878:陣龍:2024/05/14(火) 21:08:27 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

【FALLOUT × 日本大陸 ~或いは人類文明圏最後の守護者~】



「……取り合えず、此方の指針に従ってくれるようで何よりです」「正直MMJとか痛い子軍団とか邪気眼派閥とか、
初めて聞いた時は舐めとんのかと少し頭に来た件」「まあ現状に合わせてやってる様子なので、
個人個人の趣味嗜好は仕事や他所に影響が無ければ良いでしょうよ」
「嶋田さんが胃痛で穴空くからそれ以上は止めて差し上げろ…何かすみません」

「あぁ、いえ。正直、何時もの事なので」
「Oh……」

『フィリピン海軍より入電、ニューギニア島沖合にて漂流する米軍空母発見。同行していたニュージーランド軍と共に
鹵獲作業に入るとの事』『舞鶴鎮守府海軍基地航空隊、シーライン3より入電。横転転覆している中国海軍と思しき
強襲揚陸艦を発見。駆逐艦、鷹風が調査に入るとの事』

「……【アレ】の対応と一緒に【FALLOUT】対応を並行するのは大変過ぎません?」
「まぁ、カナリア諸島の火山を爆破して人類史最悪の虐殺と共に対米戦勝利したり、第二次世界大戦で無責任の巣窟だった
大日本帝国で対米講和に持ち込ませるよりかは格段にマシですよ」
「いやあの、嶋田さんの前世は一体どんな事やってたんですか……?」

――――原点の夢幻会とニュービー勢の夢幻会が合流し終わった後、原点夢幻会の【流儀】に対し、
未だ死戦の影響が強く残るニュービー勢夢幻会が頭を痛めたり顔を顰めたりしながらも、容赦無く時間と難問は流れ続けた。
原点夢幻会からの【FALLOUT世界】の情報を得られつつも半信半疑だった、グールとフェラルグールが確認されるまで後一時間未満。



『 核万能論世界の神髄と残骸 ~強制着払い式の負の遺産群~ 』


 ファーストコンタクトが邪気眼派閥だったが為に初動が微妙な関係にてスタートした原点夢幻会とニュービー勢夢幻会であったが、
取り合えず原点夢幻会の【色物】は全面核戦争とそれを生き残った事による心理面でのピリ付き具合を理解してか、
過去自由にやっていた言動を有る程度封印していた。今のこの状況で、お嬢様学校の多数建設だの、
官給品である機体に女性キャラのペイントだのを好き勝手にやれる状況では無かったのだ。特に前者は、
労働力として男女問わない総力戦状態である為に、それこそ『余計な事はするな』と言う言外の釘差しすら行われた程だった。
尚こんな状況でも多少抑えつつも邪気眼派閥は邪気眼しているので早くも諦められていた。
取り合えず仕事はしっかりとしているのでそれで良し、である。


 そして原点夢幻会より齎されたこの世界の『真実』に対するニュービー勢夢幻会の反応は、当然ながら芳しくなかった。
今自分達が生きているこの世界が【FALLOUT】と言うゲーム作品と同一か或いは極めて良く似た並行世界であると言うのは、
転生と言う絵空事を実体験している以上『そう言う事』が有っても不思議ではないと言う理屈は理解出来るも、
呑み込むには少々時間が必要だった。世界最終戦争で既に相当神経が摩耗していて、新しい爆弾情報に対応出来なかったとも言えるし、
そもそも今更ネタ晴らしの如くそんな事を言われた所で、と言うのが正直な感情だろう。また、
その際に提供された【未来の歴史知識】への対応に関しても、そもそも足場である自国内や西太平洋地域が受けた最終戦争による
被害への対応や、世界規模の環境汚染を原因とした異常気象や生態系の崩壊等が無秩序に吹き出し続けて振り回されている為に、
早急な対応等は望むべくも無かった。某世界線の潤滑油にして大日本帝国最強の首相が新旧夢幻会の間を取り持つ事と、
ニュービー勢夢幻会が原点夢幻会の何とも独特な言動の人々を、半ば敬して遠ざける恰好ながら取り合えず受け入れた事、
そして【世紀末】な世界で生き残った最後の文明圏の砦と言う自覚が有った事等から、喧嘩別れや激しい派閥間対立等は
起きていないのが幸いであった。

879:陣龍:2024/05/14(火) 21:10:24 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

