接触したのがよりにもよって自称邪気眼派閥の人間で有り、
一時核戦争の惨禍でPTSD的症状を発症したと思われて病院送りにした形だったので、協力関係は兎も角
それ以上は微妙に距離の空いた関係で始まる。
『 始発駅は死の世界 ~終わらぬ戦争の始まり~ 』
最終核戦争が終結し、日本勢力圏以外の地域の文明の灯が衛星からの映像で殆ど消え去った事が確定した頃。
被害の把握を数字で有る程度完了させた条約構成国は揃って溜息を吐いていた。陸海空の全軍が力戦奮闘し、
予備人員も総動員した死戦によって、各国の国土に対する核兵器の被弾は最小限以下に抑えられていた。
オーストラリアのエアーズロックへや、フィリピン沖合、日本本土でも北海道や樺太の自然保護区にて炸裂する等、
国民への心理的打撃は兎も角として、各国の首都や主要資源地帯、工業地域に対する損害は少なかった。
核兵器を警戒する余り通常兵器のミサイルが一部奇襲の形で飛来し被弾も有ったが、
此処までの大規模戦争で有りながらも本土や国民への被害を極減させた事は、客観的に考えて偉業であった。
無論、その偉業を引き出す為に奮闘した各国軍隊の損害は大きかった。一般的に技術優位がそのまま
戦力優位に転化すると言うのが一般論である海戦でも、敵対陣営が有りとあらゆる距離で核兵器を爆発させていた事で、
条約機構軍側のミサイルを消し飛ばしていた事で威力を減殺させていた。防御用に対空パルスレーザーや小型レールガン、
真空管コンピュータも狂わせる強力なジャミング機能、攻撃用に核迎撃不能な実体砲弾やレールガン等の多種多様な兵器群で
最終的に叩き潰したものの、魚雷迎撃の為に平然と水上艦が迎撃核魚雷を発射して巨大な水柱を多数生成した様な
核兵器万能論軍隊相手で無被害勝利は不可能であった。当然、海中戦でも核魚雷や対潜核ミサイルを乱射してくる
米中ソに条約機構側の損害は多発している。
海上戦力だけでコレなのだから陸空はもっと酷かった。核砲弾や核手榴弾等が当たり前の米中ソ陸軍もそうだが、
空軍や艦載機隊でも小型化された核ミサイルの使用が数十年前から常識的の為に、長距離ミサイルの迎撃網を
迎撃核ミサイルと物量で突破して来た敵機に発射された核ミサイルの火球や爆風で損傷や消滅させられる
条約機構側の航空機は当然の如く多かった。日本海上空では日本空軍の小松空軍基地や舞鶴海軍基地航空隊等と中ソ空軍が激突し、
そこら中で核兵器が炸裂した火球とキノコ雲が溢れる中での大空戦が勃発し、インドシナ半島でもビルマ本土空軍や
増援の各国空軍が踏ん張り押し切るも大損害を被ったように、相手方が練習機すら投入して来る物量戦では
技術力差も一定度穴埋めされる効果を認められた。最終的に侵攻して来た圧倒的多数の敵軍を殲滅と撃退に成功はしているが、
その為に負わされた条約機構軍の死傷者の数や核で焼かれた国境地帯の有様を見ると、
お気楽にお味方大勝利等とは口が裂けても言えなかった。特に陸戦に置いて敵軍の主功を真っ向から食い止めた
ベトナム陸軍と増援の日本陸軍方面軍は、大戦果と共に大打撃を受けていた。
【『灰染め』の○○師団】と言う名が複数この地方の歴史と戦史に刻まれている事からも、その尋常ではない有様が多少は想像できる。
353:陣龍:2024/05/11(土) 14:36:52 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
最終的に、条約機構の周辺から敵性勢力を駆逐した代償に各国軍隊は今まで積み重ね鍛え上げた常備軍の多くを失った。
タイ王国海軍の空母バンコクの様に、帰還に成功するも重度の放射能汚染や損傷の為に年単位での入渠が確定したり、
