501:トゥ!ヘァ!:2024/11/13(水) 17:10:53 HOST:FL1-218-227-41-219.kng.mesh.ad.jp
EDF NG(ニュージェネレーション) その5


新西暦0081年初頭 

去年行われた巨神艦隊撃滅作戦は大成功に終わった。
以降のEDFは領土奪還を本格化させ、エイリアンに制圧されていた欧州ロシア、中東を取り戻した。

年末近くには欧州唯一の人類拠点であったブリテン島からフランスへの上陸に成功。
アジアから永遠とマラソンしてきたアジア方面軍も東欧やバルカン半島に差し掛かっており、東西からエイリアンの残存部隊を挟み撃ちにする形で戦闘が続いていた。


そんな中でEDF上層部また各国上層部は今後の主戦場が宇宙になると想定していた。
既に月面に集結した6隻のマザーシップに主導権を渡さぬように、EDF宇宙軍が散発的に月面へ攻撃を仕掛けている昨今。

地上戦線の残存戦力を宇宙に上げ、月からエイリアンを叩き出し、この戦争に決着をつけることを求めた。

さて。そんなわけで地上戦力を宇宙に上げるには何が必要。マスドライバーと大規模発射場である。
ではその両者は現在どうなっているのか?

A:壊滅状態

長らく続いた戦乱により世界中の発射施設やマスドライバーは多かれ少なかれ破損しており、南北米大陸及び欧州地域においてはほぼほぼ壊滅状態であった。

余り戦乱に巻き込まれなかったアジアの発射場やマスドライバーは昨今のエイリアンとの戦いで傷を負っているものが多く、特に昨年の巨神艦隊の侵攻とマザーシップが宇宙に上がるために行った太平洋の大侵攻で少なくない被害を被っていた。

無論各地の宇宙港やマスドライバーの復興、修理は進められているが、現状の試算では一番早くとも半年以上の時間がかかるとされていた。
このため当初の予定よりも宇宙へ戦力を時間が増加しており、これを解決するためにEDFは未だエイリアンの制圧下にある発射施設の開放と修復を決定した。

宇宙に上げる前に戦力を損耗するのでは?という声も一部では上がったが、そもそも宇宙に上げることが出来なければ意味がないのだ。

こうして攻略目標となったのがジャブローである。

ジャブロー。それは新大陸連邦が建造した大要塞。
南米大陸の1/3に匹敵する広大な面積を誇り、その打ち上げ能力は並の発射場の数十倍を誇るとされている。
具体例を出すと純粋は打ち上げ施設のみでも50を超えており、パナマの物よりは小型であるが地下格納型のマスドライバーを3基保有する一大発射場でもあるのだ。

現在でこそ侵略者に占領されているが、脱出してきた人員の話では打ち上げ施設の大半は破壊されずにいたという話である。

これに目を付けたのが打ち上げ能力不足で悩むEDF上層部であった。

無論これの奪還となると簡単ではない。
鬱蒼と生い茂ったジャングル、巨大河川、多数の地下構造。
そんなあからさまに攻略しにくい環境の中で発射設備を極力傷つけずに、現地に居座る侵略者共を駆逐していかねばならないのである。

はっきり言って非常に困難である。
しかし、しかしである。それらの懸念を差し引いてもジャブローの打ち上げ能力は魅力的であった。
ジャブローの打ち上げ能力の半分でも良いから確保できれば、地上戦力の多くを短時間で宇宙へ送れる。

何よりEDF上層部は内心ちっとも安心していなかったのだ。
敵の主力は既に宇宙に脱出しており、いつ攻勢を仕掛けてきても可笑しくないためである。

現状こちらから嫌がらせじみた攻撃を仕掛け、敵の動きを止めているが、それも長くはもたないとEDF上層部は理解していた。
何よりも次大攻勢が起きればL5宙域のプラントが持たないことも。

502:トゥ!ヘァ!:2024/11/13(水) 17:11:51 HOST:FL1-218-227-41-219.kng.mesh.ad.jp
宇宙の防衛ラインの再建は未だ終わっておらず、補充された戦力の練成中であった新兵が大半。
既にプラント、ジオン両国は学徒兵の動員を始めており、L5防衛戦と同規模の大規模衝突が起これば、次かその次にはもうまともに戦える戦力が払底することが予想されている。

つまるところEDF上層部は戦況が好転したとは欠片も思っていないのだ。

地上に余力が出来た今こそ速やかに戦力を宇宙に上げ、敵の準備が整う前に月へ攻め込みたい。
それがEDF上層部と各国首脳部の一致した見解である。

だからこそ被害が出ようとも今すぐジャブローの打ち上げ能力を欲しているのであった。


現状のEDFは急ピッチで奪還した各地の発射場施設または既存の施設の修復を進めているが、それら込みで尚且つジャブローをできる限り少ない損害で奪還することが急務としている。

