28:トゥ!ヘァ!:2024/08/03(土) 16:16:18 HOST:FL1-119-240-148-104.kng.mesh.ad.jp
EDF NG(ニュージェネレーション) その3
新西暦0080年中頃 宇宙 L5宙域絶対防衛戦略宙域B7R 通称円卓
「エイリアンの動きを確認!」
「敵部隊防衛ラインへ差し掛かります」
時期は地上でシルバーブレット作戦が行われた前後の。開戦以降何度目となるかのエイリアンの攻撃である。
ここはL5宙域絶対防衛戦略宙域B7R。兵士たちからは円卓と呼ばれるエリアである。
回収された資源衛星や破壊されたコロニーの残骸などを用いてでっち上げられた複数の宇宙基地と後方に位置するソロモン、ボアズ、ヤキンドゥーエからの援護を合わせたL5宙域防衛線である。
既に幾たびもエイリアンからの攻撃を跳ね返している鉄壁の防衛ラインであったが、今回は何やら様子が違っていた。
「月面で動きあり!偵察隊からの映像来ます!」
「これは…なんだ!?」
それは偵察部隊から送られてきた月面の映像。
そこには複数の巨大なナニカが月面から浮かび上がってくる様が映されていた。
そしてそれらは左程時間をおかずにL5宙域の防衛線にも姿を現すこととなる。
「巨大な…A型侵略生物?」
「いえあれは…コーカサスオオカブト!コーカサスオオカブトですよ!!」
地球の昆虫に詳しい兵士がそう叫んだ。
それは彼の言う通りの造形をした余りにも巨大な侵略生物であった。
観測チームからの目算は最低でも300m以上。
新大陸連邦のマゼラン級戦艦に伍する巨体であった。
そんなものが数えられるだけでも30体以上月面を飛び立っていた。
無論それに追従する複数の宇宙型侵略生物や無人ドローン、転移輸送船も確認され、それらの後方にはマザーシップすら確認されていたのである。
「敵が7に宇宙が3!繰り返す!敵が7に宇宙が3!」
観測チームから寄せられたこの悲鳴のような言葉こそが敵の規模を物語っていた。
今までにない規模の軍団が防衛線に迫っていたのである。
折しも地上で人類の大反撃作戦となるシルバーブレット作戦が発令されたのと前後してのエイリアンの大攻勢であった。
後に円卓崩壊と呼ばれる大規模な宇宙戦が起ころうとしていた。
「ミサイルの着弾が確認され次第砲撃開始!艦砲、砲台、MS全ての遠距離攻撃を敵の超大型侵略生物に集中させよ!!」
防衛線を預かるコンスコン中将からの命令の通りにまずは人類側のミサイル攻撃から火蓋は切られた。
無論これが決定打になるとは考えておらず、実際多くのミサイルはエイリアン側に迎撃されるか、ドローンなどが盾となり左程被害を与えずに終わる。
そして本命として放たれた第二陣。戦艦の主砲、基地に備え付けられた大型砲台。
何よりも量産されているヨルムンガンド砲による全力射撃がエイリアン側の部隊を襲った。
だが…
「!敵は無傷!繰り返す!敵は無傷!超大型侵略生物に有効打見られません!!」
「なん…だと!?」
「馬鹿な…ヨルムンガンドの一撃は戦艦でさえ沈めるのだぞ!それを無傷など…」
「て、敵超巨大侵略生物群に高エネルギー反応!」
「連中何をする気だ?」
コーカサスオオカブト型の超大型侵略生物の触覚…三又の角にエネルギーが集まり…それは極大のエネルギー放射となり、人類の防衛網に襲い掛かった。
転生者が見ればハイパーメガ粒子砲かツインバスターライフルとでも形容したであろうそれは、敵妨害用の宇宙機雷やMSの配備されたデブリトーチカを粉砕しながら多くの小惑星基地に直撃。
直撃した宇宙基地の多くは破砕された。運が良い基地は当たり所が良く機能不全程度で収まったが、それは慰めにもならなかった。
何故ならこの後に100近いこの超大型侵略生物とその周りを飛ぶ多数の宇宙型侵略生物の突撃を食らうからである。
