682 名前:635[sage] 投稿日:2023/10/09(月) 16:38:22 ID:119-171-230-64.rev.home.ne.jp [2/13]

ネタ 戦後核アレルギーべいてー世界 第八話 さらなるナチアレルギー物質を国家社会主義が準備始めたようです


ドイツの特攻機部隊には護衛の戦闘機部隊、それもエースパイロットをかき集めた部隊が参加していたのだが、彼らは当初満足な動きも取れなかった。
それもこれも日本艦隊を攻撃する新兵器を搭載した航空機の護衛という名目で集められた彼ら。
だが実態を見れば味方の航空機が条件付けられた犬の様に一心不乱に敵艦に突入していくという異常事態を見せつけられただけだった。
その異様な光景に彼らの思考は一時麻痺、特攻機を護衛することも忘れ英駆逐艦等に自爆攻撃をする様子を呆然と見送った。
そんな彼らが思考を取り戻したのは濃緑の胴体に赤いミートボール付けた戦闘機に多数の特攻機が撃墜されてからだった。

帝国海軍空母愛鷹(旧サラトガ)の所属の日の丸付けた濃緑の米国製戦闘機は複数のドイツ軍機…それも所謂エースに追い回されていた。
エースの数で空が狭い、そう呼ばれることになる戦場であった。
それもこれも英駆逐艦に突入した機体を皮切りに次々と航空機が味方艦艇に突入しようとした機体を最初に撃墜し最も撃墜したのがこの機体だったからだ。

特攻、飛行機乗りを人から機械の部品に貶める戦闘機乗り…いや飛行機乗りの誇りを傷つける戦術とも言えぬ戦術に憤りを覚え、
ドイツ空軍のエースらはその怒りの矛先を愛鷹の戦闘機に向けたのだが…その機体は鉄の雨の中を生き残った。
その機体はエースらの攻撃を掻い潜り時折特攻機を撃墜しそれにより更にエース達は喰い付いていった結果。

増援と燃料切れまで粘られドイツ空軍は撤退することとなった。
そしてその粘りに粘った上に特攻機を相当数撃墜した日本軍機であるがドイツでは脅威と見られゲルマン民族最大の敵と総統に言われることになるが…、
機体が黒いだの片羽が赤いのだの三本線が尾翼にあったいや美少女描かれているだのと情報が錯綜していたとか。



「自爆機の母艦ですか…?」

「うむ、英国からの情報だとあれらの自爆戦闘機はクレタだけでなくエーゲ海に潜む空母グラーフ・ツェッペリンからギリシャ本土から来たらしい。」


遣欧艦隊司令と幕僚のそんな話を交わされるのは海戦から暫く経ちクレタ沖に停泊する連合艦隊遣欧艦隊旗艦の戦艦大和の艦内。
現在その大和は基準排水量と主砲が世界最大であると公式発表されレイテで暴れ回ったその戦歴と共に士気高揚の為に英国で派手に喧伝されていた。
東洋からのサムライ、日本が誇る世界最強の怪物(モンスター)とドイツ向けプロパガンダ放送でも取り上げられ伍長が歯ぎしりしたらしい。

その大和はクレタ攻略戦に従事、夜の闇に紛れ夜襲してきたドイツ水雷戦隊も纏めて粉砕した。
夜襲仕掛けてきたのはこの世界では存在しないハイパー北上様ならぬ重雷装巡洋艦ハイパーエムデンで連れてきた駆逐艦や魚雷艇諸共全て海の藻屑と消えた。
そしてその後、他の戦艦と共に陸軍を支援する艦砲射撃を行い空母艦載機による空襲と合わせクレタ島は連合国、というか艦隊の多くを占める日本により占領されることとなった。
英地中海艦隊とか居たが特攻機による被害受けてる上に陸の主力が帝国陸軍だった為に仕方ない。

そして特攻機の大本である空母が判明した訳でありそれを撃沈すれば良いというのだがそうは簡単にはいかない。
少ないとはいえ護衛艦艇存在する上にギリシャ始め沿岸のバルカン半島は未だに枢軸側にあり、連合国の苦戦からトルコは未だに中立を保っている。
そんな場所に潜んでいるのだから陸からのドイツ軍機の支援を受けられるのは確実であり、何より島嶼部には魚雷艇や潜水艦が潜んでいる危険性もあった。