 夢幻会の空中分解等と言う最悪の事態は回避できた一方で、その様な『御上』の事情等関係無いとばかりに、
そして【戦後】に入ったからこそとばかりに動きを始める者も多くいた。この世界のニュービー勢夢幻会が手腕は
基本的に未来知識等を使いつつも手堅く堅実であり、また自由資本主義等を自称しつつも実質は戦時中の
ファシズム国家より尚悪い抑圧と統制が常態化しているアメリカ勢力圏への対抗政策として相応に『自由の権利』を、
マスメディアや活動家へ認めていた。無論、制御も責任も監視も無い自由等唯の暴虐特権でしか無いのは重々承知の為、
各種法制度等で野放図且つ無責任な言動を正当化不可能な様に定めていた。国民の殆どや各界企業、
政治家や官僚等もニュービー勢夢幻会が前世で見聞きした具体例を挙げて説得に当たった事や、
世界情勢がどこもかしこも緊迫し切りな状態が続いていた事も有り、総意と言って良い形で自称『第三の権力』や『市民団体』が
無造作に伸張する事を抑止していた。その『抑止』に対して【弾圧・侵害】だと叫び、無制限の自由を与えられない事に
我慢ならなかった一部がここぞとばかりに動き出したのだ。


 一応前提として、メディア業界は戦前に一度日本政府が堅持する強固な対米輸入品目への拒絶姿勢を、
目先の価格の安さ等に眼が眩んだ正しく【世界的企業感覚】な一部の企業人の屁理屈や難癖を持ち上げる形で
軽挙妄動に政府批判を展開した所、アメリカ食品等の輸入を煽った報道をしたメディア企業の責任者や報道陣、
そして社長等が二日と経たずに実質強制的に国会招致され、与野党問わずに全方位から徹底した理詰めの
吊し上げを吐こうが気絶しようが容赦無く質疑する様を全国生放送し、尚且つアメリカ産商品の危険性を唯の数値だけでは無く
モルモット実験等で公開した事で国民全体からもメディアに対して猛批判を浴びせられた挙句、
法律違反容疑として本社や関連会社の家宅捜索にて芋蔓的に事実上アメリカの【コマ】として良い様に使われ
情報収集要員となっている等の有様すら曝け出す醜態にて完全に焦土と化す惨状が引き起こされた事も有り、
一から再建されたメディアの殆どは軽々しく政府や政庁に対して無定見に喧嘩やデマを垂れ流す事は止められていた。
尚反動で露骨に媚を売る様にして政治家や政府と癒着しようとしたメディア企業はそれはそれとして法令違反となり【消し炭】にされている。


 市民団体の多くに関しても、基本的に殆どが善意で作られたボランティア活動団体であり、時折会計等の優遇措置を
利用して脱税しようとした不届き者が摘発される位の極々普通の団体であったのだが、人の世の常で政治主張や
思想を先鋭化させた様な【はみ出し者達】も又存在していた。西太平洋地域以外の世界が未だ1950年代の文化の中で停滞し、
中ソ主軸の共産陣営との和解や冷戦崩壊も起きていない為に、夢幻会が共通して認知している、
結果的に悪影響と実害ばかり撒き散らした自称フェミニズムやミサンドリー思想、また無条件軍備全廃を絶対とする
過剰な平和至上主義は伝播以前に創成もしていなかったが、皮肉にも日本が躍進を重ねて文明レベルを進化させた結果、
その足元から這いずり出て来るが如く、その偏った思想主義者が極小規模ながら誕生し、発達したSNS等で
一方的主張を各所に当たり構わず投げ込み始めて『炎上』を繰り返す事が表沙汰に成りつつ有った。
これは米中間で戦争が勃発した事から来る事実上の準戦時体制への移行や、核戦争突入による全面戦争への突入、
そして各国軍の大損害と【大戦果】、そして日本軍による戦略核攻撃による敵地攻撃が行われた事からも、
自らを無条件で一方的な『絶対的正義』と自認する実質夜郎自大の輩が正義面と共に増長する必要条件は揃っていた。
何ならば、彼ら彼女ら過激主張の市民団体は今の今まで【抑圧と弾圧】を受けていたとまで思い込んでいたのだから。

880:陣龍:2024/05/14(火) 21:13:22 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

 だが、こんな末法の世の中でもお天道様は見て居られると、とある夢幻会員に言わしめた事態が起きる。
戦争状態の停止が発表されてから数日して『戦争を止められなかった・止められるのに止めなかった政府』への批判や
『破滅的核戦争の反省の為』と称し平和のための軍備完全廃絶等を、無期限避難が命令されて
各シェルターに避難している人々の不安や不満を扇動、着火する様に『運動』と言う名の大騒ぎを始めた二日後。
地上にて偵察に向かった部隊が原因不明の巨大化や狂暴化を遂げた野生生物を発見し、
定例記者会見で映像や写真を発表した事で完全に風向きが変わる。要はこんな状況で政治思想を喚く面々は、
日本人的に『災害時に和を乱す存在』と見做されて冷ややかに見られていた所に、通常の常識では計り知れない
【化け物】の出現が核戦争後から殆ど間を置かずに確認された事で、反政府運動を煽る少数集団は完全に
【人類の敵】と見做されるようになったのだ。その後の展開は言うまでも無く、不公平や差別とのお題目で
我儘を言い立てる少数団体が次々と各所から追い出されたり、隔離される様に一角に押し込まれる様に追い立てられて行き、
その処遇に対して今まで蛇蝎の如く嫌い攻撃していた官憲へいけしゃあしゃあと権利侵害を訴えに行ったら
暴行罪容疑や公務執行妨害罪容疑などでその場で逮捕されて強制奉仕活動に放り込まれる等、
何とも日本人的風習の悪い面が出た様な末路に自業自得ながら追いやられて行った。