29:トゥ!ヘァ!:2024/08/03(土) 16:17:03 HOST:FL1-119-240-148-104.kng.mesh.ad.jp
絶対防衛戦略宙域B7Rは突破された。
100を超える極大エネルギー放射の直撃の後に敵大軍の侵入を許し、そのまま食い破られたのである。
敵エイリアン軍はそのままヤキンドゥーエ要塞へ殺到。
両要塞近辺宙域において熾烈な迎撃戦が繰り広げられることとなる。
「敵軍勢はどこへ行こうとしている!進行方向は!!」
「敵部隊はヤキンドゥーエ方面に殺到。予想進行経路は…プラントです…」
「連中遂にプラント本国を狙ってきたか!!絶対にここで阻止しろ!!」
ヤキンドゥーエ要塞は奮戦した。
何せ文字通りの意味で最後の壁なのだから。
しかし300mを超す巨体を持った超大型種へ有効的な対処は未だできず、次々とヤキンドゥーエ外角の資源衛星基地へ突撃、また数少ない数がヤキンへも突撃しては要塞内へとドローンや侵略生物を侵入させ始めていた。
こうして要塞の防衛機能が低下するとともに10体ほどの超大型種が最終防衛線を突破。
プラント本国へ迫ることとなる。
「ことこうなってはやむえん。ジェネシスを起動させる」
最終防衛ラインを突破されたプラント政府は未だ建造途中のジェネシスの起動を決定。
決戦兵器とされるはずだったジェネシスはミラージュコロイドの隠ぺいを解かれ、その力を発揮することとなる。
「ジェネシス発射まで5…4…3…2…1…」
「ジェネシス発射!!」
解き放たれたガンマ線の奔流がエイリアンの超大型種軍団を襲う。
さしもの超大型種もジェネシス級の出力には耐えられず次々と爆散していき、プラント本国への脅威を防ぐことに成功した。
プラント本国防衛成功に喜んだのもつかの間、その光景は起こった。
どこからともなく飛んできた攻撃がジェネシスに直撃。そのまま同施設を崩壊せしめたのである。
発射元はエイリアンのマザーシップ。
超大型種軍団の後方に待機していた一隻である。
後に推察されたことだが、この宇宙での大侵攻は人類側が建造していたジェネシスの位置を割り出し、破壊するための陽動だったのではないかという説が出ている。
実際のところはどうだったのかはエイリアンの心の内しかわからないが、しかし事実ジェネシスは破壊され、プラントが開戦以降引きもってまで心血注いできた決戦兵器は崩壊したのであった。
30:トゥ!ヘァ!:2024/08/03(土) 16:17:45 HOST:FL1-119-240-148-104.kng.mesh.ad.jp
こうして切り札を失ったプラントは茫然自失状態…に陥る暇もなかった。
ヤキンの防衛線を突破してきた侵略生物や無人ドローンが次々とプラント本国へなだれ込んできたからだ。
「これ以上奴らの思い通りにさせるな!!」
現地の本土防衛隊指揮官が気炎を吐き、それに兵士たちも続いていった。
しかし多勢に無勢。敵はコロニーにも取りつき始め、幾つかのコロニーでは内部に侵入してきたエイリアン勢との戦闘も開始され始めた。
絶対絶命と思われた最中。ギリギリのところでそれは間に合った。
L3宙域からの。地球連合と太平洋条約機構の宇宙艦隊である。
彼らは瞬く間にプラントコロニー周辺のエイリアン軍を掃討。
そのままヤキンドゥーエまで赴き、敵の侵攻を止めることに成功した。
その後は比較的損害の少なかったソロモンやボアズの部隊と共にヤキンドゥーエ戦域のコロニー同盟部隊を支援。
懸念であった超大型種に対しても半分がジェネシスで吹き飛んでいたため、残り半分は数で逆転した人類側がタコ殴りにすることで対処。
どうにかこうにかエイリアン軍を絶対防衛線の外側へ押し返すことに成功した。