自らの倍以上に達する米海軍艦隊を撃滅した代償に正規空母のオーストラリアと巡洋艦キャンベラ、シドニーを喪失したオーストラリア海軍、
多方面に派兵した為に一番の損害数となった日本帝国三軍、壮絶な死戦の上に容赦のない核攻撃と人海戦術で国境地帯を中心に
死の大地と無数の遺棄された死者や兵器の残骸を放射能汚染ごと抱える羽目になったインドシナ諸国等、
兎に角無傷に終わった軍隊と国家は何処にもいないと言う有様であった。一応これまでの内政の積み重ねの結果、
時間さえ掛ければ回復不可能ではない程度の損害ではあったが、それでも軍部も財務関係者も政府も卒倒間際な有様だった。
そしてそれから間を置かずに立て続けに襲い掛かって来たのが、事前に想定されていた無数の死の灰や各種汚染物質の流入、
そしてこの世界の日本勢力圏に取って想定外だったFEVの微量の流入である。後者に付いては、戦争開始直前にて
FEV研究所が特定されて破壊措置命令が現地アンドロイド達に下るも、実行に移される前に最終戦争が勃発した為に直接破壊する事は叶わず、
代わりに彼女ら対米派遣アンドロイド達が核の炎で消滅する目前までの情報発信にて、研究所が核兵器によって完全破壊された事から
『FEVの脅威は無くなった』と誤認されていた。因みにその対米派遣アンドロイド達だが、衛星通信によって日本本土と
リアルタイム情報送信している事から何事も無かったかの如く本土のもう一つの【自分】に戻って凱旋()し、
戦争終結後余裕が出来た段階で彼女らの上官やら親しい仲の異性等に色々焼肉だのオムライスだのと食事を奢らせてたり手作りさせていたりする。
その為、アンドロイド達の情報からFEVの事は米本土に乗り込んで行った際に考えればよいと一端後回しにされたのだが、
そこに加入して来た熟練転生者こと原点夢幻会員が情報提供した事で更に引っ繰り返る事になる。ただ初接触したのが、
インドシナ戦線に派遣されていた日本陸軍の、それも原点夢幻会にて邪気眼派閥なる存在だった事が悪影響し、
過酷な戦闘で精神が摩耗したと認識されて殆ど流れ作業的に病院送りにされた事から本土の今世界の夢幻会と接触するのが遅れ、
その後続々と出て来た原点夢幻会の転生者が今世界の夢幻会とマトモに接触や情報提供を行えたのはFEVの降着が確認される
前日の事であった。仕方がないとは言え、余りの容赦のない核戦争の惨禍に対する精神安定剤として何時もの如く
邪気眼言動をすれば病院送りにされるのは当然である種自業自得なのだが、何処か哀れである。
そんな些細な顛末は兎も角、微妙な接触と存在認知、協力関係の構築が始まった新旧夢幻会であったが、
呑気に交流会等する余裕も無く立て続けにFEVの影響と思われた存在が確認され、一気に緊迫し始めた。
死の灰も放射性物質も全く収まり付かないとして民間人は未だ無期限待機命令が続いている事で市民への被害は無かったが、
代わりに除染作業に従事していたアンドロイドや作業員、警戒に当たっていた軍人たちが、条約機構構成国の国内にて、
戦前には確認されて居なかった新種の生物を確認や発見していたのだ。ただその発見した新種との危険レベルの温度差は桁外れであり、
タイ王国では野良犬だったと思しきゴールデンレトリバーや雑種の犬、またアメリカンショートヘア等の猫までもが多数巨大化しているのを発見。
幸運にも、護衛の兵士やアンドロイドが自分の視覚を疑う光景に思わず思考停止して攻撃しなかったが為に、
通常の犬猫と同じく人好きな気質そのままに擦り寄って来たり舐め回して来た事でなし崩し的に保護。
FEVの影響なのかどうなのかは研究者も全く分からない有様である者の、犬猫が大好きだった現場の兵士が退避箇所にて
撤収後にいの一番防護服を脱いで可愛がって揉みくちゃにされる映像が流れた事で、
