670 :YVH:2012/03/18(日) 19:00:20
新帝即位後の銀河帝国において、最も忙しい場所はと聞かれたら、
大抵の者は国務省か軍務省、少しは事情を理解している者はそれに加えて
外務省と財務省と答える者が大半だが、真に忙しいのは実は内務省であった。
組織改変で教育部門が文部省に切り離されて、一見仕事が減ったように見えたが、
その後の政府による財政的に困窮した貴族領の買収に伴い、その地の統治・治安維持の為の計画策定に、
省の地方行政部門は連日徹夜となり、過労で倒れる者が貴族・平民の別なく続出した。
また、当然ながら尚書であるフレーゲル伯爵の決済する案件も、加速度的に増大しており
新体制スタートから一週間で三人もの秘書官が過労が原因で病院に送られた。
「尚書閣下、旧ボーデン伯爵領の統治・治安計画に関する書類をお持ちしました」
四人目の新しい秘書官が書類を提出しようとするのを見ながら、内務尚書を務める伯爵は
視線で机へ置くよう促し、日本から入って来る様になった栄養ドリンクをあおった。
書類を提出した秘書官が退出したのを見て、彼は自分をこんな状況に追いやった者たちの
顔を思い浮かべ、内心で憤懣を爆発させていた。
「(あの爺ども・・・こうなるのが分かっていて、あの時
無理に内務省の組織縮小を進めなかったな!)」
フレーゲル伯爵が内心で憤懣を爆発させていた頃、国務省では・・・
-尚書執務室-
老人二人が、日本から取り寄せた玉露と十○文た○とを前に談笑していた。
「あの小僧、今頃はヒイヒイであろうな・・・
この菓子は絶品じゃな、クラウスよ」
内務尚書の事を考えたのかルドルフィン公はそんな事を言いながら
たる○に舌鼓を打った。
「そうですな・・・うん、美味い。この茶にもよく合う・・・
言っても分からぬ輩には、体験してもらった方が効果的ですからな、公」
ルドルフィン公の問い掛けに、リヒテンラーデ侯は○るとを食した後、玉露をすすりながら
答えた。
組織改変会議において、侯は内務省の組織分割を主張していたのだが、自身の省への干渉に
フレーゲル伯爵が反発し、それならばと侯は意見を取り下げていたのである。
その時は勝ったと思ったのか、伯は妙に得意顔であった。後で地獄が待っているとも知らず・・・
因みに老人二人は妙にニヤニヤしていた事を付け加えておく。
【あとがき】
思いついたので書いてみました。
タイトルをつけるとすれば
フレーゲル伯爵の憂鬱
でしょうか(笑)
671 :YVH:2012/03/18(日) 19:02:06
以上です。
もう一つのタイトル候補は
自業自得の生きた見本
です(笑)
最終更新:2012年03月19日 19:49