これら一連の戦いは円卓の崩壊、またはプラント防衛決戦と呼ばれるようになる。
被害としては全損したコロニーこそ出なかったが、ほぼ全ての本土コロニーが大なり小なり破損、被災しており、特に内部まで潜り込まれコロニーでは民間人の被害が多かった。
そして防衛の任についていた本土守備隊も部隊は半壊。超大型種の半数を引き付けていたヤキンに至っては部隊の7割が壊滅するという大打撃を受けていた。
無論それより前線であったBR7宙域に布陣していたデブリ基地群、艦隊戦力なども大きなダメージを受けており、実質絶対防衛戦は崩壊したと言える。
コロニー同盟の自力での再建は不可能とされ、以降は余力のある地球連合艦隊や太平洋防衛軍艦隊が残存コロニー同盟艦隊と共に防衛の任務に就くこととなる。
他方、敵へ与えた損害と言えば超大型種こと出現した30体全ての撃破に成功したが、それ以外では撃破した敵戦力はドローンや既存の侵略生物。またそれらと共に飛来した転移輸送艦(テレポーションシップ)ばかりであった。
肝心のジェネシスを狙撃したマザーシップと言えば、仕事を終えた際にさっさと姿をくらましており、戦場を離脱していた。
相対的に言えば人類側が被った被害の方が多く、防衛線の立て直しも考慮すれば実質敗北と言えた。
また地球連合と太平洋防衛軍の宇宙艦隊戦力がBR7宙域に改めて張り付くこととなり、一時的にせよ地球衛星軌道の防衛が薄くなり、これを見たエイリアンが追加のテレポーションアンカーや転移輸送船を改めて地球上へ下そうとする事例が多発。
今まで衛星軌道を守備してきた地球連合及び太平洋防衛軍の宇宙戦力はBR7に派遣した戦力以外はこれらへの対処に駆り出されることとなる。
しかし、これらの攻撃全てがまさかエイリアンにとってある種の陽動であったとは、この時の人類は思いもしなかったのであった。
新西暦0080年後半。
二隻のマザーシップを含むエイリアンの大戦力が地球衛星軌道へ出現。
防衛のために衛星軌道中に薄く広く展開していた地球軍側の防衛線を突破。
数多くの転移輸送船やテレポーションアンカーの投下を許す羽目となる。
それらの目標地点は太平洋西部。太平洋条約機構の盟主であり、旧太平洋防衛軍(PDF)司令部こと現EDF総司令部が存在する日本本土。
投下されたアンカー、降下した輸送船の数は合わせれば数百を数えた。何よりもマザーシップ直々に新型兵器ディロイを複数体投下。その数五百以上。
総合すれば四桁を越える戦力(ドローンや侵略生物を除く数)が極東の一地域に投入されたのである。
同時に太平洋側からマザーシップに率いられた侵略生物、無人ドローン、怪生物の大群が空海から日本沿岸部へ侵攻開始。
また東南アジア、中央アジア地域からハチ型を中心とする飛行型侵略生物が多数アジア、極東地域へと襲来。
「レーダーが真っ赤だ!壁が迫ってくる!」という報告と共に日本本土防衛戦こと極東決戦の幕が上がることとなる。
空と海と宇宙の三方からの同時攻撃であった。
31:トゥ!ヘァ!:2024/08/03(土) 16:18:21 HOST:FL1-119-240-148-104.kng.mesh.ad.jp
〇いつぞやの戦場での話
「エイリアンめ。人類の急所がどこか学んだか!」
「日本が落ちれば地上での戦力供給が途絶し、太平洋の制海権はほぼ陥落…」
「まさに正念場ということですな」
日本 神奈川県箱根町近辺に設置されているEDF総司令部(通称ジオフロント)での会話。
日本本土において大規模な迎撃戦が発生するのはエイリアンとの戦争勃発初期から数えて二度目であった。
「シャンデリア、ストーンヘンジ、エクスカリバー。全て正常に稼働中」
「しかし敵の数が多すぎます… 全ての迎撃は…」
