銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその一一五



『御所市蛇穴の渡辺和夫さんいらっしゃいますか!今回の転送でお孫さんの伊藤大翔さんを見つけました!!』

『葛城市笛吹の上田佳子を探しています!80歳くらの女性です!』

『いたいよぉ。いたいよぉ…。』『ママぁ、どこぉ…?』


土蜘蛛が出現して以降、衛星軌道上のゲートイゼイラの機動人工亜惑星要塞内の転送施設は大混乱に見舞われている。
次から次へと矢継ぎ早に片っ端から奈良県民が転送されてきており中には重症を負った者や親と逸れた小さな子供までいる。
そしてその転送されてくる者らの中に家族や知人の姿を探す日本人の姿もあった。
安全だった為に初期に強制転送されて来た者達だ。

最初に無理やり転送されてきた彼らはどういうことかと転送されてくる日本人を待ち構え待機していた人工亜惑星要塞の職員らに詰め寄る。
しかし後から続々と転送されてくる重軽傷者や服が破れたり汚れたり着の身着のままな日本人、
そして職員から見せられた奈良南部の現状を知らせる広域情報バンクからの情報を見て言葉を失う。
怪獣にしか見えない巨大なクモの化け物が人を襲う、出来の悪いパニックホラー映画としか思えない状況。

そうして事態を漸く把握した彼らは日本の携帯電話回線を使用出来る亜惑星要塞内で家族や友人にスマホなどでSNSを通し連絡を取るが現地の電話回線の混雑や断絶で殆ど繋がらず。
災害掲示板を利用しなんとか行方不明の家族や知人の置かれている状況が書き込まれるのを確認出来ればまだいい方…確認出来ない人も少なくない。


【テレビでやっていたヤルバーンの人らの居る方向へ向かいます】

【ラジオで自衛隊が大勢いるって言ってたからそっちに向かうね】


そして、書き込まれたものにはそういったものも多数ありそれを見た親類縁者は身内が自衛隊が投入されている方向に向かうということに安堵する。


『〇〇市にはクモに対し自衛隊の戦車やイゼイラのロボットが投入され野党は抗議活動を…。』

『××町では激しい戦闘により自衛隊の攻撃で行政センターが破壊され…』


だがそのテレビやラジオが流すのは避難場所や安全地帯、受け入れ拠点の情報ではなく自衛隊がどこでどれだけ周囲に被害を与え戦闘行っているかという訴え。
流されるのは自衛隊が多く投入される激戦区の情報のみ…つまりはその先は戦場だ。
この直ぐ後、ヂラール遭遇事件時に事象情報バンクの情報を生でゲート日本に齎した有志らが再び立ち上がるのだがこの時はまだ奈良の情報を知るにはテレビかネットに投稿、配信している人物等の情報しかなかった。




「一向に減らんぞッ…!?」


そんな戦場の上空でゲート日本の藤堂は護衛艦グレイファントムの中で声を漏らす。
グレイファントムが僚艦のクォーターなメガロードと共に奈良県上空に到達、機動兵器を吐き出してすでに一時間は経過していた。
吐き出したM9、陣風や烈風改、ズイウーン改二やヴァズラー他、自由号に何故か居着いたトミーのプロヴィデンスまで戦線に加わりそれはもう大変な事になっている。
ゼルモニターの画面の中には戦場各地のデータが投影される生き残った市民の位置や敵数などが表示され撃破数は跳ね上がっているが湧出する土蜘蛛の数が減ることはなく市民救出も平行しているので均衡状態といった所だ。

563 名前:635[sage] 投稿日:2024/09/23(月) 20:31:22 ID:119-171-250-58.rev.home.ne.jp [9/12]

