261:陣龍:2024/05/31(金) 15:56:03 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
【FALLOUT ×
日本大陸 ~或いは人類文明圏最後の守護者~】
「最短10年の見積もりでしたが、アンドロイド達の昼夜を問わない奮闘で多くの地域が5年近く短縮……飛んでも無い事ですな」
「その分、彼女らの指揮官らがバーベキュー大会開かされて財布に痛撃されたようですが、まぁ大した事でも無いですね」
「個人的には、例の邪気眼派閥の言動に一部が影響されて出し物にそれっぽい事やってるのが少しばかり恐怖なんですけど」
「酒の入った宴席ではウケてるんですし構わないでしょ、その後恥ずかしさでのたうち回ってたそうですし」
「……それで、相応に国内復旧が各国で完了やその目途が目前まで達成した、と言う事は」
「えぇ……第一次対外調査隊の編成と派遣になります」
――――昼夜を問わない復旧作業、大地の保全し続けた回復力、そして定期的に訪れる台風やスコール等の【恵みの雨】。
幾つかの要因が重なった結果、オーストラリア等一部地域を除いて予定より5年前後進捗の短縮に成功。この事は、
必然的に西太平洋外の地域の調査する予定も早まる事となった。
『 【終末】が終わった日 ~外地調査団、出撃準備~ 』
最終戦争後に放棄された多数の米軍艦艇から上陸して各国陸軍や海軍の艦砲射撃で粉砕された、
FEV研究にて未だ未成熟なのを構わず送り込まれて来たスーパーミュータントとベヒモスの出現、
その一年後に核兵器搭載衛星が自動稼働して流星群の如く日本大陸に襲い掛かった無人核攻撃が行われている最中も、
まるでそんな事は知らないとばかりにアンドロイド達は復旧作業と各地の国土調査に邁進していた。
人の感情に溢れたアンドロイド達なので、中には少しばかり連日連夜、交代制でも24時間作業に不平不満を呟く者も居たが、
それでも作業は一切手を抜かずに従事し、加えてどんな状況でも元気で熱狂的な【太陽】のアンドロイドが各所で持ち上げて居たりするので、
結局の所可愛らしい個性の差異程度でしかない。指揮官をしている軍人らも、既にこんな状況が常識であるので、
時折釘差しや激励する事以外で殆ど意に介す事も無かった。
262:陣龍:2024/05/31(金) 15:58:11 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
例えメルトダウンを引き起こして爆発中の原子炉内部でも作業可能なアンドロイド達だが、
そんな彼女達にとって今回の任務は、従事時間を除けば大した難易度では無かった。
地表爆発した核爆弾も少なく、多数炸裂した空中爆発の核爆弾の影響等から来た【黒い雨】こと
高濃度な放射能汚染の拡散も、東南アジアや日本で多く発生する台風や多量の降雨によって
【洗い流された】ケースも多数見られ、そして事前準備で核戦争の被害を軽減する為に行われていた
各種対策と相まって予想以上に放射能汚染が軽減されていた。その分、汚染が海に流出していたモノの、
過去フィリピン人科学者が開発した抽出技術を拡大発展させた大規模濾過装置を多数設置していた事で
相当汚染の拡大を軽減していた。お陰で本来の生息域が大規模汚染の為に逃げて来たイルカやシャチ、
サメにアザラシ等と言った海洋の有名人たちが多数西太平洋の沿岸地域に新しく共存状態で
生息し始めると言う想定外の事態が起きたが、海洋資源保護の為の緊急事態として工場産の人口肉を
餌付けする様に散布すると言う新規任務を政治案件で追加された某元海保出身転生者の悲鳴は割愛する。
現場に出る事も多かった為にイルカやシャチに顔を覚えられて可愛い挨拶をされている分、役得なのだろう、
多分。
世界最小とは言え大陸一つ分、それもよりにもよって開拓や灌漑を重ねたと言え降雨が余り望めない
中央部に核爆弾を被弾したオーストラリアと、地続きで常に旧中国軍の装備を発掘したり新規に自作した
手製兵器を手に持った中華難民や旧中国軍の残党が軍閥化した勢力を常に警戒して、
また大陸から流れ込む汚染が殆ど止まらないインドシナ半島国境地帯は未だ完全には収拾していないものの、
その他の地域の多くは自然の助けも有って早い復旧作業が終えられ始めていた。
安全の為にも海水浴や登山等のアウトドア系レジャーは未だ禁止令が下っているものの、
それも時間の問題であると人々の間では囁かれ、そしてそれは実際に嘘では無かった。
さて、此処まで来ると
夢幻会の面々のみならず、各国の政府や官僚、軍部、そして民衆の中からも一つの疑問が出て来る。
それは一時巨大な衝撃を齎した『FEV研究』によって生産されたとされるスーパーミュータントとベヒモス、
更にそのFEVが大気中を経由して世界に拡散された事で出現した異様な巨大化、狂暴化した野生生物が、
5年程経過しても殆ど新規に確認されていない事だった。因みに例のタイ王国で確保された巨大化だけした犬猫は、
この頃には各国に譲渡されてアニマルセラピーの一角として各地を訪問したり特殊な警察犬等の仕事が
出来ないか考えられたり、所によっては一般人家庭がペットとして平和に過ごしているのがニュースになる位に
何時の間にか西太平洋世界に溶け込んでいた。地味に剣虎のアイドル的立ち位置を脅かす存在である。
原作知識を持つ原点夢幻会や研究者を中心にこの【謎】の解明は、FEVが齎す影響を研究する
