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憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「無情な決算」3
- C.E.世界 融合惑星 β世界 β世界主観1999年9月22日 14時44分 アメリカ合衆国 ニューヨーク 国連本部 議事堂
国連の緊急会合は未だに荒れていた。
それもそのはず、議題が大規模侵攻に対する総括に入ったからだ。
具体的なことを言えば、国連軍やアメリカ軍が撤収したことが問題視され、あるいは彩峰中将事件同様行動がやり玉に挙がったのだ。
過去に国連で下された判断の先例に倣うならば、今回の件で行動を決定した人物はどういう理由があれ追求が行われ、罰が下される。
結果的に---地球連合による救援が行われたことによって失地奪還などを成し遂げたとはいえ、見捨てられた国の感情はそれで収拾するわけがない。
米国と国連軍により何とか防衛された北アフリカ諸国にしたって、防衛成功と引き換えに甚大な被害を被ったのだ。
これらの訴えを、国連は持て余した。
繰り返しになるが、前例に則ればその決定を下した責任者に対して追及を行うことになる。
仕方がなかったという言い訳など、彩峰中将事件の時のようにされてはいるが、それで追及が止まるはずもなし。
国連のとれる選択肢は二つ。
一つは彩峰中将事件の先例に倣い、責任者となる国連軍および米軍の責任者を処断する。
二つ目は先例に従うことなく、今回のことはしょうがないと放免もしくは減刑する。
どちらをとっても地獄である。
これまでならば二つ目をとって
アメリカに責任を押し付けるところである。
国連への発言権の大きいアメリカが言うならばしょうがないと言い訳することができた。
だが、今は違う。地球連合という、アメリカを赤ん坊のように扱える超大国が参画している。
彼らの抱える「力」は端的に言ってこの世界でも天上の星々の如く上にある。
その気になれば各国は国連もアメリカも切り捨て、地球連合に身を寄せて戦うことになる。
事実としてその傾向は既にあるし、国連からの離脱や国連解体論とて盛り上がっているほどなのは知っていた。
ここで地球連合の意を酌まない判断を下せば、国連は存在意義も機能も失うことになる。
そして、大本の元凶と言えるアメリカも判断に迷っていた。
どちらかと言えば自分達を非を認める方に傾いているのだが、プライドが邪魔をしているという状態だったのだ。
ここで国連が倒れるあるいは機能停止するというのはアメリカにとっては許容しかねる事態であった。
何しろ、米国の国家戦略の支えには国連と国連の元で結ばれたバンクーバー協定が存在していたためだ。
要するにこの協定により、アメリカはBETAおよびハイヴのデータ、そしてG元素を手に入れることができる。
それを担保しているのは国連であって、これが消滅あるいは各国が批准しなくなれば、ハイヴのないアメリカはG元素確保ができなくなる。
それどころか、地球連合の助力を得た各国が自国にあるハイヴを攻略し、G元素を独占すると懸念していたのだ。
実際のところは地球連合としてはG元素を危険物質と見定めているので半ば杞憂なのだが、それはそれ、である。
そういうこともあって、アメリカとしてはしょうがなく受け入れざるを得なかったのであった。
しかし、アメリカは知らない。かつて彩峰中将が引責で処刑された遺恨がどれほど日本に残ったのかを。
同じようなことをやり返された形となったことでアメリカ世論がどれほど沸騰するのかを。
そして、その感情から始まった行動が最悪のタイミングで噴出することになる未来を。
決算はなされた。
だが、その次は非情なまでにすぐそこまで迫っているのであった。
574:弥次郎:2024/06/15(土) 23:09:52 HOST:softbank126036058190.bbtec.net
以上、wiki転載はご自由に。
ちょっと憂鬱SRWネタを。
次は星暦恒星戦役ネタの予定です。
前々からやりたかったネタがあるので、それをそろそろ形にしたいですね。
最終更新:2024年09月08日 14:01