9 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/08/15(木) 17:52:18 ID:softbank126116160198.bbtec.net [2/163]

憂鬱SRW アポカリプス 境界戦記編証言録「凍結した世界にて」




「見ているだけで凍りそうね……」
「ディーヴァじゃ、こういうエリアもあるんじゃないのか?」
「あったけど、もっとこう、秩序のある寒さだったのよ。観光用に作られた、ね。
 エリアのプログラマーにもあったことはあるけど、かつて地球にはそういう極寒だけど美しい場所があったから、それを再現したってね」
「ディーヴァのプログラマーか」
「そう。有名な人よ、過去に存在した土地や建物を電脳空間にハイレゾで再現するアーティスト。
 イヴァン・アダムフ……尤も人格的な素体が同じ同位体が何人もいたんだけどね」

  • 戦略兵器の乱発による惑星規模の気候変動で凍結した日本列島を眺め、ディンゴとアンジェラの会話。



「FS’、機体の方はどう?」
『機体加温装置と凍結防止機構の取り付けは完了しています。
 極寒地域での活動にも支障をきたすことはないでしょう』
「ありがと。あとはOS面でも調整をしておかないとね」
『はい。しかし、救助型の加温装置を購入してよかったのですか?値段は高くつきましたが』
「いいのよ。戦場に出ている者同士でも、極寒の地に放り出すなんて気分が悪いもの。
 捕虜をとった、というなら文句もないわけだし。
 そもそも私、ディーヴァの保安官だったのよ?積極的に命を奪いたいわけじゃないの」
『なるほど、あなたらしいですねアンジェラ』

  • フロンティア・セッターダッシュ(FS’)と愛機となるAC「ラカンカ」を調整しながらアンジェラ。



「……あなた、外があんななのによくアイスを食べられるわね?」
「暖かい部屋で冷たいものを食う。これも乙なもんだぜ?」
「よこしなさい」
「はいよ」

  • 任務の合間の休息時間、暖房のよく聞いた部屋でアイスを楽しむディンゴとアンジェラ。



『畜生、攻撃が当たらねぇ!』
『俺たちをゴミみたいにぃ……!』
『被弾した!被弾した!ァッ!』
『5番機がやられた、カバーしろ!』
『カバーしろって、どうやって!』

  • 戦場で散っていくAT達。現地徴用兵が多く、練度は低下傾向にあった。



『数が多すぎる……!FS’、標的をマルチロック!セミオートの連射で撃ちぬくわ!』
『了解しました、アンジェラ』
『そんな機体で勝てると思っているのかしらぁ!』

  • 劣悪な環境下でも恐れず数で押し寄せるATと交戦しながらアンジェラ。






「民間人や民間施設・建築物の退避は?」
「現状のところ、順調です。
 岩盤ごと引っこ抜くことになりましたので、多少の損害などは出ていますが許容の範疇。
 景勝地や歴史的建造物などが優先して退避と回収を進めていますね」
「準備はしておい たが、まさかここまでの余波が来るとはね……」
「各地からの問い合わせがほんとシャレにならんね。
 まあ、面倒だから岩盤ごと持っていくけれど」
「土地に根差した資源とかが多すぎる……そして気候変動で被害を受けすぎている……」
「補填してくれと言われても、ねぇ?」

  • 地球連合の境界惑星現地統括指揮所にて、スタッフの会話。



「一度氷結すると土地が……」
「一気に寒さが来たのがやばすぎたな」
「7月から8月の暑さの盛だったのだめ押しになっちまったな。
 ほとんどの植物や生物がやられてしまっているわ」
「引っ越し先にどれほど連れていけるか……」

  • 同上。土地に根差した農業や酪農や植生なども退避の対象となったが、気候により大打撃をこうむっていた。



「移民船の降下は急いだほうがよさそうだな……」
「移民船もそうだが、環境保存船も……周囲の海を急ぎで総ざらいしないといかんからな」
「ええい、逃がす対象が多すぎる!」

  • 同上。軍事作戦と並行して、境界惑星の環境の回収は急務であった。

10 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/08/15(木) 17:52:51 ID:softbank126116160198.bbtec.net [3/163]

「大量破壊兵器の、使用……?」
「ええ。北米大陸などで大規模兵器の使用および艦艇の突入と戦闘が確認されました。
 恐らくではありますが、大気圏内で使用するには過剰な威力のそれらが、対峙している勢力の間で使用されたと思われます。
 エスカレーションしたことで、互いに強力なものをぶつけ合ったのでしょう」
「その結果が、これだと……そんなことがありうるのですか!?何かの間違えでは!?」
「間違いではないでしょう。恒星間文明ともなれば、惑星の一つや二つ、滅ぼすような兵器も抱えています。
 当然、環境を破壊する程度の影響力がある兵器だって無数に存在します。
 この惑星だって、核兵器というものがあるではありませんか?」
「そんな……」

  • 地球連合と日本解放戦線の会談にて。地球規模の気候変動に対して尺度の違いが露わに。





「俺たち、何やっているんだろうな……」
「知らねぇよ……考えたくもない……」
「寒い……飯が欲しい……家族に会いたい」

  • 極寒の東北地方で防衛戦に参加している新日本協力機構のレジスタンスたちの会話。日本奪還も新政権樹立の夢も、自然の前にあっけなく散った。




「せっかくの畑が……」
「畑だった場所になっちまったな」
「……なんでこんなことに」

  • 同上。家庭菜園的な畑もまた、自然の淘汰(人災)により消滅することになった。



「……もうヤダ、俺は!」
「馬鹿!やめろ!誰が聞いているかわからねぇんだぞ!」
「けどよ!」

  • 同上。新日本協力機構などの士気はがた落ちであったが、督戦隊により無理やり維持されているありさまだった。




「……こいつもだめだ、部品取りに使うしかない」
「クソ、廃棄か」
「ここまで極端な環境変化は想定していなかったからな」
「無事な部品だけでも取り出そう、それ、取ってくれ」

  • 北米同盟のメカニックたちの会話。アメインも多くが激変した環境にさらされ、故障や不具合を頻発。ひいては廃棄や共食い整備に発展することになった。



「こんなのしかここにはないのか?」
「北海道に種戦力は集めているんだとさ。物資もまとめてな……」
「おいおい、それじゃあ俺たちは……」
「……補給も予備も見込めない中で、この極寒の地獄で敵を迎え撃て、だとさ」

  • 同上。いわゆる冬将軍と距離の防御を利用する北米同盟だったが、それは同盟側にもダメージを与えていた。




「ウソだろ、あの巨大な化け物、海を歩いてやがる!」
「海が凍結しているってことか。
 だけど、あんなのが歩けるくらい分厚い氷が張っているのかよ……!?」

  • 氷結した海上を歩くセンチピード級を見た北米同盟の兵士たちの会話。

11 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/08/15(木) 17:53:49 ID:softbank126116160198.bbtec.net [4/163]

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最終更新:2024年10月14日 11:34