国際プロジェクトの一環として行われたが、最終的に出された研究結果は原作知識にある種縛られた思考をしていた
転生者の目から鱗を落とすモノであった。端的に言えば、【FEVは重篤な放射能汚染が存在しなければ活動停止し死亡する】と言う事であった。
言われて見ればそうなのだが、FEV研究がされていた
アメリカでは誰しもが当然に放射能汚染を何らかの形で得ていた。
西太平洋では悪名高い殺人飲料とされるヌカコーラを筆頭に食品類には放射能が多数【食品添加物】として
当たり前に付与されており、また原子力エンジン駆動の自動車も一般常識では到底有り得ない核爆発を引き起こせる
杜撰な設計で有り、当然放射能の詰まった廃液等は規制など全く無いのでそのまま垂れ流しである。
他にも異常なまでの環境破壊や余りにも無関心な変異生物等の異常とも併せて考えれば、
FEV研究は当たり前に放射能汚染が溢れた地域で行われていた。そうであるなら、
FEV研究は放射能汚染が当たり前に存在している世界が全ての前提にして根幹となるのが当然だった。
263:陣龍:2024/05/31(金) 16:00:36 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
だが、この【本来の歴史】から完全に逸脱し反旗を翻し続けた西太平洋条約機構では、
放射能汚染と言う物はそもそも原子力発電所や核兵器位にしか存在しない物なのが常識であった。
しかも旧式の原発等は新技術で開発された核融合関連の新時代のステージに移行もされているので、
大気や海洋を通じて流れて来る汚染以外では放射能汚染が無い。つまりFEVに取って、
この放射能汚染が存在していない西太平洋地域は生存する為の酸素や食糧が全く存在しない
地獄の領域と同義であると言う事であった。だからこそ、最終戦争直後に降り注いだ【黒い雨】によって
一時的に放射能汚染が高まった事で大気を通じて流れ込んだFEVと反応し、
タイや日本等で確認された変異生物が出現する事が出来た。
だがFEV研究を行っていた当事者たちでは到底想定していなかったであろう現実として、
西太平洋条約機構では徹底した環境対策を行っていた為にアメリカの如く大地に放射能汚染が
染み込んでいる筈が無く、【黒い雨】による放射能汚染も直ぐに台風や降雨等によって洗い流された事により
一過性の放射能汚染に留まった事からFEVによる変異も軒並み停滞からFEVの死滅へと移り、
原作知識で原点夢幻会が知っている程に異常化、狂暴化した変異生物が西太平洋地域に出ては来なかった。
出て来たのも中途半端に変異した程度に留まり、それこそFALLOUT世界で狂暴な野生生物の代名詞ともされる
ヤオグアイや巨大化した蚊等欠片も出て来なかった。北海道の熊も、
狂暴性は兎も角変異程度は穴持たずの延長線上でしか無く、パワードスーツ装備の某杉元氏がステゴロで
殴り倒して討伐出来た程度の戦闘力でしか無かった。その後もアンドロイド達や一部軍人等が
復旧作業等と並行して対放射能汚染完全装備の剣虎兵が変異や狂暴化した野生生物を
手当たり次第に討伐した事からも、気付けば四六時中山野に踏み入り分け入り、
時には自然に紛れて一体化し待ち受ける調査を行ってすら、FEV汚染によるものとされる変異生物は確認されなくなった。
『何度慰めたり窘めても【俺の原作知識とは一体…】と蹲る転生者が多数出て来てます…』
『放って置けば二日も経たずに何時も通りになりますから。彼らの奇行はそう言う生態なのだと見做した方が精神衛生上良いですよ』
『そういうものですか……』
『そういうものです』
ドーム等の施設内限定とは言え、野球やサッカー、競馬等の大規模興行系スポーツが再開される様になって
続々と平時に向かっている事を示す明るい話題が増えつつある中、新旧夢幻会は一部の奇行を呆れたり
振り回されたりしながらも、現状の明るい方向へ向かう状況を更に確固たる物にするべく活動を加速させていた。
『……(【最終案 ジョヨボヨ王プラン】が水子となって良かった)』
『……?何か言いましたか?』
『あぁ、いえ。以前の趙大佐に調査プランの検討等を要請して置かなければな、と』
『確かにそうですね。彼の故郷ですから、かの地での立ち回り等を習いたいモノです』
『(……流石に、言えませんよ。この事は)』
最悪の場合を想定した一部のニュービー勢夢幻会と極一部の限られた各国首脳によって策定され、
最終戦争に敗北して西太平洋条約機構の人間が全滅し、文明が崩壊したとしても、
必ず生存するであろうアンドロイド達に西太平洋各国を再建させ、それが不可能であるならばアンドロイド全員の存在が朽ち果てるまで、
我々が生きた証と存在の守護命令を発動させる【最終案 ジョヨボヨ王プラン】。その存在は一切この世に出て来る事無く、静かに闇に葬り去られた。
264:陣龍:2024/05/31(金) 16:03:30 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) 以上、驚きの短期間復旧作業完了の顛末でした。最後のプラン名だけもっと別のが良かったと思いますが出なかった模様
(プラン名募集)
|д゚) 実際、放射能汚染が当然の環境から全く放射能汚染が無い環境に押し込まれて簡単に死滅するのかとなると怪しいと言われたら
欠片も何も言えませんが、取り合えず此処の場合ではこうなったと言う事で()
最終更新:2024年09月08日 13:19