映る部隊を示す光点や防衛ライン示す線は時折、赤くアラートの表示に変わる。
一部部隊や戦線が危機的状況にあるのだ。
多すぎ一向に減る気配のない土蜘蛛に疲労からのミスや初の実戦による誤射、誤爆による士気の低下、
激戦区の自衛隊がいる場所を目指した避難民が入り込み戦線が崩壊しかけるケースも散見された。
援軍の艦娘と銀河連合日本やゲートイゼイラのロボットスーツ部隊の増援や電達が遊撃行いつつ高火力や指揮技能・カリスマ持ちサーヴァントを召喚、放り込むことで戦線を立て直しどうにか補っていた。
グレイファントムも元ネタそのまま配置された連装粒子ブラスターや1m超えの斥力砲で対地支援砲撃に参加している。
そしてブリッジの響く声でセンサー員が叫ぶ。


「艦長!銀河連合日本の部隊戦闘中のエリアに複数の生体反応検知、生存者です…これは…子供です!」


その激戦区にテレビの情報から入ってしまった民間人だ。


自身より更に小さな妹を抱え瓦礫の山の中に息を潜め蹲る少女の頭上を機関砲の弾群の曳光が走ると数百メートル先のお化けの様な大きなクモが咥えていた民間人だったものごと体液を撒き散らし絶命、その後を轟音と共に緑色のズイウーン改二が過ぎ去る。
続き前面ガラス張りのキャノピーを持つどう見てもR型な航宙戦闘機が腹に抱えた大口径の多銃身粒子ガトリング砲より粒子弾をバラ撒くと面白い様に土蜘蛛の群れがが建物ごと豆腐の様に引き裂かれる。

そして少女の居る瓦礫のすぐ脇をグライドホイールで走行する頭部に三連センサーターレットを搭載したコマンドトルーパーの部隊が土蜘蛛の群れ目掛けアサルトライフルを射撃しながら引き撃ちを行い、
群れが減った所を空中より降下したどう見ても戦術機陣風が背部含め四基の突撃銃で掃討、その砲弾の薬莢が少女の直ぐ側に落下してくる。
市街地外の野戦では隊列を組んだゲートイゼイラのシルヴェルや歩行形態のヴァズラー、16式機動戦車が粒子ブラスターや実弾兵器による砲撃をしその爆発の合間を潜り抜け騎兵部隊が突撃を行う。
高高度には衛星軌道上から降りてきた航宙艦仕様の艦娘に率いられた海洋生物型艦艇群が対地砲撃をし土蜘蛛の大群を消滅させてはいるが流石に市街地更地にするような攻撃は市民が生体反応から残っているのが分かっているので流石に出来ないでいる。

さてこの少女、自衛隊のいる激戦区にやってきた一人だ。
普段より家にいない両親は今日も居らず普段から親に代わり面倒を見る幼い妹と共に昼寝をしている所に鳴り出したサイレン。
何も分からぬまま外をみれば恐ろしい容貌をした巨大なクモの怪獣で溢れそれを見て泣き出す妹。
泣きたいのは少女も同じだったがお姉ちゃんだからとぐっと堪え両親のスマホに電話するがいくら掛けても繋がらずまた泣きたくなった。
こういう時にはまず情報からだとテレビを付ければ自衛隊が日本国内で戦闘を始めたとの報道。
自衛隊がどこそこで戦闘を行っていると、どの様な破壊を行っているかと報道を見た少女は自衛隊がいる所ならば安全という一般的日本人が持つ思考から弟妹を連れ最前線に向かってしまった。
それは少女だけではない少なくない市民もまたテレビをやラジオの情報から最前線に向かった。
戦闘していると分かっているのにだ。
元来軍隊が活動している場所は危険地帯だ。それは戦闘が行われる緊急時ならば尚更。
しかし今までの災害などの経験則から来る自衛隊がいる所ならば大丈夫という日本という国の常識的認識を是正しなかったこと、
そして本来避難方法などを伝えるべきマスメディアが仕事を怠った故の悲劇だった。