「基地の航空隊は全て上げろ!予備の部隊もだ!!」
「旧式の対空砲も出せ!ヘリにも迎撃ミサイルを持たせろ!」
大戦初期にマザーシップを撃退したことで有名な日本の対空迎撃網であったが、此度の大攻勢の規模は想定以上であり、その迎撃力は飽和気味であった。
「第五防衛線崩壊!」
「第四、第三防衛線突破されました!」
「敵海中部隊は第二防衛線の地雷原に接触します!!」
「沿岸部から撤退中の117機甲中隊、64、71歩兵大隊から救援要請が!」
「第四防衛線の22、28、39MS中隊の通信途絶…」
「巡洋艦長浜、駆逐艦早風撃沈!」
「航空重巡三原より通信。我操舵不能。繰り返す。我操舵不能」
「第四防衛線には予備の航空隊を支援に向かわせろ!」
太平洋全域からの空海攻撃にさらされる日本防衛網の様子。
幾重にも張られた防衛線は敵の物量の前に破綻をきたしており、予備戦力での穴埋めも後手に回っていた。
「たっぷりくらえ怪獣共!」
「俺たちスーパーGⅡ部隊が相手になってやる!」
日本近海で奮戦するスーパーG(グラブロ)Ⅱ部隊。
スーパーGⅡは通称で正式名称はグラブロⅡ型タイプS。
ジオン公国が開発中であったグラブロⅡ型(サンボル版グラブロ)を元に対怪生物用に改良されたタイプ。
この時期の最新鋭兵器であり、水中でならば単独で怪生物ともやりあえる戦闘力を秘めており、此度の大規模攻勢においても獅子奮迅の活躍をしたが、エイリアンの大群を海に押しとどめることはできなかった。
「ダロガ、ヘクトル。スコージャーもいやがるぞ」
「あいつら泳いで渡ってきたのか? それとも輸送船かドローンにでも運んできてもらったのか」
「さあな。わかるのは海上の防衛網が突破されたって現実だけだな」
日本沿岸部。防衛部隊兵士の会話。
太平洋沿岸地域に侵略者の部隊が迫っている戦況であり、既に海上の防衛網が突破されている証拠であった。
「後方から敵侵略生物とドローンが!」
「クソ!迎撃を掻い潜ってきた奴らか!周辺の部隊はどうした!」
「どこも似たようなもんです!降下してきた奴らのせいで後方の予備兵力の手が取られています!」
迎撃網を掻い潜ってきたエイリアン部隊と戦闘になった後方の予備隊の会話。
日本が誇る迎撃網を物量で突破してきたエイリアンの部隊(約半数が降下に成功したと推測される)により、後方に待機していた予備兵力や都市への襲撃により、EDFは戦力を更に拡散せざるを得なかった。
32:トゥ!ヘァ!:2024/08/03(土) 16:19:07 HOST:FL1-119-240-148-104.kng.mesh.ad.jp
「なんだいあいつは!」
「初めて見るタイプだ」
「デカい…というよりは長い?」
人類で初めてディロイと遭遇した現地EDF隊員の言葉。
今回の攻勢においてエイリアンは大型多脚兵器ディロイを多数投入。
衛星軌道からマザーシップが直々に投下しており、輸送船やテレポーションアンカーに紛れ、その多くが日本本土やその近海へと降下した。
エイリアンの既存無人兵器と比べ火力と踏破性が向上しており、ダロガやヘクトルよりも高い脅威度を誇った。
「こちら第221偵察隊。連中微動だもしないままだが…!?」
「対象に異変あり!…あれは!」
「背中が割れて…トンボかありゃ」
「羽化だ。この数がヤゴが羽化してやがるんだ!!」
日本本土への大規模攻勢の少し前に東南アジア戦線で見られたとある光景。
大量の水棲型侵略生物Bことデカヤゴがとある島に上陸。
そのまま微動だにせずにいたところをEDFの偵察部隊が監視していた。
陸に上がったデカヤゴはその後全てトンボの姿へと羽化。
そのすべてが日本を目指して飛び立った。
この場所以外にもEDFが感知出来ていなかった多数の地点から同じように羽化したトンボの大群が日本へ向けて飛び立っており、東南アジアや中国からの迎撃を潜り抜けた群れが沖縄、九州へと襲来している。
