616 名前:奥羽人[sage] 投稿日:2024/05/26(日) 15:03:46 ID:sp49-109-148-155.tck02.spmode.ne.jp [2/9]
地球(銀河の半分)連邦世界(仮題)
【大小マゼラン侵攻】
2199年、大マゼラン銀河外縁部
タランチュラ星雲内部、7つの縮退星が集中する宙域。
宇宙ジェットが噴出しイオン乱流が吹き荒れる危険な場所であり、生粋の宇宙艦隊士官をして航行するのを自殺行為と言わしめる、通称「七色星団」
その危険性は航路としては随一であり、空間を跳躍するFTL(超光速)航行技術を用いたとしても重力勾配等の影響によって通行可能なルートが拘束されてしまう。
そのため、七色星団を経由する場合は安全に利用可能な、いくつかの限定的な跳躍ポイントからなる“経路”というのが出てくる。
その危険な経路の“出口”にあたるポイントには、大小マゼラン銀河で覇権国家の名をほしいままにしている星間帝国ガミラスの宇宙艦隊が待機していた。
甲虫の如き趣の深緑一色の艦隊が睨むのは、銀河の大国「地球連邦」統合軍が有する大艦隊。
地球連邦とガミラスの接触の後、少しばかりの奇妙な膠着の後に幾らかの政治的混乱を経て、最終的な帰結として両国の間に戦端が開かれて以降…………ガミラスはその帝国成立以降で初めて、壊滅的な敗北を喫した。
ガミラス艦隊の放つ陽電子ビームは、時空間の歪曲を利用していると推測される防御フィールドによって防がれ、有効打にはなり得ず。
空間魚雷を用いた機動雷撃戦も、地球艦隊の異様なまでに高い対空間迎撃能力の前に破れ去った。
逆に、統合軍が装備する未知の高次元由来重質量粒子を用いていると思われるビーム兵器は、ガミラス艦の帯磁性特殊加工(ミゴウェザー・コーティング)を容易く貫き、撃沈させてしまう。
艦載機を用いた航空戦においてもガミラスの空間戦闘機は、統合軍艦隊から発進した奇っ怪な機動兵器の前に歯が立たず、一方的に蹴散らされてしまった。
そうして銀河系から瞬く間に帝国軍を駆逐した地球連邦は、大小マゼラン銀河に逆侵攻を開始。
約3000隻からなる艦隊が3つ、計9000隻の地球連邦統合軍「マゼラン軍団」が、大小マゼラン銀河を半包囲するように攻め寄せて来たのだ。
結果として、大マゼラン銀河外縁部に位置するこの七色星団も最前線となり、迂回して突破を狙うかもしれない統合軍艦隊に備えてそれなりの規模の艦隊が配置されている。
そして、その予想は的中した。
「前方に重力震多数!」
「何らかの大群がゲシュ=タムアウトしてきます!」
地球文明に特徴的な白い円形の、波紋を打つような超空間ゲートが“出口”付近に複数出現。
その中より、秩序だった編隊を組む数十機単位の小型機が飛び出して来た。
「テロン機多数!接近してきます!」
「迎撃しろ!」
ガミラス艦隊の前衛を担う分艦隊の中央に位置しているガイペロン級空母から、艦載機であるDWG262ツヴァルケが次々と発艦していく。
617 名前:奥羽人[sage] 投稿日:2024/05/26(日) 15:04:49 ID:sp49-109-148-155.tck02.spmode.ne.jp [3/9]
4隻の空母から120機近いツヴァルケが戦闘宙域に躍り出ると、編隊を組んで速力を上げる。
ガミラス分艦隊の航空隊は、40機づつに分かれて統合軍機を正面と側面の三方向から攻撃するつもりだった。
そして、両者が敵機を射程に収める。
「……撃てっ!」
隊長機の指示が出ると同時に、ツヴァルケの兵装ポッドからミサイルが放たれる。
白い尾を曳いて統合軍機に向かっていく百以上のミサイルは、それぞれの捕捉した敵機に向かって炸裂、暗い宇宙に爆発の閃光を生じさせる。
しかし、撃墜できた数はそう多くなかった。
「殆ど避けられたか……格闘戦に入るぞ!油断するな!」
地球側の小型機…ゴーストAIF-7Sは無人戦闘機であり、それ故に運動能力も高かった。
ゴーストは向かってくるミサイルを捕捉すると、搭載AIが自律飛行による回避運動を選択。
小型故の俊敏さも合わさり、機動のみでガミラス側のミサイルの誘導を振り切ってしまうことも十分可能だったのだ。
ミサイルの雨をすり抜けたゴーストが、向かってくるガミラス機を捉える。
次の瞬間、ゴーストの“腹部”が白煙に包まれ、そこから一機につき数発~十数発という多量の小型ミサイルが飛び出した。