引き撃ちしながら下がる銀河連合日本の部隊と共に砲声が遠ざかる。
そして十分に遠くなった所で少女が状況確認の為に瓦礫の隙間から外を覗いて見ると…巨大なクモと目が合った。
へたり込む少女、その股間は濡れ始めチョロチョロと流れ始める。
クモ…土蜘蛛はその巨大な口を開き、迫る巨大な口は奈落の底の様に暗い。
大きな口を開き迫る土蜘蛛の牙が少女を貫こうとした瞬間、その牙はすんでの所で止められる。


「はいはい、そこまでだよ。土蜘蛛さんや。」

564 名前:635[sage] 投稿日:2024/09/23(月) 20:32:21 ID:119-171-250-58.rev.home.ne.jp [10/12]

たおやかな白い指が自身の腕よりも太い牙を軽々と止める。
その白い指の主は流れる長い白い髪とその頭部にヒトではない耳を生やした女。
女は牙を掴んだままその外見からは想像も出来ない怪力で土蜘蛛を牙を掴んだまま持ち上げるとそのまま回り始め、
そのままハンマー投げの様に土蜘蛛を放り投げる。

すると女の後ろより巨大な金属の肉食獣達が女の前に出るとそのまま土蜘蛛たちに襲い掛かりその爪と牙を以て土蜘蛛を血祭りに上げていく。
フンとその様を見ると女は少女に近づくと姉妹の体液や汚れで服が汚れるのも気にせず抱き上げる。


「良い子悪い子普通の子、纏めて子供の味方ゴルシ号ちゃんが助けにやってきたぜェ☆」


そう言うとニカっと笑う女…ゴールドシップ号の笑みと長年忘れていた人肌の温かさから気が緩んだ少女は安心して泣き出してしまった。
彼女らは剣林弾雨を掻い潜りその身体能力と権能を以て激戦区に取り残された或いは入ってしまった人々を救助している。
その姿はテレビには映らず某笑顔動画始め電子の海の配信にやはりマスメディアが頼りにならんともう一度集結したゲートイゼイラ人や日本人らが日本各地やネットでの広域情報配信に映る。
その姿を確認するや絶叫や発狂するするゲート日本やスールな大日本帝国の競馬関係者やファン。
脳をこんがりと焼いた競走馬達が戦場、それも魑魅魍魎跋扈する最前線に立てばそうもなろう。
脚が爪が牙が彼女らを掠める度に、誰かを庇い身体が穿たれる度に狂声が日本の冬空に響き渡る。

それでも彼女らは臆することなくその脚が衰えることなく、その豪脚を以て命を守る歩みを進める。
その姿の中には2020年…デアリングタクト号などこの年にまだ記憶に新しい馬達の姿もある…。
サクラローレル号、シンボリクリスエス号やスイープトウショウ号など今年虹の橋を渡った馬達の姿もある。
この年、未だ存命のウィニングチケット号がナリタタイシン号、ビワハヤヒデ号と共に子供を抱え疾走する姿など90年代の競馬ファンの目が熱くなる。
セイウンスカイ号と共に行動するニシノフラワー号とか一部に刺さる光景もあったが。

そしてサイレンススズカ号が、アストンマーチャン号が、ケイエスミラクル号が戦場を駆け抜け罪なく失われかけた命を救い上げる、老人も若い夫婦も幼子も等しく。
ライスシャワー…祝福の名を与えられた黒き馬は電らと合流し暁…日の昇る空の名を持つ艦娘を背に乗せ戦場を駆けていた。
バトンを繋いだ、繋ぐ命達をバトンを繋げなかった彼女らが…命を繋げていく。
その姿をゴーストウィニング号と飯崎も見ておりその状況も超大陸世界にも配信されている。