「こいつら早いぞ!」
「虫野郎如きが空戦ドローンや俺たちの機体並みだと!?」
「!攻撃を確認!繰り返す!攻撃を確認!連中何か飛び道具をもってやがる!」
飛びだったデカトンボの迎撃に向かったEDF航空隊の会話。
今まで羽アリ型もハチ型もEDF航空機ほどの速度は出ず、専らエイリアンの空戦ドローンが主な敵であったが、ここにきて戦闘機並みの速度を誇る侵略生物が出現した。
更にこのトンボ型には指向性超音波を発信する能力があり、直撃した対象物を切り裂いてしまう。
幸い射程距離こそ、そう長い物ではなかったが戦闘機並みの速度、モデル元と同等の運動性・ホバリング能力。
そして無色透明の遠距離攻撃持ちと侮れない難敵が登場することとなった。
このトンボ型の出現以降、空を飛ぶ侵略生物はカテゴリ化され、空戦侵略生物呼称されることとなる
「ソラスが12、ヴァラク4、エルギヌス3か」
「大分抜けてきたな」
「馬鹿言え。うちの地区の防衛網に引っかかったときはこの5倍はいたんだぞ。
これでも大分減った方だ」
「うへぇ…嫌になるな」
「重装MS隊が前に出る!それ以外の部隊は掩護だ!」
「対怪獣パイルバンカーをぶちかましてやる!!」
各地で日本の沿岸部に上陸しだす怪生物に対する兵士たちの会話。
この頃になると対怪生物用兵装を備えた重装備MS部隊が配備されていたが、後から幾度も上陸してくる怪生物を含めたエイリアン軍の物量に対して苦戦は免れなかった
「都市防壁展開中。市民の皆様は速やかに地下シェルターへ避難してください」
「重砲台ビル群展開完了」
「第一から第五までの都市防壁の展開完了」
「都市防衛ドローン群が敵と接敵」
「来るなら来い宇宙人共!貴様らが狙っている都市こそが殺し間だ!」
日本のとある都市における光景。
一世紀近く宇宙人の侵略に警鐘を鳴らし続けた日本では多くの都市において避難用地下シェルターの整備から自動迎撃システムの構築までを進めていた。
現状日本国内の都市(人口5万人以上の街)の約8割が計画通りの迎撃システムを整備、稼働させている。
33:トゥ!ヘァ!:2024/08/03(土) 16:19:44 HOST:FL1-119-240-148-104.kng.mesh.ad.jp
「ひゃっはー!虫ども消毒だ!」
「生き物ならぶっ殺す!機械ならぶっ壊す!」
「(エイリアンのいない)青き清浄なる世界のために!」
「ジークアース!ジークEDF!」
各地で活躍するブラザー(正規認証民兵)の活躍。
EDFは戦力の底上げのための限定徴兵と民兵の組み込みを行っており、EDF正規軍より正規認定されたものは通称ブラザーと呼ばれている。
流石に民兵であるため練度はマチマチであったが、中には正規軍や精鋭部隊に勝るとも劣らない凄腕も混ざっており、自動迎撃システムの導入が限定的な都市以下の市町村の防衛や人口希薄地域における防衛戦力として活用されていた。
その多くは徴兵された兵士特有の厭戦感情とは無縁であり、むしろ下手な正規兵よりも高い士気を持つ人物が多かったと言われている。
これを見た一部の政府高官は「せ、戦闘民族地球人…」と呟いたとかなんとか。
「敵の数が想定以上ですが、各地の防衛網は順調に機能。ほとんどの都市で自動迎撃システムが上手く敵に対応しています」
「逆に海上・海中防衛網は突破された地域が相次いでおり、太平洋側は多くの地区で既に沿岸部まで戦闘地域が拡大しております」
「中国、極東ロシア、東南アジア、オセアニア、太平洋各地からも援軍が送られてきていますが敵の数が多く、攻撃範囲も広域に及んでいる現状後手に回っています」