「避けろーーー!!!」
ツヴァルケが編隊を解き、迫り来る小型ミサイルを避けようと各々の方向へと加速する。
しかし……
「駄目だ、避けきれない!」
「食い付かれる──!」
統合軍機のミサイルは数が多いだけではなく、賢く、そして厄介だった。
飛来する小型ミサイルは、その全てが迎撃回避の為にランダムな回避機動を行い、尚且つミサイルの“誘導パターン”を個別で変更することによって、逃げる機動兵器を多角的に追跡する事に長けていた。
真後ろから追ってくるミサイルに気を取られた隙に、回避先を予測して先回りするような飛翔機動を描くミサイルに直撃される事は、珍しいことではなかった。
自身を追跡してくるミサイルだけではなく、“今は”追跡してこないミサイルにも気を配らないといけないのはガミラスにとり想定外であり、これは地球・ガミラス間に横たわる戦術環境のギャップと言えた。
そうして崩れた戦線に、有人型の重戦闘機が突入してくる。
レイアウトとしてはツヴァルケやゼードラーⅡにも似ている三胴のそれは、後方に大量の大型ブースターが埋設されており、強烈な推進炎を吹き出していた。
「テロンの増援だ!」
「クソッ、やってやる!!」
「待て少尉!深追いするな!」
一機のツヴァルケが交差して後方に飛び去った統合軍重戦闘機を追いかけて加速する。
制止する上官の声も届かない程度に頭に血が昇っていた彼は、しかして軍事国家ガミラスらしく訓練の成果を存分に発揮して重戦闘機を照準に捉える。
618 名前:奥羽人[sage] 投稿日:2024/05/26(日) 15:05:48 ID:sp49-109-148-155.tck02.spmode.ne.jp [4/9]
「もらった!!」
ツヴァルケの機首と兵装ポッドが閃光を放ち、30mm機関砲の火線が真っ直ぐに統合軍機へ向かっていく。
直後、狙っていたその機が“変形”した。
両エンジンブロックが脱落し、メインブースター噴射口が下方を向く。
推力方向が大幅に変化し、下方向から突き上げるような力を加えられた機体は、当然の如く急上昇し、ツヴァルケの機関砲弾の射線から瞬時に逃れることとなった。
「なっ…!?」
外れた機関砲弾が虚しく彼方に飛び去っていく。
攻撃を回避した“それ”は、急減速によって追っていたツヴァルケの後方に回ると同時に、瞬時に機体各部が組み替えられて人型へと変形した。
「避けろ少尉ーー!!」
統合軍の重戦闘機……スーパーパック装備のVF-25メサイアは、腕部に保持した58mmガンポッドを短連射。
追っていた筈が、一瞬にして追われる立場となったツヴァルケは、58mmという航空兵装としては法外の大口径弾を浴びて瞬時に粉砕された。
ガミラス航空隊が蹴散らされ、前線の制空権が地球側に傾くと、統合軍機の攻撃は前衛艦隊にも及ぶようになる。
「対空戦闘!テロン機を近づけるな!!」
外縁部に配置されたクリピテラ級駆逐艦やケルカピア級巡洋艦の編隊が統合軍機の進路を塞ぐべく運動しながら、陽電子ビームとミサイルを全力で打ち上げる。
しかし、ガミラスの得意な戦術というのは高い運動能力を持つ艦艇を用いた機動戦による艦対艦戦闘であり、大規模な小型機動兵器からの攻撃に対処する経験が余りにも不足していた。
そのガミラス艦隊による対空射撃は、不規則な高速回避を繰り返すVF-25に命中させるには余りにも頼りない。
統合軍機対策の為に増設された33mm四連装速射砲による弾幕も、敵機接近を阻止するには至らなかった。
そして、艦隊を射程に入れたVF-25から大量のマイクロミサイルが発射される。
小型故に艦艇を撃沈するまでは至らないものの、兵装や推進機関、艦橋を集中的に狙われる事で大破無力化される艦が相次いで発生する。
比較的軽装甲のクリピテラ級では、集中砲火を受けて搭載している空間魚雷やミサイルに誘爆し、そのまま爆散するものも居た。
アーマードパック装備の機から放たれる高初速の対装甲誘導ロケット弾は装甲艦艇相手でも十分に有効で、合計30発のロケット弾は戦隊旗艦のデストリア級重巡の装甲を突き破り内部で炸裂し船体をバラバラに吹き飛ばした。
ゴーストとVF-25の攻撃によって、ガミラス前衛艦隊の防衛網に一部の隙が生じる。
護衛艦艇の破壊によって出来た対空砲火の隙間を縫い十数機の鏃型をした航空機、VF-171EXがガミラス前衛艦隊中心部に向かい突入。