『ねえ主さん。』

『なぁに?』

『出来れば自分もみんなと一緒にあそこに居たかったです。』


画面を見るゴースト号の表情は映ってはいない。
同じく命繋ぐことなく虹の橋を渡った彼女らが自分と違い彼女らが現在命を繋ぐ立場にあることに思うところがあるのか…それとも単に彼女らと共に居たいのか…責任感か…。
その言葉を聞いて超大陸のウマ娘らやゴーストウィニング号陣営の者らは顔を曇らせる。
彼女らはゴースト号が電の判断で飯崎と共に比較的安全な前線指揮所に留め置くという処置がなされたことでゴースト号が危険に晒されることはないと安堵してしまったことに自己嫌悪に陥った。
知人である筈の電やテイオー号らが未だに戦火の中を駆けずり回っているというのに。
その間もゴールドシップ号の映像は流れ続ける。


「どうしてココ(激戦区)に入ったんだ?」

「グスッ…テレビで、ここに自衛隊の人が居るって言ってたから…。」


その言葉に舌を打ち空を見上げるゴールドシップ号の瞳には目障りなマスコミの報道ヘリの姿が目に入る。
今も目に入る悲劇をゲート日本政府や自衛隊の責任としてそれは賑やかなに報道し、肝心の情報は流さずに被害を無邪気に拡大させているのだろう。
ゴールドシップ号はそのまま奈良市の臨時司令部に通信を繋ぎ事のあらましを告げると対処の返答があり通信を切った。
通信に出た深海棲艦の後ろでは県警や消防、県の防災担当のお偉いさん方がエラいキレている。
恐らくは公務執行妨害の現行犯でヘリを拘束するだろう、機動兵器を飛ばすという話も出ていた。
突如として地面が大きく震え始めると姉妹はゴールドシップ号に強く抱き着つくが蹌踉めくことはないゴールドシップ号。

565 名前:635[sage] 投稿日:2024/09/23(月) 20:32:52 ID:119-171-250-58.rev.home.ne.jp [11/12]

手元のPVMCGに目をやりその振動の発生源を特定し視線を向ければ淨眼である彼女の目にマグマの様に湧き出る物理的な圧力すら感じる瘴気が映る。
地の底から登ってくる。
殺された古代のまつろわぬ民の残滓…世を呪う呪詛を取り込み日ノ本の大龍脈まで犯した日本を呪う加藤と自称する狂人。
だがその呪詛は千の歳月を超え最早それは腐り果てていた。
ただひたすらに醜い、そう表現するしかない他の個体よりも遥かに巨大な腐り果てた大土蜘蛛が瓦礫を噴出させながら出現した。
それを見たとあるテレビ局でコメンテーターとして呼ばれた憲法学者という肩書の運動家…法であるべき日本国憲法を俗の新興宗教に貶めたことに気付かぬ人間の一人は狂喜する。

そうして同時刻、異界たる京の都の結界の外側。
船岡山北西山麓より糸屋川に至るかつて蓮台野と呼ばれた地の一部が地響きと土煙を立て何かが現れる。
同じ土蜘蛛の名の縁により目覚めたたかかつて時の源氏の大将に討たれた京の都の土蜘蛛。
同じまつろわぬ名でだが全くの別物。
野辺の地…風葬により死体が打ち捨てられた蓮台野に生じ同じ名で括られた当地の亡霊の集合体の様な化生、祀って貰えぬまつろわぬもの。

斯様な存在を自分らの思想に傾倒せぬ存在を害するならばそれは九条の神と認識、あれらこそが日本を守る九条の神であると全国に向けて発信してしまった。
人と相いれぬ存在だというのに。

少女姉妹は土蜘蛛の発するその圧に顔を青くするがその圧も直ぐに霧散する。
気づけば淡い光に包まれたいたその発生元はゴールドシップ号、彼女の持つ加護が障壁となっていた。
そうして落ち着いた少女がつぶやく。


「あ、ヘリコプターが…。」

「自業自得だけど…運が悪いってレベルじゃねえぞ…アレ…。ティアマトの母ちゃんの呪いが原因か?」


少女のその言葉にゴールドシップ号が空を見上げれば土蜘蛛が出現時に噴出したと思しき瓦礫が飛んでいた報道ヘリ全てを巻き込んで叩き落としていた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2024年09月23日 22:15