「さらに言えば中国、ロシア方面はエイリアンの陸上艦隊が依然進行中で左程多くの戦力は回せません」
「…使うか。我々の切り札を」
「特機部隊ですか?しかしあれは大陸反攻作戦の要では」
「それを支援するための後方地帯である日本が落ちてはどのみち反攻作戦も露と消える。
ここが札の切りどころだ」
依然エイリアンの攻勢が続く中でのEDF総司令部での会話。
本来はエイリアンの陸上艦隊対策として用意していた特機(バルガ)部隊の投入を決定した。
「ウォーバルガ出るぞ!」
「来やがれ怪獣共め」
「うぉおおお!!」
EDF総司令部肝入りのウォーバルガ部隊。
本来大陸での反攻作戦用に用意された総勢100機にも及ぶ巨人部隊が日本各地に投入。
上陸してきた侵略生物や怪生物相手に多大なる戦果を挙げた。
「ストーム隊が四国地域に押し寄せていた怪生物群を殲滅しました!」
「ロンドベル隊。現在北海道で戦闘中。内陸部に降りた敵降下部隊を順当に掃討とのこと」
「コンパス隊は九州に飛来した新種の飛行型侵略生物ことトンボの迎撃中です。
上手いこと都市部から狙いをそらせています」
「大陸反攻作戦に備えて特務部隊が集まっていたのは助かったな」
「ああ。彼らがいるだけでも各地の防衛がぐっと楽になっている」
大陸反攻作戦のために日本に集められていた三つの特務部隊の戦果について。
彼らの戦果はすさまじく、担当する地区ではほぼほぼ戦況が優勢で固定されている。
反面彼らがいない地域の多くでは防衛線が押し込まれており、苦戦が続くなど物量こそが最も脅威であることを再認識させられた。
「なに。マザーシップの姿が確認できない?」
「はい。攻勢開始当初は衛星軌道や太平洋上で確認されたのですが、現在これらマザーシップは姿を消しております」
「どういうことだ。ここが攻め時だろう」
「改めて世界各地にマザーシップの所在を確認したところ、欧州とロシアに居座っていたものまで姿を消したそうです」
「なんだと?」
エイリアンの大攻勢中におけるEDF諜報部の会話。
今回の攻勢で動いたマザーシップを監視していたところ忽然と姿を消したことを訝しんでいた。
姿を消したのは太平洋上に展開していたマザーシップのみならず衛星軌道まで進んできた一群や欧州に居座っていたものまで含まれていた。
34:トゥ!ヘァ!:2024/08/03(土) 16:20:36 HOST:FL1-119-240-148-104.kng.mesh.ad.jp
「大侵攻から三日。ようやく敵の攻勢も息が切れてきたな」
「防衛線内部に展開した敵も凡そ掃討は完了しました。今こそ反撃に出るべきかと」
「余力のある司令部や首都の防衛部隊を回せないか伺ってみよう」
「特務部隊はどうします?」
「三日間戦ってもらったのだ。休ませてやれ。何せこの後の大陸反抗作戦でも活躍してもらわねばならない」
エイリアンの突然の日本侵攻から三日後のEDF総司令部の会話。
流石に三日目ともなれば敵の物量も切れ始めており、各地で余力が出来始めてきた。
また内陸部に展開した敵の多くも撃退されており、多くの都市の防衛に成功している。
「追い込め!エイリアン狩りだ!」
「ひゃっはー!的がより取り見取りだぜ!」
「降参ってか?ここにレフェリーはいねえんだよ!」
「エイリアンの捕虜なぞいるかよ!!」
「あいつら殺意高いっすねえ」
「戦意旺盛なのはいいが、突出しないかが心配だな」
反撃を開始した兵士たちの会話。
やる気満ち溢れる民兵と、そのテンションに困惑する正規兵が見て取れる。
「そうか。やはり地球上からマザーシップが全て消えているのか」
「はい。存在が確認されていた南米、南極、ロシア、欧州のマザーシップが消えました」
「奴ら一体どこへ…」
「失礼します!緊急の情報です!!消えたマザーシップの所在が確認されました!