「現在、地中海のドイツの魚雷艇や潜水艦は連合国側にとって脅威になってますからね。」

「技術交換により我が国より提供された酸素魚雷や高速潜水艦によるものというのがな…。」

「夜襲してきたドイツ巡洋艦も酸素魚雷満載してましたし…。」


地中海では酸素魚雷や高速潜水艦による連合国艦船への被害が多発していた。
日本も最近ではフランス向け支援物資を積んだ輸送船団の輸送船帝亜丸やアメリカから譲渡された豪華客船を転用した輸送船ふらんす丸が被雷したりしている。

683 名前:635[sage] 投稿日:2023/10/09(月) 16:39:04 ID:119-171-230-64.rev.home.ne.jp [3/13]


「そして何よりだ…空母グラーフ・ツェッペリンは改造を受け大型魚雷を搭載する魚雷艇の運用が可能という情報が齎された。」

「大型魚雷…ですか?」

「夜襲してきた軽巡にも積まれていたヤツだ。我々の魚雷より口径は大きいとか。」

「空母から発進する大型魚雷搭載した高速艇…それって…。」

「何か言ったか?」

「いえ!何も…しかしそうするとどの様な対応を?」

「ナチスドイツの技術は世界一と豪語する者も居るようだが…如何にドイツといえども魚雷艇用に大量のレーダーを装備させることは出来まい。
大型陸攻のエンジン消耗激しいならエンジンごと取り替えればいいとかやってる米国なら別だろうが…。」


一瞬司令の目が米国内の工場思い出して遠くなるが顔を振ると真面目な顔をする。


「金剛、榛名、黒姫を抽出。水雷戦隊と共に夜戦を仕掛ける。」



そして同じ頃のドイツ第三帝国の首都ベルリンの総統官邸。
その中で総統は上機嫌であった。それもその筈、海軍久方振りの軍艦撃破の報告。
憎き裏切り者の劣等民族日本の艦艇を多数撃破したというではないか。
エルベ特別攻撃隊なる貴重なアーリア人による自爆攻撃という内容には眉を潜めたがアーリア人であればそれだけの戦果も出来るかと納得もした。
しかしと思う。


「やはりアーリア人の喪失は許容出きんな…あの劣等民族ですら自己判断するという誘導弾なるものを開発し量産したという…。
そうだ!誰か誰かおらんか!」


ふむと総統は考え何やら閃いたのか側近を呼ぶと己の冴えわたったアイデアを披露する。


「劣等人種達による特別攻撃部隊を作れ!後、アーリア人の被害無くす為に陸海空で自己判断で動く兵器作れ!しかも量産出来るやつ!」


全員の顔が引きつる無茶振りもいい所、そんなの作れりゃ作っとるし戦争に勝ってるだろう。
そしてそれより数ヶ月後、戦局の悪化したドイツでは国内及び国外各地の絶滅、強制収容所を問わずに囚人への人員募集のポスターが掲示された。
囚人らはそのポスターに見入りその様子を看守の兵らは見る。


「【人種・性別・年齢】問わずねえ…本当かよ?」

「本当らしいぞ。収容所から出す上に任期満了時に元ドイツ国民ならば市民権を返還、他国人やユダヤ人も市民権付与だとよ。」

「自動無人兵器の射撃用自動計算機の事前計算入力の人員募集とはね。計算手なぞ募集してどうするのかね?」

「前に募集あった自爆部隊に進んで行きたいの居ねえだろ?前のは家族の市民権や財産返還チラつかせて親父とか行ったのにしなかった訳だし。」


そして看守の一人はドイツ語の新聞を見出しに目をやる。


「【無人軽突撃砲Moloch完成!同乗者を無くすことで国民や在独非ドイツ人の被害も無くした人道的兵器!】…。」

「軽突撃砲にMoloch(恐ろしい存在)て付けるなんてどういうセンスしてるんだ…?」

「無人の兵器なんだから命名の規則も無いんじゃないか?」


そう言いながら看守の一人は煙草に火をつけた。


「どうでもいいさ。非ドイツ人でもユダヤ人でも自動計算機でも俺らドイツ人の代わりに戦って死んでくれるなら。」

684 名前:635[sage] 投稿日:2023/10/09(月) 16:43:15 ID:119-171-230-64.rev.home.ne.jp [4/13]
以上になります。転載はご自由にどうぞ!
はい、ドイツ人以外も特攻に使われます。はい、無人兵器の計算手は末期には志願した()年若い()者らも参加します。
決してMolochを英独google翻訳に掛けてはイケマセンヨ…。
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最終更新:2024年10月06日 20:17