各々が翼に2発懸架した大型ミサイル……対艦反応弾を発射した。
619 名前:奥羽人[sage] 投稿日:2024/05/26(日) 15:06:40 ID:sp49-109-148-155.tck02.spmode.ne.jp [5/9]
「ミサイル多数接近!」
「回避ーー!!」
一際太い噴射煙を残しながら艦隊中心部へ突き進む多量の反応弾は、前衛艦隊の間をすり抜けながら所定のポイントに到達し、炸裂。
巨大な火球が生まれると同時に周囲の主力艦であるガイペロン級空母やメルトリア級巡洋戦艦を巻き込み、破砕・蒸発させていく。
時は少し遡り、本艦隊の中央。
旗艦であるガイデロール級戦艦には、統合軍侵入の知らせが届いていた。
「前衛艦隊がテロンの航空部隊と接触!増援を求めています!」
「遂に来たか……全艦前進、無礼な侵入者を蹴散らすのだ!」
従卒の報告を受けて豪華な指揮官席から立ち上がり、指揮棒で前方を指すこの艦隊司令官はゼーリック派……所謂旧貴族派であり、この男も貴族出身である。
それ故に、よく言えば恐れ知らずであり、しかし決して無能ではないものの、取り分けて有能とも言えなかった。
それはともかくとして、ガミラス艦隊主力が一斉に前進を開始する。
戦線としては辺境だが、空母8、戦艦8、重巡24、軽巡・駆逐多数で構成される艦隊は、一般的な星間国家からすれば十分な脅威となりえるものだった。
それらはガミラスらしく高い機動力を以て戦闘宙域へと進出してきた主力艦隊が見たものは……
「なんだあの艦(フネ)は……」
「デカイ…!!」
前衛艦隊の残骸を前にして、今しがたワープアウトしてくる全長800m超の大戦艦の姿だった。
その大戦艦……銀河間強襲戦闘艦「ICBY-001“ヤマト”」は、見た目こそ古きよき水上艦に近しい形をしているが、とにかく巨大だった。
ガミラス艦隊の中でも最大級のゼルグート級と比べてもまだ大きく、巨艦だらけと言われる統合軍艦艇の中でも大型の部類に入る。
「や、ヤツに火力を集中しろ!!」
その大きさや容姿から統合軍でも重要な艦だと認識したガミラス艦隊は、すべての攻撃をヤマトへ指向しようと試みる。
が、ヤマトの方が一足早かった。
ガミラス艦隊に艦首を向けたヤマトが、先頭の主砲を発射。
三本の砲身から同時に放たれた火線は、縒り合って螺旋を描き、一本の膨大なエネルギーの奔流へと変化する。
その圧倒的な破壊力は、真っ直ぐに向かってくるガミラス本隊の中心部、旗艦であるガイデロール級を真正面から飲み込み、消滅させる。
影響は射線上だけに留まらず、その周囲に対しても異常な余波を波及させ、重装甲の戦艦ですら空間圧壊に巻き込み、押し潰してしまった。
620 名前:奥羽人[sage] 投稿日:2024/05/26(日) 15:07:56 ID:sp49-109-148-155.tck02.spmode.ne.jp [6/9]
「旗艦が……」
「まずいぞ、次席指揮官は!?」
旗艦を轟沈させられ恐慌状態に陥るガミラス艦隊の様子など露知らず、ヤマトは最大出力を以て突撃を敢行する。
前衛艦の放つ赤い陽電子ビームがヤマトに殺到するものの、PPB(ピンポイントバリア)と波動防壁の二重構造を貫くには余りにも力不足であり、まるで小雨でも受けているかのようにそのまま直進を続けた。
その間にもヤマトからの反撃は続けられ、発射されたビームの射線上に爆炎の花道を作り出す。
駆逐艦数隻が機動力を生かしてヤマトの側面から雷撃戦を挑むが、彼らは魚雷を発射する前にヤマトの副砲から照射される青いビームに薙ぎ払われ、まとめて残骸と化す。
すれ違い様に掃射された大口径の対空砲で、哀れにも近くに居た艦艇が瞬く間に蜂の巣のボロ雑巾と化し、やがて爆発四散した。
艦首側面から発射された大型反応弾はヤマトの進路上へと広がると、一斉に爆発。
一際大きな火球が発生し、艦隊後方で守られていた筈の空母と戦艦が一撃で全滅させられた。
ヤマトの中央突破を許した上に、大損害を被って混乱に陥るガミラス艦隊。
しかし、そこへ更に被害を拡大させようと新たな統合軍艦隊がワープアウトしてくる。
250mの大きさを持つ巡洋艦……統合軍の吹雪型/ドレッドノート級護衛艦が多数が、4隻の400m超の戦闘艦……高雄型/アンドロメダ級重巡洋艦に伴って突入してくる。