連中宇宙にいます!」
「なんだと!」
「まさか…この規模の攻勢が陽動だったとでもいうのか…」
消えたマザーシップの所在を追っていた諜報部と軍部の会話。
地球上で活動が確認されていたマザーシップ四隻全てがいつの間にか宇宙に脱出しており、月へ向かって航行中であった。
日本での戦いは終わった。
EDFは押し寄せるエイリアンの大侵攻を防ぎ切ったのだ。
無論無傷とは言わない。太平洋側の防衛網は壊滅状態であり、南シナ海方面の防空網も押し寄せた新型空戦侵略生物の大群により半壊状態であった。
内陸部では大都市こそ防ぎ切ったがどこもかしこも戦闘の余波で被災しており、更に迎撃システムが未熟であった都市以下の市町村では大なり小なり無視できない被害を被っていた。
また一部の地方の人口希薄地域などでは取りこぼされた侵略生物による巣が構築され、同じく掃討から生き残った無人機がスリープモードに以降し、その姿を隠すなど厄介な置き土産が残ってしまった。
防衛にあたったEDF部隊もその損耗は無視できないレベルであり、計画されていた大陸反攻作戦は延期される運びとなった。
この日本への侵攻は太平洋大侵攻(通称大侵攻)と呼称されることとなる。
朗報もある。
どうやら敵は太平洋、インド洋方面の戦力の大半を今回の攻勢に投入したようであり、太平洋、インド洋、南極における敵侵略生物、怪生物、無人機の活動数が大幅に低下したことが確認された。
これによりEDFアラスカ方面軍(旧新大陸連邦軍及び旧コロニー同盟北米方面軍)が攻勢を仕掛け、見事北米地域の奪還に成功している。
だが戦いは終わったわけではない。
地球上にいたマザーシップ四隻が宇宙へ脱出。月面にて残存母船群と合流し、残存するマザーシップ六隻全てが月に集結してしまった。
またL5宙域の絶対防衛戦略地域こと円卓の再建もまた途上であり、今エイリアンの侵攻が起きればプラントの陥落が現実味を帯びるなどまだまだ戦況は予断を許さない状態が続いている。
地上でも太平洋・北米こそ安定化したが南米ではコロニストと侵略生物、無人兵器の大群が制圧したジャブローに籠っており、北米方面軍の頭を悩ましている。
また大陸横断中のエイリアンの移動要塞群こと巨神艦隊による攻撃は続ており、大陸戦線も熾烈な防衛線が続いていた。
これら二つの戦線への対処が完了しなければ、主戦線を宇宙に一本化することは難しく、むしろエイリアンの主戦力が宇宙に集中してしまったという点で見れば人類側が不利とも言える。
戦いはようやく半ばを超えたと言った状況。
これからの戦いこそ本番であり、重要であるとEDFは再認識させられるのであった。
35:トゥ!ヘァ!:2024/08/03(土) 16:21:10 HOST:FL1-119-240-148-104.kng.mesh.ad.jp
〇用語 トピック
第一ストーム。第二ロンドベル。第三コンパス。第四マスカレイド。
第五サラブレッド。第六キマイラ。第七ファントム。第八サンダーボルト。第九リベリオンズ。
第十マーセナリー。第十一ドン・ビー。第十二ペインターズ。第十三オメガ。
第一から第四が初期組。
第五から第九までが初期組の戦果を見て各国が改めて結成した部隊。
第十から第十三まではEDF総司令部が直接編成した部隊であり、転生者やその関係者によって構成されている。
第十:AC系からの転生者。名称は傭兵から。
第十一:エスコン系からの転生者。名称は首領蜂から。
第十二:転生者古参勢。痛い子中隊の面子。
第十三:地球防衛軍関係からの転生者。3のオメガチームなど。
戦前から日本が用意していたバルガ部隊のこと。
当初は超大型工作機械としてデビューしたが「お前のような工作機械がいるか!」と各国から突っ込まれた。
残存しているバルガも順次ウォーバルガに改造さており、更に新造された機体も多数存在する。
大陸反攻作戦に投入予定の部隊は全てウォーバルガに統一されている。
太平洋大侵攻では大陸反攻作戦に投入予定だった50機のバルガが防衛線へと投入。
日本に上陸を仕掛けてきた怪生物(怪獣)の多くを撃破した。