何せエイリアン側は既に主力マザーシップ全てが月で合流しているのに、地球側は未だ地上と宇宙で戦力が分かたれたままなのだから。


新西暦0081年冬。年は明けたがまだまだ冬の気配が強く、春にはいささか遠い時期。
ジャブロー奪還作戦ことオペレーション・レコンキスタが発令された。

今大戦史上最も困難な戦いと言われた作戦の幕開けである。

503:トゥ!ヘァ!:2024/11/13(水) 17:12:29 HOST:FL1-218-227-41-219.kng.mesh.ad.jp
〇いつぞやの戦場での話

「しかし何でジャブローにこんな数の打ち上げ機能があるんです?
あそこ元々コロニー建造のための実験アーコロジーでしょ?」

「まあ何というか生臭い理由というべきか、貧乏くじを引いたというべきか…
本来新大陸連はパナマのマスドライバーが本命だったんだよ。
旧式化したケネディ宇宙港の代わりにマスドライバーを使って軍の物資を宇宙に上げる計画だったんだが…」

「コロニーバブルの時にね。大企業群に圧力かけられて民間需要優先って政府が決めちゃったんだ。
その結果軍の荷物は後回し。そのせいで新大連の宇宙軍の整備が大分遅れてなぁ」

「業を煮やした軍部は当時中米に金持っていかれたブラジルを始めとした南米州と手を組んでジャブローを拡張したのさ。
そして出来上がったのがあの生産施設と打ち上げ施設と地下要塞が合体したジャブロー大要塞」

「一応今の規模まで拡大したのは二年戦争の最中でな。
戦前は今の規模の半分以下だったんだ。戦況が悪化して急いで今の規模に拡張したのさ」

ジャブロー要塞の歴史を語るEDF司令部要員たち。

わかりやすく言えばパナマのマスドライバーが民間優先になったため、元々色々揃っていたジャブローを地元の協力の下で巨大な工場兼発射場として拡張したと言う話。

因みに古くなっていたケネディ宇宙港は結局リフォームされて現在でも現役である。




「こちら第5航空輸送隊。MS部隊を投下する」

「続いて第3、6、11、18も部隊を投下開始」

「第12と22航空隊は降下部隊の援護に回ってください」

「やれやれ。まさか俺たちがジャブローに降下する日が来るとはね」

「なに。古巣に帰るだけさ」

ジャブロー奪還作戦の一幕。
地上、海上、空中からの立体攻撃作戦であり、上の会話は元々ジャブローを有していた新大陸連邦系部隊での会話。

504:トゥ!ヘァ!:2024/11/13(水) 17:13:08 HOST:FL1-218-227-41-219.kng.mesh.ad.jp
「この弾幕…降りられるのかよぉ!」

「スラスターを吹かせ!自由落下だけに任せるな!ハチの巣にされるぞ!」

「ダロガにディロイにヘクトル!カエル共もいやがる!」

「対空砲火が想像以上に濃い!」

「ハチや円盤共もお出迎えだ。降下部隊に近寄らせるな!」

ジャブローへ降下する最中の会話。
事前に爆撃、砲撃はしていたが、隠れ潜んでいたエイリアンの迎撃部隊の数は予想以上であり、想定以上の弾幕砲火にEDFのMS部隊もたじたじであった。




「こちら第34MS中隊!駄目だ!D地区方面は虫共だらけで前に進めん!」

「第七混成機甲大隊。ザリガニ共が多くて川を渡れない。至急迂回路の情報を送られたし」

「第19、27、44の水中機動中隊はどこも作戦遂行は困難だと言ってきている!」

「こちら第77歩兵大隊!カエル共のアンブッシュだ!連中俺たちの知らない穴を掘ってやがる!」

「こりゃ想像以上にエイリアンの戦力が詰め込まれてない?」

「攻略に時間かかりそうですなぁ」

ジャブロー攻略に手間取るEDF部隊及び司令部の会話。
上層部が想定していた以上の侵略生物やコロニストがジャブローのあちらこちらに蠢いており、当初想定していた正規の入り口を用いた地下への侵攻は初動から頓挫していた。




