「何?沖縄沖に巨大な門が出現した!?」
大日本帝国宰相である“少女”の、可愛い声が響く。
「はい。幅30km、高さ10kmにもなる巨大な門のような構造物が沖縄沖に出現しました。門の向こう側にも海と空が広がっており、また構造物は海底まで達しているようです。」
「しかし、沖縄本島の側からみると海と空が広がっているにもかかわらず、門の反対側は壁になっています。」
「さらに、門の向こう側には遠巻きにこちらを監視している船団がみられ、門を監視している海軍に対し、その船団は“日本国海上保安庁”と名乗っています。」
「日本国?一体どういうことだ?」
「何故国号に“帝国”が無い?」
「我が国とは違うのか?」
多くの者は頭を捻り、首を傾げた。
しかし、史実を知る
夢幻会の面々には“日本国海上保安庁”がどういう組織で、門の向こう側がどこで、“日本国”が何なのか理解できた。というより知っていた。
(なんてこった。祖国に再び出会うことになろうとは…..。)
(しかし、これでまた元の世界のアニメや萌え文化に触れることができる!!)
夢幻会の人間には元の世界とつながったことを喜ぶ人間も多かった。しかし、宰相である嶋田はつながった平成世界のことを考えると気が重かった。
「なんで……やっと冷戦が落ち着いてきたのになんで…….。」
この世界における欧州枢軸との冷戦は史実世界における冷戦とは異なり中小規模の衝突が絶えなかった。
昨年勃発した久々の比較的大規模な衝突である北米事変において欧州枢軸海軍に対し大損害を与え、大日本帝国が勝利を収めたことで冷戦はようやく落ち着いてきたところであった。
(向こうの日本をこの世界の日本人が見てどう思うか…….そして向こうの韓国や中国がどうでるか…….。)
「神様!あなた絶対私のこと嫌いですよね?そうなんですよね!?」
首相官邸に可愛らしい、怨嗟のこもった声が響き渡った。
最終更新:2012年03月19日 21:50