只でさえヤマト一隻に壊滅状態へと追いやられたガミラス艦隊にとって、この増援は死刑宣告にも等しかった。
この増援艦隊は、装備している30.5cm砲や40.6cm砲によって壊乱したガミラス艦隊を各個撃破していく。
少しばかり時間が経つ頃には、動いているガミラス艦艇は一つも存在しなくなっていた。
全滅し、残骸となったガミラス艦隊の跡が漂う空間を、後からワープアウトしてきたウラガ級護衛空母と、その護衛の小型艦群であるノーザンプトン級フリゲート多数が通過していく。
七色星団の防衛線を突破したヤマトを中核とする機動打撃艦隊は、ガミラス軍戦線後方へと浸透し、縦横無尽な運動を行い重要地点への強襲を繰り返した。
そうして崩れた戦線を統合艦隊本隊が蹂躙しつつ突破。
戦場は大マゼラン銀河内部、ガミラス帝国本国地域へと雪崩込んでいく。
621 名前:奥羽人[sage] 投稿日:2024/05/26(日) 15:10:19 ID:sp49-109-148-155.tck02.spmode.ne.jp [7/9]
【銀河間強襲戦闘艦ICBY-001「ヤマト」】
全長:832.5m
船体幅:109m
主機関:重力子専焼式次元波動エンジン
副機関:重力/重量子混焼式次元波動エンジン
熱核バーストタービンエンジン
兵装:
- 次元波動爆縮放射器 1基
- 120cm三連装重量子反応砲 3基
- 48cm三連装重量子砲 2基
- 大型発射管 12門(全方、後方)
- 魚雷発射管 32門(側面)
- 垂直発射システム 64セル(煙突、艦低部)
- 30.5cm連装重量子ビーム砲 4基
- 12.7cm四連装重量子速射砲 16基
- 12.7cm連装重量子速射砲 16基
- 7.5cm連装ビーム機関砲 20基
- 12.7mm四連装レーザーCIWS 4基
- (デストロイド シャイアンⅡ 12機)
艦載機:
可変戦闘機 36機
可変爆撃機 2機
概要:
地球連邦統合軍が開発した大型強襲戦闘艦。
銀河間強襲戦闘艦の名の通り、本艦は本星宙域から隣接銀河の入植地まで作戦圏内に収め、高い機動力で戦闘宙域に直接突入する事を前提として、個艦能力や継戦能力を極限まで高めた設計となっている。
技術的特徴として、ようやく完全なリバースエンジニアリングに成功した重力子専焼波動機関(俗に言うイスカンダル式)を主機関として採用したことが挙げられる。
これは、従来用いられてきた重量子混焼機関(フォールド併用式)と比較してより効率的であり、長期間/長距離作戦の適正が上がっている。
戦闘能力としては「マクロス級から空母機能を抜き、その分、戦艦としての戦闘能力を凝縮したもの」という評価が妥当だろう。
“分かっている人”からすれば、今の地球の戦略環境だと態々300m級戦艦を新造する理由に乏しく、仕方なく形をそのままに寸法を2.5倍にした超戦艦として完成させたのだった。
【吹雪型/ドレッドノート級護衛艦】
全長:250m
全幅:62.3m
主機関:重力/重量子混焼式次元波動エンジン
副機関:熱核バーストタービンエンジン
兵装:
- 重量子反応型次元波動爆縮放射器
- 30.5cm三連装重量子砲 3基
他多数
【高雄型/アンドロメダ級重巡洋艦】
全長:444m
全幅:114m
主機関:重力/重量子混焼式次元波動エンジン
副機関:熱核バーストタービンエンジン
兵装:
- 連装重量子反応型次元波動爆縮放射器
- 40.6cm三連装重量子砲 3基
他多数
吹雪型、高雄型は日本によける採用名であり、ドレッドノートやアンドロメダは諸外国における採用名。
両者共に原作では主力戦闘艦だが、この世界では500m級護衛空母や、800m級に1km超の戦闘空母が広く配備されてるなど地球艦艇の全体的な底上げが成された結果として、護衛戦闘艦としての地位に納まっている。
622 名前:奥羽人[sage] 投稿日:2024/05/26(日) 15:12:49 ID:sp49-109-148-155.tck02.spmode.ne.jp [8/9]
以上となります。転載大丈夫です。
3199の新情報が来た記念に、以前書いたものを一部見直して続きを書いてみました。
ここのヤマトは主砲塔から原作クォーターマクロスキャノン、もしくはリメイク火炎直撃砲を連射しながら突っ込んでくる処刑人です。
最終更新:2024年08月23日 22:28