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大陸日本日蘭世界 FFR支援ネタ 偶像


フランス連邦共和国ヨーロッパ州、俗にHexagone(六角形)や本土と呼ばれる狭い意味でフランス呼ばれる地域。
その南部、南仏と呼ばれる地域にはMassif Central、中央高地と呼ばれる地域がある。
ピレネーなどには劣れど深い峡谷や高い山に囲まれFFR本土の実に六分の一を占めるその地域は地形そのものの険しわとFFR全土の開発という実に半世紀以上にも渡る大事業により長年に渡り開発が後回しとなっていた。
本格的な開発が始まったのは二十一世紀に入ってから、後に智謀と称されることとなるリシュリューの一兵卒が第二次改装という大事業をぶち上げ国土の再開発を促したからだ。
長年に渡り開発が後回しとなったことから他のFFR本土地域に比べ自然やき古き良きフランス(FFR視点での)が残ってい同地域は夏の避暑地と人気を博したがインフラ整備などは兎も角本格的な観光地としての開発は戒められることとなった。
環境破壊防止の観点に加えFFRというはフランスという文化的遺伝子で統一されているが地域毎の差異まで徹底的に破壊する程ではないということ。
もう一つはFFRという国に変質してもな残った牧歌的な古き良きフランスという空想の楽園を失いたくなかったからだろう。

そんな中央高地に名も知れぬ一つの教会があった。
人しれぬ山間にひっそりと佇むされど歴史を感じさせる石造りの教会、そこに一台の車が止まる。
FFRでありふれた乗用車だが中が見えぬ様に窓は強いスモークが掛けられている。
その車から二人の人物が降りた。一人の容姿は年若い女性の様であり同時に纏う雰囲気は老練な女傑の様でもある。
そしてもう一人は杖をつき腰を折りながらも矍鑠した老人の男性。


「参謀総長そして御戦友殿、お待ちしておりました。」


その女性をFFR国教キリストカトリック分派の神父が出迎える。
神父であるのだがその歩みは軍人のそれである。それもFFR国民の義務と権利である兵役を経験したそれでなく現役の軍人のものだ。
神父に軽く応えると女性は教会の中に扉を潜る。
その扉には神父と同じカトリック分派の修道女が扉の両脇に立つが二人共MAS50…しかも民間向けに普及したmode Cではなく正規軍採用モデルを隙なく周囲を警戒している。
良く見れば教会の周囲には幾人もの武装した聖職者の姿があり、一部に至っては重火器すら装備している。
歩きながら神父は女性と会話を交わす。


「大統領は?」

「マリー…マフタン大統領はこの件に関し我らが指揮官の下へ出向いています。」

「ここと同じものが他の場所でも見つかったと聞きましたが…。」

「詳しい場所は明かせませんがピレネーとノルマンディーに存在が確認されました…恐らくは竜女と王妃でしょう。」

「三つの側面…Hexagoneを覆う三角形…三位一体のつもりでしょうか…?」

「そこは何とも…計画の主要メンバーは拘束前に自ら転属してしまいましたし。
後の裁定はオセアンに委ねるしかないでしょう。」

「参謀総長…申し訳ありませんが彼らの気持ちも少しは分かります。
もし我らが指揮官がお隠れになったとすれば…。」

「それ以上は言ってはダメ。
沈むことを拒絶する、それが我らが指揮官の御心なのですからお隠れになることを考えること自体が不信心というものです。」


女性が教会の中に入るとFFR国教の教会で良く見られるNotre-Dame(我らが貴婦人)…聖なる母としての”彼女”が赤子を抱いて少女を出迎える。
女性は聖母の前までコツコツと歩みを進め、その前にに跪くと両手を強く握りしめ祈りを捧げる。
しかしその姿は祈るというより懺悔のようで罪の告解ようであった。
同行した老夫は何も言わずにその姿を見守る。
数分ほど祈っていただろうか、老夫に促され立ち上がると神父の案内で教会の地下、クリプトへと向かう。


クリプト…教会の地下に設けられ礼拝所や貯蔵庫ととして用いられるその場所は石造りの教会に似つかわしくない電子機器が所狭しと並べられている。
何十、何百というケーブルが床の上を走り、それはクリプトの奥の一点に向け収束していた。
その収束点、何かを作る工房と言うには綺麗すぎ、貯蔵庫と呼ぶには清廉過ぎ、礼拝所と呼ぶには些か違う。
そこにあったのは巨大な人一人入れそうな棺と称すべきガラスの箱、その下には幾つものケーブルが入り込み透明な棺の中には女が一人横たわっている。


「まるで霊廟ね…。」

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女性が呟きながらガラスの棺へと近づくとその姿が鮮明となる。
長い銀色の髪を棺の中に広げ胸の前で指を組み眠る紫衣纏う貴き女、髪の色こそ違えど見間違える筈もない。


「オルレアンの処女…。」


女性はその名前ではなく異名で呼ぶ、その名は彼女らにとって”先生”のものであり主神の別側面の名としては馴染が薄いからだ。
状況を見守っていた神父は老夫を伴い棺と女性に近づく。


「復元されたデータや文章から駆体のメインフレームである背骨…船で言うなら竜骨(キール)に当たる場所に使用されているのは間違いありません。
そして製造されたメインフレームを中心に彼女らの部品を用い組み上げられたようです…最も我が国でも最高級機のものを更にカスタメイドしたものですが。」

「竜骨を中心に…それは…。」

「間違いなく我らが指揮官の再構築改装、その再現でしょう。」


顔を青くする女性と溜息を吐く神父。
二人を他所に老人はコツコツと杖の音を響かせ棺へと近づくと中の女をしげしげと見つめ、
周囲を周りながら何度も頷きながら女の姿を見ると己より若い神父に問う。


「神父さん、使われた鉄はいつのだ?」

「第一次改装の時の物と記載されていたと記憶しております。」

「それじゃアレか…確か継ぎ足しの時に繋げるトコの竜骨を整形の為に一部切り離して繋げた筈だからそれか…。」

「御戦友殿?」


老夫はブツブツと呟きながら神父の言葉に反応せず暫し思考の海に浸る。
彼は半世紀を超えたあの記憶の海へと旅立った。


「……友殿!御戦友殿!!」

「おっとすまん。ちょっと艦長の下でコイツと海を駆けずり回って昔を思い出してな…。」


何度か神父が声を掛けると漸く反応し老夫は親指で棺に眠る女を指差す。
その言葉と指さした意味するところを察し神父と女性は顔を青くする。


「多分だが…使われてるのは本物のリシュリューの竜骨だ。
しかしまあタッパは立派だが随分と可愛くなっちまったもんだなリシュリュー。」

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以上になります転載はご自由にどうぞ。
イコン(偶像)を求めるのは世の常…救世主も覚者もそうなったのですから我らが指揮官のお姿を、沈んでも変わらぬ姿をと求める人らが出るのも歴史の必然。
我らが指揮官の姿として聖女の他にも王妃と竜女も作られるだけでなく転属した女神の姿もあるかと…。

他国でも同様の事例は発生するんじゃないですかね…。

女王陛下のお隠れを危惧した一部による妖精の女王の再現とか剣継の大剣作った蘭帝の雪魔女とか(自分のネタ)

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最終更新:2024年10月01日 18:48