「こちら第三特殊工作大隊。掘削作業は順調だ」

「MSに乗り込んで今更土木作業とはねぇ」

「つべこべ言わず働け。宇宙の同胞が援軍を待っているんだぞ!」

ジャブロー攻略部隊の一つ。特殊工作部隊での会話。
真正面から攻略できない際のサブプランの一つであり、適当な土地から穴を開けて地下施設へ侵入を目指した行動である。

この際MSサイズ用の大型掘削ドリルが用意され、これを用いて穴掘りを進めていた。



「まさかこいつが日の目を見る日が来るとはなぁ」

「倉庫の肥やし。地上軍のただ飯食らいなんて言われていたが、俺たちが訓練していたのはこのためだしな!」

「と言ってもまさかジャブローの攻略ではなく、奪還のために働かされるとはね。
人生何があるかわからんもんだ」

順調に掘削作業を進める第二特殊工作大隊。
こちらではジオンの特務工作MSアッグが運用され、多大な働きを見せていた。

MS用ドリルを用いて作業をする他のチームよりも倍ほどの掘削量と速度を誇り、今作戦におけるMVPに輝いている。




「よし!穴が開いたな!突入!突入!」

「ジャブローの地下空間は広くて助かる。MSでも十分動けるんだからな!」

「CF(コンバットフレーム)部隊!歩兵部隊も続け!MSの援護だ!」

「デプスクロウラー隊前進!洞窟内の天井を先んじて確保しろ!」

「やれやれ。地上の制圧の次は地下の制圧とはね」

特殊工作部隊が開けた穴を通じてジャブローの地下施設へと突入していくEDF部隊の様子。
幸いジャブローの地下構造はMSが十分行動できるだけの広さを持つ地区が多く、MS部隊の突入には困らなかった。

505:トゥ!ヘァ!:2024/11/13(水) 17:14:04 HOST:FL1-218-227-41-219.kng.mesh.ad.jp

「出ていて虫共!カエル共!」

「ここは元々俺たちのジャブローだぞ!」

「我々は帰ってきたぁああ!!」

ジャブロー地下に突入しだす新大陸連邦系部隊のセリフ。
ジャブローから脱出し、本日まで臥薪嘗胆していた兵士も多く、その奪還に気炎を吐いている者も多い。




「こちら第56機甲大隊。J2地区を確保。事前情報通り建造中の艦艇の姿が見られる」

「所々欠けたり、かじられたりしていますが凡そ原型は保っていますね」

「詳しくは調べてみないとわからないが…上手くいけば短時間で戦力の増強が可能かもな」

奪還した地区の一つで建造途中であったマゼラン級やサラミス級を発見した部隊での会話。
エイリアンとの戦争勃発当初に奇襲に合ったジャブローでは建造途中で放置された艦艇や兵器が所々に存在していた。




「クソ!また横合いから虫共の奇襲だ!」

「どうやら連中は我々の知らない横穴を築いているようだな」

「人様の家に勝手に住み着いておいて、更に魔改造しているとは太てぇ奴らだぜ!」

地下構造突入後に度々エイリアンの奇襲を受けるEDF部隊の様子。
エイリアンの占領されているうちに、どうやら侵略生物やコロニストの手で地下空間が拡張されていた模様。




「クイーン!クイーンが出たぞ!」

「大型シールド持ちは前に出ろ!MSでもまともにクイーンの酸をくらえばヤバいぞ!」

「火砲を集中させ速やかに撃破しろ!あの図体は邪魔だ!」

地下攻略中に侵略生物αクイーンこと女王アリに出会った部隊の様子。
流石に王級の攻撃ともなると、まともに食らえばMSでも致命傷は免れないため速やかな対処が求められる。

506:トゥ!ヘァ!:2024/11/13(水) 17:14:36 HOST:FL1-218-227-41-219.kng.mesh.ad.jp
「まさかMS用火炎放射なんてニッチな装備が役立つ日が来るとはなぁ」

「使う時には歩兵部隊の位置に気をつけろよ。味方を焼いたり、酸欠にしては洒落にならんからな」

「他にも強酸弾、バウンド弾、電撃放射…変な武器盛りだくさんだな」

「今回は施設の奪還目的だからな。ビーム兵器やレールガンなんかの威力が高すぎる物は使えないため、その代わりだそうだ」

ジャブローの奪還に精を出すとある部隊での会話。

今作戦では地下の工廠や建造中だった兵器を出来る限り無傷で確保するためにビームやレールガンと言った威力、貫通力の高い兵器は極力運用しないよう通達されていた。

その代わり地下攻略に役立ちそうなものが一通り用意、投入されており、ある種のヘンテコ兵器のオンパレードとなっている。

最も運用していた兵士たちから「逆に施設を傷つけやすいんじゃね?」と思われる兵器も多数あったのだが。




「奪還できた施設のうち軽い点検や修理で運用できそうなのは6割。残されていた艦艇で即座の実戦に耐えうるのは4割か。
肝心のマスドライバーも損傷はひどくないのが多い。思ったよりも無事なんだな」