最終的にタイ王国の誇る新しい観光資源又はアイドルアニマルとして受け入れられている。
尚当然ながらいの一番に防護服を脱いだこの兵士は後に上官にバチクソに怒られている。
354:陣龍:2024/05/11(土) 14:38:33 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
一方続報として今度は日本本土の北海道でも、核戦争による放射能やFEVの影響と思われる
狂暴なヒグマが複数体確認される。原作【FALLOUT】を知る転生者が見た限りヤオグアイに似た様相の
日本の熊は、恐らく着上陸戦の前に撃沈されるも生き残って北海道へ漂着した生き残りのソ連兵を多数惨殺後に、
荒れ狂う気性そのままに日本陸軍の小部隊へ襲撃を敢行。アンドロイド歩兵をその怪力で殴り飛ばし、
歩兵用の小銃ではまるで意味を成さないと思わせる耐久性でトラックを体当たりで吹き飛ばす等暴れ回った後に、
強引に住建突撃で足止めしたアンドロイド歩兵ごと車載機銃で蜂の巣にする事でようやく一体を撃破した。
そして襲撃した二体目はドローン偵察と着弾観測による戦車砲の攻撃で接触前に粉微塵にされ、
最後の夜中に襲って来た三体目は日本陸軍の最新パワードスーツを着込んだ原点夢幻会の某杉山氏(現階級陸軍少佐)との
ステゴロの殴り合いで討ち取られた。尚最後の一例は開発元が全く想定していない殴り合いでの成果の為、
後に絶対に真似をしないようにと言う戦訓として条約機構構成国に情報が配布されたと言う。
本来ただの放射能汚染による遺伝子などの変容だけでは説明が付かないこの事態に、
新規加入して来た転生者達の証言が本当であると認識したこの世界の夢幻会。だがそうだからと言って
即緊密な協力体制の構築に繋がる訳でも無かった。初コンタクトがアレな邪気眼派閥の人間であったが、
その後に続々現れた転生者達も何だかMMJだの痛い子中隊だのなんだのと言う、
仕事の邪魔になるまでは出していない身内ノリである以上何も言わないが何とも妙な志向を持っている者が
多かった事も有り、全面的な関係改善をするには二の足を踏む意見が多かった。
無論ニュービー勢にもオタク系の文化もノリも有り、戦前には度々隙あらばニ〇ニ〇超会議だのに参加して
鬱憤晴らしもしていたので理解はあるが、それでも全面核戦争の恐怖から死に物狂いで駆け回っている内に
気質がポップカルチャー好きから少し変容した彼らから見て、何となくに違和感を感じていた。
『……苦労されていたのですね……えっと、嶋田さん?』『恐縮です……』
南方では、海上保安庁や各国の沿岸警備隊による臨時合同作戦にて、異常繁殖や巨大化・奇形化した
タコやトビウオにマグロ等の魚介類、また生存圏を探して逃れて来たイルカやシャチ、クジラ等が条約機構構成国の
経済水域や領海近海へ逃げて来た事にてんやわんやしながら対応に回っている某南雲氏の悲鳴を知ってか知らずか、
常々苦労人として幾多の世界で祭り上げられていた嶋田にして神崎の名を持つ海軍軍人が、
色々と『真面目』な夢幻会のニュービー勢と面会して一筋の涙を溢していた。
355:陣龍:2024/05/11(土) 14:41:52 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) 以上、何時でも何処でもマイペースで全く変わらぬ連中と困惑し切りなニュービー勢でした()
|д゚) それはそれとして、マイアラークの如く変質した海洋生物も確定で湧いて出て来る筈ですので、
南雲パイセンは海上保安庁の前線任務最高幹部としてリアルモンハンに駆けずり回る宿命しか浮かばなかった模様
最終更新:2024年08月16日 14:21