 そんな住民たちによる自治行為にて治安改善されている事は兎も角、損傷艦を多数出した各国海軍や空軍は
健在艦や損害軽微な艦隊、部隊を再編成し、外洋に敵艦や落伍艦等が存在しないか足早に偵察に出て居た。
衛星観測だけでは不十分な面もある為、最後に一番頼れるのは人間の目である為だ。そして偵察に出た艦艇が、
事前の衛星観測で得られた情報に加えて、各艦艇のレーダーにて各海域を捜索した所、複数隻の漂流や
転覆状態の敵艦を発見する。全世界であらゆる核兵器や通常兵器を撃ち合った関係上、
偶然にも集中砲火を受けた大型艦も多く、必然的に戦場での混乱も重なって曳航も救助も出来ず
放棄された大型空母や巡洋艦、原子力潜水艦も存在した。事実上、組織だった戦闘を最後まで維持し切った
西太平洋条約機構側は兎も角、国家機能その物が崩壊した米中ソの艦艇は、洋上に漂流し続け、
焼け焦げボロボロになった国旗をはためかせている無惨な姿を見せていた。


 憎き敵陣営の軍艦とは言え、事此処まで至ると哀れに思えて来る有様な状態を他所に、感傷にふける事も無く
西太平洋条約機構の各国海軍は情報収集の為にも乗艦し調査を開始する。基本的にデータリンクにて事実上
戦死を気にする必要が無いアンドロイド達が主体の調査だが、一部漂流状態の大型艦では責任者として人間の軍人、
それも閉所戦闘に優れた戦闘技能持ちの特殊戦部隊員も乗艦した。仮に生存者が居た場合に交渉や降伏勧告する際、
見た目が完全に美少女や美人しかいないアンドロイド達よりも、ドスの効いた声の有る特殊部隊の男性隊員の方が
威圧効果が高いと言うのが理由であるが、殆どの艦では急性放射能障害にて死亡するか、
戦闘終了後の混乱で内乱でも起きたのか乗員同士で撃ち合って全滅しているケースが殆どであった。
その点は事前想定通りであったのだが、フィリピン海軍とニュージーランド海軍合同で調査に当たった
米軍大型原子力空母のチェスター・ニミッツ、そして日本海にて転覆した中国海軍の強襲揚陸艦の天津を調査した際に、
西太平洋条約機構そしてニュービー勢夢幻会に巨大な衝撃を、原点夢幻会には既定路線の
確認事項に過ぎない情報が飛び込んでくる。端的に言えば、人間の原型を留めて居るだけの生ける屍…『フェラル・グール』との交戦。
そしてそれぞれの艦艇にて人間としての意識を留めつつも、ゾンビの様な有様はそのままの『グール』との遭遇、
そして確保成功の一報であった。

881:陣龍:2024/05/14(火) 21:14:40 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp


『……ガチなんすか、宇宙人とか、その他色々』『残念ながら……』
『……どうやって国民や友好国へ誤魔化して米本土に行けって言うんですか……しかも宇宙人と戦争の可能性とかに備えつつで……』
『……為せば成る、為さねば成らぬ、何事も。先ずは、情報収集に努めましょう』
『……そうですね。どんな政策になるにしても、正しい情報が無ければ失策しか出来ませんから』
『因みに、その宇宙人は日本の戦国時代から日本人を拉致してるそうです』
『聞きとう無かった、そんな事……』



 中国海軍強襲揚陸艦の天津でグール化しつつ生き残った艦長の趙大佐は何とか正気を保ったままで、
日本軍に捕虜と言う形式で保護されたが、フィリピンとニュージーランドが確保したアメリカ海軍空母の生きていたグールは、
初乗艦した任務で最終戦争に突入し、味方艦が次々撃沈されて乗艦している空母も核兵器を被弾した挙句、
死んだと思っていた同僚や上官が暫くして化け物化した中逃げ回り、フィリピン海軍陸戦隊の隊員に保護された時には
自身も化け物になっていた事を鏡で見て発狂寸前となっていた、米海軍の新米通信女性士官であったと言う情報を確認しつつ、
半信半疑と言いつつ本当は信じたく無かった有様の救いのない世界に、夢幻会は新旧問わずに溜息を吐いていた。

882:陣龍:2024/05/14(火) 21:16:59 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) 以上、反動()勢力の出現即オチ芸と、グール情報で原点夢幻会情報が確定した話になります

|д゚) 日本勢力圏はパッケージ化核融合炉機関になってますので不安定な核動力機関の敵対国艦艇とか、
    正直乗りたくねぇにも程が有りますな、うん
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最終更新:2024年08月16日 14:27