「エイリアン連中が余り触れなかったようですからね。
この他にも時間はかかりますがきちんと修復すれば数か月以内に稼働可能な施設や艦艇は沢山ありますよ」

「ジャブローは広い。未だ奪還が続く地区もあるからな。今後まだまだ使用可能施設や兵器は増えていくだろう」

「しかし何でエイリアン連中は施設や船にはノータッチだったんだ?」

「わかりません。技術体系が違いすぎて手を出しあぐねていたのか、はたまた最初から興味がなかったのか」

「報告によると侵略生物の養殖場として運用されていたそうなので、根本的に施設に興味がいかなかった可能性もありそうですね」

ジャブロー奪還の途中報告を読むEDF司令部の面々。
思った以上に無事な施設や艦艇が多く、彼らにとっては朗報であった。




「しかしこの作戦いつまで続くんだ?
奪還した地区の復旧作業はもう始まっているんだろう」

「奪還率はまだ6割ってところだからな。残り4割が終わるまでは続くさ」

「ジャブローってのは広いんだねぇ」

作戦に参加していたジオン系兵士とユーラシア連合系兵士の会話。
二人ともジャブローの広さに呆れつつも仕事は真面目に行っていた。

このように少し前まで戦争していたコロニー同盟と地球連合の兵士が肩を並べで談笑する様子は現在では左程珍しくないものとなっている。

507:トゥ!ヘァ!:2024/11/13(水) 17:15:14 HOST:FL1-218-227-41-219.kng.mesh.ad.jp
〇用語 トピック

  • マスドライバーと発射場施設
エイリアンとの戦争が始まる前の人類同士争っていた時代では、暗黙の了解の下で占拠はあって破壊されることは禁じられていた。

最も侵略者であるエイリアンにはそんなルール通用しないため割とバンバン破壊されたり、虫の巣にされたりしている。

現在はマスドライバーが主流であるが、その補助としての既存のロケット発射場も共に稼働中。

元々コロニー建造のためにマスドライバーが開発されたのが始まりであり、それと同時に宇宙軍設立、配備のためにも頻繁に利用された。
それらがひと段落下現在では専ら民間の運用が優先されて軍事関係はHLVを用いたロケット打ち上げ施設を利用するなど軍民の関係が逆転していた。


ジブラルタルマスドライバー:エイリアン侵攻開始初期に戦果に巻き込まれ倒壊。現在エイリアン占領地内。

ビクトリアマスドライバー:エイリアン侵攻時初期に制圧され、以降エイリアンの占領下に。
現在も占領は続いており、目下奪還作戦の最中。

パナママスドライバー:エイリアンの侵攻時に攻撃目標とされ破壊。現在は解放済み。修復中だが完全再建の目途は立っていない。

ケープカナベラルマスドライバー:北米が一時エイリアンに占領された際の戦いで破損。
一時はエイリアンの占領下であったが、現在は奪還済み。
現在急ピッチで修復中。

種子島マスドライバー:日本への大侵攻時にエイリアンの攻撃目標とされ損傷。一時運用が休止。
現在は修復が完了し稼働中。

小笠原マスドライバー:こちらも小笠原同様近年まで無傷の施設であったが、大侵攻時に大きく損傷。
倒壊こそ免れたが修復に時間がかかっている。

スリランカマスドライバー:戦乱の最中に攻撃され度々損傷。巨神艦隊の侵攻の際に破壊され、現在は修復中。

海南島マスドライバー:日本のマスドライバー同様に安全地帯にあったが、度重なる襲撃により修復のための休止と稼働を繰り返している。
現在数少ない稼働中のマスドライバーの一つ。



〇二年戦争
地球連合とコロニー枢軸の戦争。
独立を求めたジオン、プラントのコロニー独立同盟とそれを認めない新大陸連邦とユーラシア連が発足した地球連合の争い。

二年間争っていたが、地球連合側はミノフスキー粒子を用いた新戦術に苦戦し、勃発当初はジオンやザフトに押されっぱなしの戦況であった。
しかし2年経ちコロニー同盟側が息切れし始め、近年は戦況が逆転し始めていた。

最終的にエイリアンの侵攻が始まり、自然休戦。
EDF設立時に改めて両勢力間での正式な講和が結ばれている。

508:トゥ!ヘァ!:2024/11/13(水) 17:15:48 HOST:FL1-218-227-41-219.kng.mesh.ad.jp
投下終了
久々のEDFNG投下でした。
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  • EDF
最終更新:2025年01月20日 14:20