通常仕様のバルガ。戦闘仕様のウォーバルガ。高機動仕様のフォースター。大型火器仕様のボンバルガ。海戦仕様のシーバルガ。重装仕様のストライクバルガ。決戦仕様のアーマメントなどの多数の仕様が存在している。
正式名称スーパーグラブロⅡ型。
ジオンのMAグラブロを対怪生物兵器として改修した姿。
姿は足が生えたサンボルグラブロと言った感じ。
グラブロ四号機のように脚部と呼称される水中機動用のアクアジェットスラスタ兼武装コンテナを装備しており、水中における運動性を向上させている。
水中における怪生物(怪獣)への対抗手段の少ない現状において、数少ない奴らと渡り合える兵器の一つ。
ジオンの地上拠点で製造されており、現在では日本やアラスカでも大々的にライセンス生産も進んでいる。
日本の各地の都市(人口5万人前後の街)を中心に設置されている自動迎撃装置の総称。
街を囲む展開防壁や武装ビル、迎撃ミサイルや無人ドローン、無人武装車両、避難用の地下シェルターなどで構築される。
平時は街の地下に格納されており、有事に地上へ展開される。
凡そはエヴァの第三新東京市で見られる光景と思って相違ない。
このため都市クラスの街であれば強固な防衛網を引くことが可能であり、本来は侵略者の狩場であった街々は近場の都市群と連携し降下してきた侵略者への殺し間へと変化する。
反面都市以下の市町村に関しては予算と余力の関係から防衛システムの普及が半端な状態であり、それらの中小都市部では無人兵器群と地下シェルターのみの整備に留めているところも多い。
このため日本ではエイリアンとの開戦以降は出来る限り都市部への避難を進めていたが、今回の大侵攻の際には避難が進んでいなかった地域を中心に少なくない被害が出ている。
36:トゥ!ヘァ!:2024/08/03(土) 16:21:50 HOST:FL1-119-240-148-104.kng.mesh.ad.jp
主力MSの緑獅子(リーオー)、空戦MSの藍羊(エアリーズ)、水中MSの赤蟹(キャンサー)、水陸両用MSの青魚(パイシーズ)、火力担当の茶山羊(トラゴス)など。
それぞれガンダムWでの量産MSの元となった星座+色を合わせた名称にしている。
トールギスも白霊士の名で存在しており、現在はエース用のMSとして再設計されたものが改めて少数製造されている。
現在は新主力機の砂海蛇(サーペント)と新型可変機に当たる白牛(トーラス)がロールアウトしており、新しい主力機として普及し始めている。
また無人MSの黒乙女(ビルゴ)も開発中であり、現在は試作機がロールアウトしている。
愛宕級宇宙撃艦:日本こと太平洋条約機構が用意した対侵略者用の宇宙艦艇。
500m近い全長の過半を超電導コイルを用いたコイルガンの砲身として用いており、1000tのタングステン砲弾を光速の1.4%で打ち出す代物。
加速及び砲身保護にはミノフスキー粒子を用いた限定的な重力制御も用いており、これにより発射の安定と、それによる一定間隔での連射を可能としている。
衛星軌道会戦において同宙域に居座っていたマザーシップを撃破した際の切り札であり、この船の主砲を用いて敵母船のバリア及び装甲を打ち破りダメージを与えた。
同会戦においては邪魔となる母船以外の敵輸送船やドローン部隊を掃討後に5隻の愛宕級によるつるべ撃ちでマザーシップのバリアを飽和させ、ダメージを与えた。
先に敵輸送船やドローン部隊を掃討したのは、ハワイの戦いにおいてマザーシップを攻撃した際に無人ドローン群が盾となり攻撃を防がれた経験から、同じことを衛星軌道会戦で起こされないため。
流石に一撃では落とせなかったが幾度かの攻撃の最中に当たりどころが悪かったのかマザーシップのバリアが消失。
以降は通常艦艇の砲撃も交えて滅多打ちにして沈めた。
モデルはHALO
シリーズに出てくるスーパーMACガン。
37:トゥ!ヘァ!:2024/08/03(土) 16:22:27 HOST:FL1-119-240-148-104.kng.mesh.ad.jp
投下終了
最近の酷暑で夏バテでして全然筆を進められませんでした…
最終更新:2024年10月12日 12:59