965 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/09/16(月) 00:22:44 ID:softbank126116160198.bbtec.net [207/214]

日本大陸×プリプリ「The Melancholic Handler」小話【焼玉エンジントラクター、クリミアにて戦えり】




 さて、クリミア戦争時にロシア帝国軍が塹壕戦術および坑道戦術、ひいては地下要塞戦を行ったことは述べた。
これを活用することで、航空艦の砲撃や爆撃に耐え、その後の砲兵の攻勢にも耐え、歩兵を殺して回る戦術が可能になったのだ。

 だが、忘れてはならないのが、その戦場の構造物を作る労力である。
 この時代、本来ならば便利な重機など存在せず、殆どが人の手でやる必要に迫られていた。
 しかし、土というものを掘り進めるのはかなりの重労働であり、時間も人手も要するものである。
スコップとつるはしを用いて必死にやっても、どうしても限界というものは存在する。
爆薬などで手っ取り早くやるにしても、それはかなりの高等技能になるわけで、おいそれとできるものではない。

 だが、この問題について、ロシア帝国は大日本帝国から入手していたもので解決の目途が立っていたのである。
ロシア帝国だけというわけではないが、大日本帝国は国外に技術を売りに出していた。
大日本帝国内ではとっくに枯れている技術だとしても、それ以外の地域では先進的なものというのは割とありふれていた。
それがクリミアの地において運用された焼き玉エンジン搭載の車両がそのよい例の一つであった。
元々はロシア帝国内の農業などの効率を上げるため、ひいてはロシアの国力増強を狙って輸出されたそれが、軍事転用されたのである。

 それこそ、47式焼玉エンジントラクターであった。
 たかが25馬力、されども25馬力のエンジンだ。馬が25頭分ともなれば決して馬鹿にならない。
ドーザーブレードをつけたブルドーザーであったり、ショベルをつけたり、はたまた鋤をつけたり---あらゆる方式で地面の掘削に用いられた。
掘り返した土を運ぶのにも使われたし、補強材となる木材などを運ぶのにだって使われた。
これによる作業の効率化は途方もなく大きな結果をもたらした。つまり、短期にクリミア半島に防衛線を作りあげることを実現したのだ。
 こうした陣地形成に役立てられたトラクターは、時を同じくして陸軍の牽引車両としても活躍した。
馬と違って燃料を必要とするし整備も必要だが、馬などの動物と比較すれば楽な面も存在している。

 史実から見ればとんでもない速さでの導入であるが、これでも大日本帝国本土から見れば旧式であった。
無論、夢幻会の努力や研究が群を抜いて速いのであって、それが異常なだけである。
 そも、この世界においてロシア帝国とは、日本から見ればアルビオン王国との間に存在する緩衝国の一つなのだ。
過度なテコ入れは危険ではあるが、かといって積極的に敵対したいわけではない。
過度に味方になるより、好意的な中立でいてくれればそれでよい、というわけである。
だからこそ、黎明期のものとは言え、内燃機関というものを提供するに至ったのである。

 閑話休題。
 後年のことになるが、輸入されたこうした内燃機関についての研究は後々に身を結び、他の分野にまで普及を進める一助となるが、それはまた別な機会に語るとしよう。


【解説】47式焼玉エンジントラクター

動力:焼玉エンジン
馬力:25馬力
車輪:ホイール/無限軌道
全長:2.6m
概説:
 ロシア帝国において運用されたトラクター。
 元々は農業用や作業用の名目で日本から輸入されていたシリーズの一つで、これを重作業用に転用したものがクリミア戦争で投入された。
原始的且つ黎明期のものだが、貴重な重機の一つとしてロシア帝国軍の戦略を支えた。

966 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2024/09/16(月) 00:23:29 ID:softbank126116160198.bbtec.net [208/214]

以上、wiki転載はご自由に。
遅くなり申し訳ございません。
そういえば供与できるのだとこれがあったな、と思い出したのと、
後はクリミア戦争でどうして陣地形成が速かったのかのつじつま合わせという感じです。
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最終更新:2024年11月02日 19:46